一夏君からしたら平穏はまだまだ程遠いってことで
Q.女の子達の胸囲の格差社会を教えてください
P.N.『匿名希望』さんより
A.質問内容ェ…。
つい最近、IS学園にて身体測定が行われたらしいので、その結果をくすねてきました。
プライバシー保護の為、具体的な数値は伏せます。
篠ノ之 束
↑
5cm
↓
山田 摩耶
↑
13cm
↓
織斑 千冬
更識 簪
↑
2cm
↓
織斑 マドカ
↑
4cm
↓
布仏 本音
↑
1cm
↓
布仏 虚
↑
3cm
↓
更識 楯無
↑
1cm
↓
篠ノ之 箒
↑
2cm
↓
セシリア・オルコット
↑
2cm
↓
シャルロット・アイリス
クロエ・クロニクル
↑
10cm
↓
メルク・ハース
↑
1cm
↓
ラウラ・ボーデヴィッヒ
↑
0.5cm
↓
凰 鈴音
以上の結果になります。
おやぁ、どうされました女性陣の皆々様方?
手に手にアサルトライフルやら刀やら薙刀やら槍やらナイフやら素敵なアクセサリーをお持ちなようで…ギャアアアアァァァァァッ!!!!????
Lingyin View
世界は常に不公平、不平等に満ちている。
それはまさに今の世の中を体現したようなものだろう。
今の世の中だって『性別』だけで不平等が発生している。
でも、正直な事を言ってしまえば同性の間だろうと不平等、不公平は存在している。
『その大きさは女性らしさや、母性愛の大きさ』とか語られているパターンもあるだろう。
たとえば猫じゃらしを使っておちょくってくいるこの目の前の先輩とか。
二年前の簪とかマドカとか。
他に例を挙げてしまえば、千冬さんとか、山田先生とか、セシリアとかシャルロットとか、本音とか虚さんとか。
仲間だと思っていたメルクには裏切られた。
アタシの仲間はラウラだけ。
つまり何が言いたいかってーと、「この学園は牛舎か!?」
「ほ~らほら、そんなんじゃ猫じゃらしすら捕まえられないわよ~♪」
「ぅなあああああぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!」
猫じゃらしをゆらゆらと揺らせば、アタシは怒りと苛立ちを剥き出しにして追いかける。
でもまあ楯無さんも簡単に捕まってくれない、簡単に躱す。
その際に胸部がブルンと揺れる、それを見てアタシの怒りのボルテージはどんどん上昇していく。
その悪循環が延々と続く。
最後にはどうなるかというと
「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…」
体力が尽きてバテた。
アホかアタシは…12分も遊ばれていた。
兄貴の底なしのスタミナに比べればまだまだだと思う。
「いったい何があったのかしら?」
「…黙秘権を行使します」
「あ、コレね」
ドヤ顔にて楯無さんが自身の胸部を腕で持ち上げる。
何気にこの人も大きいのよね、その重石が。
「でも気持ちはわかるわよ。
簪ちゃんは97、虚ちゃんは90、本音ちゃんは91、マドカちゃんは95、千冬さんは97、山田先生に至っては110よ。
私なんて最近は度重なる書類処理のストレスで87にまで減ったんだから…」
いや、あの…プライバシー情報をそこまでダダ漏れにするのも問題だと思うんですけど…。
ってか皆、本当に大きいわね…。
成長期にも程があるわよ。
「この前まで私だって89はあったのに…」
なんかスッゴイ凹んでた…。
一先ず…落ち込んでいる楯無さんを放置し、アタシは目的を思い出して視聴覚室に出向くことにした。
Laura View
校舎の中でもあの二人はおいかけっこをしているのだろうと思ったが、アテが外れた。
二人の姿が見受けられない。
それどころか、階段に座り込み意気消沈している楯無が居たくらいだった。
何があったのかは知らないが、避けて通るのがセオリーだろう。
人をおちょくる事に関しては誰よりも長けた人物だ、妙な形でからまれたら後々が非常に面倒だ。
「何で皆ばかり大きくなってるのよ…。
私は縮んじゃって…差をつけられる一方だなんて…」
…訂正しよう、『これ以上と無い程に面倒』になりそうだった。
「関わらぬが吉、だな」
それだけは間違いない。
「む、メルクに鈴、そんな所に居たのか」
「ラウラ、アンタこそどうしたのよ?」
「私は二人を追ってきたのだ。
それよりどうした?視聴覚室には兄上が居るのだろうが、何故入ろうともせずに覗き見のようなことをしている?」
「お兄さんが誰かと二人きりで視聴覚室に居るみたいなんですよ」
兄上と誰かが二人きり?
それは十中八九
今更になって何を遠慮する必要が有る?
兄上と私達の仲だ、遠慮は不要だろう。
「あれ?皆、視聴覚室の前で何をしてるの?」
私が悩んでいる最中、その階に現れたのは正にその
「姉上?
視聴覚室に居たのではなかったのか?」
「ううん、まだ入ってもないけど?
一夏がCBFのルールを覚えるために視聴覚室を借りるって教えてもらったから、差し入れを持ってきたんだけど」
確かに
しかもそのカップケーキは焼き立てなのか、湯気がまだ立ち上っていた。
「…?視聴覚室で何かあったの?」
「う、うむ…」
それから鈴とメルクが説明を始める。
兄上が視聴覚室にて映像を繰り返し見ているらしいこと。
そして何処の誰かは知らないが、女子、しかも制服姿ではなく私服姿の女子が隣に座っているとの事とか。
「ふぅ~ん…」
あ、
笑顔のはずなのになんでこんな迫力が出ているんだ…!?
「一夏ぁ、お邪魔するよ~」
そして遠慮も無く扉を開いて入っていったぁっ!?
「簪ってすごい度胸よね」
「ですです」
「しかしなんだあの迫力は!?
思わず足が竦んだぞ!?」
「ほら、兄貴が誰かを誘ったとか信じられないけど、視聴覚室で映像を再生する際には部屋を暗くする必要が有るでしょ?」
「も、もしかして大人な事を!?」
いや、兄上が
きっと誤解だろう、そうに決まってる!
…疑い始めた私たちがそんな事を語るのは不純極まりなかっただろうがな。
「お、どうした皆揃って?」
仕方ないので私達も視聴覚室に入ることにした。
そこに居たのは兄上と。
「あらぁ♡」
「ひぃっ!?」
奴は臨海学校の折り、私をまるで人形か何かのようにして抱き着いてきた記憶がある。
その記憶が今になって逡巡してくる。
あの時点で私は
瞬間、奴の姿が消えた。
何処に行ったのか、周囲に目を凝らす。
「捕まえたぁ♡」
「ひにゃああああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!????」
Kanzashi View
ラウラと噂の女子の様子にすっかりと毒気を抜かれてしまった。
何と言うか…臨海学校での光景の二の舞だった。
「皆さん、お久しぶりです。
束様の助手を務めています、クロエと申します」
「あ、はい、お久しぶりです。
えっと…視聴覚室で何を?」
「お兄様がCBFの映像をご覧になっていたようでしたので、勝手に相席させて頂きました。
あ、やましいことは何もしていませんよ」
…一人増えたんだ、まあいいけど。
それとそろそろラウラを離してあげて、もう息絶え絶えだから。
「まあ、そういう事なんだ。
いつの間にか部屋に入ってきててさ、映像見るために隣の席に座ってきたんだよ」
取りあえず嘘は言ってないらしい。
なので私はお盆を机に置き差し入れを渡しておくことにした。
「えっと、今日はどうされたんですか?」
「
ここでどんな映像を見られるのだろうかと思いまして」
ニコニコと語っているけど…こちらも嘘は吐いてないらしい。
それならすこし安心出来る。
「それに
「と、盗撮!?」
「ちょっと待て、それはさすがに聞き捨てならないぞ」
Ichika View
盗撮紛いな事をしているという告白に流石に聞き流す気になれなかった。
しかも毎日見ているだと?
生存本能が欠けているらしい俺でも
いや、あの
臨海学校では俺が入浴中に束さんは盗撮紛いな事をやらかしていたらしいが、犯罪者臭がするのは血筋なのかもしれない。
いやな血筋だな。
「ご心配無く、見せていただいているのは、キッチンだけ。
お料理をなっているお兄様の姿だけですから」
ああ、そうかい。
後で隠しカメラとやらを見つけて処分させていただこう。
いや、盗聴器とかもあるかもしれないな、部屋全体を大捜索だ。
今度は実家も調べよう、不在の間に何か仕掛けられているやもしれん。
よくよく見れば鈴もメルクも苦笑いしている。
「そういえばお前らは何の用だったんだ?」
カップケーキをかじりながらそちらの二人に視線を向ける。
クロエの赤裸々な話に、さすがに自分の要件すら忘れててしまっていたらしい。
「今度のCBFのためにも、お兄さんにお訊きしたいことがあるんです」
「アタシも同じ要件」
二人揃って同じ要件か。
奇遇なのか、はたまた話し合ったんだか知らないけれど一体何の用だ?
しかしCBFのことに関してか…俺はまだルールを覚えていないんだがな。
とは言え、高機動訓練しか付き合えることは無いと思うぞ。
「高機動訓練の際、お兄さんは何をイメージしていたらあんなにも速く飛行が出来るのかと思いまして」
「イメージはイメージ、個人の意見を聞いたところで自分の訓練に支障が出る場合もあると学んだんだがな…」
「参考までにって事で教えてほしいのよ」
参考までに、か。
俺が白式や輝夜と飛行している際に思い描いていたのは、『手を延ばす』というイメージだった。
未だに辿り着きえない高みへと『手を延ばす』、そんな感じだった。
今はどうだろうか…?
夏休み最終日、千冬姉と全力で勝負し、勝利した後からは少し変わっている気がする。
…どちらかというのなら、今は『追いかける』と言うよりも…。
「言うよりも見せたほうが早いな、ちょっと移動するぞ」
設備を停止させ、ディスクを棚に戻しておく。
まあ、これから起こることを知ると驚きそうだから、黙っておこう。
Lingyn View
視聴覚室を施錠し、兄貴は早速移動を始めた。
アタシとメルク、簪も兄貴の後を追いかけるようにして歩き始める。
「あの…何処に向かってるんですか?」
「まあ、黙ってついて来いって。
俺が飛行訓練、高機動訓練に使っているイメージってのを教えてやるから」
そう言って、アタシ達を引き連れてきたのは
「新聞部部室…」
「あっちには放送室部室もありますよ…」
簪は何故か苦笑い。
ラウラを抱きしめたままのクロエはキョトンとしている。
そして今になって思い出す。
まさか…兄貴がイメージしてるのって…こういう連中からの…
「ちょっと…まさか…」
「お兄さんがイメージしてるのって」
「居たあああぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!
叫び声に振り向くとそこには新聞部部長の黛先輩が。
あ、ははははは…間違いない、そういう事らしい。
「本当だあああぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!
放送部の部長の
「さて、と。
それじゃあ放課後の
訊きに来なきゃよかった。
その分間、アタシとメルクの心の中身は同じことを考えていただろう。
「新聞部突撃ぃっ!」
「放送部突撃ぃっ!」
前門の
仕方なくアタシもメルクも簪も走り出す。
部員が集まりきるよりも早くに放送部員の間をすり抜け、階段へと進路変更、勢い任せに兄貴は壁すら走り出すのは、さすがに驚かされる。
「これ、追いつかれたらどうなるんですかぁ!?」
「角砂糖が粉砂糖にされるくらいの勢いじゃないの!?」
「踏み砕かれるって事ですかぁっ!?」
口よりも足を動かしなさいよ!
ってか兄貴は速過ぎ!しかも簪をお姫様抱っこしたままで走ってるし!
「どうした?遅れるなって言ったばかりだぞ」
「無茶言うなぁっ!」
「こんなの無茶苦茶ですぅっ!」
それから何処をどう走っていたかは…よく覚えていない。
気づけばアタシとメルクは兄貴と簪の部屋でベッドに寝かされていた。
その日、アタシは何となく学んだ、兄貴のイメージはアテにしてはいけない。
後で聞いた話では
「『振り切る』、その一言に尽きるかな。
最速の機体ならそれができるからな」
だったら先に言いなさいよ!
「いい運動になったろ?」
「うっさいバカ兄貴!」
走る
ただただ先を求めて
奔走する
速さの先を見据えて
疾走する
誰よりも速く
何者よりも速く
次回
IS 漆黒の雷龍
『征天雷禍 ~ 求速 ~』
さてと、いろいろと見て回るとしようか