IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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久しぶりに登場してもらいますか

Q.原作最新刊は、いつ発売されると思いますか?

A.私に訊かれても…。

8巻発売

一年間

9巻発売

一年と三カ月

10巻発売

…このペースなら再来年の1月かも…
(これはあくまでも予想であり、保証は一切ありませんので注意してください)


狂勇災典 ~ 祭典 ~

Dan View

 

つ、い、に、来たぜえええぇぇぇぇっっ!!!!

IS学園!

学園祭てことで招待券が虚さんからもらえるなんて感激だぜ!

昨年は招待券が貰えなかったから野郎三匹で灰色の日として過ごしたが今日は!

今日は!虚さんと一緒に過ごせるぜYa-Ha-!

 

「と、思ってたのに何でお前らまで来てるんだよ!?」

 

そう、オレの後ろには悪友である数馬と妹の蘭まで居た。

 

「招待されたからだよ、僕は一夏から」

 

「私は簪先輩から」

 

招待されてたのかよ!

っつーかなんでこの二人!?

人選考えろよ!

ほかにも誘う相手とか居る筈だろ!

例えば…例えば…例えば…

 

「思いつかねえぇぇぇっっ!!!!」

 

 

「ねえ数馬、うちのバカ兄貴どうしちゃったの?」

 

「元々だよ元々、バカなのに頭を無理に働かせようとして知恵熱をおこしてるんだ」

 

「あ、納得、っていうか再確認」

 

「聞こえてるからなお前ら!

そういう事は本人の前で言う事じゃねぇだろ!」

 

「何言ってんのさ、本人が居なかったらただの陰口になるだろ」

 

「そうそう、本人目の前にしてるからこそ言えることもあるんだから」

 

「じゃあ内容選べよ!

 

本人を罵倒するだけ罵倒しといてなにがしたいんだお前ら!」

 

「お兄ぃがマトモになればいいなって居ないかもしれない神様に願ってるの」

 

「普段からマトモじゃねぇような言い方してんじゃねぇよ!

もうそろそろオレも泣くぞ!?」

 

「蘭、もう手遅れだから」

 

「数馬ぁっ!お前そろそろ黙っとけ!頼むから!」

 

「あ、言われなくてもそうだったわね」

 

「それで納得するのかよ!?

アレ?オレに見方は居ないのか!?

誰かヘブンリー!じゃなくてヘルプミー!」

 

特に精神的に!

 

「ねぇ、今度はどうしたんだろ?」

 

「さあ?変な電波でも拾ったんじゃないかな?」

 

「人を壊れたラジオみたいに言うな!

おい、二人とも、その手は何かな?

しかも二人そろって握りこぶしにしてるみたいだけどギャアアアアァァァァッッ!!」

 

叩けば(殴れば)治るとか考えてんの?

だから俺は壊れたラジオじゃないっつーの!

って痛ぇよ!殴り倒してまで踏むんじゃねぇよ!

お前ら本当に何しに来たんだ!

だー!俺の一張羅がががががが!?

何で俺がこんな目に遭わなきゃならないんだチクショー!

魂の叫びだ!!!!

チイィィックショオオオオオオォォォォォォッッッッ!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

Ichika View

 

文化祭当日が来た。

校門前に来訪者が来たとの事なので、先にそちらに向かうと、数馬、蘭、そして顔に靴跡がクッキリと残っている弾が居た。

何をやっていたんだか…。

専用のパスを渡し、三人には学園祭を楽しんでもらうことにした。

 

さて、1年1組の出し物は食事処だ。

なお、教室では狭すぎる為、先日同様に調理実習室と被服室を貸し切っている。

俺は全面的に裏方なので、制服のままでも構わないのだが…

 

「まさか本当に着ることになるとはな…」

 

上から下まで白一色、頭の上にはこれまた白い帽子が伸びている。

…コックである。

上下前後左右どこか見てもコックである。

いや、別に上下から見たりはしないが。

 

「クラリッサが一夏のために用意してくれていたんだ。

今現在のサイズに関してはマドカから情報を教えてもらっている」

 

マドカ…お前という奴は…俺のプライバシーはもう残ってないのか!?

そしてハルフォーフ副隊長、アンタには辞表を書いてもらう時が近いかもしれないぞ。

 

「じゃあ、俺は裏方だからほかの皆は配膳とか頼んだぞ。

俺は午後の部までは適当に時間をつぶしてくるから」

 

「ええ!?一夏は午前中は休憩なの!?」

 

「どうして教えてくませんでしたの!?

わたくしも同行しようと思ってましたのに!」

 

いや、言う必要は無いかな…なんて。

 

「い~ち~か~」

 

「い~ち~か~さ~ん」

 

…面倒だ。

さて、どうやって切り抜けたものか。

二番煎じだが致し方あるまい。

そして周囲の女子生徒諸君、申し訳ない。心の中で謝っておく。

事態が事態なので口に出してまで謝罪する気はない。

 

「シャルロット、セシリア、肩に蜘蛛が居るぞ」

 

「「い~やあああぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!」」

 

二人が叫んでいる間に俺はとっとと窓から飛び降りた。

この策が通じるとか…あの二人はチョロ過ぎるだろう。

さて、次にこういう事態になったらどうするべきか。

いっそ『Gが出現したとか』…最悪すぎるから辞めておこう。

 

「簪、おまたせ!」

 

「ど、どこから降りてきてるの!?」

 

「3階の窓から」

 

俺が親指で指差す先に、その窓がある。

さっきの騒動が未だに続いている様子。

シャルロットとセシリアが未だにドタバタとやっているのが聞こえた。

だが今はほっとこう、ラウラ、頼んだぞ。

 

「じゃあ、どこから見ていく?」

 

「虚さんの教室見ていこうよ。食事処だってさ」

 

3年4組、だったか。さっそく行ってみるとしようか。

しっかし、虚さんの教室も食事処かよ。

みごとに被ったな…

 

 

 

 

Kanzashi View

 

一夏と一緒に目的の教室に向かうことにした。

今は廊下に親しい人はそんなに見かけないから、手をつないで歩くことにする。

刀を振るっているからか、一夏の手にはあちこちにマメができている。

でも、一夏の手はとても大きくて暖かい。

それに、強すぎず、弱すぎずに握る力加減までもが心地よかった。

 

「いらっしゃいませ~、うわっ、メイドさんの次にはコックさんが来た!?」

 

妙な服装でうろついているのが居るのかな?

しかもメイド服って…。

あ、窓際の席に居た。

…関わらないでおこう。

 

「どうも、失礼します」

 

「おじゃまします」

 

私も一夏も苦笑しながらの来店になってしまっていた。なんだか恥ずかしい。

 

「一夏さん、簪お嬢様、いらっしゃいませ。お二人での来店ですね。

席へご案内いたします。

配膳係!お二人にお冷と…オーダーを!」

 

「は~い!」

 

「ではお二人とも、ごゆっくりどうぞ」

 

 

 

Ichika View

 

俺と簪が案内されたのは窓際の席だった。

外から見えるのは中庭だけ、いささか情緒が無いが、間取り上仕方ないのかもしれない。

さて、改めてメニューを見てみよう。

…端から端まで見事なまでに和膳で揃っている。

俺のクラスのメニューとして出したかったのが幾つもある。…少し悔しい。

 

「ひつまぶしを」

 

「私も同じものを」

 

学生が出すメニューとは思えないんだよな、ひつまぶしって…。

なお、ごちそうなってみたものの、冗談抜きで美味しかった。

…その技量は尊敬するぜ…。

 

などと思っていたら、窓際の席に座っていたメイド服の女性客が相席していた、しかも無言で。

一応…初対面であるのは確認する。

 

「織斑一夏さん、ですよね?」

 

「そうですが…アンタは?」

 

「申し遅れました、セシリアお嬢様に仕えております、メイドのチェルシー・イルヴェルトと申します」

 

へー…セシリアの侍女、か。

 

「こうやって本物のメイドさん見てると、セシリアって本当にお嬢様なんだって思うね」

 

「同感だ、口調はそれらしいけど、学生服着てる所を多く見てるからそんなに実感湧かなかったんだよな…」

 

で、そんなセシリアに仕えている侍女がチェルシー・イルヴェル…ト…。

 

「一つ、伺いたいんだが…」

 

「はい、何でしょうか?」

 

なんか聞き覚えがあるファミリーネームだったので訊かせてもらう、とまでは行かないが反応を伺わせてもらおうか。

 

「『狂おしき愛の叫び』、聞き覚えは?」

 

「………」

 

あ、石化した。いや、むしろ凍結とでも言ったほうが良いか?

…年齢的に考えてこの人の祖父辺りが執筆者張本人だったかもしれない。

 

「何か…悪い事を聞いちまった気がする」

 

「世界って狭いね…」

 

 

 

 

 

 

続けて入ったのは楯無さんのクラスだった。

だが楯無さんの姿はない。

安心したような…少し残念だったような…前者だと思うことにした。

あの人は俺をからかって楽しむようだからな。

学園祭の時くらいはゆっくりとさせてほしいものだと思う。

 

「2年3組は…記念写真のサービスだったか」

 

「これはこれで面白そう」

 

簪も乗り気でいるようだ。

なら、何か写真でも撮ってみよう。

俺と簪のツーショットでの撮影になった。

特に何か変わったポーズをしてみたわけでもない。二人並んでの撮影で終わる…筈だった。

 

「二人とも~、もっとくっついてくっついて~♪」

 

楯無さんのクラスメイトらしい感じだった。

最早面白半分で撮影をしているのかもしれない。

何なのだろうか、クラス全体にあの人の自由奔放さが感染しているのだろうか?

 

「織斑君、更識さんの腰を抱き寄せて♪」

 

「ふ、ふえぇっ!?」

 

簪はこの時点で真っ赤になってしまっている。

もうこの際だ、やってしまおうか。

 

「簪、ちょっと失礼するぞ」

 

「い、一夏!?」

 

左手で簪の腰を抱き寄せてみた。

簪は…気の毒に思えるほどに顔が…もとい首まで真っ赤だ。

だが恥ずかしさよりも思い出づくりを優先してくれたのか、カメラのほうへと視線を向ける。

そこでまたフラッシュが光る。まあ、これで終わりだろう。そう思ってみたのだが

 

「それじゃあ更識さん、織斑君の首に両手を回してみて♪」

 

「え、ええぇぇぇっっ!!??」

 

首まで…いや、もう上半身全体が真っ赤になっているかもしれない。

先輩、そこまでにしてあげてください。

 

「ほらっ!早く!」

 

「は、はい!」

 

急かされた為だろう、簪が思わず返事をしてしまうが…これで引けなくなったな。

それこそ顔を真っ赤にして簪が俺の首に両腕を回してくる、少し足元が不安定のようだったので、もう一度簪の腰を抱き寄せた。簪の顔が間近に迫る。

これは別に慣れている…とまではいかないが、少々恥ずかしいな。

時折ではあるが、キスをする時とさほど変わらない感じだ。

だが…それを見られるともなると恥ずかしいな。

 

「は~い、撮影終わりました♪

今回撮影した写真は寮の二人の部屋に贈られるのでお楽しみに♪」

 

「は、恥ずかしかった…」

 

簪は完全に腰砕けの状態になっている。

回復するまでこの教室で時間をつぶすか。

しかし、だ。

これだけはこの先輩に訊いておかねばなるまい。

 

「先輩、まさかとは思うんですが、この教室に来る来客者全員にあんなポーズをさせていたりします?」

 

「それこそまさか♪」

 

…俺たちだけをターゲットにしていたのか。

なんつータチの悪さだよ…。

まあ女子同士だと需要も無いだろう。

だがまあ、今回は記憶に残るイベントになったのは確かだ。

現像された写真は大切に…。

ん?ちょっと待て、今回撮影に使われたのはデジカメではなく普通のカメラだったな。

まさかとは思うが…。

 

「現像後、ネガはどうするつもりですか?」

 

「ギク…」

 

ギク、じゃねぇだろ。

やっぱりネガを使って何かをするつもりでいたか。

何をするつもりだ?

写真を現像しまくってバラ撒くつもりじゃないだろうな。

それとも特定個人に売りつけるつもりか?それとも今回の撮影の代金を倍以上支払わせるつもりか?

だが、この教室での催しはあくまで『サービス』になっていた筈だ。

もしも過剰に代金を搾取するつもりなら…。

 

「お、織斑君…このネガ…言値で売ったげる…」

 

「じゃあタダでもらっていきます。『タダより高いものはなし』とも言いますからね」

 

「ま、毎度…」

 

上手い言い包めだったかな、今のは。

ネガも回収したし、これは学園の外のカメラ屋ででも現像を頼もう。その時には簪も一緒に。

 

 

 

Kanzashi View

 

撮影は本当に恥ずかしかった。

まさか人前であんなポーズさせられるなんて思ってもみなかった。

私の顔は今頃真っ赤になってしまっているはず。

一夏を見てみると、私よりかは平常の状態に近い、でも頬がまだ少し赤いみたい。

えへへ、お揃いみたいでなんだか嬉しいやら恥ずかしいやら。

 

「更識さん、はいコレ」

 

先輩が突き渡してきたのは、小さな箱だった。

中には…何かが入っているみたい。なんだろう?

 

「生徒会長からですって、中身は秘密よ♪

夕方まで開けたらダメだってさ♪」

 

「…?」

 

中身が気になる。

でも夕方…学園祭が終わるまでは開けたらダメって…?

 

「中身が気になるなら寮の部屋にでも置いておきなさいな、誰にも開けられないようにして、ね♪」

 

「だったら俺の部屋に置いておこうか?

一人部屋だから誰も入ってこれないだろう」

 

「じゃあ、そうするね」

 

早速一夏の部屋に直行し、奇妙な荷物を置かせてもらうことにした。

 

 

 

 

簪に渡された荷物を俺の部屋に置き、そのまま出ようと思った時だった。

 

Prrrrr

 

俺の携帯電話が鳴りだした。この着信音は楯無さんだな、何の用だろうか?

 

『は~い一夏君♪学園祭は楽しめてるかしら?』

 

「お陰様で。ところで…簪宛ての小包、アレは何ですか?」

 

『ヒ・ミ・ツ♪夕方になったら分かるから♪

それまで無くさないようにね♪

それと一夏君は午後は刀とナイフを持っておいたほうがいいかもしれないわよ』

 

訊いても無駄そうだったので、そこで通話を終わらせる。

すると今度は入れ替わりで着信が入る。今度はマドカのようだ。

 

『兄さん、休憩中にゴメン!

被服室で物凄い混雑してて料理をする人の手が足りないんだ』

 

「わかった、ちょっと待ってろ」

 

早くも休憩は終わりか。

 

「一夏、どうしたの?」

 

「すまん、出し物で人手が足りないそうなんだ、これで調理実習室に戻ることになった。

今度埋め合わせをするよ」

 

「そっか、じゃあ私も手伝うね。

お料理なら一夏に色々と教えてもらってるから」

 

そりゃ助かる。

1年1組が使っている調理実習室は第二から第四調理実習室までだ。

今回は第二調理実習室走って飛び込む。

急ピッチで作業が進められているようだが、それでも人手が確かに足りない様子。

なら、俺の出番だな。

用意しておいた包丁を構え、次々に食材を切り刻む。

あちこちのコンロに一斉に火をつけ、幾つもの料理を作っていく。

メニューに用意しておいた品が次々に出来上がっていく。

 

「マドカ!パフェが出来たぞ!」

 

「任せろ!」

 

「こっち!リゾットできたよ!」

 

「はい!」

 

「アクアパッツァ出来たぞ!」

 

「はい!」

 

簪も勢いよく料理を作っていく。

俺のようにコンロを5個以上の面倒は見きれないので1個だけ。

それでも手さばきは結構見事なものだった。

俺が加わってからどんどん料理が出来ていく。

まったく、本当にコックにでもなっているかのような気分だ。

そういえば簪と学園祭を廻っている間もこの衣装のままだったな…。

 

「織斑君、お疲れ様…教室で休んでていいよ」

 

「ああ、そうさせてもらうよ。

行こう、簪。

ほかのクラスだったのに手伝ってくれてありがとな、何か驕るよ」

 

「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて…」

 




それは、楽しい一時になる筈だった

だが、それは刹那にて変わってしまった

一人の陰謀

一人の見えざる悪意

そして…失われたはずの――

次回
IS 漆黒の雷龍
『狂勇災典 ~ 失心 ~』

――――殺す!

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