IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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学年別タッグマッチトーナメントに至るまで50話近く。
これって多い方なのか、はたまた少ない方なのか…ちょっと疑問です。


双重奏 ~ 連携 ~

Ichika View

 

残る一週間、俺はメルクと訓練を続けた。寮に戻ってからも、他のメンバーを相手にする際の対抗策を一緒に考える。

俺達だけの戦術、俺達だけのフォーメーションを考え続けた。また、俺も一種の技術を教えることにした。

俺とて素人に近い身の上だというのに、誰かに何かを、しかもISでの事を教えるなど烏滸がましいのではなかろうか。

楯無さんにそんな風に苦情を出してみたものの。

 

「一夏君だって人に教えられることならあるでしょう?

た・と・え・ば。一夏君が開発した『絶影流』とか」

 

「『絶影流』ってなんですか?」

 

メルクも隣にいるわけだからバッチリ聞かれているわけだ。

ごまかしなんて出来そうにないな…。

 

「俺が普段から使っている流派の剣術だ」

 

「一夏君、嘘を言わないの」

 

言ってませんよ。とは言え、真実でもないのが確かなんだが。

 

「『絶影流』っていうのはね、一夏君が開発した格闘複合剣術なの。

この前のクラス対抗戦で鈴ちゃんを相手にして戦っていた時のことを覚えてるかしら?」

 

メルクの視線が少し上を向き、右手は口元へ。

考え事をしている時の癖だろうか?

 

「あ、思い出しました。

二刀流と、蹴り技を編みこんでいましたが、ソレですか?」

 

メルクの反応に俺は頷いて返す。

途端にメルクの目が輝きだす。

 

「新しい流派を作るなんて、凄いです…」

 

…罵倒されないだけまだマシだと思っておこう。

 

「メルクちゃんは近接格闘戦闘が射撃攻撃よりも苦手みたいだものね。

なので、一夏君は『絶影流』をメルクちゃんに教えてみなさい」

 

「よろしくお願いします!師匠!」

 

誰が師匠か。

 

だが、トーナメントまでは時間が無い。

簡単な技だけでも教えておけば良いだろう。

 

 

 

メルクは射撃よりも近接格闘戦闘が下手。俺とは正反対だ。

なので、その穴を埋めるために、俺がメルクに近接戦闘訓練を積んでやることになった。

 

「前々から思っていましたが、一夏君の近接格闘って面白い動きですよね」

 

「面白いとは心外だな、一から俺がすべて組み上げたものだぞ。

今でも修行はかかしていない、俺の我流剣術はまだ誰にも教えていないんだ。

いわばお前が弟子一号だぞ」

 

「はい!一番弟子です!」

 

…意味が違う。まあいい、教えておくことにしよう。

 

「それじゃあ近接格闘訓練を始めるとしようか。

まずはメルクが思うように斬りかかってこい」

 

「最速で…いきます!」

 

メルクが二刀流で攻撃を仕掛けてくる。

左右の攻撃の対比を見てみると…右手で振るう回数が多い。

速度に関しては…やはり俺よりも劣るか。

 

「今度はこちらから行くぞ、手加減して一刀だけだ」

 

「て、手加減してですか!?」

 

「驚いている場合じゃないぞ!」

 

雪華を鞘に戻し、雪片も鞘に戻す。

その鞘ごと腰から外し、左手に持つ。右手は雪片の柄から離さない。見ていろメルク。これが最速だ。

 

「はぁっ!」

 

「ひゃぁっ!?」

 

抜刀居合。今はあててはいない。ただ見せただけだ。

だがメルクはこの速さだけで驚愕している。

 

「今の、見えたか?」

 

「い、いえ、全然…」

 

最速というのなら、俺としてはこれくらいは要望しておきたい。ましてや二刀流は速さと手数だと俺は思っている。

連携を組むのに、相手に合わせる必要とてあるが、俺から見ればまだメルクの太刀筋は…及第点レベル。

 

 

「更に早くなるように訓練を積むぞ」

 

「了解です!」

 

「なら続けるぞ!」

 

「はい!」

 

俺からすれば初めての弟子だ。マドカは見様見真似で、俺の剣術を三種類会得している。

だが、今回のトーナメントではどんな相手と戦うかはわからない。

無理に、とは言わないが、メルクには俺のペースにも追いつけるくらいにはなってもらいたい。そして…できることならば、俺だけの剣術であった『絶影流』を叩き込んでおきたいのもまた事実だ。

いや、無理は禁物だ。

「だったら、そうだな…」

 

「一夏君?どうしました?」

 

「メルク、機体の緻密な操作には自信は有るか?」

 

「?」

 

簡単な技から教えておこう。絶影流『欠月』を。

 

「メルク、これから簡単な技を教える。

まずはそのブレード一振りで俺に攻撃してみろ」

 

「はい!いきます!」

 

メルクがレーザーブレードで斬りかかってくる。

横薙ぎに振るう回数が比較的多いのは癖なのかもしれない。続けて袈裟切りにブレードが振るわれる!

 

「そこ!」

 

その瞬間、俺は白式の足を振るう。狙ったのは、テンペスタ・ミーティオの手首、その内側だ。

 

「!?」

 

続けて機体を逆方向に旋回させる。今度は手首の外側を狙っての回し蹴り。

その衝撃により、メルクのてからブレードが落ち、下の地面に落ちた。

 

「い、今のは…!?」

 

「俺が伝授する最初の技術だ。機体の緻密な動きに自信があるのなら、やって見せてくれ」

 

「あ、アレをですか!?」

 

「テンペスタの機動性なら出来るだろう、期待してるぞ」

 

「が、頑張ります!」

 

それから今度は機体の緻密な動きについての訓練を繰り返す。

機体を旋回させ、今度は反対方向への急旋回。その際に相手に蹴りを叩き込む。それだけの技術なのだが…。

 

「こんな急旋回、一夏君はいつもやっているんですか?」

 

「楯無先輩とやりあうにはこれくらいは必要なんだ。それでもまだ勝てないからな…」

 

あの人は本当に学園所属生徒最強なのは間違いない。俺の目標とする高見にたどり着くには、まずはあの人も越えなければならない。俺が歩む道のりはまだ遠いな。

 

「もう一度お願いします!」

 

「ああ」

 

メルクも熱心だ。例の噂に揺さぶられることもなく、今は目の前の目標に向けて一直線になっているんだろう。

こういう生徒ばかりになってくれたらいいんだが。

 

「だいぶ速くなってきたな」

 

「特訓は常に反復練習ですから…はぁ…はぁ…トーナメントまで時間がありません、休んでなんていられません!」

 

旋回させてから、反対方向への急旋回。その反復練習により、メキメキと実力をつけていく。二時間続けていればその速度は俺に近づいてきている。

こいつ…成長速度が凄いな…。

 

「なら、もう一度だ」

 

「はい!」

 

今度は俺を実験台にしての練習。そのまま幾度か繰り返している間に

 

ガッ!ドガァッ!

 

鈍い音がしてメルクの蹴りが叩き込まれ、雪片が落ちる。

 

「で、出来ました…」

 

「今の感覚、覚えておけよ。

これは俺が振るう格闘複合剣術の基礎に近いからな」

 

「い、今のが基礎ですか!?

い、いえいえ、これからも頑張りますよ!」

 

あくまで泣き言は言わないか。見事な奴だ。

そのまま俺は絶影流の剣術を叩き込む。蹴り技も然り。

それらをいろいろと教えた先で、俺とメルクの模擬戦と相成った。

ただ、お互いに制限がある。メルクには俺の欠点を教えたうえで、だ。

飛び道具は今回お互いに使わない。その制限だ。

 

「参ります!」

 

「来い!」

 

メルクがレーザーブレードを両手に構えて突っ込んでくる。

俺もまた双刀を両手に握り、突っ込む。

 

「やぁっ!」

 

「むんっ!」

 

がぎぃっ!

 

火花を散らしながら互いのブレードがぶつかりあう。

なかなかの速さにまで成長している。

俺が教えたままの速さだ。見事だ。

 

「まだまだいきます!」

 

続けて蹴りが繰り出される。俺はそれを雪片の峰で受け止める。

更に三段蹴り、それは後退して回避。かと思えば今度は瞬時加速で突っ込んでくる。

 

「穿月!」

 

「浅い!」

 

ブレードを受け流す。

 

「填月ぃっ!」

 

追撃の一閃、それに対しては…白式を急降下させて回避する。

 

「今度はこっちからいくぞ!」

 

「やあぁぁっっ!」

 

正直に言うと、メルクの成長速度を侮っていた。メルクは順応性が高い、現状の環境に慣れてしまう迄の時間がとても短い。『習うより慣れろ』とはよく言ったものだ。

 

 

 

そして特訓の最後のほうでは

 

「あ、あんな技を隠していたんですか!?」

 

「今まで見せてなかっただけだ。まだ教えるには早いからな」

 

メルクの欠点は、近接戦闘が若干苦手な点だ。

その分、俺の剣技を教えてもスタミナが長くはもたない。しめて15分だろう。

だがトーナメントの試合の一試合の時間制限は30分だ。

なので、奥の手であるこの技を教えるにはまだ早い。

 

「それと、俺が剣術を教えたからと言って、そればかりに頼るなよ。

あくまでメルク自身だけの戦い方だって存在するんだ、それを忘れるな」

 

「了解です!

テンペスタ・ミーティオは世界最速レベルのISですから!

一夏君と一緒に学んだ『瞬時加速(イグニッションブースト)』『連装瞬時加速(リボルバーイグニッションブースト)』『後退加速(バックイグニッション)』『二重瞬時加速(デュアルイグニッションブースト)』等の高機動を織り込んだ独自の戦法も併用していきます!

それと、中距離、遠距離射撃攻撃は一夏君よりも私の方が腕は上ですから」

 

余計なことは言わなくていい。

俺が射撃が苦手なのは俺自身が一番自覚しているんだ。

しかし、だ。

この特訓の中で俺の奥の手をメルクに見せてしまった。

ソレをメルクが真似られるかはわからないが…深く考えすぎだろうか…?

 

「これからも期待してるぞメルク、トーナメントは極力勝ち抜くぞ。

目標としては上位入賞だ」

 

「いえいえ!目標は高い方が良いです。

上位入賞だけでなく、目指せ!優勝!です!」

 

その心意気だけは見事なんだがな。

空回りしないでほしいものだ。

 

 

 

 

Tatenashi View

 

「ふ~ん…アレが一夏君の奥の手…」

 

メルクちゃんは反応しきれていなかった。

ましてや私もあの技を見せてもらったことは無かった。

私を相手にしても決して見せなかった技術をこんな所で見せるだなんてね…。メルクちゃんにも負けないくらいのやる気が溢れているんじゃないのかしら。

ちょっと安心した。

クラス対抗戦の後『人間じゃなくなった』なんて言いながら自分を追いつめていた彼にも、まだ熱い思いが…感情が残っている。

 

「…一夏君、間違えないで」

 

あなたは人間よ

他のみんなと何も変わらない、一人の人間よ

だから…もう自分を追い込むのは辞めなさい…!

 

「おっと、私の仕事も忘れないようにしなきゃね」

 

アリーナの端から見ていたけれど、私もミステリアス・レイディを展開させる。

 

「それじゃあ、今度はお姉さんが相手をしてあげるわ。

メルクちゃんは近接格闘で、一夏君は射撃攻撃で…かかってきなさい!」

 

蒼流旋を展開、さっそく構える。

この二人は私に特訓を依頼してきたんだもの。

苦手分野はキッチリと埋めてもらうわよ。

それと、個人的にもたっぷりと可愛がってあげないとね。

 

「いきます!」

 

「参ります!」

さあ、かかってらっしゃい!

残る一週間、鍛えてあげるわよ!

 

 

 

 

Ichika View

 

整備課にも頻繁に通い、それぞれの機体も調整を繰り返す。白式の問題はエネルギーの分配率。

単一仕様能力である『零落白夜』とて、当たらなければ意味が無い。それも自分のシールドエネルギーまで削っているんだ、『背水の陣』に成り兼ねない両刃の剣だ。

 

「こんなものですね」

 

「ああ、これだけ考えれば充分だな。

白式のエネルギー分配率も調整は終わり、欠点である燃費の悪さも随分と良くなった。初期と比べて20%良好だからな。

よし、明日から頑張ろうぜ」

 

「はい!」

 

そうだ。明日からはトーナメントだ。俺は優勝を目指してはいるが、他の人に比べればまだまだだ。

勝てればそれで良し、その際のリザルトから学ぶ。

敗北してもそれで良し、また学べる事が多い筈だ。

 

「それと一夏君、女子生徒…というか一夏君以外の人の間で噂が流れているんですが…」

 

ああ、何やら噂が流れているようだが、その噂の内容を俺は全く知らないな。

周囲の女子に尋ねてみても、そそくさと逃げられてしまうばかりで訊き出せない。

 

「噂では、トーナメントに優勝したら、一夏君と交際出来ると噂が起っているんですが…」

 

なんだそりゃ?なんでそんな噂が流れているんだ、色々とツッコミ所が多過ぎるだろう。

 

1.学年別だから、優勝者は複数居る事になる。

2.俺の了承が無い

3.人を優勝賞品にするのは人権侵害

4.俺が優勝した場合はどうなる?

そして

 

5.俺は既に簪と交際をしている。

 

交際期間は二年以上も続いている。

 

噂の出所は何処なんだか。

 

「メルク、まさかとは思うがお前も…」

 

「い、いえ!私は信じてませんから!

もし、そうなったら嬉しいのは確かですけど、お兄さんが居たらこんな感じかなぁ…なんて思ったこともありますが、そもそも交際の件に関しては一夏君の了承が無い場合は失礼ですし…」

 

一部妙な話が出てきていたがスルーする。

まあ、メルクは簪と仲が良いし、問題は無いとは思うが…伝えておこうか。

 

「口は固い方か?」

 

「へ?あ、はい。自分ではそう思ってます」

 

そうか、なら伝えても問題は無いな。

メルクの耳元に口を寄せ、静かに囁いた。

 

「これはオフレコで頼みたいんだが…俺は今、フリーじゃないんだ」

 

「…………えぇぇっ!?」

 

微妙な反応だった。

 

 

「まあ、そういう訳だ」

 

「だ、誰となんですか!?

誰となんですか!?」

 

「簪とだよ、二年はこの関係が続いてる。

じゃあ、この件に関しては口外厳禁だからな」

 

「はい!この事は誰にも言いません!」

 

なお、この会話は囁き声で行われているから、それこそ誰かに聞かれている心配は無い。

 

これにて味方が一人は増えたのだと思おう。

 

「あの…一夏君と簪さんとの交際を知っている人ってどれだけ居るんですか?」

 

俺と簪の関係を知っている人物か…その人達にも口止めを頼んでいるから、広まってはいないと思うが…。

 

「当事者の俺と簪、他にはお互いの家族だな」

 

「マドカちゃんと織斑先生、楯無先輩ですか」

 

他には…

 

「鈴、ラウラ、のほほんさん(布仏 本音)、そのお姉さんである(うつほ)さんもだな」

 

「結構居るんですね…」

 

とは言え、例外無く口止めを頼み、それぞれ了解を得ている。

まあ、他にも学園の外にも居るわけなんだが。弾とか蘭に数馬とかもその中の人物だ。

 

「恋人が居るってなんだか簪さんが羨ましいです」

 

「念には念を入れて言っておくが」

 

「決して口外したりしないのでご安心を!約束は必ず守ります!」

 

今のメルクなら信用…いや、信頼しても大丈夫そうだ。

信じていよう、メルクが俺を信じてくれているように。

 

 

 

 

 

 

 

メルクが部屋から出て行った後、俺はベッドに腰掛けた。そして…

ゆっくりと、左手を突き出す。

左手首に右手を添えた。この左手に埋め込まれた黒翼天を展開するつもりは無い。

ただ、識ろうとしているだけだ。

あの日、クラス対抗戦で己の意思だけで展開し、狂乱の限りを尽くしたあの漆黒の雷龍。

映像を幾度か確認させてもらったが、観客席には被害を出さなかった。

あの機体には意思がある。それも、人間に限りなく近いソレが。

だから俺はそれを知りたい。

 

「応えてくれ…」

 

目を閉じ、意識を左手に集中する。

 

深く…深く…深く…さらに深く…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……失せろ……!』

 

「…っ!?」

 

微かに声が聞こえた…気がした。だが、そこには明らかなまでの拒絶、そして怒りが含まれていた。…もう一度同じように左手に意識を集中してみるが、今度は微かな声も聞こえなかった。

…明らかな拒絶、だが俺はそれでも応じたい。

 

「頼む、応えてくれ…何故拒絶するんだ…!」

 

再度意識を左手に集中させる。先ほどよりもさらに深く、もっとだ、もっと深く…!

応えてくれ…俺はお前の本質を識りたいんだ…!

 

風景が見えた。俺が見たことのある物では無い。

雷雲の中に居るかのようだ。

 

『俺がお前を拒絶する理由を識りたい、だと…?』

 

声が聞こえた。先程よりも明確に

 

『それはお前の中に在る。これ以上は応える気はない』

 

俺の中に…?

 

「どういう意味なんだ?」

 

『お前が見つけ出せ、ここから先はお前の領分だ』

 

それを最後に声は聞こえなくなった。

意識も現実のほうへと戻る。

左手に視線を移す。今はまだ黒いオープンフィンガーグローブに隠している。

その下、確かに存在する筈の十字架。

正体不明の存在としているが、決して分かり合えない存在ではない。

今となってはそう思う。

黒翼天は何らかの意思で自身を展開しているのだろう。

そして、その理由は俺の中に在る。

 

「…俺の中、か…」

 

考えてみるとしよう。

黒翼天から仰せつかった課題だ。

 

「どれだけの付き合いになるか分からないが、よろしく頼むぜ、相棒」

 

気に入らない、とでも言いたげかもしれないが構うものか。

白式が相棒なら、お前だっていつの日かは『相棒』と呼んでやりたいんだ。

 

俺の中、そう言われて思い浮かべるのは何だろうか?

ならば何だ?

 

近くに立てかけてある『ダブル』を見てみる。

こいつもまた俺の『相棒』だ。

俺がこいつを振るう理由とは何だ?

…家族を守るためだ。大切な人達を守るためだ。あの高みに辿り着き、そして越える為だ。

その為の刃、その為の『絶影流』だ。

例え醜くても良い、悪あがきと罵られても構わない。

俺は…ただ、この道を突き進むだけだ。

だが、あの高みを越えたその時には何がある…?

なにも残されていなければどうする?

空虚しか残っていなければどうする?

いや、何かがあると信じよう。そうでなければ進む意味がない。

今の俺が失われてしまう。

歩み続けることが出来なくなってしまえば、俺は俺でいられなくなる。

俺が人間でいられなくなる。

 

俺は人間でいたい。

 

今でこそギリギリ人間なんだ。元の平凡な人として在りたい。

 

「…もう少し、考えてみるか」

 

結局答えを見つけ出せず、俺は刀とナイフ(ダブル)を握り、それを振るう。

俺にはこれ位しか無い。ただ、俺の剣を振るうしか無い。

明日からのトーナメントだって同じだ。ただ、メルクと合わせて俺の剣を振るうだけだ。

 




おはようございます。レインスカイです。
学年別タッグマッチトーナメント直前です。
次回からは熱い対戦を描いていければと思います。
そして黛先輩のマイクパフォーマンスにもご期待ください!
では、次はお昼の投稿にて!

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