IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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本日二回目の投稿。
簪ちゃんのセリフが少なくてごめんなさい。


全力作業

Ichika View

 

「失礼します!」

 

制服に着替えてから更に全力疾走。

目的の整備室に飛び込んだ。

久しぶりに目にした『打鉄弐式』が鎮座していた。

そして

 

「キャアアァァァァッ!

織斑一夏君が来たわ!」

 

…あれ?来ちゃダメだったか?

 

「写真や映像じゃなくて本物よ」

 

まあ、初対面って事で。

 

「本物!?本物なの!?」

 

え?偽物でも出たのか?

 

「よし、物資運搬係が来た!」

 

あ、俺の役目って力仕事全般か。

 

「おりむ~、やっほ~」

 

のほほんさんは相変わらずだな。

見ていて和む。

 

 

 

 

「一夏、疲れてるのにごめんね」

 

「大丈夫だ、だから気にしなくて良いさ」

 

早速、簪にカタログスペックを見せてもらう。

第三世代機、打鉄弐式の装備は

荷電粒子砲『春雷』

超高振動薙刀『夢現』

そして世界初のマルチロックオンシステム搭載のミサイル、『山嵐』

 

とは言え、俺はまだシステム系統は理解に及ばない。

なので

 

「織斑君、超特大レンチを持ってきて!」

 

「了解!」

 

「ケーブル追加!」

 

「はい!」

 

「高周波カッター用意!」

 

「わかりました!」

 

「う~ん、空中投影ディスプレイと液晶ディスプレイをそれぞれ八個、更に小型発電機も」

 

「少々お待ちを!」

 

機械弄りもデータの編集も出来ない男が整備室で出来る事なんて、それこそ肉体労働くらいしか無い。

とにもかくにもスタミナを使い切ってしまえ。

今日の夜は熟睡出来そうだ。

だが明日は遅刻覚悟だ。

ハードウェアは整備課と簪に丸投げだ。

 

「レーザーアームを!」

 

「どうぞ!」

 

「データスキャナー!

全力疾走!」

 

「承知しました!」

 

「一緒にぃ、超音波検査装置も」

 

「イェス、サー!」

 

…仮に、整備課に入っても俺は雑用係になったりしないだろうか。

そんな事を考えてしまった。

だが、すぐにそんな考えを捨てる。

俺がこうやって走っているのは、簪の為だ。

今はそれで良い。

 

「織斑君、髪を梳いて!」

 

「織斑!ジンジャーエールを!」

 

「それとぉ、私にはポテチを」

 

…あれ?

 

「あ、そういえばキッチンのオリーブオイルが切れてたかも。

織斑君、奢って」

 

「この資料を職員室に提出してきて、期限切れてるけど、代わりに叱責も受けて」

 

「んんぅ、今日の夕食のデザート調べてきてぇ」

 

「あの…さっきから関係の無い事ばかり言ってますよね」

 

機材運搬は受け持ったが、雑用は別だ。

「ごめんなさ~い♪」とチャラい謝罪を各々言ってくるが、俺としては釈然としない。

簪も流石に苦笑いをしていた。 のほほんさんは大爆笑だったが。

 

 

「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…」

 

打鉄弐式は一日でほぼ完成した。

それまでの間、俺はこの部屋と機材庫とを何回往復しただろうか。

数えるのも飽きてしまったが。

 

後は実戦を行い、微細なデータを採取するらしい。

だが、今日は寮の門限時間も近い。

データ採取は明日、第3アリーナにて行う。

そのついでに、俺の訓練も行うようだ。

 

「いや~、終わった終わった」

 

「結構散らかったわね~」

 

「織斑君に任せれば大丈夫だって」

 

片付けも俺に丸投げですか!?

反論したかったが、体力を使い果たし、それすら出来なかった。

 

「兄さん、お疲れ」

 

「マドカ、サンキュ…」

 

すっかりバテてしまった俺に、タオルとスポーツドリンクを差し入れてくれるマドカに感謝しながら、俺はペットボトルの中身を半分近くを一気に飲み干した。

 

「簪の機体もほぼ完成か」

 

「後はマルチロックオンシステムのデータ採取だけ。

だから、明日には本当の意味で完成かな」

 

「明日が楽しみだな」

 

だが

 

「…まずは片付けからだな」

 

整備課の皆さんが放置していった機材を片付けよう。

でも用意したのは俺だよな…。

 

「で、マドカは何処に行ってたんだ?

整備を始めた途端に居なくなってたが…?」

 

「ん?ああ、それは…」

 

 

 

Madoka view

 

機材運搬が始まると同時に、私は整備室から出た。

きっと兄さんは疲れ果てるまで働き続けるだろうから、その為に何か差し入れを用意しようと思った。

差し入れる物は何が良いだろうか。

まだ顔なじみになっていない整備課や、私の友達である簪にも何か用意しよう。

だったら簡単でも良いから料理を作る事にした。

楯無先輩に話すと、簡単に外出許可を貰えた。

 

「献立は…サンドイッチが良いかな。

夕食も兼ねるから、サラダサンドか…兄さんが受験前によく作っていたお握りか…」

 

考えた結果、後者にした。

料理の材料を買うのに、わざわざ学園から出る必要もない。

購買で購入可能だ。

生鮮食品も化粧品も家電製品も揃っている。

むしろ「此処は何処のスーパーだ」と言いたくなってくる。

 

ソイツに遭遇したのは…購買までの距離が半分程の場所だった。

 

セシリア・オルコット…!

 

兄さんを侮辱した女だった。

家族を侮辱する奴はとことん嫌いだ。

その態度を改めるまでは、私も対応を変えるつもりは無かった。

 

「あら、貴女は確か…確か…」

 

「そういうお前は誰だったか」

 

「あ、貴女、わたくしが誰だと思ってますの!?」

 

「知らないな」

 

途端にヒステリーを起こしたように喚き始める。

 

「だいたい!

ISの世界に男なんて入るべきではありませんわ!

神聖な学舎に精神障害者が居る事さえ許されませんわよ!

あまつさえクラス代表に極東のサルだなんて…!」

 

「そのクラス代表には私も名乗りをあげている。

私としては代表には兄さんが相応しいと思うがな。

そして私が兄さんを補佐する」

 

「まあ!

イギリス代表であるわたくしをおいて、貴女達二人が相応しいと思ってますの!?」

 

「相応しいか否かは模擬戦で決めるのだろう。

そこで、私と一つ賭けをしないか?」

 

身の程を教えてやる。

そして国家代表候補生としてあるべき振る舞い方をな。

 

「賭け、ですの?」

 

「そうだ、私と兄さんとお前。

それぞれ合計二回戦闘を行う形になる。

それぞれ試合と試合の間、インターバルは5分。

試合の勝率で、互いが大切にしているものを賭けようか」

 

こいつのIS、ブルーティアーズの稼動率は知っている。

せいぜい30%。

BT武装と主武装、それぞれを別々にしか使えない。

偏向射撃も使えない。

私から見れば雑魚だ。

 

「私が負ければ、この専用機をくれてやる。

更には国家代表候補生の座も捨ててやるよ」

 

「な…!?」

 

「どうした、臆したのか?」

 

「な、何を口にしているのか理解していますの!?」

 

当然だ。

むしろお前が何を口にしているのかを理解しているのか?

お前は口にしてはならない言葉を繰り返しているんだからな。

 

「そ、そんな賭けなんて…」

 

「他人に喧嘩を売って見下せるが、賭けは受けられないか。

その程度の器か」

 

この挑発にとうとう真っ赤になった。

予定通りだ。

 

「受けますわ!

わたくしも専用機、ブルー・ティアーズと国家代表候補生の座を賭けますわ!」

 

こんな安い挑発を受けるのか。

本当に小さすぎる器だ。

 

「交渉成立だな」

 

事が決まればもう話は終わりだ。

それに私には用が有る、これ以上構っていられない。

 

「そうだ、兄さんは言っていたぞ。

『早々に態度を改めた方が良い。

取り返しのつかない事態になる前に』、だそうだ」

 

「余計なお世話ですわ!」

 

そうか、伝える事も終わった。

もう用は無い。

兄さんに美味しいお握りを作ってあげよう。

 

 

 

 

 

 

Ichika View

 

「と、いう事が有ったんだ」

 

「何をやってるんだお前は…」

 

マドカの話を聞いてしまった以上、俺も何かを賭ける必要がある。

しかもインターバルが5分って…俺からすればハードルどころ絶壁じゃないか…。

俺は素人同然なんだぞ…。

マドカはそれを理解してるのか?

 

「試合の順番も姉さんと相談して決めてきた」

 

試合の順番は

『織斑一夏VSセシリア・オルコット』

『織斑マドカVSセシリア・オルコット』

『織斑一夏VS織斑マドカ』

 

 

仕組まれては…いないみたいだな。

だが…

 

「一夏、経験の不足は情報で補えるよ。

相手の情報を集めれば、それに応じて対策が打てるから」

 

「だよな、明日には射撃攻撃対策訓練もするようになってる。

それで頑張ろう」

 

マドカが作ってくれたお握りを早速かじる。

中身は梅干しだった。

幸先が良いのか、悪いのか…。

隣では簪が「酸っぱい!」と言いたそうな表情をしていた。

え?もしかしてお握りの中身は全部梅干しなのか?

もうちょっとバリエーションを増やそうぜ…。

こうして今日の夕食をお握りとお茶で済ませたのだった。

 

 

 

翌朝

 

「…朝か…」

 

昨晩はルームメイトの箒が繰り返し怒鳴ってきたが、ことごとくスルーした。

放課後は何処に行っていたのか、だとか、何故食堂に来なかったのか、とか。

こっちは「急用がある」と言っておいた筈なんだけどな。

シャワーを浴びて、寝たらようやく静かになった。

 

「さて、行くか」

 

着替えてからダブルを手に持ち、修練場に向かう。

時間は

 

「午前4時43分よ♪」

 

「今日も居たんですか、ご苦労様です」

 

「あは♪」

 

開いた扇子には『朝練』と書かれていた。

例によって例の如く達筆だ。

 

「じゃあ、始めましょうか」

 

「そうですね」

 

刀を右手に持ち、ナイフを左手に逆手に握る。

左半身を前に、右手の刀を体で隠す。

爪先立ちになり、軽い跳躍を始める。

 

「そのスタイル、久しぶりに見たわね。

久々に本気?」

 

楯無さんも槍を構える。

 

「…あくまで我流を通します。

剣術も、居合も、俺のスタイルの一つですが、今の構えこそが俺の…」

 

「『自分だけの剣』よね!」

 

その通りですよ。

俺は一気に前へと踏み出した。

 

 

楯無さんとの剣の特訓を終えてから、部屋に戻ってシャワーを浴びる。

箒が不機嫌そうな顔をしていたが、理由は訊いても言わなかったから追求は辞めた。

それよりも空腹だ。

食堂に行こうとしたが

 

「…着いてくるのか?」

 

「当然だ、私はお前の幼なじみだぞ。

一緒に居たところで不自然じゃないだろう」

 

「マドカも同席だぞ」

 

「…む…」

 

箒はマドカと初対面の時から仲が悪かったな。

そもそも初対面の時に指差しまでして「コイツ」呼ばわりしたのが原因だ。

初対面でそれは無いだろう。

 

「おはよう兄さん」

 

「おはよう、織斑君!」

 

隣室のマドカと相川さんとも遭遇する。

相川さんは早速昨日、ハンドボール部へ入部した。

これからは頑張ってほしい。

マドカは今の所は入部していない。

「兄さんと同じ部活に入部する!」と昨日の解散前に言っていたが、俺は入部するつもりは無いからなぁ…。

訓練続きになりそうだし。

 

「おりむ~、マドマド~、おはよ~」

 

「一夏、おはよう」

 

のほほんさんと簪も合流した。

さてと、食堂に向かうか。

朝の運動で俺も空腹だ。

 

楯無さんは加減してくれないからなぁ…。

 

俺と簪とマドカは焼き鮭定食。

のほほんさんは…

 

「お茶漬けか…しかもまた豪快だな…」

 

またもや焼き魚の切り身が乗せられ、それを啜っている。

ズルズルと音を立てるのはやめてくれ。

 

それはお茶を飲む時か、蕎麦やラーメンを食べる時だけにしようぜ。

 

そんな風に思いながらも、俺は口に出せなかった。

今日も焼き鮭が美味い。

昼はダシ巻き卵を食べようかな。

 

 

 

 

 

 

Houki View

 

6年振りに出会った幼なじみは、私が思っていた以上に変わっていた。

成長期だし、外見は仕方ない。

背丈が伸び、肩幅も広がっている。

まあ、それは良い。

だが、幼なじみの私を蔑ろにし過ぎではないだろうか。

知らない間に、私も知らない妹が居るようになったり、他の女に気を許し過ぎだ。

特にあの眼鏡の女子は一夏に近寄り過ぎだ!

それに何が有ったのかは知らないが、どんな時も左手を手袋で隠している。

男なら、傷跡くらいで隠すな!

それに…剣道を辞めるとは何事だ!

都合が有った、などと言い訳をするな!

 

一夏…お前はあの頃から変わってしまった…。

私があの頃のお前に戻してやる…絶対に!

お前が握るべきは、そのふざけた剣とナイフじゃない。

私と同じ竹刀であるべきなんだ!

 

 

 

 

Ichika View

 

SHRが始まり、週末には俺に専用機が与えられる旨が伝えられた。

 

「織斑、お前には今度のクラス代表戦当日に専用機が与えられる事になった」

 

もう知ってます。

そう言おうと思った矢先

 

「あら、専用機が与えられるだなんて運がいいですのね。

いえ、運が悪いかもしれませんわよ、訓練機で敗北していたほうがまだ言い訳ができますものね!」

 

途端にセシリア・オルコットが余計な反応を起こし、千冬姉とマドカが怒発天。

三度、彼女の髪がまたも一筋吹き飛んだ。

時には投擲したナイフが眼球に触れる直前1cm前で量子変換させて恐怖させたりと今日のSHRは中々に騒がしい。

それをまた、俺が溜め息を零しながら静止させた。

そうするとオルコットが逆切れと悪循環。

オマケとばかりに昨夕のマドカとの賭けを暴露する始末。

お互いの専用機と国家代表候補生の称号を賭けての勝負だとか。

 

「そこの男!わたくしが勝ったら貴方の専用機も持っていきますわ。

機体諸共スクラップにならぬように精々祈ってなさいな」

 

「人を無暗に指さすなよ、行儀が悪い」

 

「男の分際でこんな所にいる輩よりはマシですわよ!

ヒィイイイイッ!!??」

 

マドカが投擲したナイフによりオルコットは壁に縫い付けられた。

肌は一切傷つけていない、服だけを貫通し、壁に縫い付けたようだ。マドカ、今更だがお前は凄い器用だな

そしてオルコット、お前は自分の首を絞めているのを気付いてくれ。

朝から疲れるような事をさせないでくれ…。

いや、実際に疲れてるけどさ。

一先ず、猶予は今週末の模擬戦だ。

結果がどうなろうと、オルコットにあとは無いのだから。

 

さて、今日の最初の授業は、と…。

 

 

 

 

 

昼休みに入り、俺はいつものように、のほほんさんと簪と合流。

そしてマドカを一緒に連れて食堂に向かった。

 

「私も同席していいだろうか」

 

箒がついて来るが、何故かは判らない。

 

「ようやく半日終わったな…」

 

入学してから授業は未だに座学ばかり。

それだけなら良いが、俺の席は何故か最前列中央だから妙に視線を感じる。

そのせいで余計に肩が凝る。

 

「一夏は授業に追い付けてる?」

 

「事前に配布されていた資料を全部暗記させられたからな。

今はまだまだ大丈夫だ。

実戦の方がまだ自信が無いかな」

 

検査に使った稼動時間は見積もって2時間。

昨日の訓練もまた2時間。

未だに稼動時間は4時間程度だから、まだまだ素人の域を出ない。

少しでも早く上達しないとな。

 

「訓練を受けて、飛行、加速、減速とかは自信がついた。

後は…」

 

俺の欠点が問題だ。

銃を弓に、弾を矢に置き換える。

その自己暗示も必要になるな。

そうしないと…

 

ISでの戦闘をする際に、俺にはあまりにも大きなハンデになってしまう。

 

「おりむ~、頑張れ~」

 

「ああ、そうだな」

 

そうでないとマドカが吹っ掛けた賭けで、俺の大切なものを奪われる。

今の俺が大切にしている物と言えば…ドイツで貰った包丁のセットか『ダブル』だな。

オルコットは勝負に俺の専用機となる機体すら奪っていこうとしている。

そんな事をすれば今度は国際問題は確実。

戦争が起きても何処の国もイギリスには味方をしない。

全世界がイギリスに刃を向けることになる。

それを理解して…いないな、アレは。

 

「兄さんなら、あの女くらい余裕で勝てるさ。

ノーダメージで勝てる!」

 

「無駄にハードルの高さをあげるのは辞めてくれ」

 

マドカは俺や千冬姉が侮辱されると、怒りの沸点が凄まじく低くなる。

それこそ瞬間沸騰湯沸かし器だ。

だが、この性格には感謝している。

俺には…

 

「一夏」

 

「何だ?」

 

振り返ると、箒がいかにも不機嫌そうな表情をしている。

なんでだよ?

 

「布仏や妹は判るが…親しく話しているソイツは誰なんだ?」

 

指差すのは辞めろ。

非常に失礼だろ。

 

「それはね~、友達なので~す♪」

 

俺の代わりにのほほんさんが応えた。

ナイスアシスト、感謝するよ。

簪はまだ人見知りが抜けてない節がある。

だから、俺と簪の交際は極力周囲には隠している。

知っているのは、当事者の俺と簪、それ以外には楯無さん、虚さん、のほほんさん、千冬姉、そして何処で知ったのか束さん。

学園の外では、更識家の人達、それから鈴、数馬、弾、蘭もだな。

それくらいかな。

 

「本当にそれだけなのか?」

 

「何を詮索してるんだよ」

 

「いや、妙に親しいと思ってな」

 

俺にだって友人くらいは居たって良いだろう。

 

「短い学生生活だ、友人は多く作りたいしな」

 

「だが女子ばかりなのは考えものだろう!」

 

誰がIS学園限定と言った?

 

「兄さん、やっぱりこいつ嫌い」

 

「そういうなって」

 

よく見れば、簪も同じ事を言いたそうな表情だ。

我慢してくれ。

 

「今日の放課後も訓練は有るんだろう。

私も参加する」

 

「は?

お前は専用機を持ってないだろう。

となると学園の打鉄かリヴァイヴを借りる事になるぞ。

貸し出しを頼んでも、順番が回ってくるのは、いつになるか判らないぞ」

 

俺の場合は、入学前に楯無さんが申請して間に合ったから良いが、二日か三日で順番が回ってくるわけでもないだろう。

 

「な、ならその三人はどうなんだ!?」

 

「簪とマドカは既に専用機を所有している。

のほほんさんは整備課で、簪の機体のデータ採取だから機体は使わないんだろうさ」

 

「…む…!」

 

なんでまた不機嫌になってるんだよ…。

 

「話は此処までにして食事にしようぜ。

そうでないと昼休みが終わっちまう」

 

その一言で箒の表情が、また一段と険しくなった。

なんでだよ。

マドカ、頼むからナイフを抜くなよ。




本日二回目の投稿になりました。
今回はちょっと長めでお送りします。
今日も一夏君はあちこち走り回ってばかり。
大忙しでした。ちょっとは休ませてあげたい今日この頃でした。
そしてオルコッ党の皆さん、本当にごめんなさい。
それでは次回の投稿日にてお会いしましょう。

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