IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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都合がついたので今日も複数話投稿します


対射撃攻撃訓練

 

Ichika View

 

肩の凝る午後の授業も終わり、放課後に入る。

 

「一夏、剣の――」

 

「わり、急用だ」

 

箒の言葉も半ばに俺は今日も窓から飛び出した。

それより早くマドカは廊下へと飛び出していった。

昨日、肩に担いで窓から飛び出したのが、少々怖かったらしい。

気をつけるとしよう。

 

そう思いながら俺は木から木へ飛び移り、地面に着地する。

そのまま、下駄箱にて靴を履き変え、アリーナへと走る。

途中で手を繋いだマドカと簪とも合流する。

だが、今日一緒に来る筈の人物が一人居ない。

 

「あれ?のほほんさんは?」

 

「本音、走るのが遅いから…」

 

鈍足なのか、のほほんさんは…。

性格や喋り方だけでなく、足の速さものほほんとしてるんだな…。

 

「一夏、変な事を考えてる?」

 

何故バレるのか。

 

 

 

 

 

更衣室でISスーツに着替え、アリーナに向かう。

早くも楯無さんがそこに居た。

なんでそんなに早いんだ。

 

「は~い、一夏君、簪ちゃん、マドカちゃん、アリーナへいらっしゃ~い♪」

 

開いた扇子には『SHRは代返』と。

あ、そんな事をしてたのか。

だが俺のクラスで代返なんてしようものなら、出席簿でブッ叩かれる。

 

「虚さんも訓練ですか?」

 

そう、今日はアリーナに虚さんも来ていた。

 

「一夏さんの訓練に協力しに来ました。

それと、簪お嬢様の打鉄弐式のデータ採取の協力を」

 

昨日は姿を見なかったが、虚さんも整備課だったのか。

今日は大変そうだな。

 

「それにしても、一夏さんは大変ですね。

整備課では、昨日の組み上げを手伝った生徒は、謝礼として一夏さんとデートが出来ると噂になっていますよ」

 

「え?え!?ええぇぇ!?」

 

「いや、そんな話、俺も知りませんが」

 

そして簪、動揺しすぎだ。

 

「兄さんとデートだなんて…」

 

マドカも落ち着けって。

そもそも何故そんな話が出てきているんだ。

俺は承知した覚えが無いぞ。

何度も言うが、俺には簪が居るんだ。

簪以外の女性と交際するつもりは無い。

 

「一夏く~ん、簪ちゃんを泣かせたら…判ってるわよね?」

 

「承知してます」

 

だからミステリアス・レイディの装備『蒼流旋』を突き付けないで下さい。

お願いします。

 

 

 

俺と簪の交際に関しては更織家と織斑家共に公認だ。

それだけに関係が悪化しようものなら、どうなる事やら…。

 

「よろしい。

本音ちゃんも来たし、始めましょうか」

 

 

俺は高機動パック搭載の打鉄へ搭乗し、簪は打鉄弐式に搭乗する。

視界が360゜に広がる。

よし、正常に起動したな。

ミステリアス・レイディとサイレント・ゼフィルスも同様に起動する。

 

「マドカちゃんは簪ちゃんのデータ採取を手伝ってあげて。

射撃型同士でお願いね」

 

「わかった」

 

で、俺の訓練はと言えば

 

ミステリアスレイディの腕に虚さんが乗り、弓を構えた。

何をするつもりなんだ?

 

「一夏さんは、銃を相手にするのが非常に難しいですから。

ですから、その代わりに弓で貴方を狙い撃ちます。

対応してみてください」

 

「…落ちないように気をつけてくださいよ」

 

なお、弓矢は弓道部から借りたものらしい。

 

楯無さんが飛び立ち、俺もそれに続く。

無茶な訓練だと自分でも思う。

一矢放たれる。

それを視認して即座に回避。

その瞬間には真下から、これも回避。

続けざまに真後ろ

 

「…!」

 

打鉄の浮遊シールドで、かろうじて防ぐ。

だが、今度はそのシールドにより発生した死角から撃たれる。

直撃、シールドエネルギーが削られた。

 

「今の判ったかしら?」

 

「ハイパーセンサーも、万能じゃない。

非固定武装により死角が発生するわけですか。

更に後付武装により自ら死角を増やしてしまう」

 

「正解よ、そして…見えていても反応が鈍くなる角度も存在するわ」

 

視界が360゜まで開いていても、ISを動かしているのは所詮は人間、腕や足を向けられる角度には限界がある。

 

「さあ、続けるわよ。

貴方が闘う相手は、この戦法を得意としているのよ。

充分に対策を立てなさい!」

 

「了解!」

 

一矢放たれる間に、瞬間加速で移動して矢を番え、俺が対応すると同時に新たな矢が飛来する。

楯無さんもだが、あんな動きをして、決して落ちない虚さんも流石だ。

 

「そこで『後退加速』!」

 

「ッ!」

 

「続けて『瞬間加速』!」

 

「…この…!」

 

体にGがかかる。

だけど、この程度で音をあげるわけにもいかない。

 

「おおおぉぉぉっっ!!!!」

 

飛来する矢を叩き落とし、瞬間加速を行い、ブレードを突き付ける。

 

「はぁ…はぁ…」

 

「先ずは及第点ね」

 

「これでもですか…」

 

「ブルー・ティアーズには、自律稼動兵装が4基搭載されているわ。

そして彼女はミサイルビット2基を隠し玉にするでしょうね。

ミサイルはレーザーに比べれば、速度は格段に遅い。

だから」

 

「確実に回避可能、と?」

 

銃を弓に、弾を矢に。

そう思えば回避は可能かもしれない。

やってみるしか無い、か。

 

「そして、三つ朗報よ」

 

三つ?多いな。

 

「何ですか?」

 

「まずは一つ目、セシリア・オルコットは近接戦闘は素人よ。

機体には短刀型装備『インター・セプター』が搭載されているけれど、それを使った試しは無いわ」

 

「相変わらず、凄まじい情報網ですね。

とは言え、情報には感謝します」

 

「続けて二つ目、彼女の戦法はBT兵装とライフルの二つ。

でも、マドカちゃんと比べても稼働率が低く、片方ずつしか使えない。

ライフルを使えばビットが使えず、ビットを使えばライフルが使えない。

この公式は隠し玉のミサイルビットも例外じゃないわ」

 

それぞれに的確な対応が出来れば、脅威にもならない、か。

 

「そして三つ目。

一夏君とマドカちゃんに負けるわけないと思っているんでしょうね。

昨日も今日も訓練をしていないのよ」

 

 

呆れた話だ。『一日の休みは三日の遅れ』とも言う。

こういう時に訓練の一つもしないのは致命的な話。

『驕るな、研鑽を積み続けろ』俺はその言葉を信条にしている。

それは我流剣術も、それに合わせた『アレ』も変わらない。

高をくくるのは勝手だが、それは落ちぶれるだけだ。

 

これでセシリア・オルコットの戦術は見えた。

素人のまま決闘に持ち込んでいたら、勝機はかなり低い…というか無かっただろう。

これでなら勝率50%以上に増える筈だ。

接近戦に持ち込めば確実とも言える。

 

「『瞬間加速』、『後退加速』も出来てる。

『射撃対応訓練』も充分ね、なら次は複数の『複数射線対応』かしらね。

…マドカちゃん、ビットを使って一夏君を狙い打ちなさい。『偏向射撃』は今は無しでね。

一夏君はその攻撃から回避、余裕があればブレードでレーザーを弾いてみなさい」

 

「わかった!」

 

「マジですか!?」

 

言うが早いが、マドカはさっそくサイレント・ゼフィルスのビット6基を使って射撃をしてくる。

弓での射撃にも充分対応はできてたつもりだが、レーザーともなるとスピードが段違いだ。

 

「今のうちにその速さに慣れなさい。

そうすれば決闘でも充分な回避ができるわ」

 

「了解!」

 

「そして覚えておきなさい、あなたに与えられる機体は『格闘戦』だけでなく『高機動』にも特化している機体。

『速い』という事は『回避性能』にも優れているという事よ」

 

「了解!」

 

誰よりも速く…誰も到達しえない領域へ俺はすでに片足を踏み入れているんだろう。

それが、俺の目指す高みへ導いてくれるのだろうか。

 

「おっと!?」

 

左足にレーザーがヒットし、衝撃を感じる。

駄目だ、今は考え事をしている場合じゃない。

 

「兄さん!集中が途切れてる!」

 

「すまん!もう一度頼むぞ!」

 

レーザーが放たれ、俺は最初は回避する。

二発目、射線を予想し、錐揉みしながらも回避。

三発目、真正面からレーザー、これはブレードで弾く。

四発目、真後から

 

「…!」

 

右足にヒット。

続けて真後ろから、こちらは左肩にヒット。

更に真上から

 

「ぜぁっ!」

 

ブレードで弾く

 

「これでBT兵装の要注意点は理解できたわね?」

 

「『相手の反応が最も遅れる方向からの射撃』、ですね」

 

「その通りよ」

 

そしてオルコットは主武装とビットを同時に扱う事が出来ず、ビットを使っている間は機体を動かせない。

ビットへの対応ができていれば、オルコットはただの的だ。

そして近接戦闘に持ち込めば、それこそ抵抗の一つも出来ない。

勝てる…この訓練を積めば、確実に勝てる!

 

「続けて近接戦闘訓練よ、マドカちゃん、ありがとね」

 

「ああ!わかった!」

 

「一夏く~ん、かかってらっしゃい!

お姉さんが直々に相手をしてあげるわ」

 

俺の近接戦闘と言えば、刀だけだ。

俺に支給される機体もそのような装備がついているらしいから、近接戦闘訓練にも慣れておかないといけない。

 

「いきます!」

 

近接格闘戦用ブレード『葵』をコール。

右手には順手に、左手には逆手に握る。

楯無さんの手には主武装の『蒼流旋』ではなく、関節剣の仕様である『ラスティー・ネイル』が握られている。

今は鞭としての形状ではなく、剣としての形態にされている。

 

「はぁっ!」

 

ガッ!

 

刃が刃に食らいつく。火花を散らすのを見ながら、俺は左手のブレードを幾度もぶつけながらも振り回す。

 

「右手のブレードは使わないのかしら?」

 

「どうしましょうか?」

 

やみくもに振り回したところで勝てるわけもない。

特にこの人には、少なくとも学園所属生徒の中では最強なんだ。

付け加えて言うと、家柄としてもあらゆる武術を積んでいるから、生半可な実力では勝てない。

 

「そこよ!」

 

「ちぃっ!?」

 

刺突一閃。

それをブレードの側面で受ける。

幾度も振り回したブレードでそんな事をすれば当然…

 

バキィッ!

 

耳障りな音を起てながらブレードが折れた。

…けど、『これでいい』

 

「ちょっ…まさか…」

 

これで左手のブレードが『俺好みの長さ』に変わった。

この長さが俺としては扱いやすい、ISを使っている以上、本来の長さとは違うが、右手のブレードと対比すれば丁度良い。

俺の本来扱っている刀とナイフによるの『異色の二刀流』だ。

 

「今度はこっちからいきますよ!」

 

さぁて、ISをつかって俺の二刀流がどこまで通じるのか…試してみよう!

 

 

 

 

 

 

 

 

2分後

 

『戦闘続行不可』の言葉が俺の目の前に現れていた。

シールドエネルギーが根こそぎ喪失したからだ。

つまり、俺は楯無さんに敗北した。

 

「ふっふふふ♪お姉さんの勝ちね♪」

 

「近接戦闘だけじゃなかったんですか…?」

 

「『兵は詭道なり』よ、騙し討ちも立派な作戦よ♪」

 

自ら言った事を反故にする時点で『立派』とは言えないと思います。

 

あの後、二刀流にてラッシュを仕掛けていたのだが、ナノマシンを経由して大量の水を俺にぶっかけ、『クリアパッション』にて瞬殺された。

大人気が無いにもほどがあると思います先輩。

マドカも簪も虚さんものほほんさんも苦笑いだ。

打鉄のエネルギー補充の為にも訓練はいったん中止だ。

濡鼠になってしまった為、熱いシャワーでも浴びたいが、アリーナのシャワールームは女子生徒専用だ。

仕方ないので、アリーナの端にまで移動して、スーツの上だけを絞り、水気を少しだけきった。

こうなることを考えていたのか楯無さんは?いや、考えてないな。

多分、途中から本気になっていたのかもしれない…『笑いながら』。

 

「…食えない人だ」

 

アリーナの端に居れば、両肩、腹部の傷も見えないだろう。

これを見られるのは俺としてはお断りだ。

中学に在学していた時期に関しても、水泳の授業はこれが原因でボイコットし続けた。

簪と交際しながらも、プールや海に一緒に行っても、俺が泳ごうとしなかったのは彼女としても苦痛だったかもしれない。

それを考えると申し訳ない気分になる。

 

ISスーツを着直す。

こいつが腹部も隠してくれるのは俺にとっては感謝だ。

…ただ目を背けたいだけなのかもしれないけど…。

 

「もどるか」

 

傍らに立つ打鉄を確認すると、エネルギーは満タンになっていた。

 

「もうしばらく頼むぜ、打鉄」

 

こいつの左手には未だに折れたブレードが握られている。

近接戦闘訓練では、これも俺の獲物だ。

とはいえ、後で整備課の人には謝っておかねばなるまい。

 

打鉄に搭乗し、起動させる。

全システム異常は無いな、じゃあ行こうか。

 

 

 

 

「戻りました」

 

「お帰り、一夏君♪」

 

「兄さん、まだ髪が濡れてる」

 

「これくらいほっとけば乾くさ」

 

ISで機動訓練やってたら水分なんて吹っ飛ぶだろうしな。

さあ、近接戦闘訓練再開だ。

 

 

楯無さんを相手にして近接戦闘訓練を繰り返している間に、簪の専用機『打鉄弐式』に搭載されている『マルチロックオンシステム』が完成したらしい。

その嬉しさからか簪は満面の笑みだ。

 

「どこを見てるの!?」

 

「やべっ!?」

 

蒼流旋の渾身の突きを食らい、派手に吹っ飛ばされた。

 

「簪ちゃんの笑顔に見惚れるのも分かるけど…お姉さんの笑顔じゃ駄目なのかしら?」

 

笑顔になってますけど黒いオーラが出てますよ楯無さん。

 

「失礼しました、集中します」

 

ブレードをもう一度強く握り直し、真正面に居る楯無さんに集中する。

 

呼吸を整えろ 息を乱すな 間合いを掴め 刃の長さを把握しろ 敵の武器を見極めろ

 

「すぅ…はぁ…行きます!」

 

「男の子は元気が一番よ!」

 

刀と槍がぶつかる。

槍の相手をするのには慣れてはいる、普段の組手でも楯無さんは槍を取り扱うから、その特性は理解している。

薙ぎ払いや、振りおろしは剣よりも射程が広いだけだ。

そして脅威となる刺突の後には

 

「隙が出来る!」

 

それを見抜き、一気にゼロ距離にまで接近する。

だが、この間合いでは刀も振り回しにくい。

だけど『ナイフ』であれば

 

「甘い!」

 

一瞬、楯無さんの姿が消え

 

「うお!?」

 

左肩に強い衝撃を感じ、吹っ飛ばされた。

前方には背中を向けた楯無さんが横目を俺に向けている。

槍の刺突は回避できた、だとしたらさっきの衝撃は別の攻撃。

俺に背中を向けているという事は…

 

「旋回したのか」

 

「正解よ♪

一夏君の攻撃を見切って受け流し、そのまま体を回転。

蒼流旋の柄で横殴りにしたの、残念だったわね。

ラスティー・ネイルだったら出来なかったけど」

 

生身の戦いだったら勝率は低いとは言えないんだけどなぁ…。

ここには経験の差が出る。

生身での戦闘と、IS同士での戦闘には大きな差がでる。

システムアシストによるパワーは当たり前だが『地上戦』と『空中戦』による差も出る。

生身での戦いでは、自分の体の真下からの攻撃なんてほとんど無いが、空中戦ともなれば、それは当たり前に存在する。

しかも空中での旋回ともなれば、足場もないのだから回転速度が落ちることもない。

しかもこの人はそれをマニュアル操作で行っている。

本当にすごい人だ。

 

「まだよ、一夏君、あなたの本気を見せなさい。

私がその本気の力を向上させてあげるわ」

 

「感謝します!」

 

双刀を縦横無尽に振るう。

二刀流の特徴はその手数、そしてナイフの売りは狭い範囲での攻撃に、そして速さにある。

ブレードを横なぎに振るうが、槍で受け流される。

刺突攻撃をブレードで流しながら肉薄、折れたブレードを逆手のままに弧を描くように振るうが、その時点で間合いを大きく離されている。

蒼流旋が地上に落下していくが、その途中で量子変換され姿を消す。

その間にラスティー・ネイルに装備が変換されている。

高速切替(ラピッド・スイッチ)とか言ったか。

これに似た技術をマドカも見せてくれた。

オルコットにむけて投げたナイフは教室の壁にぶつかることもなく姿を消していた。

瞬時に量子変換していたんだろう。

 

「まだまだぁ!」

 

蛇腹の鞭は使わせない!

使われてしまえば圧倒的に不利になる。

動きを止められ、武器を奪われ、最後は振り回される。

そうなれば平衡感覚も失われ、戦闘どころではなくなる。

 

またも刃と刃がぶつかり合う。

幾度目かも分からなくなった鍔迫り合いと刃がぶつかり合う度に飛び散る火花。

そして悲鳴のように甲高い金属音。

そのすべてが心地よく感じられた。

刀を振るう。続けてナイフを振るう。

俺には結局その才覚があったのかもしれない。

 

刃がぶつかる、続けて装甲もぶつかる。

それでも圧倒が出来ない。今の俺のすべてを出し切っても、まだ勝てない。

まだ優勢に持ち込めない。特異な近接戦闘でもジリジリとシールドエネルギーを削られていく。

残りは56パーセント、楯無さんは87パーセント。

 

「まだまだ成長するわ、貴方は。

国家代表候補生にだってなれる可能性もあるわ」

 

「まだ『可能性』ですか。それに、俺のようなイレギュラーを引き取りたい国家なんて無いでしょう?」

 

「それがそうでもないのよ」

 

…は?イレギュラーを国家代表候補生として迎えようとする国があるのか?

しかもこんな早い時期に?

胡散臭いにもほどがある。そんな国に行ってみろ、それこそモルモットにされるのが関の山だ。

まとめて無視しておくべきだ。

 

「ウクライナでしょ、イスラエルにアメリカ、カナダにニュージーランド、マレーシアにルワンダ、それとバチカンね」

 

…そこまでしてモルモットがほしいのか。そしてバチカン、宗教国家が俺に何の用だ。

 

「全部お断り、ですよ!」

 

「おっと!一夏君ならそう言うと思ったわ!」

 

「そこぉっ!」

 

楯無さんが右手だけで握っていた剣を真上に弾き飛ばす。

そしてそのまま隙だらけの胴に

 

「油断大敵!」

 

「なっ…!?また高速切替!?」

 

左手には瞬時に蒼流旋が握られている。

…殺られた…わざと武器を弾かせたのか!

 

「ごめんあそばせ♪」

 

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!

 

蒼流旋に内蔵されたガトリング・ガンが火を噴く。

連続で撃ち抜かれ本日二度目の『戦闘続行不可』の表示。

また負けた…

 

「咄嗟の反応が遅れているわよ」

 

「反省してます」

 

近接戦闘の筈ですよね、なんて言っても「近接戦での射撃だから問題無し!」とか言い切るんだろうなぁ…『兵は詭道なり』とはよく言ったものだ。

とは言え、俺もまだ訓練が足りないのも分かった。

そして分かったことがもう一つ。

 

「…銃の形状をしていなければ大丈夫、か」

 

マドカのビットにも、蒼流旋のガトリング砲も打鉄で受ける羽目になったが、発作は起きなかった。

やはり、拳銃のような形状、ライフルのような外見、それらに反応して発作が起きるようだ。

だから、今度の模擬選では強い自己暗示が必要になる。

『銃は弓、弾は矢』

その自己暗示が




おはようございます。
今日も今日とて一夏君は窓から飛び降り全力疾走しています。
そして虚さんも久々に登場、ミステリアス・レイディに相乗りして弓矢を構える姿がシュール過ぎます。
のほほんさんはデータ採集に遅刻して後々に虚さんから怒られているでしょうね。
容易に想像ができます。
今日も複数話投稿しますのでお楽しみに!

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