IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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祝!学園編スタート!


日常から非日常へ

Ichika View

 

えっと…この状況はさすがにキツい…。

見渡す限り…そして振り返る限り、女子女子女子…男は俺以外誰一人としていない。

それもその筈、ここは実際的には女子高だ。

それも世界規模の…。

 

10年前、篠ノ之 束 博士により開発されたオーバーテクノロジーの塊である、飛行パワードスーツ、『インフィニットストラトス』。

通称『IS』。

最初は宇宙進出を目指して開発された技術だが、宇宙進出計画はその直後に凍結され、今に至っている。

それは何故か。簡単な話だ。

便利すぎる道具は兵器にされるからだ。それは古来から続く在り来たりな話。

獣を仕留めるための道具であった槍や弓矢が武器へと変わったように、身を守るための小刀が、刀や太刀へと変化していったように、人間は、道具を常に本来の形から変貌させてきた。

道具から武器へと…。

ISも然りだ。

宇宙空間での活動を想定した翼は、そのせいで未だに青い空に縛られている。

機動性が戦闘機をはるかに超越している面も。

宇宙空間で道具を用いての作業を想定した汎用性も、兵器としての一面へと変わった。

持たせるものも『道具』から『兵装』になってしまっている。

恒星間距離すらリアルタイムでの通信可能となり、無線機代わりにも使える。。

さらには搭乗者をスペースデブリから守るエネルギーシールドとて、通常兵器も光学特殊兵装からも身を守ってくれるから、兵器としての利便性が露見してしまっている。

オマケとばかりに持ち運びも非常に便利だ、待機形態にしてしまえば、搭載されている兵装も含めて姿形がまったく見えない状態になる量子変換技術もが導入されている為、隠密、潜入すら容易になってしまっている。

 

これにより世界規模で人や企業、国家のバランスが大きく傾いた。

早い話が、兵器が最早役にも立たず、戦闘機ですらまともに相手にならないほどの機動力、兵力を持っている。

銃やライフルのような実弾兵器や、実体剣が主流だった世界の軍事バランスも大きく変動させられた。

ビームやレーザーといった遠い未来に創造されると思われていた兵装すら今はISに当然のように導入されている。

しかし、その危険性も示唆され急遽に締結された『アラスカ条約』によって世界規模で軍事転用が制限されている。

 

…で、そのISに関してのとばっちり…というか尻拭いが日本に押し付けられている。

要はISを開発、発明したのは日本人だから、それに関する教育機関を日本が運営することになった。

予算だとかは全額日本政府が負担、ただし、そこで開発された技術は世界に公表することが義務付けられている。

ひどい話だ。

束さんとしては、ISが宇宙に飛び立てないことに不満を抱えているだろう。

 

で、冒頭の俺の苦悩の理由。

それは全世界のISの全てに共通する重大な欠陥がその理由。

それは何故か、『女性にしか動かせない』との事だ。

…世間にISが発表されてから10年もの月日を経てようやく出現したイレギュラー、…即ち、今現在の俺という唯一無二の例外を除けばの話だが。

 

 

つまり、このIS学園は女子高というわけだ。

しかも全世界のお嬢様方が通っているレベルの。

そんな中に男子生徒が一人だけ居ればどうなるか…。

 

「胃が痛い…!」

 

このザマだ。

随分前、ドイツ軍駐屯地でも似たような事態になって慣れたつもりではいたが…それも一ヶ月間だけの話だ。

それに男が全く居なかったわけではない。

厨房のシェフだとか、一緒に訓練をしてた荒熊部隊は男の集まりだった。

だが、此処はレベルが違う。

学園では見渡す限り、クラスの中は振り返る限り女子ばかり。

これから三年間もの間、こうなると胃が痛むだけの話では済まないかもしれない。

しかも、俺のようなPTSD持ちだとすれば殊更に…。

 

更に付け加えていうと…物珍しさに突き刺さる視線が痛い…!

なんで俺の席が中央最前列なんだよ!?

 

今更だけど、なんで俺はこんな学園に通うハメになってんだよ!?

いや、現実逃避は辞めておこう、この制服を着てることで俺の身の安全は確保されてるんだ。

そうでなければ俺はどこぞの怪しい研究所に連れ込まれてモルモットだ。

流石にそれはゴメンだ。

 

同じクラスにはのほほんさんとマドカがいるのが救いだ。

しかし…はぁ…簪が居てくれればもう少し気分が楽だったのかもしれないけどな…

 

おっと、次はマドカの自己紹介の番のようだ

 

ガタリと音を起ててマドカが立ち上がり、クラス全体に視線を向けている。

凄まじい視線が集中してきているのにマドカはそんなものどこ吹く風、完全に受け流している。

 

「オーストラリア国家代表候補生、織斑マドカだ。

趣味は鍛錬に料理だ、これからよろしく頼む」

 

マトモな自己紹介だったようで安心した。

だがその安堵は一瞬にして吹き飛んだ。

 

「私の隣に座っているのは私の兄さんだ、侮辱や愚弄したりすることは絶対に許さないからそのつもりでいろ。

更に言えば色目をつかう奴にも容赦はしないから覚えておけ」

 

…頭が痛い。マドカ、お前まで俺を追い詰めるのか…?

そんな事を言われたら俺の立場も居場所もこの学園から吹っ飛んでいくぞ。

しかもマトモな自己紹介の方が短いってどういう事だ?

 

ドイツから支給されている精神安定剤だけでなく頭痛薬も常備すべきか迷った。

 

今後はどうすべきか本気で悩み、頭を抱える。

 

「――くん、織斑君!」

 

「は、はい…!?」

 

気づけば目の前には緑髪の小柄の女性が居た。

 

「あ、あの、皆に自己紹介をしてもらってる途中なんですが、次は織斑君の順番なんですけど何度呼んでも返事をしてくれなくて、その呼び方が悪かったですか!?

そ、それとも…」

 

「すみません、ちょっと考え事をしていて」

 

「ほ、本当ですか!?

何か私に不備があったとかそんなんじゃないですよね!?」

 

子供か、この人は?

小柄ではあるが、まがりなりにも教師だ。

そんなツッコミを入れたくなったが辞めておこう。

それにしても流石はIS学園、教員も全員女性とは…殊更に居心地が悪いな…。

けど、この空気を悪くしないように自己紹介位はしておかないとな

 

「妹のマドカからも紹介されたが、織斑 一夏だ」

 

後は何を言えばばいいんだ?

えっと…そうだ。

 

「趣味は鍛錬と料理、他には…家事が得意かな。

今年一年間よろしく」

 

…周囲からはさっきよりも視線が半端なく突き刺さる。

最早痛みすら感じてきたぞ!?

けど、此処からは重要な話になる。

多少雰囲気が重くなるかもしれないが、話しておく必要性がある。

 

「…数年前に事故に巻き込まれPTSD…精神障害を罹患している。

それと、左手に後遺症がある、握手をするくらいなら構わないが、叩いたり、殴ったりとかはしないでほしい、凄まじく痛むからな」

 

…帰ってくるのは矢張り沈黙だけだった。

マトモな自己紹介が短いのは俺もマドカも同じだった。

 

「…いつまで突っ立っているつもりだこの馬鹿者」

 

殺気!?

 

咄嗟に頭を下げると、頭上スレスレを何かが通り過ぎていく。

それが何なのか確認すると…出席簿?

 

バシン!

 

「ぐおう…!?」

 

一度振るった腕を返す刀ならぬ出席簿で額を叩かれた。

…あれは本当に紙の塊なのか!?

拳で殴られたような衝撃だったぞ!?

 

って…

 

「千冬姉!?なんでこんなところに!?」

 

バシン!

 

オマケとばかりにもう一発叩かれた。

 

「織斑先生と、そう呼べ」

 

「…はい、織斑先生」

 

「不服そうだな、追加で20発…いや30発やっておこうか?」

 

なんで増えてんだよ!?

千冬姉にそこまで殴られたら生きていられるか不安…あ、ドイツで散々シバキ倒されたけど俺、生きてたな。

そもそも『不平があろうと、不満を言わせない』が千冬姉の在り方だ。この場は大人しく座っておこう。

 

「まあ、それはともかく」

 

どうやら追加のビンタはなさそうだ。

 

「私が今年諸君の担任となる織斑千冬だ。

私の仕事は貴様等全員にこの半年でISのことを理解してもらい、使い物になるようにすることだ。

判ったか!?判ったのなら返事をしろ、判らなくとも返事をしろ、『はい』以外の返事は受け付けない!」

 

どこの暴君だよ!?

もう此処はドイツじゃないんだぞ!?

 

しかも視線は俺に向けられている。

どう見ても「これが正しい自己紹介のやり方だ」とでも言いたげだよな!?

絶対に間違ってるからな!?

 

俺の考えが正しいのか、クラス全体からは沈黙だけ…

 

「キャアアアアアァァァァァァァァァアッッッ!!!!」

 

じゃなかったか、間一髪で耳を塞ぐことに成功した。出来ていなければ昏倒していただろう。

 

 

「本物!本物の千冬様よ!」

 

「私、ずっと憧れていました!」

 

「私、千冬様に会いたくて北九州から来ました!」

 

「やさしく指導して!」

 

「時には激しく叱って!」

 

「でも時には甘えさせて!」

 

…我が姉ながらすさまじい人気だな。

何か変な絶叫までも聞こえてきたぞ。

そして絶叫を超えて音響爆弾じゃないのか?

窓硝子が結構震えているぞ。

 

「静まれ馬鹿者共!」

 

その一喝で再び静寂が取り戻された。

…まさしく覇者だな。

 

「まったく、毎年毎年よくもまあこんな馬鹿物共が集まってくるものだ。

私のところに押し付けてきているのか、それとも、狙っているのか?」

 

なんでそこでまた俺を見るんだ?

知らねぇよ!?

 

「さて、入学式を終えたばかりだが、早速授業に入る。」

 

そう、これがこの学園の趣旨だ。

この学園の卒業資格が与えられたものには、IS関連の大企業から多くのスカウトが入る。

その為にも『多くの時間をIS関連の教育を施す』。

世界を股に駆けた学園なだけある。

…尤も、男子の俺が此処を卒業しても行くあてがあるのかどうかは怪しい話ではある。

 

…あれ?自己紹介って俺の順番で終わらせるのかよ?

まだ出来てない人とかが居るみたいですけど…まあ、いいか。

文句を言ったら鬼の百連突きが炸裂しそうだ。

 

ズバシィンッ!

 

「何か失礼な事を考えただろう」

 

「…そんな曖昧な理由で叩かないでください」

 

だが俺からのクレームはスルーされた。この辺り、流石は織斑家の暴く…おっと、これ上は余計な思考は回さないでおこう。俺だって命は惜しいんだ。

 

 

 

 

 

 

早朝の入学式を終え、最初の1コマ目の授業が終わり、俺は一息ついていた。

簪たち手伝ってくれた予習のおかげで、今のところ授業に遅れることはなさそうだ。

 

「兄さん、疲れてる?」

 

「まあな、男一人でこの状況はさすがにな…。

でも、マドカは平気そうだな」

 

「うん」

 

此処でお茶でも飲みたいが、…購買があるのか怪しいし、食堂にまで行く時間は無い。

とてもじゃないが、10分間の休憩時間に行って戻るには遠すぎる距離だ。

 

「ちょっといいか」

 

「ん?」

 

声がした方に視線を向けると、長い黒髪をポニーテールにした女子生徒が居た。

見覚えは有る。それもコイツは幼馴染だ。

 

「ついてきてくれ、話がある」

 

「ここで話せないのか?

見ての通り疲れて…って聞けよ…」

 

俺の返事も待たずにその少女、篠ノ之 箒は廊下へと歩いていく。

あいつ、あんな性格だったっけ?

 

「ったく、仕方ないな」

 

「私も行くよ、兄さん」

 

「判った」

 

俺が立ち上がると、周囲の女子生徒が妙に黄色い声があがる。

何なんだ?俺、何もしてないよな?

 

 

 

 

教室から廊下にでて…わざわざ廊下の端にまで移動した場所にソイツは居た。

それも大層に腕を組んで。

マドカが途端に視線を鋭くしたが、理由は聞かないでおこう。

 

「私は一夏だけを呼んだ筈だが?」

 

「指名はしてなかった、だから私も兄さんと一緒に来た。

文句は受け付けない、その傲岸不遜な態度を改めろ」

 

「なんだと…!」

 

なんで初対面で一触即発になっているんだこの二人は…。

 

この時ばかりは頭痛薬だけでなく、更に胃薬も常備しようかどうかについて悩んだ。

ただでさえドイツから精神安定剤を支給してもらっているのに…。

 

「二人とも落着け」

 

この場は仲裁しておこう。

そうでないと話が進みそうにない。

 

「それより、…6年振りになるのか。

久しぶりだな箒」

 

「あ、ああ、久し振りだな一夏。

…で、ソイツは誰だ?」

 

「初対面で『ソイツ』呼ばわり?

浅学が滲み出してるみたい、随分と」

 

「貴様…!」

 

「だから喧嘩をするな、国際問題でも起こすつもりかお前ら二人は」

 

片や天災の妹、片やオーストラリアの国家代表候補生、国際問題だけでなく、それ以上の問題も起こしそうだ。

 

「紹介するよマドカ。

ソイツは篠ノ之 箒、俺がかつて通っていた剣道の道場師範の娘さんだ。

で、箒。

この子はマドカ、俺の妹だ。

事情があって物心つく前から外国に引き取られていたんだ」

 

「い、妹だと…!?

私はお前に妹が居たなどと聞いた事が無いぞ!?」

 

「だから事情があるって言ったばかりだ。

それについては話す気は無い。家庭の事情だけに」

 

「そ、そうか…」

 

何故かは知らないけど、箒は俺の言葉はある程度聞き入れる。

事と次第、程度にもよるが。

けど、反省とかはあんまりしてなかったような気がする。

 

「去年、剣道の全国大会で優勝したらしいな」

 

「な、なんで知ってるんだ!?」

 

「新聞だよ、俺は学校で新聞を読んでいたからな」

 

「なんで新聞なんて読んでるんだ!?」

 

「バカかお前は」

 

俺の隣のマドカがキレそうになっていた。

いや、俺の代わりに怒るのは別にかまわないけど、ナイフまでは抜くなよ。

話がややこしくなるから。

 

「バカとはなんだバカとは!?」

 

「情報収集は世の常だ、よほど貴様は世の中の情報を知らずに生きていこうとしていたらしいな。

世間知らずか、はたまた無知なのか。

そんな人間が、世間の情報を集めようとする人間を咎める理由などあるものか」

 

「…ぐっ!」

 

「はいはい、そこまで。

喧嘩を売るな買うな、売買禁止。

授業時間も近いから今回は此処迄な。

続きは次の休憩時間にでもするぞ、それに…」

 

視線を後ろに向けると…何故か人だかりが…。

俺たちは見世物じゃないのだが。

 

「周囲からの視線も痛いからな。

戻るぞマドカ、箒」

 

「判った、兄さん」

 

「仕方ない、か」

 

それじゃあ教室に戻るか。

あ、それとこれだけは言っておかないとな。

 

「箒、お前は剣道を続けてるのは新聞で知ったけど、俺はもう剣道は辞めてるんだ」

 

「なっ!?馬鹿者!どうして剣道を辞めたんだ!理由を」

 

「理由については聞かないでくれ。

俺には俺なりの事情があったんだ。

今は我流剣術をやってる」

 

その言葉を最後に俺は教室へ向ける足を急がせた。

もうチャイムは聞こえている。

 

「待て一夏!まだ話は終わっていない!

さっさと理由を…!」

 

「とっとと教室へ戻れ!」

 

ズガン!

千冬姉の出席簿アタックが箒に炸裂したらしい。

ご愁傷様だ、箒。

 

「兄さん、私、アイツ嫌い」

 

「そう言うなって、悪い奴じゃないんだよ」

 

「それでも嫌い」

 

マドカってここまで人見知りだったかな…?

一緒に過ごしてきた時間は短かったが、そんなそぶりは無かったと思うんだけどな…。

 

 

 

 

そして昼休み。

俺は前日から約束していた通り、のほほんさんと簪と合流して食堂に向かった。

途端に周囲から妙な視線に晒される。

…今度から弁当でも用意しようかな。

 

「うわ、凄ぇな…」

 

メニューは中々に見事なものがある。

皆揃って選んだメニューは日替わり定食だ。

今日の定食には焼き鮭がついている。

焼き加減も見事だ、更識家の専属料理人と比べても遜色なさそうだ。

 

「おりむ~、あっちの席空いてるよ~」

 

「ほ、本音、あんまり大きな声を出さないでよ、恥ずかしいから…」

 

簪はまだ少し人見知りが抜けてないのかな。

大きな声を出すのほほんさんに顔が真っ赤だ。

 

「あ、織斑君、此処で食事するの?」

 

「ああ、隣のボックス席に座らせてもらうよ」

 

半円状になった椅子にのほほんさん、簪、俺、マドカの順番で座る。

窓からは学園の外に広がる海も見えて中々の絶景だ。

 

「いい景色だ…」

 

「早く食べないと冷めるよ兄さん」

 

それもそうだな、いただきます。

 

焼き鮭の味は本当に最高だった。

産地直送らしく、仕入れたその日のうちに焼いたものだな。

添えている大根おろしを載せて食べると、更に美味い!

小鉢に入っている野菜の和え物もいい。

シャキシャキとした食感に、野菜の風味がそのまま十二分に活かされている。

更にご飯はこれまた産地直送のコシヒカリ。

不味い訳がない!

…輸送料も材料費も全額日本政府負担というのが釈然としないのだが。

なお、この食堂の料理人は、高級ホテルの料理長を経験した人物ばかり。当たり前だが、外部からのスカウトだとか就職だそうだ。

…バイトとして入れないのが残念だ。

 

「…美味い…」

 

俺も料理の腕を精進させないとな…。

 

「ごちそうさま」

 

俺が食べ終える頃には、皆も食べ終わっていた。

 

「一夏、ゆっくり味わってたね」

 

「本当に美味しかったからな、味わいたくなるさ」

 

「でも、兄さんの作る料理には劣ると思う」

 

「マドマドは~、おりむ~が一番なんだね~」

 

「当然だ、最高の兄さんだからな」

 

「そこまで言われると嬉しいやら恥ずかしいやら…」

 

精進します、頑張ろう、俺。

俺とマドカは一週間は自宅からの通学だから夕食を一緒にするのは無理そうだ。

昼食だけだな、一緒になれるのは。

 

「あの、織斑君ですよね」

 

先程とは反対側の席から声を掛けられた。

そこには、桜色の髪の女子生徒が居た。

 

「初めまして、イタリアの国家代表候補生のメルク・ハースです。

出来たらその…握手してもらえませんか?」

 

今のご時世はISの影響により、女尊男卑なんて如何わしい風潮が広まっている。

けど、それを気にしない人がいるのも確かだ。

このメルクと言う人も、その風潮を気にしていない人らしい。

 

「握手くらいなら構わないさ、一年一組の織斑だ、よろしく」

 

右手を伸ばし、俺は握手に応じた。

 

「国家代表候補生って事は専用機を持ってるのか?」

 

「ちょっと開発が遅れています、なのでまだ専用機持ちではないです。

イタリアで開発されている専用機って知ってますか?」

 

「ああ、話には聞いたことがあるよ、確か名前が」

 

「テンペスタ、日本では『嵐』を意味する名前の機体です。

御存知とは思いますが、イタリアのISは世界最速クラス。私に支給される機体はそれになります」

 

高機動型か。

それは目にしてみたいな。

 

「専用機が支給されるまでは訓練機を使い続けるようになるだろうけど頑張れよ、俺は応援くらいしかできないけどさ」

 

「はい、頑張ります!」

 

専用機を持つことは、全てのIS搭乗者の憧れだ、俺はそれを教えてもらっているから、その努力が生半可なものでは許されないのも理解している。

メルク、彼女にも頑張ってほしい。

 

「痛い痛い痛い痛い、誰か俺の足を踏んでるだろ、しかも一人じゃなくて二人、三人目は足を蹴りだしたな」

 

って全員かよ!?

 

「一夏、浮気しちゃダメ」

 

「浮気はダメだよおりむ~」

 

「そういう事だ兄さん」

 

だからと言って暴力はいただけませ…反省します、浮気はしません。




おはようございます。
レインスカイです。
さて、ようやく始まりましたIS学園編、そしてオリジナルキャラクターであるメルク・ハースの登場でした。
さてと、登場人物紹介にて書き加えねば。
今後にも登場してもらう予定です。

そしてマドカの自己紹介…はい、此処でもブラコンを炸裂させて見せました。
ビバ!マドカはブラコン!
そして次回は放課後から始まる予定です。
お楽しみに!

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