IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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昨年の今頃から使い始めてたiPadの調子が悪いです。
このサイトで作品を見ようとしたら『標示エラー』が繰返し発生して閲覧が出来ないです。
こんなの初めてです。
ちなみに、『小説家になろう』『ピクシブ』も見えないです。



仮装障害物競争
現在とある読者様から寄せられている候補

一夏
『奥州筆頭』
『双天来舞』
『ソーマ・シックザール(GEB)』


『黒兎隊御用達バニーガール』
『(素肌の上から)童貞を殺すセーター』
『アリサ・イリーニチナ・アミエーラ』

楯無
『大正時代の女学生(学園祭での衣装)』
『一夏くんの冬用制服』
『香月ナナ』

メルク
『のほほんさんのペンギン着ぐるみ』
『猫の着ぐるみパジャマ』
『スクール水着』


『簪の水着(のほほんさんが仕込んだ紫のビキニ)』
『バスタオル一枚』
『ミニスカサンタ』

シャルロット
『チャイナドレス(極ミニスカート)』
『シエル・アランソンの晴れ着』

セシリア
『裸エプロン』
『香月ナナの普段着』

ラウラ
『あきら100%』
『裸エプロン』


『アリスのエプロンドレス(束さんの衣装)』
『橘サクヤの普段着』
『雨宮ツバキの普段着』

クロエ
『浴衣(極ミニスカ)』

…色々とアウトなのが…
随時意見募集中です。


獄雷冥魔 ~ 背傷 ~

Ichika View

 

…湯船から出ようと思った度に簪が手や腕を掴んでくるは、しがみ付いてくるはでもう諦めた。

まあ、理由が思いつかないと言えば嘘になる。

俺が休学している間は、簪を学園に置き去りにしているような状況だし、例のスケジュールにも文句はあるだろう。

まあ、それはさておいといて、やはり寂しかったと言えばそれも理由になる。

 

流石に今回ばかりは黒翼天も諦念に満ちているようだ、後が面倒そうだけどさ。

今回の『入浴時に突撃』は多分楯無さんの仕業だろう、明日は朝食抜きと昼飯抜きの刑だ。

晩飯は学園の学食に頼れ。

その代わりに、休学明け翌日には弁当を作るから。

 

「んで、どうしたんだ?」

 

「えっと…自分でもよく判らなくなってきた…」

 

なんだそりゃぁ。

 

「一夏は学園に戻ったらどうするの?」

 

どうする、と言われてもな…。

俺のやることはさして変わりはしないだろう。

早朝訓練、昼も訓練、放課後は調理実習の監督だとか、生徒の訓練の監督、生徒会の補佐だとか。

そのほかにも、アリーナの使用権を求めての諍いに引っ張り出されたりとか。

そんな感じだろう。

学園内で体のいい裏方仕事ばかりだ。

それと研究開発もあるよな。

ESの研究開発だとかでも大忙しだ。

さらには来期から入学してくるであろう男子生徒の為の環境造りも必要不可欠だ。

 

あまりにも多忙過ぎだとおもったから、あちこち削ったりして仕方なしに渡すことになったスケジュール帳の中身が落ち着いたというわけだ。

落ち着けるようになったら、またいろいろとスケジュールを差し込むかもしれないが。

一人で何とか回しきれるに至ったスケジュールだ、皆で分担とかしたら回しきれるだろう、それと千冬姉はいい加減自分の部屋くらい掃除できるようになってくれ。

 

「今までと変わらないだろうな」

 

多種多様な方面に明け暮れ続けることになる。

それも俺としては悪くない。

やりたい事があまりにも多い、そしてやりたいと思うからやる。

それが俺のありようだ。

薄っぺらい人格だとは多少なりには思っているけどな。

ただただ周りにいいように、思い通りに振り回され続ける人生だなんて俺は御免だね。

 

「やるべきことを見つけているから、それを極めるだけさ」

 

「本当に立ち止まらないんだね…」

 

まあな。

あまりにも多くの事をやろうとしていても、周囲からは理解されないだろう。

理想を求め、理解を求めぬ夢への邁進、というわけでもない。

思想に依存した暴威になる気も無い。

俺は俺なりの旗をあげるだけだ。

 

例え、万人からの理解ができなくてもいい。

理解者が少なかったとしても、だ。

少なかったとしても、居ないわけじゃない。

例え数人程度だったとしても、理解者が後に遺すであろう想いは消えないと信じられるから。

 

その為にも俺は走り続ける。

俺が走り続けた足跡は誰かが歩むことで道へと姿を変えていくだろうから。

 

「ああ、どこまでも走ってやるさ」

 

それに一人で走り続けているわけじゃない。

隣には簪が、そして俺を追ってきている頼もしい奴らもいるんだ。

 

「さて、それじゃあ俺は風呂から出るよ。

簪はごゆっく…」

 

「…ダメ」

 

また腕にしがみついてくる。

二の腕に感じられる水風船のような感触に目が回りそうになる。

 

簪お嬢様、いったい何をされたいので?

 

「もうすこしだけ、このままでいたい…」

 

俺の個人的な都合ではお断りなんだがな…。

背中全体には大火傷の跡、脇腹には無人機にやられた大きな裂創。

前面に関しても、銃創に裂創と人に見せられないような…というか、一生涯消えることのない傷跡がずっと残っている。

早い話、見られたくないんだがな…。

そして先ほどから二の腕だとか背中に触れる水風船のような感触が脳への刺激としては強すぎる。

なお、簪が湯船につかり始めてからかれこれ10分は過ぎている。

…逃げていいかな?

 

とはいえ、ここで気絶させても後々が面倒だ。

あ、とうとう背後から抱きついてきた。

 

…俺だけ休学して学園に一人で居させてしまっているんだ、今回のコレは俺なりの贖罪の一つとして目を瞑っておこう。

…可能であれば背中に触れる感触はこの際無視しておくが。

俺とて男の端くれなんだがな…湯浴着越しでもこの感覚は辛い。

こういう時には…別の事を考えるべきだな。

 

 

 

 

Kanzashi View

 

自分でも何を口走っているのかよく判らなくなってきた。

熱めのお湯に長いことつかってきているんだから、頭の中までものぼせ上がっているんだと自分に言い聞かせることで意識を保っておく。

それでも、私は一夏を引き留めておきたかったし、安心したかった。

 

このままでは一夏が私の知らないどこかに居なくなってしまうんじゃないのかって思ってしまったから。

 

学園祭以降、一夏が自ら心を抉り取った悪夢の記憶を見ることがあった。

恐怖を刻み込まれ、怒りに飲み込まれ、殺戮という禁忌を犯し、絶望に心が砕けそうになった。

心が砕けるよりも前に、自ら抉り取った。

自分に対し、究極の否定をすることで自分を保った。

それの受け皿になったのが、黒翼天だった。

黒翼天の荒々しさはそこから来ているのを私も()った。

それから一夏は生存本能を失った。

けど、代わりに芽生えたのが、『自己犠牲』ともとれるような『献身願望』だった。

自分の為ではなく、いつも『誰かの為』に動く。

 

「あのままであれば一夏は必要とあらばわが身すら捨てる。

多くの者を守ろうとしたところで、自分の命を計算に入れない。

だから…私達で引き留めなければならん。

そうでなければ…誰もがアイツを『楯』どころか『駒』と見るだろう」

 

義姉(千冬)さんも、そう危惧していた。

 

『誰かの為』に走り続け、それで多くの人に理解されたとしても、心の内側まで理解されていなければ、ただの偶像でしかないのだと。

だからこそ、私には『本当の理解者であってほしい』とまで言われた事も在った。

 

学生寮の部屋を同じにしたのも、そういう危惧があってのことだと思う。

それは悪い気はしないけど。

 

でも毎日一緒にいて、一緒に居るから怖くなる。

昨日と同じ今日、今日と同じ明日。

それを享受できるとは限らない。

あの悪夢が、それを告げているのかもしれなかった。

 

悪夢に魘されて飛び起きることも何回かある。

そのたびに隣に視線を向けた。

私が飛び起きるのに気づいて一夏も目を覚ますことはあった。

時には気付かずに眠っている時もある。

 

一夏が居てくれる。

たったそれだけで安心した。

でも、そんな温もりも失われてしまうのではないのかという不安もあった。

だから今回、私は一夏のお目付け役という大義名分をもらって二日間だけ休ませてもらった。

 

…一夏の代わりにスケジュールをさばいている皆には心底悪いことをしてしまっているというのは自覚してるけど。

それと、お姉ちゃんもついてきたのは予想してなかった、なんで着いてきたんだろう。

あ、生徒会の仕事から逃げる為かもしれない、今頃メルクにセシリア、虚さんは怒ってるかもしれない、連絡を入れてみよう。

 

「…もう、いいか?」

 

「あ、うん…!」

 

コンソールを見てみれば、あれからまた10分近く経過してた。

ザバリと音を起てて一夏が湯船から出て行った。

…一応、腰にタオルは巻いているのを見てしまったのは不可抗力だと思いたい。

 

「…私、何してるんだろう…!!」

 

湯船の中でずっと一夏にしがみついてたり、抱き着いてたり…。

自分で自分がよく判らなかった。

 

「本当ね、簪ちゃんってばダ・イ・タ・ン♡」

 

そんな声が聞こえた。

それも真上から。

 

「ハァイ♪」

 

天井の板が一枚動き、その奥には…お姉ちゃんが居た。

…デジカメ装備の状態で。

 

「…何してるの?」

 

「ウフフフ♡思い出のワンシーンを撮ってたのよ♡

このまま濡れb」

 

以下省略(氷結)

 

 

 

 

Ichika View

 

朝、俺は朝食を作っていたんだが、簪も手伝ってくれた。

簪が取り組んでいるメニューは軽めの『インサラータ・カプレーゼ』にした。

学年別トーナメントの際、訓練後にメルクに作って見せたらお気に入りになっていたメニューだ。

スライスにしたトマト、モッツァレラ、オレガノを塩、胡椒、オリーブオイルで味付けした簡単なメニューだ。

先日懐石料理を作った際に、この家の使用人だの料理人が壁や柱に頭を打ち付けたり、orz状態になっているのがいい加減にウザくなってきているので簡単なものにした。

なんなんだアンタら。

 

それを作っているのを横目にしながら、俺が作っているのは『ラビオリ』だ。

小麦粉を練って作ったパスタのあいだに、微塵切り野菜や挽肉やチーズを入れたパスタだ。

茹でたり、ソースに絡めたり、スープにしたりと汎用性が広い。

なお、コレを作ってたら料理人が例の状態になってウザくなった。

 

昨晩は結局の処、寝床も簪と共にした。

まあ、コレに関してはさして問題はないだろう。

ただ、いつもと違うのは、いつも以上にベッタリとくっついてきていた事だ。

やはり一週間以上も離れ離れになってしまっていては、寂しかったのかもしれない、まあ、コレは俺の想像でしかないわけだが。

 

朝食の際にだが、何故か知らないが、楯無さんの姿が見えなかった。

俺達が作った料理に舌鼓を打っている絹江さんと師範に訊いてみたりしたが、昨日の夕方から姿を見た者はいなかった。

んで、簪に訊いてもみたが

 

「知らない」

 

………例のオーラを漂わせて短く答えてきた。

調べないほうがよさそうだった。

朝食を終わらせた後、世話になりっぱなしになり続けるのも悪いので、バイト代わりの作業…この屋敷の大浴場の掃除を普段通りにしようと思ったのだが。

 

「…妙に寒いな…」

 

脱衣場に到着する前の時点で妙に寒い。

輝夜のセンサーを頼りに気温を気温を測ってみると…驚愕の『5℃』。

…え?何?冷蔵庫並じゃねぇの?

脱衣場から浴室に入ろうとしたが…。

 

ガチャガチャガチャガチャ

 

ドアが凍ってやがった。

仕方ないので力ずくに開くと中は『冷蔵庫並』改め、『冷凍庫並』だった。

 

「…い、い、い、一夏く…ん…た、たす…たす…助け…て…」

 

「……何してるんですか…」

 

これは…もはや芸術と言えるのではないだろうか…?

三対六翼の大天使を模した3.5m程の氷像(・・)雪像(・・)が、バスタオルを巻いただけの楯無さんを左右から熱く抱擁しているという訳の判らん光景を作り出していた。

姿が見えない原因はコレだったようだ。

機体(ミステリアス・レイディ)を展開すれば助かると思うんだが…あ、氷像に巻き込まれて凍ってやがる。

 

…察した、簪の不機嫌はこの人が原因だ。

 

風呂掃除に来た筈が、芸術品の一部に助けを求められるという、どう解釈すればいいのかもわからん光景に、対処方法も思いつかず。

 

カシャリ

 

携帯で撮影しておいた。

唇を青紫色に染め上げた楯無さんも一緒にして。

…鈴にメールで送ったら面白がりそうだ。

 

 

 

四苦八苦しながら氷を割り、砕き、溶かし、風呂掃除が終わってからは、相変わらずの訓練漬けだ。

使用人、というか護衛部隊を相手に乱捕りし、休憩も無しに師範、奥方とぶっ続けで戦闘訓練をこなす。

なお、今回は奥方は最初から鉄扇で相手をしてくれた。

楯無さんの扇子とは違い、羽を模したようなそれが幾枚も重ねられたそれは、開かれれば刃に、閉じた状態であれば鈍器として姿を変える。

まるで踊るかのような戦い方だと昨日にも思った。

そして強ぇ、時には師範以上の鋭さを見せくれる。

…ここで得られるものはまだまだ 多そうだ。

まったく、休学してるのに、どんどん暇な時間が無くなっていく。

だが、だからこそ楽しい、退屈しないでいられるのは…やはりいいな。

 

「そこまで」

 

刀を交差した扇に阻まれ、急にストップが入る。

その合図に俺も刃を引いた。

 

「くそ…今日もダメだったか」

 

師範には一度だけ勝利したが、奥方には勝てるイメージすら湧かない。

一刻も早く『陽絡舞』を会得したいのに、まるで『勝つ』ことを目的にしているような気分になってしまう。

 

「『臆裏陽』は完全にモノにしていますのにね」

 

「そりゃどうも…」

 

「ここでヒントをあげましょう」

 

一つ

見えているものだけが全てではない

 

一つ

静と動

 

一つ

不可視

 

それが奥方…絹江さんから与えられたヒントだった。

正直、悔しい。

掴みかけているはずなのに、ヒントをもらわなければ掴めない現状の自分が。

 

溜息を溢しながらも簪に視線を向けると

 

「…………」

 

なんか絶句してた。

 

改めて周囲を見てみる。

…昨日以上に道場が大変なことになってる。

これって建築物関連の保険とかで修繕費どうこうとかどうにかなるのかな…?

知らないが。

 

なお、修繕費用に関してだが、後々に聞いた話では、師範が県外に構えていたらしい秘蔵の酒蔵の酒を売り飛ばして足しにしたらしい。

いや、本当に先代当主の威厳は何処に行った?

あ、ちなみに俺も足しになればと思ってカンパしといた。

色々と斬り刻んだ張本人だしな。

 

「それにしても、またレトロなものを」

 

更識家の倉庫にレトロな大型バイクが在った為、それを使って簪と楯無さんを学園にまで送り届けることにした。

しかも今回はサイドカー付きと来たもんだ。

俺の後ろには簪、サイドカーには毛布に包まってガタガタと震え上がっている楯無さんを詰め込んで出発となった。

一応ヘルメットは被せているし、問題はないだろう。

なお、ヘルメットもこれは師範から借りたものだ。

以前使っていたものはテロリストの銃撃で砕け散った。

CBFの翌日の一個目がお釈迦になり、例の襲撃で吹き飛んで二個目がご臨終、今回の休学に入った直後に三個目が砕けているから、これにて四個目だな。

まあ、その都度都合ノーヘル運転になってしまっていたけど、不可抗力ってことで勘弁してほしい、ついでに言うと石頭だから見逃してほしい。

 

「んじゃ、出発するぞ」

 

「うん、お願い」

 

俺の休学期間終了までは残り一週間。

その為、学園側まで入るわけにはいかず、大橋のモノレール駅が目的地だ。

今回は乗っているバイクが違うからか、今回は襲撃を受けることはなかったから良しとしよう。




短い安らぎ

それでも暖かさは消えない

けれど、叶うのならもう少しだけ

次回
IS 漆黒の雷龍
『獄雷冥魔 ~ 不視 ~』

今頃は誰の胃袋に入っているのか

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