首を傾げながら「お褒めに預かり光栄です」と言って返しましたが、実際にはどういう意味なのでしょうか?
また、何かの諺でしょうか?
P.N.『可愛い鳩』さんより
A.冗談抜きでこんな質問がメッセージボックスに来ました。
ペンネームで『可愛い』と言ってるけど正直…胡散臭いッス。
なお質問に関しての返答ですが…ゼンッゼン褒められてないですよ⁉
寧ろ罵倒されてます、そこでの対応方法としてはその返答ではなく、「今後は気を付けます」が正しいかもしれませんね。
『前世はカッコウ、今生はハイエナ』
意味:厚かましくて図々しい。
カッコウやハイエナが表現として出てきたことについては、それぞれの生態を自分で調べてください。
なお、諺ではないので悪しからず
しかし面白い表現が在ったものですね。
機会があれば執筆する中で使わせていただきますね。
山田くん、座布団三枚あげて!
Ichika View
楯無さんとの簡単な話をしてから数日が経過した。
俺や簪、そのほかの専用機所持者の全員が放課後に生徒会室に召集された。
そんな中、生徒会室の前にて遭遇したのは
「お、暫く振りッスね」
「サファイア先輩」
だった。
褐色の肌に黒い髪が特徴のフォルテ・サファイア先輩だった。
専用機所持者によるトーナメント戦以降は休学してギリシャに戻り、修行してから国家代表試験を受験するといっていた御仁だ。
そして頼んでもないのに生徒手帳を開き、あるページを見せてくる。
「この通り、有言実行してきたッス」
そこには国家代表を認定するエンブレムが確かに刻まれていた。
本当にどんだけ修行したらこの短期間で国家代表にまで上り詰めることができるのやら。
あ、人の事を言えないか。
「凄いですね、もし機会があればお手合わせを」
「それはこちらも望むところッス。
ただ…織斑君が相手なら近接戦闘にだけは持ち込まれたくはないッス。
クロスレンジは織斑君の十八番ッスからね」
それは…まぁ…射撃戦闘に重きを置いている昨今、クロスレンジで白兵戦等をやりあおうという搭乗者というのは非常に少ないだろう。
そんな昨今、銃器を扱えない俺は近接戦闘以外に磨けるものが無いというわけだ。
千冬姉に鍛えてもらい、今では教える側にまでなっているのは…俺の望むところではない。
教えるのは楽しんでいたりするわけだが…。
「じゃあ、明日の放課後なんてどうです?
第7アリーナの修復も随分と片付いてきているそうなので存分に実力を振るえると思いますよ」
「じゃあ、それで」
この人とも気軽に話が出来る程度にはなっているみたいだが…
それだけに関しては口を堅く閉ざしておこう。
「それで、今日の集会って何なんスか?」
「一年生の修学旅行の事についてみたいですよ」
「…ああ…また何か起きる、と…」
俺と同じようにこの人も頭を抱えていた。
いや、本当に頭が痛いわ。
何かイベントする都度トラブルも一緒についてくるんだからなぁ、もう…。
見張りを兼ねていた俺が最後に部屋に入ると、全員が席についている。
そしてそんな彼女達の為にお茶を淹れる虚さんの姿も。
「織斑君は飲み物はどうしますか?」
「…煎茶を」
「兄さん、渋い…」
左隣に座るマドカが紅茶を飲みながら妙な視線を突き刺してくる。
が、無視する。
それを言うのならメルクにでも言ってやれ、アイツなんてどういう理由か普段から梅昆布茶ばかりだぞ。
右隣に座る簪は緑茶を飲んでいる。
簪の湯飲みは最近売店で見つけて衝動買いしたものだ。
その時の簪の迫力に推されて、俺も同じものを購入した。
鈴とメルクは…今は仲の良い事に料理の雑誌を見ながら吟味している。
何か作ってみたいものがあるかもしれない。
シャルロットとセシリアは…アレはファッション雑誌か?
ブランドものの衣服がチラリと見えた。
「一夏は今日のこの集会についてどれだけ話を知ってるの?」
「事前に聞いたのは、今度の修学旅行について、だな。
簡単にそれくらいしか聞いてない」
実際、その見解は事実とは異なる。
まさか京都に戦争に行きますとか言えないだろう。
ましてや輝夜は大規模火力に、武器輸送船としての能力も兼ね添えている超高機動大規模火力機だ。
市街戦闘をすれば荒野が出来上がる。
そればかりは防がなくてはなるまい。
火付けが目の前にいたとしても、俺がいたところでその火を巨大化させるだけだ。
「さて、皆に飲み物が行き渡った所で、今回の会議を始めるわ」
楯無さんがバッと扇子を広げる。
そこには『重要会議』と記されている。
能書きはいいからさっさと本題に入ってくれ。
煎茶を一口飲む。
その温かさに少しだけ気が楽になる。
「今回の議題は、予定されながらも先延ばしにされ続けていた一年生の修学旅行についてよ」
プロジェクターが起動し、生徒会室前方のホワイトボードに映し出される。
当初の予定では、学園祭直後に予定されていたそうだが、度重なる不祥事が予定の先延ばしに繋がってしまっていた。
まあ、トラブル云々は学園の内部に裏切り者が居たから防げなかったというのもある。
その都度その都度後手に回り続ける羽目になっていたものの、今回は別だ。
「今回の修学旅行に対してだけれど、事件発生を未然に防ぐ為に対策を打つようにと、日本政府からの命令が下ったわ」
この発表は事実だ。
だが、不穏当な気配が感じられてならない。
「楯無さん、その対策って何?」
挙手をした鈴からの意見がまさにそれだった。
犯罪だの事件だの、そういった類のものは対策を打とうにも抜け道を利用されるのが世の常だ。
ことIS学園は世界中から女子生徒を集めたお嬢様高でもある。
そんな中に放り込まれている俺としては、簪やマドカのサポートがなければ胃痛に悩まされる毎日を送っていたことだろう。
話を戻そう。
日本政府から下された今回の命令は
「専用機所持者全員を京都府に派遣する、ということよ。
予定としては3泊4日の長期派遣になるから宿泊の用意もしておいてね。
スケジュールとしては…
おい、それに関しては聞いてないぞ
暫くお待ちください
ブーイングが起きるのは当然だった。
各人放課後だのに予定とかあっただろうからその埋め合わせも必要になる。
そんな時間すら消費してでも用意をしなければならないだろうからな。
阿鼻叫喚が過ぎ去り、俺以外の全員が鉄拳制裁を受けて終わった後に話は再開された。
だが力加減してくれ千冬姉、全員悶絶しているぞ。
殴った張本人は素知らぬ顔で生徒会室の片隅で見渡しているだけなのだが。
周囲の連中の回復に5分を要した。
「しっかし京都府への修学旅行か…俺と鈴は3回目になるなぁ」
「そうよねぇ…悪い場所じゃないけど飽きてくると言うか何と言うか…」
修学旅行のしおりを見てみるものの、清水寺も以前に見ているからな…。
「簪はどうだ?」
「プライベートでも言った試しはあるから…その…7回目…」
訊かなきゃよかった。
日常的に接しているから忘れていたけど、簪もお嬢様なんだよな…。
今になって思い出したけど、中学も女子校だったっけか。
「それでお姉ちゃん、京都府に何があるの?」
「痛たたた…えっと…京都府のとある場所に敵対勢力の重要拠点というか、生産拠点が存在するという情報がリークされたから、そこの制圧に向かうようにとのお達しよ」
「生産拠点ですの?
それは…武器の量産を行っていると見做しても?」
あー…セシリアが聞いてきてしまった。
こればっかりは言いにくいんだよなぁ。
そして楯無さんの視線が俺に突き刺さる。
「言っちゃう?」とか視線で訊いてくるから、俺は仕方なく首肯した。
「皆は、『武器』や『兵器』とはどのようなものだと思う?」
数百年前までは、武器といえば刀や槍に弓だっただろう。
大型兵器といえば投石器とかだ。
だが、戦いを一気に進化させたのは『火薬』だった。
それを使用した火縄銃だとかが開発・量産・使用・普及されたのは400年前以上も昔の出来事。
今もなおこの時代においても火薬は使用されている。
だがその一方でも近接兵装でもある刀剣や槍も捨てられているというわけでもない。
なであれば、そういったものを作り出している職人の存在も一つの武器といっても良いのではないだろうか。
そう、人間も兵器だ。
「昨日、日本近海において国籍・所属不明の艦艇が発見され、調査隊が出向き、制圧したわ」
その調査隊というのは俺と楯無さんだったわけだ。
艦艇とは言うが、実際には潜水艦だが…その存在も証拠もないため言ったもの勝ちだ。
「乗組員は全員行方不明、自沈装置の作動によってその艦艇は海の藻屑になってしまったけれど、そこにはある兵器の量産が成されていたわ。
その兵器とは、
あの複製工場は俺も度肝を抜かれた。
人間がすっぽりと入るカプセルの中で、冗談抜きに人間が作り出されていた。
タチの悪いのは20歳を超えているであろう人間を、わずか2年半で完成させているということだ。
しかも、中身入り…その中身はというと、一般を超えた基準の兵としての機能だ。
さらには明確なまでの自我。
「それって人間のクローンってことですか?」
「シャルロットちゃんの疑問は尤もね。
人間のクローンはクローン法によって禁止されているわ。
その理由はそれによって生まれたクローンは成人年齢まで届かずに死んでしまうのが判りきっているから。
医学的に見れば呼吸器官の麻痺から神経系統の摩耗などが発生するらしいわね。
けど、コレをを超えて
全員が沈黙した。
中でもラウラは顔色が真っ青だ。
今回のコレはその実験の成れの果てということだろうか。
「えっと…コレってどこに問題があるッスか?」
サファイア先輩の声もどこか現実が見えていないっぽい。
いや、現実を呑み込めていないのだろう。
「大問題よ。
情報を見れば、この技術によって量産複製されているのは、『
培養している場所から出た時点で装備を整えるだけで、標準以上の兵士になる。
しかも複製が可能…クローンによって作られた軍団が出来上がるということよ。
カテゴライズとしてもその存在自体が『複製兵器』、足りなくなければ補充が出来るということよ」
他者を傷つける以外に能のない存在、それが兵器・武器という存在だ。
ISも今は競技だとかに分類されているが、その手に持つのは兵器だ。
だけど、このクローン兵は世界最強クラスの兵器を補って余りある利点がある。
それは量産可能という点だ。
ISは、脳であり心臓を兼ね備えているコアに上限がある。
その総数467個。
もう一つはエネルギーが無くなれば動けなくなるということだ。
だがクローン兵にその縛りは無い。
中身の問題もあるが…。
足りなくなれば補充する。
自爆をしても替えが効くから特攻も可能、更には総数に上限が無いと来たもんだ。
根本的解決には、生産拠点を全て潰す必要もあるが、どう考えても鼬ごっこになる…。
「その生産拠点が京都府の何処かにある。
だから、それを
「…いいえ、制圧よ」
「生産拠点で戦闘になったらそんなことを言ってられないのでは?」
「それもそうね♬」
政府の命令の抜け道をアッサリ口にすれば勢いよく乗ってくれた。
さて、これで悩みの一つは解決できたな。
いつもいつも不測の事態になっているんだ、この程度の事は想定出来ないわけじゃない。
国に接収されるよりも前に、相手を利用して潰すか。
「で、専用機所持者全員を投入して、生産拠点を探し出せという話に回帰するわ」
「楯無さん、俺は学園に残りますよ」
俺は政府の命令に反旗を翻した。
当たり前の話だった、これは俺楯無さんとの間で先に決めていたのだから。
「え、織斑君行かないんスか?
てっきり行く気満々なのかと思ってたッス」
「思う所がありましてね、それに輝夜は市街地での戦闘は出来ない機体です。
それと…ここ数回、学園外へ出ようものならどうなったのか、覚えが無いわけではないでしょう」
学園外へ出た際に、学園外から学園へ向かう道中、テロリストに襲われて市街地がボロボロだろう。
ビルがドミノ倒しよろしくなってたり、民家やマンションは幾つも倒壊し、交通インフラすら回復できていない。
そんな中、俺が学園外へ出ようとしたらどうなるか…。
新幹線なんて逃げ場が無いからな。
それも軽く説明しておいたら各自納得できたらしい。
出立は二日後、荷物をまとめたうえでモノレール駅への集合となった。
…校門の辺りで見送り程度くらいならバチは当たらないだろう。