IS 漆黒の雷龍   作:レインスカイ

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割烹着のIS学園のみんな…ブハッ!


Q.くーちゃん、普通に馴染んでましたね…
P.N.『匿名希望』さんより

A.忙しさとは、時に人を盲目にさせるのですよ


狂勇災典 ~ 権謀 ~

Laura View

 

…配膳係になりはしたものの…さて、どうしたものか。

兄上に私の仕事内容の詳しいことを聞いてみるとしようか。

 

「どこに行くのかな、ラウラ~?」

 

「逃がしませんわよ~?」

 

「ぐっ…!あ、兄上。た、助け…な!?」

 

教室に入ってきたようだが…私の様子を一瞬確認した後、足音を起てずに逃げ出していた。

…私よりも危機察知能力が優れているのだろうか…?

だが兄上、私を助けてくれてもいいのではないのか…?

なお、そのまま話し合いという名義のにらみ合いに巻き込まれ、我々は午前中の配膳係りに決定してしまった。

 

…まあ、決まってしまったものは仕方ないか。

 

「じゃあ次は採寸をして割烹着を作らなきゃね」

 

「ラウラさんにはピッタリと思われる割烹着が用意できていますわ。

わたくしの侍女のチェルシーのおさがりになってしまいますけれど」

 

「ふむ、見せてもらおうか」

 

チェルシーとかいうのが誰なのかは知らないがセシリアが信頼している相手ならば問題は無いだろう。

教室に作られた即席の更衣室でその衣装に着替えてみる。

着心地はそんなには悪くはない。

これが割烹着というものか。

兄上が言うには、大正時代の女学生の服装だとか。

「ハイカラだろ」などと言っていたが…

クラリッサが引率して黒兎隊の皆メイド服を着ているのを見たが…私自身がこういった和装に腕を通す日が来るとは思ってもみなかった。

…すこし胸元が広く感じるが、これはこれでいいかもしれない。

 

「ラウラさん、どうですの?」

 

「着替え終わった、変なところが無いか確認を頼む」

 

カーテンを開き、早速確認してもらう。

 

「うわぁ、ラウラ、可愛い!」

 

「みょ、妙なことを言うなシャルロット!

セシリア!さっさと確認を頼む!」

 

「う~ん…ちょっとバストの辺りがサイズが合ってないみたいですわね」

 

ビシリ…

 

私の額には青筋が浮かんでいただろう。

だが我慢だ、どうせ簪やマドカにも劣っているのは自覚しているんだ。

これくらいはまだ我慢が出来る…!

 

「袖周りは繕ってもらえればちょうどいいですわね」

 

ふ、ふん、腕にも余計な肉はつけないように心掛けていたんだ。

袖が邪魔なら切り落としてしまえばいいだけだろう。

 

「う~ん…チェルシーが10歳児用にという事で用意してくれた服はまだ合わないみたいですわね、裾も床に引きずっていますものね」

 

ブチッ…!

 

「セシリア…」

 

「は、はい?なんです…の…?」

 

リボルバー・カノン部分展開

この割烹着が10歳児用のメイド服だと?

それを態々持ってきて私に着せた挙句にサイズが合わない?

その上に足が短い、胸が小さいだと!?余計なお世話だ!

 

「吹き飛べぇっ!」

 

 

 

Ichika View

 

「さてと、クラスの出し物は決まっているんだし、残るは教室内の模様替えの必要もあるな、どうするかな…」

 

教室にはみんなが居るから大丈夫かもしれないと思い、俺は一足先に寮の部屋に戻り考えていた。

問題は教室内の見てくれも含まれている。

 

食事処なんてものをやる羽目になったが…教室の中はせめてシックな感じにしておきたい。

アンティークな代物は購買にでも 売っているだろうか?

 

「ふ~ん…一年一組は食事処をするのね~」

 

「…どこから忍び込んだんですか」

 

またこの人は…対暗部用暗部の名家故にだろう、楯無さんが持ち合わせる潜入、隠密のスキルが高すぎる。

部屋に侵入した瞬間すら気づかなかった。

俺が更識家に厄介になっている頃もこうやって幾度部屋に侵入してきたことやら。

後にそれが簪に露見してしまい、喧嘩の寸前になり、俺が仲裁していたことも今になって思い出す。

 

「で、何の御用ですか?」

 

「君を迎えに来たのよ、さあ、生徒会室に直行するわよ♪」

 

誘拐犯が現れた

コマンドは…

⇀逃げる

 逃げる

 逃げる

 逃げる

 

「だ~め♪逃がしません♪」

 

「…ですよね…」

 

この人のこういう点はもう諦めていますとも。

下手に抵抗しようものなら、後で色々と苦労することになるんだから。

その辺はしっかりと学習している。

二の轍どころか、三の轍まで踏んでしまっている、その都度後悔もしていたさ。

 

「ちなみに、一夏君が生徒会に入ってくれたら、その補佐としてマドカちゃんと簪ちゃんが名乗り上げてくれているから安心なさいな」

 

「…俺が生徒会に入る事を前提にするは辞めてもらえませんか?

俺はどこの部活動にも入るつもりはありませんよ」

 

「それはそれ、コレはコレよ」

 

何つー暴力的な説得だ。

説得力のかけらも感じられない。

 

「…虚さんも居るでしょうから大丈夫でしょうね」

 

「あ、あら?私って実はあんまり信用されてなかったりする?」

 

「いえ、まさか」

 

今まで俺にコーチングしてくれていたんですから、信用どころか信頼もしていますとも。

さてと、一度気分を落ち着けるためにもお茶を淹れようか。

 

「一夏君、生徒会室に行くわよ」

 

「…押忍…」

 

いつの時代の返事だよ、そんなアホみたいな突っ込みを俺はしていた。

やれやれ、俺の学園生活は未だに平穏から遠ざかるようだ。

 

 

 

Tatenashi View

 

うっふふふふ♪ちょっと予定が前倒しになったけれど一夏君の生徒会への勧誘成功♪

本当なら今度の学園祭で決めるつもりでいたんだけれど、まあ良いわよね♪

 

「ところで一夏君、そろそろどこの部活に入るのか決めたのかしら?」

 

「先ほども言いましたが、どこにも入る気はありませんよ。

ISの事で今は予定が一杯ですからね。

まだまだ強くならないと」

 

「あら、世界最強の余裕かしら?

お姉さんちょっとイラッときたわね」

 

「いえ、…目標に一歩近づいたというだけで、まだ道のりが遠い。

それを自覚しているだけです」

 

向上心は凄いわね。

君だったら本当にその目標に辿り着けるんじゃないかしら。

一夏君が、自身の目標としている高見に辿り着くまでに、どれだけの時間を要するのだろうか?

先ずはこの学園を卒業してからになるだろうから3年、それからどこかの国家所属としては日本になるから問題はないかもしれない。

でも色々とあるだろうから最低1年間は掛かるかもしれない。

これだけでも合計4年。

 

「ねえ一夏君、君はISの世界大会に出場したりする気はあるの?」

 

「世界大会…千冬姉と同じモンド・グロッソですか…今の所は考えていませんね。

そもそも、俺を国家代表候補として迎え入れたい国は過去にはいろいろとありましたが、怪しさが際立って、片っ端から断りましたよ。

今のところは日本代表に落ち着いていますが」

 

だが…この創世世代の機体でどれだけ受け持ってくれるのやら、それも怪しかったりする。

 

「それに…俺は見せつけたいわけじゃない。

皆を…そして自分が守れたらそれで」

 

「あくまで等身大の自分で居たいってことね」

 

力を持っても決して驕らず、か。

私が伝えた言葉はそのまま守り続けているらしい。

 

「自身に自惚れ、過剰な自信を持つ奴は自滅するだけですから」

 

そんな人を見てきたかのようね。

けど、もしかしたら本当にそんな人間を見てきたのかもしれない。

そんな経験が今の彼を構成しているのかも…ちょっと惹かれるかも。

おっと、一夏君には簪ちゃんがいるんだからここは確りと区切りをつけないとね。

 

「それじゃあ改めて、生徒会室へようこそ、歓迎するわ一夏君♪」

 

 

 

Ichika View

 

連れられるままに本当に来てしまった。

特別棟3階、生徒会室。

最初は数日前の集会の後に飛び込んだ覚えがある。

それも、窓の桟などを足場にして壁面を駆け上り、窓から飛び込んだ。

で、今回は堂々と真正面からだ。

 

「ふぅ…落ち着く…」

 

「お茶…美味しい…」

 

…で、真正面からやってきた生徒会室にて、簪とマドカお茶を啜って和んでいる。

…お茶汲みをしているのは言わずもがな虚さんだ。

この人が居れるお茶は確かに美味い。

楯無さんの秘書…というわけでもないのだがな。

 

「いらっしゃい一夏さん、どうぞ座ってください」

 

「…お構いなく」

 

座ると同時にお茶まで用意してくれる。本当に敏腕だ。

 

生徒会の仕事が何なのかは未だに俺は理解していない。

中学までだってそんなものに所属はしていなかったし、人を纏めるのに、そんな才覚があるわけでもない。

そして俺の目の前に置かれた一枚の書類。

見れば各クラスの出し物の予算についてなどだ。

自分のクラス以外ではどんな出し物をするのか知らなかったからこれは丁度良い。

確か…4組はクレープ屋と言っていたか。

で、鈴の居る2組は…中華喫茶か。

鈴の発案だな、分かりやすい。

メルクの居る3組は…これまた喫茶店か。

おいおい、喫茶店だけでも並び過ぎじゃないのか。

 

「それぞれ色々と出し物が計画されているんですね」

 

「そうなのよ、それで学園側から出してもらえる予算案件が入っているから、了承印を片っ端から捺してくれるかしら?」

 

学園から支給される予算、すなわち日本政府負担である。

…釈然としない、いや、今更過ぎる話ではあるのだが。

渡された書類に片っ端から了承印を捺していく。

その中で気になる書類が一枚。

 

「生徒会の出し物について何故か塗りつぶされているんですが…これは?」

 

「うん、了承印を捺しといて♪」

 

…絶対に何か企んでいそうだ。

しかも塗りつぶしてって…碌でもない出し物をやらかすとか、それはないのだろうか。

用心しておこう、いや、ここには訊ける人物が居る。

その人なら正直に答えてくれそうだ。

 

「虚さん、生徒会の出し物って何ですか?」

 

「それは秘密です、ですがご安心を。悪いものではありませんから」

 

虚さん…貴女もですか…。不安が残らないわけじゃない、それでも何とかうまく立ち回るとしよう。

なお、簪とマドカは…苦笑しながら俺を見ている。

二人の手元には虚さん特製であろう苺のショートケーキ。

…買収されているな、この二人。

あのな…買収するにしてもチョロすぎるだろ、お前ら…

 




学園祭が始まる

少女達が黄色い声を交差させ走り回る

そんな中、その者は歩み寄ろうとしていた

次回
IS 漆黒の雷龍
『狂勇災典 ~ 祭典 ~』

つ、い、に!来たぜええええぇぇぇっっ!!!!

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