転生したのに最強じゃないってどう言うことだってばよ! 作:オルクス001
「そろそろ他の奴らも来るだろう」
「そうですか」
そう言うとセルゲイは、そのまま何処かへ行ってしまった。
現在俺がいるのは、警察の会議室だ。何故、そんな所に居るのかと言うと、先日、彼に連れられこのクロスベル自治区へとやって来た。その際彼は、俺に新しく発足する【特務支援課】なる部署へ勧誘をしたのだ。
もちろん俺は、2つ返事で引き受けた。なんせ宿を提供してもらえる上、給料まで入ってくるのだから断る理由がない。
そして、今日がその結成日。俺はこうして他のメンバーを待っているのだ。
しばらくするとガチャッ、とドアが開き、入ってきたのは、オレンジ色のコートを羽織った赤毛の男性。
互いに軽く自己紹介をする。
ランディ・オルランドと名乗るこの男性の印象は、表情が柔らかく、陽気な人だ。だが、ガッチリとした身体で男らしさがありカッコイイ、と言うのが素直な感想だ。年齢は俺より結構上のようだ。
「すみません。どいてくれますか?」
そんなことを考えていると、彼の後ろから声がした。
慌てて彼がよけると、そこには水色の髪をした少女がいた。
そのままこちらに会釈すると、「ティオ・プラトーです」とだけ言って席につく。
「……」
なんとも素っ気のない奴だ。
ランディは俺の横に座っていて、部屋は完全に静まり返っている。それは決して、心地のいい静寂ではなく、少しの物音すら気に障るような居心地の悪い静寂だった。しかし、その静寂を破るようにドアが開き、一人の女性が入ってきた。
「あら? 皆さん早いのね。初めまして、エリィ・マクダエルです。よろしくお願いします。」
銀髪を揺らし優雅に歩く彼女は、お嬢様、と言う言葉がこれ以上ないほどに合っていた。
「あと一人だな」
「そのようですね」
エリィは先ほどの青髪の少女の横に座り、俺の言葉に返答した。
特務支援課は課長のセルゲイ合わせて、6人で構成されらしい。
しばらくするとセルゲイと茶髪の青年が入ってきた。
てか、この世界だと赤毛とか青髪とかでも違和感無いね。不思議。
「これで全員だな、おい自己紹介しろ」
茶髪の青年はなぜか喋らない。
「どうした? 名前と出身だけでいい。」
青年は我に返ったように、慌てて自己紹介をする。
「ロイド・バニングス、出身はクロスベルです。警察学校を卒業したばかりの若輩者ですがよろしくお願いします」
ロイドと言う青年は、礼儀正しく挨拶をした。
「ランディ・オルランドだ。元は警備隊にいたんだが、まぁ今はいいだろ。よろしく頼む」
「初めまして、エリィ・マクダエルです。出身はクロスベル、よろしくお願いします」
「ティオ・プラトーです。よろしく」
青髪の少女は相変わらず素っ気ない態度で自己紹介をしている。
「俺は、カタギリ・リンドウだ。ファミリーネームはカタギリだ。出身は……無い」
セルゲイを除いた4人が、驚きの表情を向ける。
この故郷がない設定は、なんとも恥ずかしいものだ。自業自得だと言われればそれまでなのだが……。
「終わったな。じゃあ早速だが、お前達には実践テストも兼ねて仕事をしてもらう。ついてこい」
セルゲイは有無を言わせず歩いていく。慌ててその後ろを追いかける5人。駅前まで歩き、固く閉ざされた鉄の扉の前まで案内された。どうやらジオフロントA区と言う場所で、魔物が徘徊しているらしい。試験として、それらを倒しながら奥まで進めとのことだ。
それと【戦術オーブメント】と言う物も渡された。最新型で通称
最後に彼は、ロイドをリーダーに任命すると、そのまま帰って行った。どうやら正規の警察官はロイドだけのようだ。
「押し付けられましたね」
エリィが苦笑いで言い、ロイドはため息を吐いている。
「そう言えば皆は何歳なのかな?見た感じ自分と同い年っぽいけど。ちなみに俺は18歳」
「私も18歳よ」
「俺は21だ。固っ苦しいのは嫌いだから、タメでいいぜ」
ロイドとエリィは2歳上、ランディは5歳も上か。
「俺は16歳だ」
「14歳です」
2歳下か。
俺以外は何故か驚いている。
「えっ? 警察官は最低でも16歳だったはず……」
「私は警察官ではありません。エプスタイン財団所属で、この武器のテストも兼ねてこちらに来ました」
そう言って取り出したのは魔法の杖のような物。
「これは
「へぇー初めて見るな、ちなみにお前らの獲物はなんだ? 俺はこれだ」
そう言ってランディが背中に担いでいたものを構える。それは【スタンハルバード】と呼ばれる物で、導力装置によって衝撃波も出せるのだとか。
「私はこれよ」
エリィはハンドガン。射撃なら誰にも負けないらしい。
競技用の銃を特注で頼んだらしく、とても綺麗に整備されている。
「俺の得物は、こいつさ」
ロイドはトンファーだ。攻撃力より、制圧性や防御力に優れている警察官の武器のひとつらしい。
「リンドウは?」
「俺か? 俺はこれだ」
俺は腰に提げた刀を抜く。
「刀……ですか。トンファーと同じ東方の武器ですね」
「聞いたことはあるが、見るのは初めてだぜ」
「さて、そろそろ行こうか」
「だな」
ロイドの言葉で、ジオフロントA区へと入っていく。
一体どんな敵がいるのか、楽しみだぜ! 嘘です。まじ死にたくないんで勘弁してください。