ゼロの忠実な使い魔達   作:鉄 分

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ゼロの使い魔と実写版映画トランスフォーマーリベンジのクロスオーバー作品です
以前二次ファンに投降していたものを少しだけ作り直して投稿しています.

【挿絵表示】




第一章 貴族としての誇り
第一話 ゼロのメイジと大帝との出会い


 トリステイン魔法学院に在籍しているとあるメイジ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは自身の眼前に広がる光景に唖然としていた。自身の目の前に存在している物体は何なのか、そもそも本当に自分がサモン・サーヴァントで召喚した存在なのかと疑問に感じてしまうほど異質な物体がそこには在った。

 

 

 それは全長が10メートルを超えるような巨大なゴーレムだった。

 頑強な装甲が全身を覆い、見る者にそれの剛健さを如何なく印象付けている、

 脚部の半ばまでをカバーしているキャタピラには鋭く尖った無数の棘が確認できる。腕部は共に丸太を通り越して土管のように太いが、右腕部が対となる腕よりも明らかに重厚でアシンメトリーとなっている。均一さを欠落させる不格好なアンバランスさがゴーレムの異様さを更に際立たせていた。

 

 そして、最も特異な特徴はその顔だ。

 堂々とした体躯には阿修羅を想起させる恐ろしい相貌をした頭部が搭載され、太陽の光をうけて鈍色に輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 これが、かつてゼロと呼ばれた伝説のメイジ:ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールと、死と破壊を司るディセプティコンのリーダー:破壊大帝メガトロンの初めての邂逅であった、

 

 

 

 

 

 

 物語は時を少し遡る………、

 

 

 

 ここはハルケギニア大陸北西部に位置する小国トリステインが保有するメイジ養成所、トリステイン魔法学院、

 魔法学院では現在二年次に進級する生徒たちが自身のパートナーとなる使い魔を召喚、契約するサモン・サーヴァントと呼ばれる儀式を執り行っていた。

 

 

 この儀式は術者の魔法属性と専門課程を見極める意味合いも兼ねて行われている。自身のこれからが強く左右される儀式であるため、取り掛かる生徒たちの表情は真剣そのものだった。

 

 

 今年度の儀式もその殆どの過程が終了し、大多数の生徒たちは各々が召喚した互いの使い魔を褒めあったり自慢しあいながら何気ない会話を楽しんでいた、

 ただ一人を除いては、

 

 

 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールは杖を一際固く握りしめ、焦る気持ちを抑えつけながら自身の精神を集中させていた。

 

 蒼茫とした草原にいるのはもはや彼女を除けばルイズのクラスを担当している火属性のメイジ、コルベールのみである。そう彼女は未だにサモン・サーヴァントの儀式を成功させることが出来ないでいた、

 

 

 使い魔召喚のための呪文「サモン・サーヴァント」を唱えては爆破を繰り返すルイズに周囲は呆れ、彼女を置いて学院に一足早く帰還していたのだ。彼女の同級生であるキュルケは他の生徒が帰還してもしばらくはルイズの召喚魔法を見守っていたのだがちょっとした諍いが原因で彼女もルイズを置いて学院に帰ってしまっていた。

 

 

「ミス・ヴァリエール、もうすぐ日が沈みます今日のところはそこまでにして召喚の儀式はまた明日に持ち越しませんか?オスマン学院長には私から伝えておきますから。」

「もう一度、もう一度だけお願いします!! チャンスを下さい!!」

「はぁそうですかまだ諦めないのですね……分りました、ですがそれでも限度があります、次の召喚を最後にしましょう、リラックスですよ、ミス・ヴァリエール。」

 

 

 日を改めないか、とコルベールはルイズに提案したが、ルイズは譲るそぶりを一切見せずに前方を見据える。

 このサモン・サーヴァントの儀式は進級試験も兼ねている。

そのためもしルイズが召喚に成功することが出来なければ、彼女はよくて留年悪ければ退学を通達されることすらありえたのだ。トリステイン魔法学院の学院長であるオールド・オスマンはルイズが仮にサーヴァントを召喚することが出来なくても品行方正な生徒であり、大切な生徒の一人である彼女を退学にするようなことは決してありえないだろう、

 

 

しかし、ルイズのプライドがそれを許容できるはずがない、

 

 

加えて彼女は名門公爵家ヴァリエール家の息女である。

 この世界では魔法が使えるメイジこそが貴族であり、貴族は平民を統治する支配階級に位置している、貴族であることを示す絶対の証は魔法が使用できることである。公爵家の娘がサーヴァントを召喚することすらできずにいる、などという事実は到底受け入れられることではなくルイズがサーヴァント召喚に失敗した場合、世間体を気にした公爵家によってルイズは家に呼び戻されてしまうことすらありえるのだ。

 

 

 コモン・マジックですら碌に扱えないと周囲の生徒たちに嘲笑され続けていたルイズにとってサモン・サーヴァントの儀式は他の生徒を見返す絶好のチャンスである、

並々ならぬ決意を胸にルイズは儀式に臨んだのだが、結果は前述の通りである。

 

 

 

(何で!?何で何も出てこないのよっ?!)

(大丈夫よ…絶対大丈夫!次は絶対に成功するわ!あれだけ練習したじゃない、必ず次は成功させてみせる!!ドラゴンとかグリフォンとか贅沢は言わないから! 何でもいいからお願い!)

(でも、カエルはちょっと嫌かなぁ……)

 

 

 ルイズは同級生である水のメイジ・香水のモンモランシーが召喚したカエルの使い魔ロビンを思い出して、独りごちた、そして彼女は自身の持つ杖を握る手に更に力を込める。

 

 

自分を見下し嘲笑する貴族子弟たちの笑い声を掻き消してやる、かくの如き強い使い魔を………、

 

 

杖を振り上げ、強い決意と想いを込めて呪文を唱えた、

 

 

 

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!五つの力を司るペンタゴン!!我の運命に従いし、使い魔を召喚せよ!!」

 

 

 

 その呪文と共に今までとは比べ物にならないほどの爆発が起きた。強烈な爆風が彼女を襲い、小柄な体は地面に背面から投げ出される、

その場を覆う粉塵が時間と共に晴れていく、次第に明らかになるその全貌、ルイズの身体から震えが湧き上がる。

やっと召喚することが出来た喜びか、その身震いは収まることはなかった。

 

 

そして物語はプロローグへと至る、

 

 

 

 

 


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