IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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Q.『FATE』シリーズと言えば
蒼の『stay night』
紅の『Unlimited Blade Works』
紫の『Heavens Feel』
幻の『Hollow Ataraxia』
黒の『Zero』
暁の『Apocrypha』
月の『EXTELLA』
紺の『FOXTAIL』
白の『CCC』
虹の『GRAND ORDER』
桃の『プリヤ』
金の『Strange Fake』

など種類が様々ですが、登場するサーヴァントで、どんな英霊が好きですか?
ランクごとに教えてください。

P.N.『万色』さんより

A.こんな質問がマジで来ました。
なにやら聞き覚えのあるタイトルに、聞き覚えの無いイメージカラーが付けられていますが、前半4つはほぼほぼ同じなのでは?
まあ、それはさておき

セイバー
『ジークフリート』『シャルルマーニュ』

アーチャー
『エミヤ』『アタランテ』

ランサー
『クー・フーリン』『スカサハ』『カルナ』

キャスター
『玉藻の前』

ライダー
『イスカンダル』

バーサーカー
『ヘラクレス』『フランケンシュタイン』

アサシン
『佐々木小次郎』

ルーラー
『ジャンヌ・ダルク』

こんな感じですかね。
GRAND ORDERはプレイしたこと無いので、詳しくないのですよ。
そしてこれ以外にランクがあるのかどうかも…。
他も、アニメやコミックなどの情報だけです。


獄雷冥魔 ~ 双厄 ~

Tatenashi View

 

「状況は…最悪よ…」

 

一夏君が水面から飛び出した後、言える限りの状況をまとめて言うと…その二文字に尽きた。

私自身、そう言える以外に何も言えなかった。

頭の中でも目の前の状況が整理できていないし、理解も出来ない。

右手で握る槍、『蒼流旋』に視線を向ける。

その穂先は、3割程が失われていた。

『破壊』されたわけじゃない、『潰された』わけでもない。

あの機体が生じさせた何かに『触れた』だけで、そっくりそのまま消失させられてしまっていた。

もっとも、それに『触れた』という感触も無い、『突き刺した』際の抵抗感も無かった。

 

「まったく、なんなのよ、アレは…!」

 

『蒼流旋』を収納し、『ラスティー・ネイル』へと持ち替える。

これまで消失させられたら、『水蒸気爆発(クリア・パッション)』か『禊星(海流槍)』に頼るしかない。

 

「来るわよ!散開!」

 

再び、最悪のオーダー(絶叫)が響いた。

 

「『虚無の統括者(ヴァニティー・ルーラー)』ァァァァァァァァッッ‼‼‼‼‼」

 

あの絶叫の直後から、黒い球体があちこちに現れ始めた。

 

灰色の機体がそのまがまがしい翼を広げ、両腕の鉤爪がレーザー刃を纏うのが見えた。

ギリギリで回避、それでも、通り過ぎた衝撃だけで方向感覚が失われそうになる。

 

「…また…!」

 

ギリギリで回避したその先にはあの黒い球が浮かんでいた。

その黒い球に触れるだけで、問答無用で『破壊』や『分解』の工程もすっとばかしたかのように、消失させられる。

最悪、シールドや絶対防御ですら貫通しうるかもしれないその攻撃は『回避』をする以外に防ぐしかなかった。

 

「一夏君!」

 

「こっちは大丈夫です、なんとか!」

 

一夏君はといえば、輝夜の機動性能にものをいわせて強引に回避をしていた。

 

「気を付けて!

その攻撃には、防御が出来ないわ!

『回避』を徹底して!」

 

「了解!」

 

右腕の龍の顎に挟まれ、振り回されている機体、『震牙(ファング・クェイク)』が何なのかは知りたいけれど、ああやって助けている以上は敵ではないらしい。

それよりも、またどこかで女性をひっかけてきたのかしら、キッチリと話をする必要性がありそうだわ。

 

 

 

Ichika View

 

「ったく、なんなんだよ、アレは…⁉」

 

楯無さんが俺の名を呼んだ途端に、悪魔のような機体の攻撃が俺に集中し始めた。

こちらの行く先を阻むかのように黒い不気味な球が空中に浮かび始める。

直線軌道を阻まれ、エッジ、フック、急速旋回に直角方向展開を強制させられる。

破壊できれば一番だと思って、武器を呼び出し、投擲してみたが、まるで意味がない。

突き刺さるどころか、貫通もしない、それどころか、武器が消失している。

冗談抜きで『回避』以外に手段が無い。

 

「輝夜、アレがなんなのか解析出来るか?」

 

『う~ん、よく判らない』

 

あの黒い球体の内部で何が起こっているのかもわからない。

かと言って手を突っ込めば間違いなく手が無くなるだろう。

むしろ消失させた質量もどこに行ってるんだよ⁉

 

「黒翼天、お前としてはどうだ?」

 

『興味が無ぇな』

 

興味云々の話じゃなくてだな…。

 

消失させられた武器、『ヘリテージス』を再び見る。

球体に触れた場所だけが無くなり、その断面はまるで切られたバターのように滑らかだ。

かといって、レーザー刃のような光学兵器のわけでもなさそうだ。

 

「ちぃっ!しつこい!」

 

どういうわけか、この灰色の機体、先ほどから俺ばかりを狙ってきている。

だが、その攻撃範囲はほぼほぼ見境無し。

俺さえ殺せればいいようで、そのためのリスクだの破壊損傷はまるで気にかけていない。

お陰様で、背後の港は、『港』が存在していた形跡すら今となっては見えない。

あの潜水艦も黒い球体に飲み込まれ、原子炉もまるで最初からそこに『無かった』かのようだ。

 

「死ねェェェェェェェッ‼」

 

コレである。

先ほどからの搭乗者の絶叫が耳を劈いてくる。

この声には、聞き覚えがあるような、無いような…、感覚としても曖昧だ。

黒刀『天龍神(あまのたつかみ)』を左手に握りなおして、鉤爪を受け止める。

拮抗させながらも強引に横なぎに振るい、距離を開いた。

 

「おい、いい加減、離れろ」

 

右腕の龍咬(たつはみ)に高圧電流を流し、イーリス女史の意識をたたき起こす。

この御仁、振り回されている間に気絶してやがった。

 

「あばばばばばばばばばば⁉

って、テメェ何しやがる⁉」

 

「悪いが、邪魔。

アンタを庇ったままじゃ戦いに集中出来そうにないんでね」

 

あの黒い球体は確かに厄介すぎる。

防御不能、現れる箇所はそれこそ直前まで判らない。

イメージインターフェイズを利用しているのだろうが、明らかに第三世代兵装で操れるであろう領域を超えている。

 

イーリス女史をほっぽり出してから灰色の機体に刀の切っ先を向ける。

 

改めてその機体をじっくりと見てみる。

両腕が肥大化したかのように太く、その先端の鉤爪(クロー)はそれだけでも、触れるものを抉るかのようだ。

下半身も、灰色に染まっているが、上半身のそれに比べれば、聊かスマートな方だ。

そして背面には、灰色の巨大な翼。

あれのおかげかどうかは知らないが、驚く程に機動性が高い。

メルクのテンペスタにも並ぶ程だ。

搭乗者の顔は…あいにく、仮面のような装甲に覆われていて見えない。

とはいえその搭乗者は先の声からして

『女』であることは明白だった。

 

ドクン、と嫌な鼓動を感じた。

 

「ふ…ふふふふふ…アハハハハハハハハハハハハ!

やっと!やっと殺せる!オータムを殺したこの小僧を!

ねぇ…織斑一夏ぁぁ…!」

 

…名前は知られてるよな、傍迷惑にも全世界レベルで。

だが、あの女は誰なのやら。

まあ、さして興味は無いつもりではあるが。

そして…『殺した』?

『オータム』?誰それ?

凛天使だとかが学園の先の大橋で待機してテロをしてきたから切り刻んだおぼえはあるけど、そのなかのその他大勢の誰かですかね?

あいにく全員顔を隠していたから覚えてないんだわ。

顔も名前も知らないよ、それに、殺そうとしてきたのなら、逆に殺される覚悟もしとけっての。

 

『………そうか………』

 

「ん?どうした黒翼天?」

 

『…お前一人の力でやってみろ、不足だと思えば俺が出る』

 

うわ、この野郎、高みの見物に浸るつもりかよ。

 

『来るぞ』

 

「っちぃっ!」

 

もの前に降り注ぐかのように黒い球体が迫ってくる。

やれるところまでやってみるしかないか!

 

 

 

 

Tatenashi View

 

「何というか…蚊帳の外になっちゃったわね…」

 

スコール・ミューゼル、あの女が一夏君に夢中になっている間、完全に私は手持ち無沙汰になってしまっていた。

あの二人、完全に1対1の戦いにのめり込んでしまっている。

けれど、信じられないことにも、一夏君が劣勢に立ってしまっていた。

武器を呼び出して射出しても、雷を発しても、あの黒い球体に触れた途端に飲み込まれてしまうかのように消失してしまう。

 

飲み込まれる(・・・・・・)…?」

 

自分で言った単語にふと何かが繋がりそうな気がした。

けど、今は四の五の言ってられないわね。

あの勝負にケリをつけさせるためにも、今はそのための準備をしておかないと。

そう思い、私は双槍『禊星』を握りなおす。

 

「あと五分、なんとか 耐えてよ、一夏君」

 

広範囲にナノマシンをまき散らす。

全ての海は私の手の中に…!

 

 

 

Ichika View

 

「キリが無い!」

 

レーザー、荷電粒子砲、刀剣射出。

その悉くがあの黒い球体の前に飲み込まれていった。

その隙を掻い潜っては灰色の機体は近接戦闘を仕掛けてくる。

距離を開けば球体を出現させては進路を塞いでくる始末。

 

「お前さえ…お前さえ居なければ…オータムはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…!」

 

だからオータムってどちら様?

そんな小言を口にする余裕もない状態だった。

 

だけど、何とか活路は見いだせていた。

近接戦闘をしている間は、あの黒い球体を使用する頻度は低い。

つまりアレは、味方や自分自身に対して無効化されるような識別性能は無い。

たったそれだけでもわかれば、勝機は多少は見えていた。

全てを無に帰すと言うのなら、それの中心に閉じこもったまま突進なりすればいいが、それも出来ないということだろう。

なら、対処方法は限られてくる。

 

「一か八か十六か、試してみるか!」

 

背面の翼を一気に開く。

新たに抜き放つのは、金色に染まる大槍『灼陽槍(ヴァサヴィ・シャクティ)』。

ドイツで学んだ高速旋回技術と、鋭角方向転換を連続で、ランダムに繰り返す。

更にダメ押しで…!

 

「『災厄招雷』…!」

 

眼前に黒い球体が飛来する。

ギリギリで回避、だが左肩の装甲がわずかに削られる。

やはりシールドも絶対防御も意味を成さない。

しかも削られたところは、まるで切り裂かれたかのように滑らかな断面が見える。

それも一瞬(・・)で。

脳裏にそれの可能性が浮かんだが、振り払う。

だが、その可能性があまりにも濃厚すぎた。

それは、人間が扱える許容量を大きく超えすぎている力、世界そのものに、消えない傷跡を刻む存在だ。

それどころか、世界そのものが消滅させかねない存在だ…!

 

「絶影流…終式『無影 月皇』!」

 

だが、この搭乗者は、機体の力に振り回されているのが見えた。

最初はこちらの機動性を殺されていたが、時間が経つにつれ、その動きが緩慢になってきている。

黒い球体を生み出すばかりで、動きも鈍くなってきている。

何というか…アレだ、ヒステリーを起こした女のように八つ当たりのような感じだ。

 

『…コアの感情が抑圧されてきてる』

 

輝夜のその言葉が俺の胸の内に響いた。

なるほど、あの様子ならコアの性能が著しく削られてしまっていそうだ。

 

背面から一突

 

続けて懐から横薙ぎに、真上から右肩を貫く

 

下段から右膝を砕く

 

槍の柄でその顔面を覆う仮面を割る

 

その勢いのまま、腹部に渾身の力で膝蹴りを叩き込む

 

「ゲボォッ!?」

 

吹き飛んだ先へと切っ先を向ける。

一応、火加減はしておく。

 

()き尽くせ!」

 

槍の穂先が開き、灼熱の刃が現れる。

そのまま槍を投擲

 

 

だが黒い球体が現れ、飲み込まれた。

本当に便利なものだな、アレ。

攻撃にも楯にもなり、物理攻撃の運動エネルギーとかも消滅させられる。

それだけに、その黒い球体の正体は確信へと近づいていた。

 

「黒翼天…あの黒い球体の正体は…       だろ?」

 

 

 

 

Tatenashi Vew

 

準備は整った、この攻撃で決める。

 

「さあ、行くわよ、ミステリアス・レイディ!」

 

蚊帳の外にされてしまったからこそ、準備をする際には邪魔が入らずに済んだ。

これが、私とミステリアス・レイディの真骨頂!

 

上空には巨大な水のレンズ、そこに太陽光が当てられ、収束する。

 

「一夏君!下がって!」

 

黒白の龍の姿をした機体が瞬時に離れるのを確認し、一気に光を収束させる!

 

果てること無き蒼の息吹(リヴァイアサス・ブルー)‼」

 

太陽光がそのまま長大出力のレーザーへと変化し、大気中の水分を連鎖的に蒸発、気化させていく。

水が水蒸気へと変化する際の膨張率は1699倍。

それが大出力で、超連続で繰り出される。

簪ちゃんへも使ったけれど、場所が違えば使い方も違ってくる。

これで…!

 

「多分、届いてないと思いますよ、楯無さん」

 

「なんの冗談?ここまでやってびくともしてないだなんて事は…」

 

んもう、変なフラグを立てようとしないでよね。

 

「あの黒い球体の正体が判った」

 

あの妙な球体?

あれに関しては、私は判らず仕舞いだったから、今は思考の外に追いやっていた。

あれが判ったのかしら?だとしたら対処方法も自ずと…。

でも、それは私の想定を遥かに超え…戦慄した。

 

「あれの正体は…ブラックホール(・・・・・・・)だ」

 

…は?

 

ブラックホール、それは宇宙に関する本を開いた人間なら誰しもが知っている存在。

曰く、『宇宙の墓場』

曰く、『星の成れの果て』

曰く、『光すら飲み込む貪欲の闇』

 

そんなもの…人間がどうこうできるレベルや次元を大きく超えてるじゃないのよ!?

 

「あの機体は、単一仕様能力(ワン オフ アビリティ)に重きを置いて設計されたんだと思う。

アレ以外の攻撃に関しては熟練者が扱う平凡なものでしかなさそうだ。

あの生成されたブラックホールは無尽蔵に物質やエネルギーを飲み込む性質を持っているが、あくまでそれはその球体に入った物にだけ作用するらしい」

 

「充分厄介すぎるんだけど!?」

 

「その面、搭乗者への反動が大きいと見てます。

時間経過に伴って理性がイってるみたいなんですよ。

言うなれば…搭乗者の人格を辛うじて残して作動するVTシステムみたいな感じですかね」

 

この5分近くでそこまで見抜いているだなんてね。

一夏君が普段から何を考えながら刀を振るっているのかよく判らなくなってくるわ。

というより、VTシステムについても一応簡単なことは知っているらしい。

 

水煙が晴れてくる。

その先には…一夏君が言った通り、あの灰色の機体が居た。

それも、多数の球体を衛星のごとく旋回させながら。

 

「一夏君、変なフラグ立てるのは辞めてくれない?」

 

非難めいた視線を送りながら一言文句を言ってみる。

だけど返ってきた返事はといえば

 

「…何の話だ」

 

……ああ、とうとう出て来ちゃった…。

 

突き出される左手。

そこからあふれ出すどす黒い闇と雷。

背面に広がる翼も色を変えていく。

 

「…『冥王』の次は『魔龍』の降臨?

いつから日本は人外魔境の万魔殿(パンデモニウム)になったのよ…?」


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