IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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ラウラ「ずっと私のターン!」

と言わせてみたかった…が、できませんでした


双重奏 ~ 双剣 ~

Laura View

 

大上段から振るわれるブレード。

だが、兄上の太刀筋に比べるまでもない。

雑だ、美しくない、そしてはるかに遅い。

 

「…ふん…」

 

半歩横へ

 

ガシャアァァンッ!

 

ブレードが地面に衝突する。

PICは一応使えているようだ。だが、刃を返すまでの動きが遅すぎる。

 

「はぁっ!」

 

レーゲンの手を拳に変える。

その拳を篠ノ之の脇腹めがけて叩きつける。

 

「がぁっ!?」

 

シールドに阻まれるが、その衝撃は貫通する。

この一撃だけで4メートル吹き飛び、不様転倒する。

呆気ない、そして弱い。

我がシュヴァルツェア・ハーゼと比べても遥かに格下だ。

 

「この程度で剣道全国大会優勝?

笑わせる。おおかた不戦勝だけで上り詰めただけではないのか?」

 

「そんなわけ…あるかぁ!」

 

再度突っ込んでくる。どうやら怒りに我を忘れているようだ。

太刀筋は見えてしまっている。回避は容易だ。IS搭乗者としての技量は素人レベルだろう。

国家代表生にも、国家代表候補生にも及ばない、ただの素人だ。

ブレードを闇雲に振り回しているだけに過ぎない。ただの児戯だ。

レーゲンの武装を扱うまでもない!

 

横薙ぎに、逆袈裟、大上段、袈裟、縦横無尽にブレードを振り回し続ける。

だが、そのいずれもが私に触れることすら叶わない。レーゲンは第三世代機の中でも、やや鈍重な部類に入る。

現状、私は機体に更なるリミッターを施している。

稼働率35%相当にまでダウンしているであろう。なのに、その状態でも攻撃を回避するのが容易だ。

 

「弱い」

 

「ただ逃げているだけの奴が何を言う!」

 

「回避と逃亡の違いも判らない輩に言われたくもないな」

 

「貴様ぁっ!」

 

「そら!隙だらけだっ!」

 

今度は左の拳を叩き込む!

 

「ぐっ…!」

 

やはり素人、この学園での訓練機の貸し出しには制限があるが、それすら有効活用していなかったようだな。

あまりにも弱すぎる。

 

続けてブレードを振るってくるが、もはや太刀筋は出鱈目だ。

あまりにもくだらない。

こんな輩が…こんな輩が兄上に害をなそうなど…赦すものかぁっ!!

 

 

Ichika View

 

雪片と雪華を連結し、六条氷華を展開する。狙うのは、空中に展開される仮想ターゲット。

そこを狙い、放つ。

エネルギーの弾丸が飛び、的を撃ち抜く。ターゲットを狙って撃ったが、やはりまだ狙いが甘い。まだ弾道にブレがある。

 

「調整してみるね」

 

「頼む、プログラム云々に関しては俺はまだ苦手だからな」

 

俺の六条氷華は『射撃』ではなく『射出』に近いんじゃなかろうか。実際に弓に比べれば矢が失速することも無ければ、射線がブレる事も少ないんだが…原因は俺だな。

俺は重度の『銃器恐怖症』だ。『撃つ』という行為にすら怯えているのかもしれない。

 

「一夏、もう一度試してみて」

 

「分かった」

 

六条氷華を構える。もう一度仮想ターゲットを狙う。ISを動かすのには操縦技術だけではなく、イメージ力も大事だ。

イメージしろ、真っ直ぐに矢が飛んでいく刹那を。

思い描け、的を居抜く瞬間を

 

「…ふぅ…」

 

イメージを限界にまで描き、ターゲットに視線を向ける。

六条氷華は弓だ、矢を摘み、弓弦を引き絞り…視線を真っ直ぐに見る。

そして…矢から指を離す。

9本の矢が放たれ…仮想ターゲットを一斉同時に撃ち抜いた。

 

「一夏のISって変わってるよね…銃じゃなくて『弓』が搭載されてるなんて。

色んなISのカタログを見たけど、弓を装備した機体は他には無かったよ」

 

「俺だけじゃなくて、機体もイレギュラーなのかもしれないな」

 

シャルルの言葉に自嘲するように言ってみるが、これはただの自虐だった。

一方のシャルルの機体を見せてもらったが、白式と違って、凄まじい量の武器を搭載している。銃器が目立つが、その数、大よそ20程。まあ、ブレードも搭載されているらしいが…すげぇ数だな、さながら飛行する武器庫だ。

そして…これを俺に見せたのは間違いだったかもな。疑う隙が出てきた。

 

「これ凄い機体なんだな、デュノア社がここまで専用機にカスタマイズをしたのか?

ラファール・リヴァイヴなら学園に配備されているのも見たが、此処まで機動性は高くはなかったぞ?」

 

「僕も自分の手でいろいろとカスタマイズを加えてみたんだ」

 

「へぇ…『自分の手で』ね」

 

怪しかった。俺が全世界唯一のイレギュラーと世間に公表されてから長い時間が経っている。そして今になって『二人目のイレギュラー』の登場だ。

本当に男性IS搭乗者なら、隠し立てする理由は無い。

『天才』と言われる人間を俺は知っている。だが、目の前の少年らしき人物がそれには見えなかったのも確かな話かもしれない。機体をここまでカスタマイズ出来る、ということは、長い時間この機体に触れていたから。隠していた理由は…俺との接触と予想していたが、十中八九間違いなさそうだ。

 

「なら次は飛行しながら狙い撃ってみなさい!仮想ターゲットも動かしちゃうわよ!」

 

「やってみます」

 

白式で空に飛び立つ。仮想ターゲットが空中に投影される。六条氷華を構え…

 

「一夏君!高速飛行を行いながらやってみなさい!」

 

「マジですか…」

 

言われるがままにスラスターを吹かせ、高速飛行を開始させる。

仮想ターゲットはそれぞれ上下左右に動いている。狙いにくいことこの上ない。

だが、これは俺の欠点でもある。ISの戦闘は常に動きながら行われる。

なら、それに順応しろ!全ての的を居抜くイメージを!

 

 

それからも六条氷華での射撃訓練を繰り返す。

俺は射撃攻撃が苦手だ。

『撃つ側』としても『撃たれる側』としてもだ。

システムアシストをOFFの状態にしての命中率は…60%前後。

高機動状態での命中率は50%にも届かないだろう。マドカを見習うべきだろうな。

メルクは順応性が高いのか、牽制射撃も含めてターゲットを次々に撃ちぬいている。

流石に自信がなくなってくる。いや、特訓を続けよう。

 

再度双刀を連結させ、六条氷華を展開させる。

この武装の欠点は、連射が出来ない、攻撃は常に真正面のみ、エネルギー消費性など、いくつもある。

だからこそ、狙うのは一撃必殺ができるタイミングだ。

それも零距離か、相手が動けない状態で、だ。

マドカのように『偏向射撃(フレキシブル)』が出来れば良いんだが、あいにく俺にはその才が無い。

なおで、正確に狙い撃つしか手段は無い。

大出力カノンのような反動の心配性は無いのだから、ひたすら命中率を向上させるしかない。

 

「次はこのターゲットを狙い撃ってみなさい!」

 

「…遠…」

 

ターゲットまで50mだ。システムアシスト無しでは…たぶん、無理。

などと言っていられない。俺には二刀流、と蹴り、そしてこの弓しか無い。泣き言など言っていられない。

 

「いきます」

 

一度、深呼吸をする。

六条氷華を構え、ターゲットの視線を移す。

角度をわずかに修正、まだだ、あと少し、よし、そこ!

 

9本の矢が並んで飛んでいき、ターゲットを穴だらけにする。

だが、まだ万全ではない。

 

「さてと、時間もそろそろ来てるし、今日はここまでにしておきましょうか♪」

 

「もう、そんな時間ですか」

 

アリーナの空中ディスプレイを見てみると…18:45の標示…よし、また全力疾走だなコレは。

 

「いくぞシャルル」

 

「え!?ちょ、またぁ!?ひああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

今朝と同様に全力疾走with怪しい転入生の構図。周囲から見たらどんな光景に見えているのだろうか…。珍光景だなと納得した。

『全力で駆け抜けた青春』、言葉にすれば良い響きかもしれないが、物理的にやっていれば、それはただの珍光景でしかない。そして俺はその光景のド真ん中に居るわけで…鬱になりそうだ…なりかけてるが…。

 

 

 

 

Laura View

 

「ふん、こんなものか」

 

目の前には無様に膝立ちになっている篠ノ之 箒の姿があった。これが日本の剣道全国大会優勝者だと?弱過ぎる、こんな奴が兄上に纏わりついているなど許容出来るものか。

こんな奴が…兄上から感情を奪ったなど…

 

「許すものかぁっ!」

 

スラスター全開!その速度を保たせたまま、全力で足を振るう!

 

「吹き飛べ!」

 

「あぐぁ…!?」

 

蹴りはシールドと絶対防御に阻まれ、体に損傷を与えたとしても制限される。だが、衝撃ともなれば話は別だ。

蹴りの衝撃により篠ノ之 箒が吹き飛ばされ

 

ガシャアァァァァァンッッ!!

 

アリーナの端にまで転がっていった。もう動けないだろう。

奴の目の前に『戦闘続行不可能』の標示がされているの私にも見えた。

 

『篠ノ之 箒 意識消失

勝者 ラウラ・ボーデヴィッヒ』

 

そのアナウンスが入るよりも前に私はあの女に背を向けてグラウンドの出入り口に向けて機体を進めていた。

少しはスッキリしたような気分だ。

そういえば兄上は何処で訓練をしているのだろうか。

…しまった、聞いておけばよかったな…。

鈴に聞けば部屋くらいは分かるかもしれないな。

 

「ラウラ、お疲れ」

 

「造作もない、稼働率は35%に設定してこれだ」

 

「そんなに低くしてたのアンタ!?」

 

私は軍人だ、ルーキーを相手にする時の方法等も把握している。

それに武装を使わず、尚且つノーダメージだ。シールドエネルギーも全く減っていない。

 

「そういえば…近いうちに学年別個人トーナメントが開催されるけど、ラウラは参加する?」

 

「ふむ、面白そうな話ではあるな。この学園の生徒たちのレベルを見てみるのも一つの務めか。

実力が不足していれば私の手で鍛えてやるのも…」

 

「堅苦しく考え過ぎよ」

 

む、そうだろうか…兄上は参加するだろうか…尋ねてみよう。

 

「鈴、兄上の部屋が何処か知らないか?」

 

 

 

 

Houki View

 

「くそぉっ!」

 

負けた…あそこまで侮辱されながら…私は勝てなかった…!何故だ…!

あんな…あんな小柄な女にも勝てないのか…私は…!

セシリア・オルコットに、妹を名乗るマドカとか言う奴、それに一夏にいつも纏わりついている眼鏡の女、私以外に幼馴染を名乗る鈴、そして今回いきなりつっかかってきた転入生…。

一夏の周りには専用機を持つ女ばかりが集まっている。

あんな連中と付き合っていると落ちぶれてしまうのに、何故一夏は分からないんだ!

あんな連中と一緒に居るから、一夏は変わってしまったんだ!

 

「そうだ!全部!全部あいつらが悪いんだ!」

 

私が一夏をまっとうな人間にしてやらないといけないんだ!

その為には…私には奴らを打倒できる力が必要だ…今度の学年別個人トーナメントで私の力を見せつければ…。

 

それができれば、あいつらとは縁切りをさせることも出来る。そうすれば、一夏だって私と一緒に居てくれるはずだ。そうだ…あの頃のようにまた私だけを見てくれるんだ…!

 

 

 

Ichika View

 

俺は簪とマドカ、そしてシャルルを伴って寮の部屋へと戻ってきていた。

マドカは今日アリーナに来ていなかったようだが、山田先生に頼まれごとを受けていたらしい。

本来はクラス代表の俺が務めることになる仕事だが、俺が窓から飛び出していき、言いそびれてしまったらしい。

そこで、まだ教室に残っていたマドカに白羽の矢が立ったというわけだ。

なので妹は現在進行形でご機嫌斜めだ。

 

「ほい、マドカ、お茶が入ったぞ」

 

「ありがとう、兄さん」

 

ちょっと言葉にとげを感じる…が、それもそこまでだった。お茶を飲むと表情が和んでいく。まったりとくつろいでいる。のほほんさん顔負けレベルなまでに。

 

「簪とシャルルもな」

 

「ありがとう一夏」

 

「これが日本のお茶なんだねぇ」

 

こちらの二人もご満悦だ。

俺も改めてお茶を飲んでみる。うん、いい味が出ている。

なお、湯呑みに関しては篠ノ之が弁償するつもりもないようだったので、新しいものを購入した。チクショウ、無駄な出費だった。

 

「シャルルは窓際のベッドを使ってくれ」

「うん、分かった」

 

「荷解きを手伝おうか?」

 

「そ、それは自分でやるよ!」

 

動揺し過ぎだ。簪もマドカも疑いの目を向けているぞ。…いや、俺にまでその視線を向けないでくれ二人とも、俺は悪くない。それにシャルルのことは最初から疑っているんだからな。

 

「い、一夏…その刀はどうするのかな…?」

 

シャルルは若干の脂汗を流しながら俺の『ダブル』を見てくる。そこまで恐れるようなものか?俺には『恐怖』なんて感情が無いから分からんが…。

 

「いつもおいてある場所に置いておくだけだ。先に言っておくけど、コイツにはあんまり触らないでくれ。コイツを触られるのはあまり好きじゃないし、盗もうとした馬鹿が最近居たんだ。

相応の対処はさせてもらったけどな」

 

『停学』という形ではあったがな

 

「そ、そうなんだ、触らないでおくよ」

 

で、それから始める事と言えば

 

「さてと、データをまとめるか」

 

訓練をした場合、俺はその内容を忘れないようにデータをまとめていた。とはいえ、簡単なレポートに仕上げているだけだが。お茶を片手にレポートをまとめる。ああ、お茶が美味しい。

 

「兄さん、お客さんが来たみたいだ」

 

「うん?誰だ?」

 

「お邪魔するわよ~♪」

 

「兄上、失礼する」

 

マドカが開いたドアの向こう側から姿を見せたのは、鈴とラウラだった。

 

「どうしたんだ、二人とも」

 

「ラウラが用が有るからってさ。

あたしは案内よ」

 

用が有るのはラウラだったのか。

 

「それで、どうしたんだラウラ」

 

「うむ、同じクラスの『篠ノ之』という奴なんだが」

 

室内の気温が一気に下がった…気がした。シャルルだけが空気を読めずにうろたえている。

 

「…マズい話題に触れてしまったか…」

 

「多分、な。で、どうした」

 

「兄上にやたらと固執しているようなのだが…」

 

その辺の事情は知らないよな。話しておくべきか。さて、困ったもんだな。

 

「箝口令が敷かれている部位は避けて話すとしても…ちょっと長ったらしくなるぞ」

 

「う、うむ」

 

床に正座して話を聞く気満々のラウラに、面倒な話をする事になった。

それからラウラの表情が変化していく。

真面目→驚愕→呆れ→怒り

 

この順番だ。

なお、簪との関係だが、ラウラは文通を通して知っているので省略する。

 

「そんな事が有ったのか」

 

「で、発作の影響とは思うんだが…俺は感情を失った」

 

我を失うような熱い怒りも、時には冷たいそれも無い。

涙を流すような悲しみも失った。

何かを与えられた時に感じる嬉しさも消え失せた。

激情に心を焦がす事も無い。

誰かと共に時を過ごす楽しみも感じられない。

俺の胸の内に有るのは…簪や家族への思いだけなのかもしれない。

 

「此処に居るのは…感情を失った人間だ」

 

「兄上…」

 

「それに…」

 

本当は気付いている。残っている僅かな感情すら、俺は徐々に失われているのを…。

 

「それに…何なの、一夏?」

 

「いや、何でもない。

それよりもだ、時間も頃合いだし食堂へ行こう。

俺は立ち食いはお断りだ」

 

残ったお茶を一気に飲み込み、パソコンの電源を落とす。

 

「じゃあ行こう!」

 

簪が俺の右腕に

 

「兄さんの隣は私だ!」

 

マドカは俺の左腕に

 

「じゃあ、あたしは此処!」

 

鈴は肩車。

周囲から見ればどんな光景に見えるのやら。…珍光景だな、間違いない。

その中心には俺が。…鬱になりそうだ…。

誰かに見付からなければいいんだが…

 

「一夏さ~ん、一緒に夕食を…」

 

部屋を出た直後にセシリアに発見された。…さて、どう言ったものやら。

 

「…何をしてますの?」

 

「俺が訊きたいくらいだ」

 

簪とマドカは日常だから俺としては見慣れている。更にそこに鈴の肩車ときた。何をやっているんだ、俺は…。

そしてラウラ、何故お前まで羨望を込めた眼差しを鈴に向けている。空いてる場所はもう無いぞ。

 

「鈴、交代してくれ」

 

あろうことか、ラウラまで本音をさらけ出した。ラウラくらいなら肩車は出来るだろうけどさ…。

 

「だそうだ、ラウラと交代してやってくれ」

 

「はいはい、仕方ないわね」

 

鈴が肩から飛び降り、続けてラウラが攀じ登る。「これはいい景色だ」などと呟くラウラ。

 

「大勢の子供を連れた父親みたいですわね」

 

セシリアから見れば、この光景はそんな風に見えるらしい。

15歳で父親か…いや、有り得ないだろうな。

 

「あははは!言われてみればその通りだよ!」

 

「シャルル、お前の場合は他人事じゃないぞ。もしかしたらシャルルも、10年後には父親になって、こうなってるかもしれないぞ」

 

「そう、かな…どうだろう…僕なんか…」

 

シャルルの目が若干、暗くなるのを横目に、俺達は食堂に向かった。

肩車を交代しながら、だったが。俺は遊具じゃないんだぞ…。

 

 

 

翌朝、俺は相変わらず早朝から楯無さんを相手に訓練を続けていた。今日は朝からISの特訓だ。テンペスタ・ミーティオを与えられたメルクも同行している。

訓練内容としては、白式とテンペスタの二機での高速戦闘だ。

学園トップクラスの速度を誇るこの二機であれば、本気を出せばどんな相手でも闘えるとか。認識不可、対応不可の速度は一種の無敵のシールドだ。

それを使いこなせるように、俺とメルクはそれぞれの機体の最速を使いこなせるように訓練を続けた。

更に最高速度からの『瞬時加速(イグニッションブースト)』『後退加速(バックイグニッション)』『連装瞬時加速(リボルバーグニッションブースト)』も含める。

 

「こんの…!」

 

『瞬時加速』の途中にマニュアル操作にて調整する。サブスラスターを別方向に向け、メインスラスターをストップさせ、サブスラスターを最大出力。メインスラスターを一瞬だけ逆方向に吹かせ、前方への推力を完全に相殺。サブスラスターの出力により、真上へと上昇する。

瞬間的な操作を連続で行う為、かなり複雑だ。だが、これで『瞬時加速』途中からの別方向への『瞬時加速』が可能になる。今後、この操作にも慣れるようにしよう。

 

「一夏君、凄いです」

 

「まだまだだ、俺は未熟者だ。さあ、訓練を続けよう」

 

雪片弐型と雪華を構える。メルクはレーザーブレードを両手に構えている。お互いに二刀流らしい。

 

「…最速で…いきます!」

 

「…ああ、こっちもだ!」

 

メルクは時折、左手のレーザーブレードを逆手に持ち変える時がある。

…アレを教えてみるべきだろうか。心の中でそんな風につぶやいた。

 




ラウラとモッピーの大ゲンカでした。
勝敗は…予想出来ていますよね。
そしてメルクも本格的に特訓開始です。
それではまた後日にお会いしましょう!

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