転生したのに最強じゃないってどう言うことだってばよ! 作:オルクス001
「おっ! やってるやってる」
目の前にはDQNが、一触即発の雰囲気を醸し出している。
「そんなイベントみたいに言わないでくれ」
ロイドがため息まじりに言う。
片方は赤いジャージのようなものを着ていて、いかにもヤンキーと言ったところ。
もう片方は青いフード付きの宗教服の様な物を着ており、暴力とは無縁のような感じがする。
その2グループが今まさに喧嘩を始めようとしたところに。
「はいはい、ストップ」
と、ロイドが割って入った。
「あぁ? 誰だてめえ! 引っ込んでろ!」
赤い方の1人が怒鳴る。
やだ、DQN怖い。
「そ、そうだ! お、お前らには、か、関係ないだろ!」
青い方の1人も言う。
「ハッ! お前らが暴れてるせいで、ご近所さんに迷惑がかかってんだよ!」
鼻で笑いながら、精一杯怖くして言う。
「うっせえんだよ! やんのかオラ!」
えっ? ちょっ!
「こいつら連れの女に、いいとこ見せようとしてんのかぁ? 返り討ちにしてやるよ!」
いいとこ見せる前に、いいとこ見せられますよ?
「お、俺達にたてついたこと、こ、後悔させてやる!」
あいつどもりすぎだろ……。
てかいつの間にか、標的がこっちに向いてる。
「なんかすみません」
「はぁ、来るぞ!」
彼はため息をつき、トンファーを構える。
赤い奴は釘バット、青い奴はスリングショットか……。
スリングショットワロタ。
「近接は俺、ランディ、リンドウでやる。2人は遠距離をやってくれ!」
「了解よ!」
「了解です」
釘バットを振り上げ突っ込んでくる2人をまず、ハルバードで牽制。
「ぐっ!」
衝撃波で止まった一瞬を狙い、腹に蹴り入れる。
蹴られた腹を抑え、数歩下がった。
「クソがぁ!」
奴はすぐに体勢を立て直し、風の音と共にバットが頭を狙う。
それを横に飛び、回避すると。
「もらったぜ!」
俺の後ろにはランディがいて、すでにハルバードを構えている。
「がはぁ!」
再び衝撃波で数メートル吹っ飛び、気絶した。
ロイドの方を見ると、バットの攻撃をただ避けている。
⁇ あれくらいなら楽勝だろうに。
そして、振り切った瞬間を狙い顔面パンチを繰り出した。
トンファーのパンチが、顔面にクリーンヒットしたDQNは、後ろに倒れた。
あれは痛い、絶対折れてるだろ。
エリィ・ティオの2人は、射撃で武器を落としたところをティオが制圧している。
さすがっす。
「ぐっ! こいつら……」
「な、なんだあの杖。ビ、ビリビリする」
「こいつらを先にやるぞ」
再び武器を構える。
「おいおい、俺がいない時に面白いことやってんじゃねぇか!」
その時、赤いジャージを着たごつい男が来た。
「ヴァルドさん⁉︎」
ヴァルドって言うのか。
「何勝手なことやってんだよ、ああ?」
彼は仲間の首を掴み、脅す。
「す、すみません」
首を締められている少年が、苦しそうに言葉を吐き出す。
「君達も僕の言うことが、聞けないのかい?」
反対側からは、青い方の頭ぽいのが来た。
こっちは細い体で、優しげな青年だ。
その横には、スキンヘッドの大男がいる。
こっちが頭かな?
「ワジ、だってこいつらが……」
青年はワジと言うらしい。
「ったく、相変わらずどこぞの宗教みたいな格好を部下にさせやがって、気持ち悪りぃんだよ」
ヴァルドがワジにそう吐き捨てる。
「別に僕がさせてるわけじゃないんだけどね。そっちこそ、そんなに怒ってばかりじゃ、ダメだよ」
彼は少し笑みを浮かべ、言い放つ。
「ちょっとストップ! 両方ともこれ以上続けるつもりはなさそうだし、2人に任せて大丈夫かな?」
ロイドさん、それは無理じゃないでしょうか。相手はガチのストリートギャングだぜ?
「ククク」
「フフフ」
「「ハーハッハッハ‼︎」」
2人が突如笑い出した。
「今はまだ準備が整っていないから引くだけで」
「整い次第やり合うつもりだぜ? どちらかが潰れるまでな‼︎」
お2人さん、結構仲良さそうで。
その後お互い一言、覚悟しておけと言って帰ってしまった。
「あの様子じゃ近いうちにやり合うな。あれじゃ血を見ることになるぞ」
ランディが、表情を曇らせ言う。
「とりあえず任務は終わりましたし、これでいいのでは?」
ティオが提案をする。が。
「いや、ここで引けばいつまで経っても警察の評判は良くならない。なんとか、本気でやり合わないようにしよう」
ロイドは続ける気のようだ。
「そうね」
「じゃあ、まずは理由から探ろう。そうそう総力戦なんて、やるわけないからね。それなりの理由があるはずだ」
「了解だ」