IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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皆さんから色んなリクエストをいただきました、あの競技です。
皆さん『Fate』シリーズ好きですよね。
私もその端くれですが、にわかファンですが。
リクエストされたジャンルが重なり過ぎて、一部のリクエストを無効にさせていただきました、申し訳無い。
ですが、その分カオスさは増しているかと思います。

追記
こんな前振りしてますが、今話は『Fate』シリーズに全く触れてないです
それではどうぞ。

え?山田先生?
いや、彼女はいいんです、すでに女子生徒と同じく体操服姿(ブルマ)ですから。
クリーニングに出してたジャージが縮んで大変な事になってるそうです。
そうでなくともパツンパツンですが⬅セクハラ


獄雷冥魔 ~ 羞走 ~

Chifuyu View

 

どうしてこんな事になったのだろうか。

そんな自問を繰り返したところで答えなど出る由もない。

 

「…はぁ…」

 

「大丈夫?ちーちゃん?」

 

「大丈夫なわけが無いだろう、見て察しろ。

気分は最悪だ」 

 

「それこそ大丈夫そうだね、『最悪だ』なんて言ってる時にはもっと最悪な時よりも余裕がある証拠だろうから」

 

ネガティブ過ぎるのかポジティブ過ぎるのか判らん思考は止せ!

死にたくなってくるだろうが!

 

「まあまあちーちゃん、こんな時には考えてみようよ。

20代の青春の一ページが新たに刻まれるって」

 

メモリアルにそんな黒歴史は必用無い筈だろう!

クソッ!コイツは今回見物するだけだからこんなにも余裕なんだな!

後々にコイツが中学生の頃の黒歴史を暴露してやる!

 

「…もういい、さっさと終わらせよう」

 

『お~っと!織斑先生が『終わらせよう宣言』!

やる気もコスプレ魂(やる気)があふれてるぞ~!』

 

「違うわ!そういう意味で言ったんじゃない!」

 

コスプレをしたいんじゃない!

さっさとこのデモンストレーションを終わらせたいだけだ!

誰が好き好んでコスプレなどするか!

 

「では千冬さん、第一走者はお任せしますね♡」

 

「おい、おい待てクロエ!?」

 

そんなつもりで言ったんじゃない。

にもかかわらず第一走者にされてしまった。

 

「第一走者の中で一番の健脚って織斑先生ですよね。

一番に衣装を披露することになるのは…どう考えても織斑先生になるかと思われますが…」

 

「布仏、お前もか…」

 

コイツもコイツで健脚だったとおもうんだが…コイツ、なにかをやらかす気だろうか。

 

「なんで私まで…」

 

篠ノ之はといえば頭を抱えている。

まあ、私も同じような気分だ。

何がうれしくてコスプレなんぞしなくてはならないのか…。

 

既にスタートラインには各第一走者が揃っていた。

第二走者はといえば、少し離れているだけだ。

我々がゴールした後に走り出すのを準備しておけばいいだろうからな。

 

やりたくない

 やりたくない

  やりたくない

   やりたくない

 

そんな思考を巡らせながら生徒の状態を見て現実逃避してみる。

おい束、なぜ貴様はここぞとばかりにカメラを持っているんだ。

 

「くーちゃん頑張ってね~。

箒ちゃんも頑張れ~、ついでにちーちゃんも!」

 

私はついで(・・・)か!

そんな風に思っているのなら退場するぞ!

 

 

 

Houki View

 

何でこんな事になったんだろうか。

姉さんが籤引きをして指名してきたようだったが、あまりにも作為的なものを感じてしまうが、今になって確かめる術も無く、チームのみんなに追い出される勢いで押し出されてしまった。

あんまりにも気分が憂鬱だ。

 

仮装障害物競走のデモンストレーションに私を使うとか…。

穴があったら入りたい、この際一学期に常連になってしまった懲罰房でも構わない…。

 

「布仏先輩は恥ずかしくないんですか?」

 

「恥ずかしいですよ、妹の本音なら喜んでやりそうな気がしますけど、私は違いますから。

…後で体育委員会と新聞部にはキッチリ地獄を見せておかなければなりませんね。

生徒会に黙ってこの競技を通させたことについては大問題です」

 

「だったら競技中断は…」

 

「午前中の借り物競争を競技中断したので、立て続けに競技を中断だとかができないので…」

 

そういうものなのか…。

…その二つに所属しておかないで正解だったかな。

現在は剣道部所属しているだけだったし、籤を引いた際にその防具とかを引き当てられたら御の字だ。

あれなら仮装とか衣装とか呼ばずに済む代物だからな。

 

それを引き当てることを願っていよう、切実に!

 

 

 

Tatenashi View

 

人を呪わば穴ふたつ。

とはよく言ったものね、簪ちゃんが色んな格好をしてるのを見られるかも!とか微かに思ったけど、私がデモで参加させられるとは思わなかったわ。

憂鬱だわ…。

虚ちゃんに黙ってこの競技を通させたのが運の尽きだったかもしれないわ。

軽々しい気分で物事決めるのはよくないわね、今になって思い知ったわ。

 

「まあ、簪ちゃんや一夏君のコスプレを後で見られるのなら」

 

あ、コレ以上は口に出さないでおこう。

足元に霜がたち始めてる。

もう氷漬けはお姉さんは勘弁願いたいわ。

 

第一走者

 

教師枠

織斑 千冬

 

生徒会枠

布仏 虚

 

一般生徒枠

篠ノ之 箒

 

全員がスタートラインに並んだ。

黛ちゃんがわざわざ学園に呼び込んだ弾君が朝礼台に立ってる。

ああ、ただただ時間を過ごすはダメだってことで一夏君が仕事を押し付けたのかしらね。

いつかの一夏君のように手に撥が握られている。

 

「んじゃ、位置について…ヨーイ…」

 

ドドン!

 

締太鼓が鳴らされた。

一夏くんの体質を考慮して銃を合図に使えないからこういう配慮がされてるのよね。

さてと、どんなコスプレを見られるんだか。

 

 

Chifuyu view

 

さっさと終わらせて酒盛りに入ってやる。

そのつもりで全力で走る。

恥をかく瞬間など短ければ短いほどいいはずだ!

 

≪お~っと!織斑先生がいきななりトップに躍り出た~!

そこまでコスプレをしたかったのかぁっ!≫

 

「違うわ馬鹿者ぉっ!

さっさと終わらせたいだけだ!」

 

黛、後で粛清か説教か懲罰かどれか一番嫌なものを選ばせてやる。

 

適当に走り抜け、籤引きの前にまで到達する。

商店街にもあるドーム型の機械の中を空力で籤が縦横無尽に巡っている。

中には壁面に張り付いてしまっているものもあるようだった。

…考えても埒が明かん、腕を中に突っ込む。

 

「痛っ!痛つつつつつ!」

 

手や腕に籤が叩くような勢いで当たってきて痛い。

 

『難儀してるわねぇ、千冬』

 

他人事のように言うな、暮桜!

 

籤を一枚掴んで腕を機械から引き出す。

 

「…番号は…」

 

42(死に)番だった。

嫌な番号を引き当てた……!

 

 

 

Houki View

 

千冬さんが籤引きの前で呆然としているらしく、固まっている。

籤引きだけではどんな衣装にさせられるのかは判らない筈だが…。

 

「…あ…」

 

見えた。

その番号がなんとなく嫌な番号だったようだ…。

 

「さてと…」

 

「じゃあ、籤を引いてみましょうか」

 

布仏先輩と同時に機械に腕を突っ込んだ。

痛い痛い痛い痛い痛い!

 

どんな速度で籤を回してるんだ。

あ、腕を切った!痛い!

 

「ええい、コレだ!」

 

これ以上中に腕を突っ込んでいたらまた怪我をしさで、たまたま掌に張り付く勢いで飛んできたものをつかみ取った。

番号は…89()番?

 

「…えっと、後は…」

 

やや離れた場所に入っているロッカーから中に入っている箱を取りして、それを抱えて天幕に入って着替え、着替え終わったらセリフを言ってから残りの距離を走るんだったか。

…マトモな衣服であればいいが…。

できれば制服とか、剣道の防具の類とか。

私に似合うのは後者くらいかもしれんが。

ひとまず走るか。

 

籤をひいてから20m程走り、ロッカーの前に立つ。

鍵を挿し込み、扉の中は…空っぽだった。

どうなっている?

 

「あ、篠ノ乃さん、もしかして89番?」

 

「あ、ああ…そうだが…」

 

「ごめん、その番号なんだけど、ノリと勢いだけで作ったもので…」

 

果てしなく嫌な予感がした。

 

「ぐ、重いな…」

 

隣で千冬さんがロッカーから取り出そうとしていたが、かなり重たいらしく息を挙げている。

何故か知らないが、身の丈程の両刃の剣が…。

このロッカーはどうなっているんだ?

 

「これは…妙に軽いですね…ん?奥に槍?」

 

逆に布仏先輩のは軽いものらしいが、ロッカーから金属塊がついた長柄の武器?だろうか?それらしいものが出てきた。

 

「えっと…私は…あ、…って…え…」

 

ロッカー裏に案内された先には、やや地面を抉っている段ボール箱。

持ち上げようと思ったが、と随分と重い、超重量だ。

中身がハズレでないことを祈りたい。

 

だが重量としてだけは大ハズレな事確定出来たので、それを前に抱えて…と行きたかったが無理だったので押していく事にした。

なんで荷車すら無いんだ。

私より先に高いペースで布仏先輩が走っていくのが横目に見える。

 

「恥ずかしくないものがいいですね」

 

「同感です」

 

「期待はできそうにないぞ、今年の体育委員は混沌としている」

 

二人がでぼやきながら設置されていた更衣スペースに入るのを見送りながら私は箱を押した。

あまりにも重すぎる為、チームメイトにも手伝ってもらったが苦労した。

 

遅れる形で天幕に入ったが、この中で着替えるらしい。

さてと、箱をの中身は何だろうか?

楽しみではない!断じて楽しみではない!

 

『さあさあここで天幕をライトアップ!

更衣中のシルエットが影絵のようにみえちゃいます!』

 

なぁぁっ!?

 

周囲から光が迸ってくる!

まさか!、この天幕に姿が映っているのか!?

 

「黛、貴様ぁぁぁぁっっ!!!!」

 

「み、見ないでくださいぃぃぃっ!」

 

「見るなぁぁぁぁぁっっ!!」

 

なんでこんな目に遭わなきゃならないんだ!!

 

 

 

Ichika View

 

「二人ともタイミングが凄いな」

 

マドカはともかくとして、簪はチームが違うわけだが、その二人がかりで両手で目隠しをされた。

前が見えない、真っ暗だ。

今日も二人が仲良しで安心だ。

 

「一夏、見ちゃ駄目」

 

「兄さん、目を閉じてて」

 

それよか前に目隠しをされているんだがな。

さて、弾の奴は…?

 

「…ブハッ…!」

 

鼻血でも垂れ流しにしているリアクションでもしているらしい、このスケベ大魔王め。

幻滅されても俺は知らないぞ、自業自得だ。

 

その合間にも

 

「なんなんだこの衣装はぁぁっっ!?」

 

「こんなの恥ずかしいですぅっ!!」

 

「被覆同好会ぃっ!貴様らこんなものをどこで用意したんだぁっ!

予算管理はどうなっているんだぁっ!!」

 

「後で活動縮小命令を出し…いえ、廃部にさせますからぁっ!!」

 

そんな絶叫が絶え間なく響き渡った。

後手に回るのって本当にヤバいことなんだなぁ、見てもないのに実感した俺だった。

んで、俺への目隠しはいつまで続くんだ?

 

 

 

Kanzashi View

 

ジャッ!

 

そんな音がして天幕の一つが開かれた。

一番に出てきたのは千冬(義姉)さんだった。

 

「「えええぇぇ……」」

 

私とマドカの声が揃った。

 

太腿丈のワンピース、胸には褐色のビキニアーマー、腰には褐色と桜色のアーマーを着け、両腰を覆っている。

二の腕は白いふっくらとした布で隠され、両肘に桜色のスパイクが付属した褐色のガントレット。

足にも爪先、膝に桜色のスパイクが付属した頑丈そうなブーツだった。

一番に違和感を感じたのは頭についたウサミミ(・・・・)のカチューシャだった。

手に持っている大剣も刀身が二つに分かれており、それもがウサミミを連想させる。

 

で、千冬さんが言ったセリフが

 

「なんですと―!?」

 

だった。

あ、着替えが終わったら決め台詞を言わなきゃダメなんだっけ。

それにしても千冬さん、頭の上のウサミミが違和感として仕事しすぎてた。

一夏に見せなくてホントに良かった。

 

『『『ウサミミ大剣士キタアァァァァァァッッッ!!!???』』』

 

周りのリアクションも酷かった。

 

 

 

Madoka View

 

姉さんが走り出し直後

 

ジャッ!

 

次に天幕から出てきたのは虚さんだった。

 

「「うわぁ」」

 

虚さんも派手だった

 

胸にはスポーツタイプのブラを模した簡素な衣服。

でも、それは布製ではなく革製だ。

左肩からコバルトブルーの布を流し、腰を覆い、ベルトで留めている。

丈がそれでも余っているのか、右腰あたりからスカートのように延びている。

そのためか左足は剥き出しの状態。

左の二の腕には獣を模したペイントシールが張られ、足には踵と爪先が露出した革製のブーツ。

両耳には獣の牙で作られてようなイアリングが飾られていた。

 

「奇跡はウチらの得意技だぁっ!」

 

それが虚先輩の声だった。

そのまま槍を担いで走り出した。

 

「ブッハッ!」

 

すぐそばで弾が尚の事、鼻血を吹き出しながら、虚先輩に向けてシャッターをバシャバシャとカメラを暴れさせている。

見ないでくださいってあれだけ言われてたのに…、ドン引きだ。

 

周りの悲鳴はといえば

 

『最強の槍使い御姐様ああぁぁぁぁっ!!!』

 

 

それとほぼほぼ同時に箒が出てきた。

…うん、姉さん同様に違和感が仕事をしていた。

姉さんがウサミミなら箒は獣人ということはなかった。

 

とはいえ服装…もとい衣装も問題だ。

露出は少ないようだけど、二の腕から手までは出てる。

トップスは鈍色の甲冑、その上からベージュ色のジャケット。

ボトムは、ジャケットと同じ色のズボン。

足元は、黒に近い藍色の頑丈そうな膝丈のブーツ。

脛を守る為か、装甲がついているようにも見える。。

しかも髪は無造作に束ね、背中に流し、態態垂らしたらしい前髪で両目が隠れてる。

だけど、それ以上に嫌という程に目立っているものがある。

手首を繋ぐプレート…という枷だ、そこから伸びる野太い鋼鎖に、その先端に繋がれているのは…鉄球だった。

そう、鉄球。

しかも大きさが異常で、箒が腰かける事も出来そうな程。

なんというか…囚人と鉱夫と武将を足して割ったような外見だった。

んで、決め台詞はといえば

 

「野望を抱いて何が悪い!

枷を填められ穴蔵暮らし!

小生だって…群雄割拠のぉ!端くれだそぉ!」

 

真っ赤になりながら叫んで走り出す。

 

『『鋼の厄球振り回せぇぇっ!』』

 

この学園の皆ってノリが良いよね。

疑問なんだけど、あんなの着けて走れるの?

あ、引き摺っていってる

 

 

弾は…顔の下半分が真っ赤になっていた。

理由?別に私が蹴っ飛ばしたわけじゃない。

 

今現在は姉さんがトップ、続けて虚さん、箒の順番だった。

さて、次の走者はクロエ、楯無先輩、本音だったっけ。

 

「俺への目隠しはいつまで続くんだ?」

 

「「デモンストレーションが終わるまで」」

 

兄さんはお願いだから静かにしてて。


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