ゲーマー兄妹はVRMMORPGを始めたそうです。   作:EDFストーム1

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今回は題名通りの回です。
ついに明かされるモヤット頭の詳細が!?
ここから若干原作と少し内容が変わってくる(予定)です


それでは第二十話です、どうぞ!


第一層攻略会議

 俺達四人とキリトで迷宮区のマッピングを完了させてから三週間ほどが経過した。

さすがに三週間も経てばこのデスゲームを攻略しようと立ち上がったプレイヤー達も続々とこのトールバーナへ到着し初め、第一層のフロアボスを倒せるだけのプレイヤーも揃い始めた。

だがキリト以外のプレイヤーには俺達の作ったマッピングデータを渡していない。

 

それは何故か?

 

 

理由はやはりプレイヤー達のレベルの問題だ。

 

 

 空達がマップを一通り確認したが危険と言える程のエリアは無い。

ここまで到達したプレイヤー達はほとんどがパーティを組んでいて少なくても三人は組んでいる状態で、この街に来るまでにかなり信頼度や連携力はついているはずだ。

 しかしどんなに連携力などがあってもやはりRPGの醍醐味、レベルを上げなければ無意味と化してしまう。

 

まだこの街に来て一週間経っているプレイヤーは空達四人とキリトを抜かせば10人いるかいないか程で殆どでプレイヤーはレベルが低いはずだ。

 幸い、このソードアートオンラインは相手に自分のレベルは認識出来ないように設計されてあるので俺達やキリトの圧倒的なレベル差はなんとかごまかせている。

フロアボスにはそれなりに強くなったプレイヤー30人くらいは必要だ。

こんな状態ではフロアボスどころか迷宮区を安全に通過出来るかすら不安である。

 

 マッピングデータを渡そうとも考えたのだが、ここで俺達の名前が広まってしまうのは「 」の正体がバレてしまう可能性に繋がるのでこれは避けたい。

 そもそもマッピングデータを渡すのはカンニングペーパーを渡すようなものなので頼り癖をつけてしまう可能性もある。

 

なのでレベル上げ兼ボス部屋探しを自分達で行わせて、俺達は傍観することにした。

 

 

あと、ここ最近道具屋で無料配布し始めてガイドブック。

おそらく元βテスター達....いや、だいたいがβ版にもいたあの情報屋が作ったのだろう。

初心者達を死なせない為に戦闘方法や移動方針など序盤に役立つ情報がいろいろ書かれてある。

自分達のレベルを優先しないで初心者達を気づかっているプレイヤー達がいることはとてもありがたいことだ。

多分、元βテスター達はβテストでの経験を生かして狩り場の独占やらいろいろあくどい事をしているだろう、このガイドブックで元βテスター達の印象が変わってくれるといいのだが.....

 

 

 

 

 

そしてその一週間後、このデスゲーム開始から一ヶ月が経過したころ。

 

ぞくぞくと集まってくるプレイヤー達によると約2000人ものプレイヤー達が死んだそうだ。

今まで空達とキリト以外は迷宮区最深部のボス部屋までたどり着いた者はいなかったが、あるパーティがようやくボス部屋を発見、ついに第一層攻略会議が行わた。

 

 

攻略会議が行われたのはトールバーナにある闘技場跡地のような場所だ。

闘技場跡地なだけあって攻略メンバーが座る十分な広さを備えている。

攻略に集まったメンバーは30人弱、レベルも恐らくこのゲームの中でも屈指の上位者達だ。

勿論、俺達やキリトも参加している。

 

「はーーい、それじゃあそろそろ始めさせてもらいまーーす」

 

と、この攻略会議の呼びかけをした男が手をたたきながら言った。

 

「今日は、俺の呼びかけ応じてくれてありがとう。

 俺はディアベル、職業は気持ち的にナイトやってます!」

 

軽いボケを入れて重い空気を軽くするディアベル。

だがディアベルの目つきが真剣になった、ここからが本題なのだろう。

 

「今日、俺達のパーティがあの塔の最上階でボスの部屋を発見した」

 

集まったプレイヤー達が一瞬ざわめく。

 

(俺達はその三週間前に発見してたけどな〜)

 

「俺達はボスを倒し第二層に到達して、このデスゲームをいつかきっとクリア出来るってことをはじまりの街で待っている皆に伝えなくちゃならない。

 それが今この場所にいる俺達の義務なんだ、そうだろう、みんな!!」

 

集まったプレイヤー達もその意見に頷き合い拍手している。

 

「やっと群衆をまとめられる奴が出て来てくれて助かるぜ。

 いくらゲームでもやっぱ群衆の前に立つのはやっぱ嫌だからな」

 

白も空と同じ意見のようでこくりと頷く。

 

「あなた達、それでもイマニティの全権代理者ですの!戴冠式の時は大丈夫だったじゃありませんの!」

「お前、あれ見てどこが大丈夫そうだったんだよ!?声とか最初裏返ってたじゃぇか!

 それに俺達は群衆恐怖症なんだっつーの!!」

「僕も見てたけど最初、凄く緊張してたもんね〜♪」

「あぁ!そんな話は今はいい、攻略会議始まるぞ」

 

とりあえず今は、攻略会議に集中したい。

 

「それじゃあ、これから攻略会議を始めたいと思う。まずは、6人のパーティを組んでみてくれ。

 フロアボスは単なるパーティじゃ対抗出来ない、パーティを束ねたレイドを作るんだ!」

 

「「げっ」」

 

まわりのプレイヤー達は元からあるパーティ同士で組み会っているが俺達は4人だ。

誰か探そうと周りを見渡すと丁度2人組のあぶれてるプレイヤーを見つけれた。

 

 

 

 

そのころキリトはピンチだった。

今まで散々ソロで行動して来たためほとんどパーティ経験がないのだ。

 

「空達は多分もう誰かと組んでるだろうしな〜...」

 

俺はこの闘技場跡地の一番上の階段に座っているので空達が何処に座っているのかは見えた。

だが空達は別の誰かと話している、恐らくパーティに誘うのだろう。

これで本格的に組めそうな人がいなくなり、急いで周りを見渡して余っているプレイヤーがいないか探す。

 

すると隅っこの方にローブをかぶったプレイヤーが1人いる事を確認した。

俺は急いでそのプレイヤーの隣に移動する。

 

「あんたもあぶれたのか?」

「あぶれてない、まわりが皆、お仲間同士みたいだったから遠慮しただけ」

(それって単純にあぶれただけじゃ...あとローブのせいで顔が見えないな男?女?)

そんなことを思いながらもこれはチャンスとパーティに誘ってみる。

 

「ソロプレイヤーか、なら俺と組まないか?」

 

相手も少しは興味が引いたのかこちらを向いた。

 

「ボスは1人じゃ攻略出来ないって言ってただろ、今回だけの暫定だ」

 

相手も頷きパーティを組む事を承諾した。

俺はパーティ招待画面を開きローブ姿のプレイヤーにパーティ申請を送った。

 

[キリトからのパーティ申請を受理しますか?]

 

相手は受理ボタンを押し、これでパーティは成立した。

とりあえず男か女か確認できないので左上に表示されたプレイヤーネームを確認する。

俺の名前の下には”Asuna”と表示されていた。

 

(Asuna、アスナか...とすると女性か?)

 

そんなことを考えていると聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「なぁ、俺達も混ぜてくんね?」

そこにいたのはさっき2人組と話していたはずの空達だった。

 

「あれ?お前らさっき違うプレイヤーを勧誘してたんじゃないのか?」

「いや〜。それがもう先客がいたようでよ、四人組じゃ駄目って言われたから他に誰かいないか探してたらちょうどお前らがいたってわけだ」

 

どうやら勧誘は失敗したらしく俺達のパーティに入れて欲しいらしい。

正直俺は大歓迎だ、むしろそうだったなら俺がパーティに入れて貰いたかった位だ。

こいつらとは迷宮区の時に一度だけパーティを組んで潜ったが実力は折り紙付きだ。

邪魔になる事なんてまず無いだろう。

だがその前にもう1人のパーティのアスナに許可をもらわないと、

 

「こいつらとは一度パーティ組んだ事あったけど実力は俺が保証するよ。

 多分、このゲームの中でも最上位の実力だし構わないか?」

 

(多分)彼女は数秒沈黙した後、こくりと頷き許可が取れた。

 

「じゃ、許可とれたから招待送るぞ〜」

「おう、宜しくな二人とも」

「よろ...しく」

「宜しくお願いしますわ」

「よろしくね〜♪」

 

パーティ申請を受理し俺達は無事、パーティを組み終えた。

 

 

「よ〜し、そろそろ組み終わったかな?じゃあ.「ちょーまってんかー!」

 

ディアベルが話している途中に何者かが声を挿む。

声の主は階段を数段飛ばししながら降りて来てディアベルの隣に移動した。

 

 

「ワイはキバオウってもんや、ボスと戦う前に言わせてもらいたい事がある。

 こん中に今まで死んで行った2000人に詫びいれなアカン奴がおるはずや!!」

 

そう言ってプレイヤー達に指を指し会場がどよめく。

 

「キバオウさん、君の言う奴らとはつまり...元βテスターの人達のこと...かな」

「決まってるやないかい!べーター上がり供はこんクソゲームが始まったその日にビギナーを見捨てて消えおった。奴らはうまい狩り場やら良いクエストを独占して自分らだけポンポン強なってその後もず〜と知らんぷりや」

そしてキバオウは睨みつけるかのように言った。

「こん中にもおるはずやで!ビーター上がりの奴らが!!

 そいつらに土下座させて、溜め込んだ金やアイテムを吐き出して貰わなパーティメンバーとして命は預けられんし預かれん!」

 

キバオウが発言し終わりまわりは皆、静まり返る。

 

「なぁ空、あいつって確か...」

「あぁ、間違いないな。お前が「 」と決闘する前に「 」と決闘してた奴だ」

「だよな...でもなんでβテストの時と姿が同じなんだ?」

「それは本人に聞いてみないとわかんねーが現実と全く同じ姿のアバター作ったのか?」

 

空に確認もとれ俺はある疑問が頭に浮かび、その場に立ち上がった。

 

「俺がお前の探しているβテスターだ」

「そうかい、ならはよ持ってる金やアイテムを置いてここにおる全員に謝罪してもらおうかい!」

「その前に確認したい。キバオウさん、俺はあんたがβテスト版で「 」と決闘している所を見ているんだがそこのところを説明してくれ!!」

 

キリトの発言で全てのプレイヤーの目線がキバオウに集中する。

 

「ほぉ、お前あの決闘を見とったんか.....こっちは個人的な私情やから今は言っとらんかったがあの決闘を見とったベーターなら話は別や!!

たしかにこのアカウントはβテストん時にログインしておった。

だがこのアカウントはワイのもんやない、これはワイの弟アカウントや!!」

 

「お、弟!?」

 

「そうや、ワイの弟はこのソードアートオンラインのβテスト版の抽選に当たっておったんや。

 そりゃもうよろこんどったわい。しかしやなβテストが始まって数時間くらいしたら弟はログアウトしてワイに泣きながらこう言ったんや!『「 」と決闘していじめられた』と。

 ワイやって「 」の名前くらい知っとる、弟が勝てるとは正直思うとらん。

そんなことで泣いとんのなら喝入れてやろうかと思うとったが違かったんや!!

決闘し終わった後にまわりのプレイヤー達に笑われたり馬鹿にされたり、恐喝まがいなこともされとったんや!

 ワイは許せんかった。決闘で負けたのはしょうがないとは言えなんで弟がそんなことでいじめられなぁかんのや!?そんな糞みたいなβテスターのことをワイは憎くてしかたなかったんや!!」

 

いじめられたりしたのは決闘の後が原因だろ、あんな逃げるようなことしちゃあな...

現に俺はいじめられるような事まったくなかったしな。

 

 

「だからワイはこのソードアートオンラインを始めたんや、弟の使ってたアカウントでログインして弟をいじめたベーター供に仕返しする為にな。

 だが、あのチュートリアルが発表された、これは単なるゲームやなくなった。

だからワイはあることを考えたんや、確かにベーター供は弟をいじめた、やけどこのデスゲームでベーター供がビギナー達を指導したりしてβテストで得た知恵を使って助け合うんならワイは正直許そうかとも考えとったんや。

 しかしベーター供はそんなことせんかった。

狩り場の独占やらβテストで得た知恵を自分達だけで独占しおったんや。

しかも中には無知なビギナーをMPKしてアイテムを横取りするなんて輩も出おった。

ワイはその時から心底ベーター供を許せんくなったんや!!」

 

キバオウが話終えて集まったプレイヤー達は完全に静まり返った。

キバオウの言った事は確かに個人的な因縁だがベーターが狩り場などを独占していたのは事実だ。

もちろん俺は狩りの独占などはしていないがビギナーを指導したりはしていなかった。

実際に俺は自分とクラインを天秤に賭けて自分を選んでしまっている。

俺にはキバオウに反論する権利がないのだ...

 

 

誰もキバオウに反論する者がおらず沈黙が続く。

 

(これは俺も発言しないとまずそうな雰囲気だな...)

 

空はこの状況を打開する為に立ち上がろうとするがその前に

 

「発言いいか?」

 

そんな完全に静まり返った中、1人の男が立ち上がりキバオウの前に立った。

 

「俺の名前はエギルだ、あんたもさっき言った通り弟さんの件はあんたの私情だから今は置いて置くとして、キバオウさんあんた言いたい事はつまり元βテスター達が面倒を見ないで狩り場の独占等をしたからビギナーが沢山死んだ。

 その責任を取って謝罪、賠償しろ。と言うことだな?」

 

エギルと名乗る男がそうキバオウに確認を取った。

 

「そ、そうや。面倒を見んかったせいでビギナー達は死んだんや!」

 

その言葉を聞いた後、エギルはポケットからある物を取り出した。

 

「このガイドブック、あんたも貰っただろ?道具屋で無料配布してるからな」

「も、貰うたで、それが何や?」

「このガイドブックを作成して配布していたのは元βテスター達だ」

 

このエギルの一言にプレイヤー達はざわめく。

 

「いいか!情報は誰にでも手に入れられたんだ、なのに沢山のプレイヤーが死んだ。

 その失敗を踏まえて俺達はどうボスに挑むべきなのか。

 それがこの場で論議されると俺は思っていたんだがな」

 

「あのエギルっておっさん、俺が言おうとしてた事と全く同じ回答だ

 このガイドブックのことを言われたらあのキバオウも反論できないからな」

 

空の推測通り、キバオウはエギルになにも言い返せず席へと戻った。

 

(だけど弟の件って元はと言えば俺達のせいだしキリトに悪い事したな...)

 

 

 

キバオウの件も落ち着いたのでディアベルが会議を再開した。

 

「よし、じゃあ再開していいかな?

 ボスの情報だが実は先ほど例のガイドブックの最新版が配布された

  それによるとボスの名前はイルファング・ザ・コボルド・ロード、それとルイン・コボルド・センチネルという取り巻きがいるて、ボスの武器は斧とバックラー。

 四段ある最後のHPバーが赤くなると曲刀のカテゴリのタルワール武器を持ち替え攻撃パターンも変わる、と言う事だ」

 

「最後にアイテム分配についてだが金は全員で自動均等割り、経験値はモンスターを倒したパーティの物、アイテムはゲットした人の物とする。異存はないかな?」

 

俺も他のプレイヤー達の意見と同じくそれで賛成だ。

 

「それじゃあ、最後に質問を受け付けるけど発言ある人はいるかな?」

「おう、一つ言っておかないといけない事がある、いいか?」

 

ここで空は立ち上がり発言する。

 

「ガイドブックは確かに元βテスター達が作った大事な資料だ。

 だがよく考えてみろ、これはβテスト版じゃない、製品版だ。

 βテストではタルワールに武器を変えたが違う武器になってる可能性だってある。

 現に迷宮区のマップはβテストとは道が変わっていた」

 

「と言う事は君も元βテスターなのか?」

 

「あぁそうだ、さっきのキバオウの話もあったしβテスターとしてこれは考える必要があるかと思っていったが正直、変更されたとしても何に変わるかは見当がつかないが...」

 

「いや、その情報だけでも十分大切だよ。全員、今聞いた通り最後のHPバーが赤になったら最大限の警戒をするようにするんだ!」

 

これでなにかあったときの警戒が取れるはずだ。そうして俺は席に座った。

 

「他に何か発言したりしたい人はいないかな?よし、明日は朝10時に出発する、では解散!!」

 

 

 

ディアベルのかけ声と共にこうして第一層攻略会議は終わった。

 

 

 

 

 

 




お部屋の温度が30℃を超えていて死にそうなストーム1です.....
今回は地味にいつもの倍の文章量です。
キバオウの弟設定は独自設定ですがどうでしょうか?
弟の件でキバオウには原作以上にβテスターを嫌ってもらいます。
長文なので夜中まで書いてるのでもう眠い.....Zzz

それでは次回またお会いしましょう!!

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