IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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準決勝第二試合。
とうとうマドカちゃんの本気をお披露目です。


双重奏 ~ 兄妹 ~

Ichika View

 

「準決勝か…正直、ここまで来れるだなんて思ってなかったな…整備課にもメルクにも頭が上がらないな」

 

Bピットに到着はしたものの、少しばかりの現実逃避をしていた。

篠ノ之には大言壮語したものの、俺も同じくらいのところで敗退するものだと最初は思っていた。

それが気づけば準決勝だ。

この学園に入学したこともそうだし、俺がISを動かせることもそうなんだが…何故、こうなった?

 

「あの…一夏君?そろそろ時間ですよ?」

 

「あ、ああ、了解だ」

 

白式を展開する。この感覚にもいい加減慣れてしまっている。

相棒のメンテナンスもエネルギー補給も完全に終わっている。

残る問題は…

 

「相手との相性なんだよなぁ」

 

「そうですよねぇ…」

 

俺たち二人、揃いに揃って苦手分野が存在しているときている。

俺は射撃攻撃が苦手、メルクは近接格闘戦闘が苦手ときている。

メルクの近接格闘に関しては俺が鍛えたので、幾分かはマシになっている。

 

俺はと言えば、六条氷華の命中性は8割に届いていない。

白式に命中補佐をしてもらえば何とかなるかもしれないが、いつまでも相棒に頼り続けるわけにもいかない。

俺自身の手で命中性を向上させる必要もある。

 

「あ、そうだ、私に考えがあります」

 

「考え?」

 

「はい、テンペスタ・ミーティオに搭載されている武装なんですが…今まで隠し弾にしていたものがあるんです」

 

…それを俺にまで隠していたという事か。

だが、その隠し弾とやらの性能を聞いてみると、実に有能な武装であることが分かった。

問題はそれを使うタイミングだな。

 

「基本戦術としては、俺が簪を、メルクがマドカを、これでいいか?」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

あの二人を相手にどこまで立ち回れるか。それが問題だな。

さあ、時間だ。行こうぜ、白式!

 

 

 

Madoka View

 

とうとう準決勝にまで上り詰めた。

簪は先程から深呼吸を繰り返している。

緊張するのは無理も無いけど、簪の場合はまた違う。

何度も気合を入れなおしている。

簪は今回のトーナメントはようやく訪れた公式試合の場。

クラス対抗戦のアレはマトモな戦績としてはカウントされてないだろうし…。

そして専用機である『打鉄 弐式(うちがね にしき)』の本領発揮の場所でもある。

私も簪も、切り札となる武器や、作戦とかは未だに使っていない。

簪の場合は『山嵐』を、私の場合は『偏向射撃(フレキシブル)』を。

でも、私の場合は偏向射撃(フレキシブル)だけじゃない。

それを応用した技術も持ち合わせている。

今日、此処で使うためにも昨日はサイレント・ゼフィルスの調整にも時間をかけてしまった。

 

「ふふ、兄さんもメルクも驚くだろうなぁ…」

 

セシリアは拡張領域に入れていた予備パーツのビットを一斉に、それも12基の一斉操作を見せていたが、私からすれば「ようやくその程度か」と言った感じだ。だがこの試合では、私はそれを遥かに凌駕してやる。それが私の全力なのだと思い知らせてやる。

「セシリア、同じBTシリーズを扱ってはいるが…格の違いをここで見せてやろう」

 

 

 

Kanzashi View

 

「…よし!」

 

気合は充分に入った。

このトーナメントは私が目標に近づく為のものでもある。

だから負けられなかった。負けたくなかった。

そしてこの試合では、とうとう一夏との対戦でもある。

一夏の剣に対しては、私の薙刀はいつも届かなかった。

そして一夏はどんどん先へと歩いていく。

私の目標よりもさらに先に存在する高みへと手を伸ばし、一歩ずつ歩いていく。

私もその歩くペースに合わせて歩いて行けるようになりたかった。だから…

 

「負けない…ううん…絶対に勝つ!」

 

一夏の試合はここまで全部映像で確認している。

絶影(たちかげ)流の剣技を幾つか繰り出していたけれど、蹴り技は使わなかった。

一夏は今回のトーナメントを自分の実力を試す為に参加していた。

その上で、対戦相手に自分の手の内の半分を使っていない。

この試合でもそれを貫いてくるのなら…

 

「勝てる要素は、ある!」

 

この準決勝までは私は切り札となる山嵐を一度も使っていない。

この試合で使う事になるかもしれない。

でも、切り札を使っていないのは一夏も知っているはず。

だったら、対処方法とかも考えている可能性だってある。

 

「距離さえ稼げれば…」

 

一夏は近接格闘戦闘を何より得意としている。

弓型武装である『六条氷華(りくじょうひょうか)』もそんなに命中率が高いとは言えない。

接近を避ける。それはマドカに頼る事になるかもしれない。

 

「もう、試合が始まる予定時間…!マドカ、行こう」

 

「ああ、必ず兄さん達に勝とう!」

私は打鉄 弐式(うちがね にしき)を、マドカは『サイレント・ゼフィルス』を展開する。

反対側のピット内でも、一夏とメルクが機体を展開し、飛び出してくるのが見えた。

それを視認し、私たちもピットから飛び立つ。

 

 

 

 

 

Ichika View

 

『準決勝第二試合!Aピットからは!

織斑マドカ選手と更識簪選手の入場!

Bピットからは!

織斑一夏選手とメルク・ハース選手が入場!

全ての機体が第三世代機という夢の組み合わせ!決勝戦へと進むのは、そのどちらか一方のチームのみ!』

今回も黛先輩のマイクパフォーマンスは絶好調…とは言い難いようだ。

とうとうネタがキレたらしく、紹介がシンプルになっている。

だが、会場の客席に座っている人の興奮を煽るかのように『第三世代機』というポイントを強調している。

実況としては優秀なんだが…パパラッチになりそうで将来が不安である。

 

『勝利するのは国家代表候補性の二人か!はたまた最新鋭機を駆る二人か!

さあ!試合開始ぃ!』

 

「さあ、行くぞ!」

 

俺とメルクは同時にスラスターを吹かせる。陣形は前もって決めていた通り。

俺は簪に、メルクはマドカを相手に立ち回る。双刀を抜刀し、簪の薙刀『夢現』と切り結ぶ。

 

「剣と薙刀で勝負したけど、私はいつも負けてばっかりだったよね」

 

「そう言えば、そうだったな。

それでも簪はいつも諦めずに立ち向かってきてたよな。

何度も、何度でも。

俺もそうだったからよく分かる、厳馬師範にはいつも派手に吹っ飛ばされてた。

一本初めてとった時のことは忘れてないぜ」

 

「でも、ISでの本気の勝負はこれが初めて、絶対に負けない!」

 

腰部付近にマウントされている荷電粒子砲『春雷』が俺の方向に向けられる。

まさかのゼロ距離砲撃、こういう時には…!

 

「ぜりゃぁっ!」

 

 

砲撃の一瞬前に砲門を蹴りで別方向に向ける。何とか回避。

だが、これが何度通じるか。

だが、これでいい。

間合いを詰めていれば簪も切り札である『山嵐』は使えない。

ゼロ距離でミサイルを放とうとすれば自爆になりかねない。

そうすれば俺諸共シールドエネルギーが大きく削られることになる。

そうなれば圧倒的不利になる…お互いに。

下手すればシールドエネルギーが根こそぎ吹っ飛ぶだろう。

間合いを詰められると簪は夢現と春雷でしか対応ができない。

それさえ理解しておけば…!対応はいくらでも可能だ!

 

「甘いよ一夏!春雷は…一つだけじゃない!」

 

今度は右腰から春雷が跳ね上がる。

それも知っているさ。

機体の組上げの時には俺も手伝っていたからな!

左手に握る雪華のレーザー刃を展開。

逆手に握った雪華で右腰の春雷を串刺しにした。

そんまま抉るようにして砲門の奥まで切り裂いていく。

雪華を振りぬいた直後、爆発が起き、春雷は一門が使用不可能になった。

 

「…後で修理を手伝ってもらうから」

 

「だよなぁ」

 

なんてぼやきながらも簪は夢現を振り回している。

簪は薙刀の熟練者だ。スピードも、適度に入れる力も、脅威になる。

そして夢現は先端がレーザー刃になっている。

その為、普通の薙刀とは違って刃の向きを返す必要もない。

薙刀の技術も合わさり本当に脅威だ。

 

「強い…本当に強いな、簪…」

 

双刀で切り結ぶにも、なかなかに難しくなった。

ふと俺は思い出していた。

いつも自信を持てずにくよくよしていた簪のことを。

楯無さんに比べられ続けていた日々、俺と接して、あの日の夕方以降は自信を少しずつ持つようになった。

今は、自分が自分であることを証明できるようになり、明るくなり、そして笑顔をいつも見せてくれるようになった。

それが嬉しいとさえ思っていた。

そして今は…自分の技量を如何なく発揮している。

俺は二刀流で、簪は薙刀で、この試合で全力を出し切っている。

 

「やあぁっ!」

 

「ぜぇりゃぁっ!」

 

ここまで使わなかった足技をも俺は織り込む。

夢現を双刀で切り結び、残る砲門を蹴りであらぬ方向に向けて躱す。

そして、一気に間合いを詰める!

 

ドガァッ!

 

「なっ…!?」

 

「ずっと、見てたから…一夏の技を!」

 

夢現を弾き飛ばす為に簪の腕部装甲を蹴ろうとしたが、それは同じように蹴りで防がれた。

スラスターを吹かせ、バク転のように体を反らせた。

機体の制動を正確にしてやらないと出来ないことだ。

 

「上等だ!本気で行くぞ!」

 

「私も本気で戦う!そして」

 

「「勝つ!」」

 

侮っていたのかもしれない。

だけど、それも此処までだ。

キン、と鍔鳴りの音。

雪華は腰部の鞘に納めた。

そして雪片を鞘に納め、その鞘ごと左手に持つ。

 

「全力での勝負だ、もう出し惜しみはしない」

 

集中する。ゆっくりと後退し、一定の距離でストップする。

息を整えろ

 

視線を反らすな

 

間合いを支配しろ

 

一瞬で切り伏せろ

 

全力で

 

最速で

 

光をも超える速さで

 

万物を断て!

 

「絶影流…奥伝!」

 

瞬時加速で一気に間合いを詰める。

単一仕様能力『零落白夜』を2秒だけ発動。雪片弐型の刀身がスライドしてレーザー刃が展開される。

青白い刃が金色に染まり、駆け抜けざまに打鉄弐型を前後から切り裂いた。

 

「『幻月 双鏡(げんげつ そうきょう)』」

 

一瞬、ただその刹那だけで終わった。

幻月 双華(げんげつ そうか)』を更に発展させた技だった。

駆け抜け様に横薙ぎに一閃。

続けて背後から逆袈裟斬り、そのまま袈裟斬りにしながら相手の全面に反転し、下段から刀を振り上げる。その四閃で、相手の正面から十文字に、背後からXを描く太刀筋だ。

俺がこの技を使うのは…簪、お前に敬意を払っているからだ。

お前は本当に強くなった。

でも、俺はさらに先を歩いていく。

おいていくつもりなんて無い。

簪が俺の背中を推してくれているのを確かに感じているんだ。

 

『打鉄弐式 シールドエネルギーエンプティー』

 

その放送が流れる。

これで簪はこの戦いで脱落だ。

 

「やっぱり、一夏は強いね、また負けちゃった」

 

「簪も強かったさ、本当に。

油断していれば負けていたのは俺だったさ」

 

本当に強くなったな、簪。

彼女の頭を無骨な手で撫でる。

そうすればまた笑顔を見せてくれた。

また、眩い程の微笑を。

俺も…ここで笑顔になれたら良かったのにな…それが残念でならない。

 

 

 

Kanzashi View

 

悔しいけれど、負けてしまった。

切り札である山嵐は結局使わず終い。

でも、不思議と後悔は無かった。

一夏の本気を垣間見た気がするから。

 

「悔しいな…一夏はどんどん強くなってるのに、私は…」

 

『簪も強かったさ、本当に。

油断していれば負けていたのは俺だったさ』

 

その言葉が本当に嬉しかった。

 

「次に戦う時は…負けないからね」

 

いつか、いつか一夏にリベンジしよう。

どれだけ時間が掛ったとしても、目標となる場所に辿り着けるように…。

 

私の…新しい目標が見つかった。

 

 

 

 

Ichika View

 

簪から離れ、今度はメルクと合流する。

やはりというか、メルクもマドカを相手に苦労をしているようだ。

だがマドカもテンペスタ・ミーティオのスピードに翻弄されており、射撃がまるであたらない。

偏向射撃は使っていないが6基のビットによる射撃で隙が少ないが、結局はどっちつかずの膠着状態が続いている。

 

「援護する。必ず勝つぞ」

 

「はい!」

 

六条氷華を展開、マドカを狙い撃つが、サイレント・ゼフィルスの高出力スラスターにとり回避される。

やっぱり、こんなもんだよな。だったら。

 

「ついてこい、メルク」

 

「了解です!」

 

「逃がさない!」

 

ビットに追われながらも俺とメルクは上空へと上昇していく。射撃が単調になってくる。

ほとんど真下からの射撃ばかりに

 

「撃ち抜け!」

 

体を上下反転、真下に向けて六条氷華を撃ち放った。

メルクも両手にレーザーライフルを握り、連射を始める。

いくつか爆発が見える…合計、5基のビットを撃墜した。

 

「流石兄さん!でも、これならどうだ!」

 

とうとう使ってきた、マドカの奥の手である『偏向射撃』。

スターブレイカー、そして残り1基のビットから放たれるレーザーが追尾してくるように捻じ曲がる。

セシリアには未だに出来ないらしいが、マドカはこれを自由自在に操る。

本当に厄介だ。

 

「セシリアの全力でのビット一斉操作は12基。

だが私が本気を出せば…それを遥かに凌駕する!

見せてやる!これが私の本気だ!」

 

拡張領域に入れていたであろう、予備のビットをすべて展開してきた。その数は驚愕の

 

「48基!?」

 

「…手加減無しにも程があるだろう…」

 

しかもその全てが独立した動きをしている。

直線的に動くビット。

ジグザグに動くビット。

曲線状に動くビット。

上下に激しく動くビット。

隊列を組んでいるかのように数基が固まって動くビット。

それらが通常射撃、偏向射撃とを切り替えながらのレーザーの驟雨を浴びせてくる。

しかもライフル『スターブレイカー』による射撃も織り交ぜながら。

だが、それだけではなかった。

 

「うお!?」

 

一発のレーザーが三つに分割(・・)した。

「今のを避けるんだ…」

 

分散射撃(スプリットシュート)』とか言う技術らしい。

一発のレーザーを幾つかに分離させるらしい。

威力は下がるが、『ピンポイントを狙う』通常射撃ではなく『面制圧』になる。

そして、幾つかのレーザーを束ねて撃つ技術も有るらしい。

 

「ぶっとべ!」

 

48基のビットから放たれたレーザーがマドカが構えるスターブレイカーの銃口近くに収束する。

引き金を引くと同時に大出力のレーザーカノンのような砲撃に早変わり。こちらは『収束射撃(バーストシュート)』と呼ばれる技術だ。

偏向射撃(フレキシブル)

分散射撃(スプリットシュート)

収束射撃(バーストシュート)

幾種もの射撃攻撃を自在にマドカは操っている。

 

俺が知る限りじゃ、千冬姉に並ぶIS搭乗者だろう。

間違いなく射撃分野での『部門受賞者(ヴァルキリー)』の称号も将来は得られるだろう。

だとしても、

 

「負けたくない!」

 

瞬時加速!

 

レーザーの雨を幾つもうけながら、俺はマドカのいる場所へと飛翔した。

接近戦に持ち込むのを確認したのか、マドカはナイフを抜刀する。

 

「接近戦だろうと、私は負けない!」

 

「接近戦は俺の十八番だ、そうそう簡単には勝ちは譲らないぞ」

 

残存シールドエネルギーは41%。

簪にも一度は『零落白夜』使っているから、再び使うとしても残るは一度が限界だ。

レーザー刃とて消費エネルギーの事を考慮しなければ…。

 

「く…っ!やっぱり兄さんは強い!」

 

「ナイフだけじゃ俺の刀は防ぎきれると思うな」

 

目の前居る俺に集中しているからか、ビットの驟雨が完全に途絶えた。

ならば、

 

「メルク!」

 

「はい!」

 

瞬時加速でメルクがマドカの背後に回り込む。そして

 

「なっ!何を!?」

 

「これが私の隠し弾です!」

 

サイレント・ゼフィルスの非固定浮遊部位である、大型スラスターを鷲掴みにして上空へと飛び立った。

マドカは振りほどこうとスラスターを吹かせているが、不可能だ。

鷲掴みにされただけじゃなかったんだからな。

 

「これが私の隠し弾、『アウル』です」

 

原理はシャルロットの操るパイルバンカーと似たような刺突型の武装『イーグル』が稼働し、サイレントゼフィルスの非固定浮遊部位を貫く。

ただし、シールドエネルギーを削るためじゃない。

『相手のスラスターを破壊』する為の武装。

加速能力はイタリアの専売特許だ。

自分自身を加速させるだけでなく、相手の機動力を奪うのもまた『世界最速』を轟かせる為の過程だろう。

 

そして脚部武装として搭載されている『アウル』。

この鉤爪型武装は『鹵獲』を想定した兵装だ。

相手の武装を奪い、高速離脱を行う。

正に世界最速レベルの機体に見合った兵装だ。

 

「この!は、離せぇっ!」

 

「いいえ、離しません!絶対に!」

 

「そういうわけだ、悪いな、マドカ」

 

はるか上空にまで舞い上がったメルクがサイレント・ゼフィルスを鷲掴みにして突き出すような姿勢で急降下してくる。

世界トップクラスの機動性を持つ機体『テンペスタ・ミーティオ』の名の如く、嵐をも貫く流星のように。

それを見上げながら、俺は雪片弐型と雪華を連結させ、六条氷華を展開する。

雪の華のように六条に開く弓を構える。照準はサイレント・ゼフィルスだ。

命中補佐は無しだ、今度こそ…当てる!

 

「『零落白夜』発動!」

 

青白く輝く弓と矢が金色に輝く。

雪の華が、今度は太陽のように眩く輝く。

弦を引き絞る、そして、弦から手を放す。

9本の零落白夜のエネルギー弾が撃ち出され

 

「うああああああぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!????」

 

すべて命中、サイレント・ゼフィルスのシールドエネルギーを削り取った。

 

『サイレント・ゼフィルス シールドエネルギーエンプティ

勝者 織斑一夏&メルク・ハース』

 

試合終了の瞬間だった。

マドカは…先程の射撃攻撃で完全に伸びてしまっていた。

機体が強制解除されているし、簪共々このまま抱えて帰ろう。

 

「簪、メルク、二人ともお疲れさん」

 

「一夏、決勝進出おめでとう」

 

決勝か…とうとう来てしまったな…なんでこうなった。

またもや現実逃避をしている俺だった。

こうなったらヤケクソでもいいから残せるだけの結果を残してしまおう。

玉砕だろうが惨敗だろうと構いはしない。

 

「一夏君、このまま優勝までいってしまいましょう!」

 

現実逃避なんてしている暇はなかった。

優勝か…何処から流布したのかもわからない噂を無かった事にする為にも、もう少しばかり頑張ろうか。

ふと気になったので、白式のシールドエネルギーを確認してみる。

 

「…危ねぇ…残り11%かよ…」

 

やっぱり零落白夜が使えるのは一戦につき最大二回だな。

それ以上はただの自滅攻撃だ。

使用する時間も控えておこう。

やっぱり白式はエネルギーの消費が大きい。

防御に関しては脆い。

速度と攻撃に特化の代償なのは理解しているが、当面の課題だな。

 

「長い付き合いになるな、白式」

 

そして黒翼天、お前もな…。

 




準決勝第二試合でした。
そしてマドカちゃんの本気も出してみました。
ビット48基の一斉操作に、幾種もの射撃を切り替えます。
もうこの娘もチートクラスですね。
きっと千冬さんも山田先生もセシリアも開いた口がふさがらないでしょう。
そんな千冬さんも見てみたいです。

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