転生したのに最強じゃないってどう言うことだってばよ! 作:オルクス001
最近自分の文章にとても不安が募ります。
文章でおかしなところがあれば、どんどん言ってください。
そして、応援してくださる皆様にお答えできるよう、精一杯頑張りますので、これからも宜しくお願いします。
人気のない暗い夜道を1人の男が歩く。体格はガッチリとしておりとても厳つい。普通の人なら絶対に近づきたくない。そんな雰囲気を醸し出している。彼の名前はヴァルド。旧市街のストリートギャング【サーベルバイパー】のヘッドだ。
彼はポケットに手を突っ込み、不機嫌そうにジオフロントA区の入り口に向かう。そして、そこにいた人物に気づくと眉をひそめ言った。
「わざわざタイマン張るために呼び出したのかよ」
「最初は僕もそう思ったんだけどね」
そう答えるのはいかにも好青年な出で立ちだが、ストリートギャング【テスタメンツ】のヘッドであるワジ。
「僕たちを呼び出した張本人が来たみたいだよ」
彼に促されるヴァルドは後ろを振り返る。そして、そこにいた人物達を見てさらに眉をひそめた。
× × ×
「そろそろ行くか」
俺達一行は、ロイドに促されジオフロントA区の入り口へと向かう。
すでにワジとヴァルドは来ていたようで、何かを話していた。
ワジがこちらに気づき、続いてヴァルドもこちらを見る。その顔はとても不機嫌だ。
「俺をここに呼び出して何の用だ」
ロイドは2人に、今回の闇討ち事件の真相と【作戦】に協力してほしいことを告げる。
それを聞いた2人は、少しだけ楽しそうに笑みをこぼした。
時は少し遡り……。
俺たちの部署兼宿の雑居ビル。その1階で、これからのことを話し合っていた。
――ルバーチェ商会――
それがあの記者から与えられた【ピース】。
ルバーチェ商会とは、クロスベルの裏社会を操るマフィア組織だ。彼女からの情報によると、事件が起きた日に旧市街をうろつく商会メンバーがいたらしい。
「俺とエリーで行ってきた弁護士イアン・グリムウッドさんの話によると、最近
ほう、なかなか興味深い話だな。
ちなみにその時、俺達は支援要請をこなしてた。内容は落し物の捜索や住所録の確認などの使いっ走りばかりだったがな!
とにかく、この情報で微かだが先が見えてきた。
まず初めにこの2つの組織の関係性だが、おそらくルバーチェ商会側は相手方をよくは思っていないだろう。自分の縄張りに新手の、しかも割と勢力のある犯罪組織が手を伸ばしてきたらどこだっていい気はしない。たとえ黒月側に
次にストリートギャングを襲った犯人だが、おそらくルバーチェの連中で間違いはない。でも動機がないんだよなぁ。
彼らが黒月の手下だと言う線は薄いし、そうなればルバーチェが襲う理由はないはずだ。
「おーい、話聞いてるか?」
「ん? ごめん、聞いてなかった」
気がつくと全員の視線が俺に向いていた。
慌てて今考えていたことを話すと、どうやら話は犯人の動機まで進んでいたらしくロイドが考えを述べる。ちなみにそれまでの話は俺の考えていた通りだった。
よかった。これで間違ってたら……おお、怖い怖い。
ロイドが考えるルバーチェの動機は、簡単に言えば戦力の増強だ。2つのグループを争わせ、勝った方を手下にする。両方仲間にしろよと突っ込みたくなるね。
「…………」
えっ? なにこの沈黙。ああ、そうか。相手はこの街を裏から操る組織。当然他の課への救援は望めない。それどころか俺達が社会的に潰されかねない。厄介なことになったもんだ。
「課長に……セルゲイ課長に判断してもらおう」
おっ? さすがロイド、まともな判断だな。
ちなみに俺なら1人突っ走ってた可能性が大。さすが俺。馬鹿だな。そんなことを考えつつ、早速俺達はセルゲイ課長に相談しに行った。
「……そうだな……。判断はお前たちに任せよう。このまま手を引くのもあり、解決のためマフィアを検挙するのもありだ」
あれれ〜? おかしいぞ〜? 判断を仰ぐつもりが、逆に仰がれたよ。
要するにお前達の好きにやれってことか。まぁ、そっちの方が俺としてはありがたい。
課長室を出ると、メンバーの空気が心なしか軽くなっていた。
「さて。ロイド、どうする?」
「……そうだな。俺ははじめと同じだ。このままで終わらせたくはない。相手が誰であろうと、ここで引くわけにはいかない」
「その言葉を待ってたぜ。皆は?」
そう俺が聞くと、全員が賛成の意を表する。
こうして、俺達のマフィア逮捕の作戦が始まった。
× × ×
深夜の旧市街地。雲が月を隠し、耳に痛いほどの静けさが辺りを包む。そしてその中には、俺達にしかわからない緊張の糸が、張り詰めていた。
楽しくなってきたぜ。
俺は物陰で1人、笑みをこぼす。
うーん。間にとてつもなく大事な部分を忘れてる気がする。