ゼロの忠実な使い魔達   作:鉄 分

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第二十二話 来襲

 ニューカッスル城本棟より東へ数百メートル、そのニューカッスル城敷地内の外れには礼拝堂が建立されている。

 ハルケギニアに広く普及するブリミル教を象徴する建物だった、その始祖ブリミルの像が置かれた礼拝堂にてウェールズとルイズが向かい合っていた。

 

 

 ルイズの後ろにはキュルケとタバサが控え立ち事の成り行きを見守っていた。

 軍服に身を包んだウェールズの姿。寸暇を惜しむほど繁忙を極める中やっとのことで時間を捻りだしたのだろう、服を着替える暇すら惜しいウェールズの立場が見て取れる。

 しかし、ウェールズの表情は身に着けたその厳めしい軍服からは考えられないほどに優しく柔らかだった。

 

 

 

「ウェールズ皇太子殿下、トリステインへの亡命をどうしても御決断願えないのでしょうか。」

「申し訳ない、昨晩の検討を経ても私の意思は変わらなかった。」

「愛しいアンリエッタを思えばこの身かわいさで思わず逃げ出してしまいたくなる。」

「だが、それでも私の意思は変わらない。アルビオン王族としての誇りと義務が、そして何よりもこれまで死んでいった忠臣と今も戦っている仲間達を思えばどうしてこの場から離れることが出来るだろうか。」

 

 

 

 ウェールズは静かに微笑んだ。

 仲間と共にアルビオン王国へ殉じることを決意したのだろう。その雰囲気からは一切の迷いが感じられない。自然体でにこやかに微笑みかけるその様はルイズを慮るようだった。

 

 

 その姿はさながらあの日のキュルケとルイズのようだ。自身の窮状を認めその上で更に相手を思いやることが出来る深みのある度量。通常の人間では持ちえないだろう深甚な思い。そのどれもがあの日のルイズを想起させた。

 ウェールズはルイズを見た、まるで自分と同じ種類の人間を認めるようにして。

 

 

 

「御仲間と共にトリステインへ陣を引き、今一度アルビオン王家復興のために雌伏為されては?」

「その案も勿論考慮した。だが、我々全員が避難をするための猶予を稼ぐよりも、それこそメガトロン卿が反乱軍を打ち砕く方が簡単に済むだろう。如何にメガトロン卿の御威光が働いているとはいえ反乱軍も必死だ。数日後の一斉蜂起の際には決死の覚悟で向かってくるはず。そうなってしまえば時間を稼ごうとするメガトロン卿と反乱軍との激突は確実だ。我々の避難が完了するころには既に屍の山が幾つも積みあがっていることになる。結局は他力に依存した反乱軍の鎮圧という落着は避けられない。アルビオン王家の名誉は失われてしまうだろう、その結果を受け入れる訳には行かないのだ、」

 

 

 

 皇太子という外面だけがウェールズではない、彼は自身の置かれている現状を正確に把握し客観視するだけの器量と賢さを持っている。アルビオン王家としての誇りと名誉を全うするためにはどうすればいいのかをウェールズは確りと理解していた。

 反乱軍とはいえ彼らはアルビオンの国民である。その彼らを思うウェールズに反乱軍の討滅をメガトロンへ依頼できる訳がなかった。国民を愛し王族としての誇りを持つウェールズだからこその決断。

 

 

 

 その決断を聞いてルイズは自分に出来ることはないと悟る。

 このアルビオンにおいて状況は完全に定まっていた。

 

 

 王族としての誇りと使命を全うするウェールズ皇太子。アルビオン王族に殉じることを選択した忠臣の人々。革命が為されるその寸前まで王軍側を追い詰めた反乱軍は後もう一息とばかりに大挙してやってくるだろう。如何にメガトロンでもその反乱軍に危害を加えることなく時間を稼ぐことは困難だ。亡命を促すルイズの試みを敢え無く失敗に終わった。

 

 それこそメガトロンの力を借りて力づくでウェールズ皇太子をトリステインまで拉致でもしてやろうか、とルイズは画策していた。だが、王族の誇りを全うするというウェールズ確固とした意思を無碍にすることはどうしても出来なかった。

 

 

 移送船イーグル号は明朝出航を済ませていた。

 現アルビオン国王ジェームズ一世の促しもあり乗組員には非戦闘員だけでなく戦闘続行を諦めた兵士も幾人か乗船していたらしい。負けると分かりきっている戦争を忠義だけで乗り切れる人々は多くないということだろう。

 

 

 現状のニューカッスル城には昨夜までの雑然とした高揚は失われていた。300人居るかいないかという戦闘員だけが残ったことになる。城内の雰囲気は沈んでいたが、この状況でも残ることを選択した兵士は真の忠臣だった。アルビオン王家の華々しい最後を飾るには十分すぎるほどだろう。

 

 

 

 最早自分に関われる領域は残されていないのか、ルイズは護衛任務に就いているメガトロンを思った。今頃メガトロンは何処かの空を飛びながらイーグル号を無事に送り届けるために哨戒を続けているはずだ。

 

 大量の人員を乗せたイーグル号は船足も遅い。ウェールズがメガトロンへ護衛を依頼したのも頷けた。あのメガトロンが移送船護衛という任務をこれまた素直に受け取ったのは意外だったし、その理由もルイズには分からなかった。しかし、その事実だけでルイズは十分すぎるほど満足だった。

 

 

 だが、それと同時にルイズは自分の不甲斐無さを強く感じた。メガトロンは自分の任務を忠実にこなしているにも関わらず、大見得を切ったルイズはこの有様だ。不甲斐ないにも程がある。

 

 だから、ルイズは質問を投げ掛けた。細やかな口惜しさを隠しきれずに滲ませながら。

 ルイズはウェールズを見た、まるで自分と同じ種類の人間を認めるようにして。

 

 

 

 

「ウェールズ皇太子殿下。殿下は自らの誇りの為に、死を受け入れるおつもりですか。」

「その通りだ、ラ・ヴァリエール嬢よ。私は私であるが故に我々が我々であることを証明する為に、王族としての誇りを全うして殉ずるつもりだ。忠義を捧げる皆がいてくれるからその未来に恐怖はない、私は一人ではないからな。」

 

 

 

 

 そしてウェールズはその口角を僅かに持ち上げる。

 それはほんの僅かだったが、笑みを投げ掛けられているのだとルイズには分かった。

 

 

 

「そして、ラ・ヴァリエール嬢よ。恐らくは貴殿もまた私と同じ選択を……ッッ?!」

 

 

 

 突如として轟く轟音と怒声。

 遠方からまるで地鳴りのようにして響く号砲を聞いてウェールズは驚愕し思わず振り返った。

 その号砲は治まりを見せない。それどころか溢れる波濤のようにしてますます膨張を続けていた。

 膨れ上がる雄叫びの嵐を聞いてウェールズは歯噛みする。

 この事実を予見していない訳ではなかったがそれでも早すぎた。

 

 

 

「馬鹿なッッ!!通達の日時までまだ幾日もあるというのに、あの通達は謀りだったというのか?!戦場だからとて義を捨て去るなど言語道断だ!!」

「そう驚かずともいいではありませんか、戦場にて裏切り、騙し討ちは当たり前に行われていることですよ。ウェールズ皇太子殿下。」

 

 

 

 戦場としては似つかわしくないほどの爽やかな声。

 いつの間にかそこには長身の痩躯に羽帽子を身に着けている男が現れている。如才のない所作と一部の乱れもない衣服の着こなし。その身に纏う洗練された気品は間違いなく貴族のものだと感じさせた。それは長い髭を蓄えた20代後半の苦み走る男だった。

 羽帽子を取り男は一礼する。

 

 

 

 

「アンリエッタ姫殿下にお仕えする魔法衛士隊、そのグリフォン隊隊長を務めるワルド子爵です。以後お見知りおきを。そしてルイズ、アンリエッタ姫殿下より君達に同行することを命じられた。遅ればせながら助力に馳せ参じたよ。」

 

 

 

 そういってワルドは一歩足を踏み出した。

 礼拝堂入口に佇んでいたその身体が前進を続ける。

 

 だが、ルイズは即座に杖を構え警戒する素振りを見せる。

 その様子を見て傍に控えていたキュルケやタバサも慌てて杖を構えた。キュルケやタバサにはルイズが杖を構える理由は分からない。だが、ルイズが理由もなく武器を構えるような真似をすることはないと理解していた。

 

 

 

「ちょっと!ルイズ説明しなさいよ。この殿方は誰?急に出てきて一体何なのよ?グリフォン隊隊長って言っていたけれどもしかして貴女の知り合いなの?」

「………、」

 

 

 

 キュルケは説明を求めるがルイズは答えない。

 矢庭に警戒態勢を露わにし続けるだけだった。その瞳には疑心の色がありありと浮かび上がっていた。

 ワルドはその光景を見て満足そうに頷く。

 まるで最初からわかっていたというように。

 

 

 

 

 

「トリステインの未来がかかっている重大な任務だアンリエッタ姫殿下は不安を抱くだろう。君達だけで本当に任務を達成できるのかどうか、とね。」

「けれどこれは秘匿性の高い任務だ。多勢の部隊を援護につけて目立つわけにはいかない。そこで、ある程度腕が立ち身元が保証されている僕が同行に指名される。」

「そういう筋書きだったんだ、本当はね。」

「そういう成り行きでことは進む筈だったんだよ。」

 

 

 

 

 

 ギリリ、とワルドの顔が歪められる。

 その整った端正な顔立ちが見る影もなくなっていた。その表情には確かな憎しみと不満が読み取れる。険しい顔つきが更に険しくなる。

 眉根に刻まれた深い皺がワルドの積み重なった苛立ちを表しているようだった。

 そして、歪んだ顔つきはそのままにワルドは微笑んだ。

 苛立ちを無理やり加工したおぞましい笑みをルイズに投げ掛ける。

 

 

「ああ、ルイズ。僕のかわいいルイズ。君は何時もそうだった。何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も何時も君はそうだったね。僕のかわいいルイズ。」

「僕のかわいいルイズ。君はどうしてそうなんだろう。もっとお転婆で愚かだったら良かったのに。」

「ああ、ルイズ。僕のかわいいルイズ。」

「君は、本当に、聡明すぎる。」

 

 

 そしてワルドはその身に抱く狂気を露出させた。

 最早隠そうともしていない、眉根に皺を深く刻みつけながらルイズたちを睨み付けている。

 徐々に露わになっていく狂気、ルイズやキュルケ達は目の前の現状に困惑を隠せない。

 

 

「人目を引く多数の応援よりも、目立たない一人の腕利きを。グリフォン隊体長という肩書もある。任務への動向に僕が指名されるのは寧ろ自然な成り行きだ。何の不自然もない。」

「けれどルイズ。君がこんな上っ面のことに騙されるほど愚かではないということは僕が一番よく知っているよ、幼いころから何時もそうだった。」

「君は余りにも聡明すぎる。それこそ僕が苛立ちを隠せないほどに。一度でも僕の思う通りに動いてくれたことはあるかい?無いだろう?君は何時も僕の手中から擦り抜けてしまうからね。」

「どんな理由があろうとも急に現れた僕を諸手を挙げて信用するほど君は馬鹿じゃない。口先だけで君を上手く丸め込めれば最善だった。まぁ上手くいく訳がないとは覚悟していたよ。」

 

 

 

 そしてワルドは指を三本立てた。

 それらの指を一本づつゆっくりと折り畳みながら自身の目的を明らかにしていく。

 

 只ならぬ雰囲気を感じ取りウェールズも杖を構えた。だがワルドはそんなことは関係ないとばかりに歩を進めた。四人のメイジから杖を向けられているというのにワルドの表情には一片の不安も見当たらない。

 それだけの実力と自信があるということだろうか、無造作に歩き続けるワルドは警戒すらしていなかった。

 

 

 

 

「ルイズ、僕が今日ここに来た目的は三つあるんだ。」

「一つ、それはアンリエッタ姫殿下の手紙だ。トリステインとゲルマニアの同盟を破断させるためにはその手紙が必要だからね。ルイズ、君が持っているだろう手紙は必ず奪い取らせてもらうよ。」

「手紙だと?!だとすれば貴様!貴族派の手先か?!」

 

 

 

 

 そう叫び、ウェールズは杖を突きつけた。

 アンリエッタ姫からの手紙を知っている。そしてトリステインとゲルマニアの同盟破綻を望むのはアルビオン支配を目論む貴族派以外にはいない。瞬時にそうウェールズは断定した。

 

 ウェールズの叫びに反応してキュルケ達も構えた杖に力を込める。同盟を成功させるためにはこの手紙を奪われるわけにはいかなかった。目の前の存在が明確な敵だと判断できれば容赦は最早必要ない。キュルケ達が纏う雰囲気も剣呑なものになり、その場の空気が張り詰める。

 

 

 だが、叫んだそのウェールズに応えたのは一人ではなかった。

 

 

「「貴族派?これだから物を知らない王子様は困る、国も滅ぼうというものだ」」

「――――何ッ?!」

 

 

 ウェールズは驚愕し後ろを振り返った。もう一人のワルドがそこにいる。

 突然の事態にウェールズ達は硬直した。身体が反応を要するまでの僅かな時間、その間隙を見逃すほどワルドの実力は低くない。

 

 

 

「「そして二つ目の目的、それは―――――、」」

「くそッッ!!エアカッ「ウェールズ・テューダー、貴様の命だ、」

 

 

 

 前後にいる二人のワルド、そのどちらでもない三人目が現れる。

 後方のワルドへ向けて杖を構えるウェールズを新しく出現した三人目が襲撃した。エアカッターを放とうとするウェールズに背後から接近、その心臓へ向けて杖を突き立てる。高濃度に風の魔力を纏った杖は本物の刃物を凌ぐ鋭さを持っている。突き出されたその一撃。風の刃はマントを切り裂き、過たずウェールズの心臓を貫いた。

 

 

 

「ウェールズ皇太子殿下ッッ!!!」

 

 

 

 言葉をあげることなくウェールズは崩れ落ちる。ほんの数瞬のことだった。反応することすら出来ない僅かの間。

 ルイズは叫び、ウェールズを抱き留めることしか出来なかった。だが完全に崩れ落ちる身体を支える力をルイズは持っていない。そのままウェールズごと倒れ込んでしまう。

 

 吹き上がる血液がその場を濡らす。噴水のようなその光景はウェールズの絶命をこれ以上ないほどに決定づけていた。押さえても押さえても夥しい量の噴出は止まらない、手足が血に染まってもルイズは傷口を押さえ続けた。

 だが、そのルイズの懸命な姿を嘲笑うように分身のワルドは続ける。

 

 

 

「「我々はレコン・キスタ、ハルケギニア全土を支配し封じられた聖地を奪還するため結成された組織だ、障壁となるものには容赦はしない、アンリエッタ姫殿下の手紙を渡してもらう、」」

 

 

 

 自身の正体を明かしたワルド、杖を構え追加の呪文を唱える。一所に集結した三体のワルド、徐々にその姿が揺らめき三つだった人影が七つへと増加していた。風は常に偏在している、一か所に留まらず風の吹く所であれば何処にでも、場所を選ぶことなく彷徨い現れる。

 タバサの頬を一筋の汗が伝った。

 同様の属性を持つからこそ備わった実力のほどを理解することができる、

 

 

「偏在の魔法、」

「間違いなくスクウェアクラスのメイジね、属性は風、タバサも反応できないなんて相当の手練れだわ、あらあら、私たち生きてこの場から帰れるかしら、」

「七つ全てが本人そのもの、複製されるゴーレムとは根本が違う、」

「本物は一人だけ、その一人を見抜いて倒すことが出来なければ私たちは死ぬ、」

 

 

 タバサの冷静な分析にキュルケは頷き返した。

 位置を変え分身した複数のワルド全員を視界に納める。

 ちらりと横目でルイズの様子を伺う、未だ大量の血を吹き出し続ける胸の傷口をルイズは必死で押さえていた。

 

 最早ウェールズが助かる見込みは残されていない。それをルイズも理解しているのだろう、その様子は呆然としている。身体だけが動いていて目の前の凄惨な光景に精神が追いついていないのだろうか、ルイズの瞳は虚ろだった。

 

 気が抜け落ちてしまったルイズの姿。

 キュルケは溜息を吐いて言った。

 

 

 

「今のルイズはあてに出来ないわ、私たちだけでやりましょう。何とかして御姫様の手紙を守りきらなきゃ、」

「了解、」

「手紙を狙う追っ手がスクウェアクラスの手練れで、護衛任務のミスタもいないしニューカッスル城はもうすぐ反乱軍に攻め落とされるしでもう散々ね。」

「絶体絶命、」

 

 

 

 七人の偏在に囲まれながらもタバサは冷静だった。普段と変わらないその様子を見てキュルケは苦笑する。これ以上心強い味方も早々ないだろう。

 

 意識を集中し魔力を高める、絶対の死地に追い込まれた身体が火照り始めるのをキュルケは感じた。身体の内より沸々と湧き上がる微熱はツェルプストーの血縁故だろうか、身体の芯を心の底より湧き上がる微熱が焦がしてゆく。

 

 堪らずキュルケは宣言した、

 燃えるように赤い髪を掻き揚げ高らかに。

 

 

「さぁ!!御相手仕りますわ子爵様、この身に猛る微熱の炎と共に是非とも踊ってくださいな、」

 

 

 朗々と開戦の狼煙があがる。

 タバサも杖を構え二人は臨戦態勢に突入していた。

 だが、

 

 

「―――――ッッ?!」

 

 

 タラリ、とキュルケの頬を伝う何か。

 何かに引き裂かれたようにして頬に一文字が刻まれていた。薄皮一枚という絶妙な力加減の切り傷。

 

 見ると七体の内の一人が杖を構えていた。メイジであれば誰でも教わる何気ない普通の構え。だが、もう既に魔法を放った後だったことを除けばの話である。臨戦態勢にあるタバサとキュルケが反応することすら出来ないほどの早業。放たれたエアカッターは瞬きの間すら与えない。

 

 偏在で分裂したワルドはそれぞれが笑みを浮かべていた。口角を吊り上げながらニタリと笑う。驕る学生にお灸を据えてやったというように、七人のワルド達は余裕綽々と意趣を返した。

 

 

「僕の二つ名は閃光。最強の系統である風を操るスクウェアメイジ、閃光のワルドだ。所詮は学院生である君たちが果たしてどれだけ抗することが出来るかな?」

「御気づかいなく。この程度で吹き消えてしまうほど、微熱の炎は乏しくありませんわ子爵様。」

 

 

 グイッとキュルケは頬を拭った。

 頬を伝う血は拭えたが、背筋を伝う汗の粒は拭えていない。

 

 全身を襲う慄然を何とか噛み殺しながらキュルケはワルドを見据えた。倒すべき敵を前にしてこちらが先に倒れる訳には行かなかった。その後ろに仲間がいるならば尚更だ。

ちらりと後ろに控えるルイズを見る。負けられない自身の立場を確認しキュルケはワルドへ立ち向かった。

 礼拝堂を舞台にしたキュルケとタバサの戦いは、まだまだ戦端を迎えたばかりだった。

 

 

 

 

 


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