IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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ふう、ようやく此処まで来た。そして次回からはお待ちかねの…


イレギュラーな日常へ

そして季節は移ろう。

時期的には冬に近い。

 

「兄さん、受験勉強は大丈夫なの?」

 

「ああ、大丈夫だ。

ここ二日か三日程は寝る時間とかも削って勉強してたからな」

 

千冬姉は今はいない。

どこかの企業で住み込みで働いているのか、滅多に帰ってこない。

だから家では俺とマドカの二人暮らしの状態が長く続いている。

時折ではあるが、弾と蘭、簪や楯無さんも遊びに来るので寂しくはない。

 

マドカの部屋は少女趣味という奴だ。

(オーストラリア)からの補助金で色々と融通が利くのか、それを使って部屋の中はぬいぐるみが沢山並んでいる。

一番のお気に入りは、俺が誕生日に贈ったテディベアだ。

 

「で、受験会場って何処?」

 

「駅を四つ程移動した街だな」

 

近年に行われたカンニング対策だとかで、受験生には受験日の二日か三日前に受験会場を知らされるので、離れた街の人からは苦情があるらしいが、それが聞き入れられた試しは未だにない。

しかも会場が市の多目的ホールだそうだが、その『多目的』に使われた試しがまるで無い。

噂では市と建設業者との間で癒着やら談合があったのではないのかと実しやかに囁かれている。

実際、建設されてから数年経過したが、今回の受験会場として使われるまで、使われた事が本当に無かったらしい。

それにしても…俺が受験する高校である『藍越学園』は家からそんなにも離れていない。

なのに、受験会場をなんでここまで離れた場所にしたのやら…。

受験会場まで移動するこっちの身にもなってほしいものだ。

…どうせ聞き入れられないだろうけども。

 

「電車賃、受験票、筆記用具に学校の名札、ハンカチにちり紙、万が一のために保険証も持ったな」

 

「お守りは持った?」

 

「当然だ」

 

「私が作ったお弁当は?」

 

「大丈夫だ」

 

マドカの料理スキルは結構高かった。

それも千冬姉以上にだ。

俺は基本、和食が多いが、マドカは洋食が多い。

千冬姉にも料理を覚えてもらったほうがいいかもしれないな。

よし、今度帰ってきた時に覚えてもらおう。

 

「じゃあ、行ってくる。

マドカ、留守番を頼んだぞ」

 

「行ってらっしゃい兄さん、家の事は私に任せてね」

 

マドカに見送ってもらい、俺は家を出た。

 

「うお、寒ぃ…!」

 

季節はすっかり冬だ。

風が吹けばそれだけで寒気が走る。

マフラーで顔の半分を隠すようにしてまけば少しは寒気が誤魔化せる。

左手の手袋が少しゴワゴワする。

これに関しては仕方ない。

左手の甲の十字架を隠すようにオープンフィンガーグローブをして、その上からさらに手袋をしている。

だからこそのこの感触だ。

それに、手袋をするようになってからはこの感触にも慣れてしまった。

受験をする際にも、カンニングと疑われないように、医師からの診断書を持ってきているので、目を瞑ってもらえるだろう。

もっとも、医師はドイツの医師だけど大丈夫なのだろうかと一抹の不安はある。

 

「まあ、不安を抱えていても仕方ないよな」

 

駅で電車に乗り、窓の外の風景を見る。

寒空の下にはあまり多くの人は居ない。

やっぱりこの時間帯に外に出る人は多くないようだ。

 

「あ、弾だな」

 

弾は俺とは同じ高校に受験する予定。

だが駅での待ち合わせ時間になっても来なかったので妙だと思えば自転車を走らせている。

後ろには蘭が居て、手を振っている。

 

「弾の奴…寝坊したのか?」

 

表情からして『ヤバい状況です』と如実に語っている。

心の中で『頑張れよ』とだけエールを送っておいた。

 

そのまま電車に揺られ、20分程で目的の駅に着いた。

そこから少し歩けば目的地である多目的ホールだ。

 

「さて、と。

それじゃあ頑張ろうか」

 

駅で買った暖かいお茶を一気に飲み干し、俺は歩き始めた。

 

 

 

 

 

「で、何処なんだ、此処は…?」

 

予想外なことにもホールの中で迷ってしまった。

まあ、半分は俺が原因なんだけどさ…。

とは言え、ここの係員の対応も問題だろう。

『どこですか』と問うても『ん、あっちあっち』といい加減なことばかり。

しかも指差す方向が人によって東西南北バラバラってどういう事なんだ?

『案内をお願いします』と頼んでも『忙しいので無理です』との一点張り。

その癖、ロビーで雑談しているのを見てしまい、呆れてしまった。

なお、受験票には多目的ホールの地図は書いてあるが、号室までは記されていない。

カンニング対策もここまで来ると大問題だと俺は思う。

 

「あ~くそっ!仕方ない!こうなったら次に見つけた部屋に飛び込んでやる!」

 

勘はそれほど優れているわけでもないが、こうなったらコレに頼ってやる!

 

次に見つけたのは『多目的室35』。

35って…多すぎるだろう、何のためにそんなにも多くの部屋を作ったんだ?

そんな妙なことを考えながら、俺はそこの扉を開いた。

扉はあまり重くなかった。

片手でも開ける。

 

「うお、寒っ!?」

 

空調も施されておらず、建物の北部故にだろう、日影になってしまう部屋が暖かいはずもなかった。

そして、そんな部屋が受験会場である筈も無い。

此処に居るのは、俺一人だけ。

そして

 

「…打鉄…」

 

不作法に放置されていた純日本製の量産機である第二世代機IS『打鉄(うちがね)』だった。

 

「なんでこんな代物がこんな所に…?」

 

国家代表候補生に選ばれた女子生徒以外のIS学園志望の一般受験生は、世界各地で受験を受けているだろう。

一つの国家につき、一か所に受験生を集めて受験させると噂で聞いている。

当然、凄まじい数女子が集まるので、受験の為だけにビル一つを借りることも例年の事。

IS学園のブランドの他にも、操作技術やメカニック技術も当然の理由だが、制服がカスタム自由なのも含めて、倍率は軽く20000倍を超えているらしい。

だが、こんな小さいとは言わないが、ホール一つで収まりきる筈も無い。

だから、こんな所に置いておくのは完全に無意味だ。

それとも、誰か搭乗者が来ているとか?

…まさか、な。

 

自然と俺の脚は放置されていた打鉄に近づいていた。

ISは男には動かせない。

それは世界でも知られている常識だ。

近くに見えながらも遠くに見える存在でもあるISに触れてみたい。

そう思ってしまうのは仕方のないことなのかもしれない。

それも結局は夢に終わってしまうのが世の常だ。

触れる機会があるのは『搭乗者』『開発者』『専属のメカニック』くらいらしいからな。

そのどれかになるだけでも血反吐を吐くほどの努力と根気が必要になる。

だから、誰もが諦める。

それでも、機会があったとするのなら…

 

 

「…熱い…?」

 

打鉄の脚部装甲に触れると、今にも暴れだしそうな何かが熱となって俺の左手に感じ取れた。

そして

 

「うおっ!?」

 

左手で触れた部位から青白い光がラインとなって打鉄全体に走る。

打鉄がそれに反応したかのように動き出す。

一瞬、光の粉のように消える。

そしてそれと同時に体に感じられる浮遊感と鉄の感触。

両腕、両足、更には両肩、背中にも固い何かが触れる。

 

「何が起きたんだ…!?」

 

自分の手を見下ろす。

そこには鈍色の装甲腕。

足にもそれがある。

直後、青白い空間ウィンドウが開き、様々な数値が表示される。

シールドエネルギー、これは試合の最中にゼロになってしまえば敗北となる数値だ。

スラスターを利用した最高速度の数値、そして非固定浮遊部位とんっている物理シールドの耐久限界数値。

PICに、パワーアシストも表示されている。

そして表示されたものの中で一つ、俺の目に留まった

 

「武装は…刀と…銃か…」

 

銃を見た途端、発作が起きそうになる。

それをなんとか堪え、ブレードを展開させる。

ドイツで暴走したシュヴァルツェア・レーゲンを相手にした時のブレードよりも短い。

それだけに軽量だ。

それに、あの時と同じように重量が感じられないほどに軽い。

そして無骨な鉄の重さも感じられない

PICやパワーアシストが正常に働いていると判断していいのか。

それに360°に開かれた視界。

ハイパーセンサーも起動されている。

つまり、今の俺は

 

「…ISを動かしている…?」

 

今更過ぎることを口にした。

こんなところを誰かに見られたら厄介だ。

『男はISを動かせない』そんな世界共通の常識を破ったイレギュラーが居ようものなら、どうなるか判ったものではない。

そしてそれが自分だとするのなら…

 

ンな事を考えている間に、ホールの廊下からドタバタと足音が聞こえてくる。

とっとと打鉄を降りないと面倒なことになりそうだ。

操縦方法は何故か一瞬で理解してしまったので、それに従い機体を降りようとしたが…

 

「そこの貴方!何をしているの!」

 

「やっべ!」

 

見つかった!

 

「嘘…男がISを動かしてる…!?」

 

そこまで見られてたのかよ!

 

「ええい、南無三!」

 

素早く機体を跪かせ、打鉄から降りる。

そして窓を開いて此処が3階であることも忘れて飛び降りた。

幸い、下には木が生えているので、その枝を使い、木から木へと飛び移りながら徐々に下に降りていく。

地面に着地すると同時に前転をするようにして衝撃を少なくする。

これもドイツ軍で身に着けた技術だ。

 

そしてそのまま全速力で走り多目的ホールの入り口へと向かい、何食わぬ顔で入館した、

そしてあんなにも苦労したのに、藍越学園の受験会場となる多目的室65を発見し、これまた何食わぬ顔で受験をした。

出来は、かなりの手ごたえがあった。

簪や楯無さんに教えてもらっただけあった。

あの二人には頭が上がらないな。

今度ごちそうでも作ってあげないとな。

 

「さてと、そろそろ帰ろうか。

テストの出来は俺としてはかなりの点数が取れてる予想できるし、今は肩の荷を下ろすか」

 

受験は数週間後の結果を待つだけ。

それまでは剣の特訓をしていよう。

 

 

 

 

 

…と、思っていたのに、ホール出入口にて

 

「ご同行を」

 

係員に呼び止められた。

その一時間後、マドカと千冬姉、更には簪と楯無さんも飛んできた。

 

何故バレたのだろうかと思ったが、あの部屋の監視カメラに俺の顔がバッチリ映っていたらしい。

恰好悪ぅ…。

 

その日から、世界にたった一人誕生したイレギュラーの話題が後を絶たなくなった。

バイト先ではいろいろと聞かれ、学校に通うときには報道陣に囲まれてしまい、簪を送迎することもできない。

学校にも報道陣が押し寄せ、不法侵入したパパラッチが書類送検されるなんて事件も起きた。

更には俺の友人である弾や数馬、蘭にまで取材しようとする無法者の波。

挙句の果てには俺たちの家にまでパパラッチは押し寄せてくる。

で、結果としては

 

「兄さん、大丈夫…じゃないよね」

 

「ああ、まあな…」

 

俺はすっかりやつれてしまった。

 

「私に任せろ兄さん、あいつらを蹴散らしてくる。

サイレント・ゼフィルス展か…」

 

「待て待て、お前は国家代表候補生だろう。

下手なことをするな、国際問題になるだろう、そしてアラスカ条約違反!」

 

「じゃあどうするの…?」

 

「警察でも呼ぶか」

 

提案したのは千冬姉だった。

冗談で終わらせてほしい提案だな、オイ。

 

「そして提案と同時に通報してるし」

 

「姉さん、一片の迷いも無さすぎ」

 

先日、久しぶりに戻って来たが俺とマドカに荷物を突き渡してきた。

中身をみると、男子用制服と、女子用制服とが入っている。

それも夏用と冬用だ。

男性用の制服、夏用は長袖のブレザー、冬用のロングコートの仕様らしい。

女性用の制服を見ると…夏用と冬用も男性用とほとんど同じデザインだ。

コレはアレか?ペアルックとかいう死語的なファッションなのか?

 

その奥に電話帳並みに分厚い参考書が入っていた。

マドカはともかくとして、俺もIS学園に入学が決まったらしい。

…藍越学園の入学試験は取り消され、あの後には色々と検査を受ける羽目になった。

打鉄を使っての起動確認だとか、色々と。

千冬姉も居るから下手な事はさせなかったらしい。

世界最強の称号を持つ人を敵に回したくないよな。

それから報道が全世界に広まった。

そして俺のIS学園入学は取り消せにないとのこと。

ついでに言ってしまえば、藍越学園の受験は取り消しになった。

受験勉強、あんなに頑張ったのに…

 

「はぁ…あれから一か月経ったのにな…」

 

「本当にしつこい」

 

そして外からはパトカーのサイレン音が響いてくる。

報道陣は、『知る権利』だの『報道の自由』だのとのたまうが、それがプライバシーの侵害にも繋がるとして警察が報道陣を追い散らした。

 

「これで少しは気分も楽になるだろう」

 

「千冬姉、凄ぇ…」

 

「賞賛する余裕があるのなら、その参考書を覚えるように努力しろ。

マドカも手伝ってやれ」

 

「はぁい」

 

それから一種の地獄が始まった。

なにせこの入学前の参考書がすさまじく分厚い。

そのくせページの一枚一枚がもの凄く薄い。

 

覚えることは大量にある。

この参考書は入学前に全て覚えておいて普通なのだとか。

時にマドカ、時に簪、時にのほほんさん、週末には楯無さんと虚さんに手伝ってもらいながら、俺は参考書との睨み合いを一か月以上続けることになった。

なお、これを後日に弾の前で口を滑らせてしまい、悪友は血の涙を流していた。

 

「覚えることが多すぎる」

 

「問題だ兄さん。

イギリスで開発された自律起動兵器の総称は?」

 

「BT兵器、だな」

 

「次の問題だ。

ドイツで開発された第三世代兵装で、『慣性停止結界』の総称をアルファベット3文字で表すと?」

 

「AIC」

 

「中国で開発された空間圧兵装の総称は?」

 

「衝撃砲」

 

「ここまで全て正解だ。

それでは次の問題、すべてのISに搭載されている『PIC』は何の略称か?」

 

「『パッシブ・イナーシャル・キャンセラー』だったよな。

確か…IS本体や兵装の重量を感じさせず、機動や飛行にも関係してたよな」

 

「次の問題だ。

全世界に存在するISコアの個数は?」

 

「467個、ちなみに複製や解析が出来ないブラックボックス状態だったな」

 

「軍事転用されないように定められた法律の総称は?」

 

「アラスカ条約だ」

 

「機体本体や、兵装を収納し、目に見えない状態にするシステムの総称は?」

 

「量子変換、だったな」

 

「ここまでおおよその理解ができていたら座学は大丈夫だと思うぞ兄さん」

 

マドカに激励され、少しはやる気が出てきた。

感謝の言葉の代わりに頭を撫でると喜んでくれる。

俺ってシスコンになってないよな…?

っていうか、マドカは全然資料を読んでなかったと思うけど、まさか全部暗記してるのか?

国家代表候補生って凄ぇ…。

 

「まだまだ色々と覚えることは多いんだろうなぁ…大変だなぁ…」

 

「その通りだ、今夜は寝かせないぞ」

 

「「ぶううぅぅぅぅっっ!!!!」」

 

真向いの椅子に座っていた簪と楯無さんが飲みかけのお茶を噴出した。

…汚いぞ、二人とも…。

そして一番被害を受けていたのは俺だった。

 

「…………」

 

「わ、私、夕食を作ってくるね」

 

「て、手伝うわね簪ちゃん、それとマドカちゃんはこっちに来なさい」

 

「な、なんで私まで!?」

 

あの…謝罪の言葉もなしですか?

…シャワー浴びてこよう…。

 

 

そんな脱力するような日々を俺は過ごしていた。

なお、制服がペアルック式になっていた事について千冬姉に相談してみたところ

 

「ああ、マドカからの要望だ。一夏の制服が作られたことを知ると、自分の制服を作り直してほしい、と要望してきたからな」

 

「ちなみに、予算は?」

 

「知らん、全額日本政府が負担している」

 

…今後は、マドカとのペアルックでの学園生活を送ることになるらしい。

 

「それにマドカも体が成長してきているからな、サイズのもそれに合わせて調整する必要があったんだ」

 

「へえ…そうだったんだ…」

 

 

 

そして…入学の日はそう遅くない日にまで迫っていた。

IS学園に男子生徒が一人入学、それだけで苦痛だ。

何せあそこは、『世界を股にかけた女子高』なのだから。

けどまあ、簪とマドカも喜んでるみたいだし、それだけでも良しとしようか。

 

ちなみに、入学前に予習に付き合ってくれたお礼に皆には盛大にご馳走をつくってあげた。

大喜びしてくれて、俺としても作り甲斐があった。

簪だけには、更にサービスして、安物ではあるが指輪を贈った。

虫よけのつもりも含めていたけど、簪は真っ赤になっていたけど…まあ、いいか。

 

 

なお、簪もIS学園に入学するにあたって、引っ越しの手伝いをしに更識家に呼ばれたのだが…

 

「イ、イヤアアァァァァァッッ!!!!」

 

簪の部屋から楯無さんの悲鳴が響き渡った。

何事かと思い、簪の部屋へと全力疾走する!

 

「楯無さん!どうしました!?入りますよ!?」

 

「い、一夏!今は入っちゃダメ!」

 

楯無さんが心配だが、簪が部屋の中からストップをかけてくるので、俺は握っていたドアノブから手を離す。

だが、女子が悲鳴をあげるような事が起きているのは間違いは無いだろう、俺の後ろに集まったグラサン装着強面ガードマンの面々も動けずにフリーズしている。

 

「兄さん、兄さんはそこでストップしてて」

 

「お、おお」

 

「ガードマンの人も持ち場に戻って、ね?」

 

『りょ、了解しました!若!マドカお嬢様!』

 

だから誰が若だ。

マドカによる千冬姉直伝の眼光でガードマンの方々も散っていく。

そしてそれを確認してマドカは簪の部屋に堂々と入っていく。

会話を聞いておくべきだろうか?

 

『楯無先輩、さっきの悲鳴は何だったんだ?』

 

『み、見ない間に簪ちゃんが…思っていた以上に成長してて…。

私よりも大きい…94だなんて』

 

『何を言っているんだか、私だって今の簪と同じ94だぞ』

 

『マドカちゃんまで!?私は…簪ちゃんだけじゃなくてマドカちゃんにまで追い越されてるの…!?』

 

『お姉ちゃん!マドカ!具体的な数字を言わないで!恥ずかしいから!』

 

『いつから!?いつから簪ちゃんはこんなに大きくなっちゃったの!?』

 

『えっと…一夏と交際して一年経った頃から…急に…』

 

『私も同じ頃からだったかな』

 

…今、簪の部屋に入っちゃいけない理由は…なんとなく察してしまった。

これは確かに男子禁制だ。なので俺は足音を起てずに走り去り、屋敷の門の前で引っ越し業者を手伝うことに集中した。

なお、荷物を持ってくる簪とマドカが妙に良い表情をしているのと、楯無さんの頭上に暗雲が漂っていることに関しては触れないでおくことにした。

触れてしまえば、俺自身どうなるかわかったものではない。

『命を大切に』

そのフレーズは全人類共通なんだ。

 

 

 

そして、四月に入り、俺の学園生活が始まる。

 

はぁ…やっぱり憂鬱だ。




時間なんて吹っ飛ばしてしまえ!
なんて思っていたわけではありませんが、一気に冬から新春にかけての日々を描くようになってしまいました。
原作でもそうでしたが、一夏君が受験会場でどんな風に迷ってしまったんだろうかと思い、それを展開してみました。係員のなんつー無頓着振りww
そして一夏君はISを動かしてしまった場面を見られて窓から大脱走ww
3階から飛び降りていますが、真似しないでください。(誰もしねぇよ)
そして一夏とマドカのペアルックww
あ、マドちゃんは下はスカートの設定です。
更には更識家での引っ越し風景…はい、いろんな意味でごめんなさいです。
今回の一夏君は走ってばかりでした、少しは休ませてあげないと…
それではまた次回でお会いしましょう!

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