遊戯王 Black seeker   作:トキノ アユム

74 / 80
GXデュエルアカデミア編第8話『魔王を打倒せよ』
宿敵


『あなたが私のマスターですか?』

『私はマスターのエースです!』

 その光景を、『私』は見ていた。

 『私』ではない私の記憶。

 自分の記憶のはずなのに、まるで実感がない。

 用意された映像に見える。

 自分には不必要な物に思えてならない

「あらら、記録しておいた記憶を見せてもだめかー」

 声が聞こえた。辺りを見るが、何もいない。

 当たり前だ。ここは『私』の中。他の者がいるはずない。

「レインちゃんに洗脳される時は、『あの子』の仕掛けを解く為の刺激になるから丁度いいかなーってスルーしたんだけど、これ想像以上に強力だなー」

 いるはずがないのに、声は止まない。

「まあ、出来るとこまではやったから、外から強い衝撃でも与えれば、洗脳も記憶も治るだろう。『彼』なら駄目元とかでやってくれそうだし、後は任せるかなー」

 常にそこにいる。

 

 

 

「じゃあね。可能性の魔術使さん。縁があったらまた会おう」 

 

 

 

「私は、これでターンエンドです」

 

 

 

「俺のターン」

 さて、決闘も中盤と言った所か。

 分の悪い賭けで、何とかこちらに流れは向いてきている。

 だが気は抜けない。油断すれば、一撃でやられる。

「ドロー」

「……」

 更にこちらは人質になっているバニラを救う事もやらなければならない。

『どうするますたー?』

(そうだな……)

 とりあえずはまあ――

 

 

『あたまにつよいしょうげきをあたえる?』

 

 

 それだな。

 

 

 

「ラーの翼神竜の効果。1000ポイントのライフを払い、相手モンスター 一体を破壊する」

 

 黒乃LP3000→2000

 

 当然破壊対象は一つ。

「消えてろ竜騎士」

 敵に回れば目障りこのうえない竜騎士様だ。

『上手に焼こう♪』

 ひなたの口から吐き出された炎が、敵を焼き尽くす。

「!?」

 だがそれだけではない。神の息吹はプレイヤーにも精神的ダメージを与える。これで洗脳を解く。いわゆるショック療法というやつだ。

『おねえちゃん。だいじょうぶかな?』

(大丈夫だろう)

 物は試し程度のレベルだし。そんなに深刻なダメージを受けるわけ――

 

 

「ぎ、いあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 ……

 

 

 あれ? おかしいな……

(ひなた。お前もしかして、わりと本気?)

『え? だってこれぐらいしないと、ママの闇はとれないよ?』

 頑固汚れみたいだなおい。

『ますたー。ごむぱっきんのかびはねがふかい』

 こんな時にはカビキラー(ゴッドフェニックス)の浸透力か。

 いや、まあ元に戻るならなんでもいいんだけどさ。

 流石に死んだりはしないよな?

『大丈夫! ミディアムで焼いておいたから!』

 ひなたさん。それは大丈夫ではないぞ。

 だがまあ――

「バニラだからいいか……」

 

 

「よくありませんよ!!!!」

 

 

 …………

 

 

「……」

『……』

『あ、ママ。おはよう!』

 

 

 え?

 

 

「いいですか! 前から思っていたんですが、マスターは私の事をもっと大切に――」

「ちょっと待て」

「はい? 誤魔化されませんよ。今は私が話しているターンなんです。マスターは私の話をちゃんと聞いて――」

「待て」

「はい」

 改めて言うと、忠犬よろしくバニラは黙った。

 ああ、うん。間違いなくこれは―― 

「……お前、まさか正気に戻ったのか?」

「何がですか?」

「記憶喪失は?」

「だから何の事ですか? というか、ここどこですか? デュエルアカデミアじゃないですよね?」

 

 

 …………

 

 

「ザ●」

「うぇぇ!!?? なんでいきなり即死呪文を唱えられているんですか私!?」

「やかましいわ!! こっちはもう色々台無しにされたんだよ!」

「ええ!? なんで怒られてるんですか私!?」

 当たり前だ。いくらなんでもこれはない。

『おねえちゃん。もういっかいせんのうされよう? あと、ついでにきおくもうしなおう?』

「いやいやいや、そんな軽いノリでなんてこと言ってるんですかウェンディゴちゃん!?」

 いや、待てよ。冷静になれ俺。

 こうは考えられないか? これもレイン恵の作戦だと。一時的に俺達の知っているバニラを表に出し、こちらの動揺を誘うという――

「なんで? どうしてそんな簡単に洗脳が――」

 ……ないのね。動揺させる所か、一番動揺してらっしゃるよあのお嬢さん。

 そうだよな。誰にも予想なんて出来ないよな。

 一体、まじで何がどうなってるんだよ。

「あ、あのーマスター」

「黙れ」

「会話させて下さいよぉ!!」

 うるさい。まじでうるさい。本当にうるさい。会話する気すらおきん。

「あの、ひなたー」

『ん? なあに、ママ?』

 俺では会話をしてもらえないと踏んだのか、一番害のないひなたにバニラは恐る恐る訊いた。

「もしかして私――何かやらかしちゃったのかな?」

『んー』

 ひなたは少し考える素振りを見せると、にこっと笑みを浮かべる。

 

 

『一回死んでみる?』

 

 

「ひいやああああああああああああ!!!!」

 どこかの地獄な少女のような事を言った。

「すいませんでした皆さん!!!!!」

 普段温厚なひなたのその言葉に、自分のやらかした失態を察したのか、バニラは瞬きの間に土下座を実行した。

「本当に、本当に申し訳ないです!! 特にマスターごめんなさい! また、また私マスターにご迷惑を!!」

「ほんとだよ」

 どんだけ迷惑をかけられたと思っている。

「それに、すごい危険な目に遭わせてしまって!」

「ほんとだよ」

 どんだけ危険な目にあわされたと思っている。

「それに、ご心配もおかけしたかと」

「ほんとだよ」

 どんだけ心配したかと思っている。

 

 

 

「「「え?」」」

 

 

 その瞬間、その場にいた者全員が、一斉に俺を見た。

『ますたー。やっぱりなんだかんだいって、ばにらおねえちゃんのこと――』

「待てウェン子。違うぞ」

 おい、なんだよこの空気。なんかみんなめっちゃ驚いてるんだが?

『やっぱり、パパとバニラママは愛し合ってたんだね?』

「ひなた。それはちょっと極端すぎるぞ」

「黒崎 黒乃はやはり――」

「おいそこで止まるなレイン恵」

 やはりなんだ? 何を言おうとしていた。怒らないから正直に言ってみなさい。怒らないから。

 

 

「ヴァ、ヴァズダーー!!」

 

 

 そしてなんでお前は号泣してんだよバニラ。

「ずっと言葉攻めや、虐め、嫌がらせをされてきましたが、なんだかんだ言っても、私の事を大切に想ってくてたんですね!! 感激です!!!!」

「いや、あの……」

 おい。本当になんだよこの空気。

 

 

 

「……」

 あ、これはまずいとルインは思った。

 バニラの記憶が戻るというのは大変喜ばしい事態だが、この流れは嵐を呼ぶと、常識系精霊メイドは確信した。

 同時に隣を見るのがとても怖くなった。それはもう大変に。

 だが見ないわけにはいかない。今この場で止められるのは自分だけなのだ。

 だから、

 

 

 さあ――隣を見よう。

 

 

 

「石破天驚――」

「メギドラオ――」

 

 

 

 片や主は何かの流派の最終奥義のような技を――

 片や自分の夫はHPが999しかないのに、9999のオーバーキルダメージを叩きだそうなトラウマ攻撃を――

 黒崎黒乃に放とうとしていた。

 

 

「とりあえず落ち着いてください二人共」

「「落ち着けるか!!」」

 

 

 同時に答えが返ってきた。

「同棲してるってのに、先生にあんな言葉一度もかけられたことはないのよ!? なにあれ? ツンデレ? ツンデレなの!? 好きな人ほど虐めたいっていう男子心理!? やばい萌えるわ!!」

「あー。同棲と言っても雪乃様からの強引な申し出でありましたし、黒乃様がなびかないのは仕方がないかと――とりえず、本気で落ち着いて下さい。目がちょっと血走ってます」

「なんだと!? ルイン! 貴様雪乃様に魅力がないとでも言うつもりか!?」

「誰もそんな事言ってないでしょう?」

 まともな会話がしたい。きりきりと痛む胃に、これが終わったら知り合いから胃薬を貰いに行こうと固く心に誓う。

「とりあえず、バニラ様も正気に戻ったみたいですし、二人共イライラするのはやめて下さい」

「むぅ……確かにそうだな。終焉の王たるもの、常に冷静にならないと」

「本当に頼みますよ……終焉の王(笑)」

「だれが(笑)だ! ルイン。貴様この私を愚弄するか!!」

「100人が100人見ても(笑)って評価しますよ。いいから少し黙ってて下さい」

「ぐぬう……分かった」

 自分の夫ながら、雪乃の事になると暴走するデミスに溜息を吐き出す。

「そうか……分かったわ私に足りなかったものが」

「……なにが、分かったのでしょうか雪乃様?」

 絶対何も分かっていないという確信はあったが、立場上ルインは一応聞く。

「教え子。妖艶。アイドル。恋人。愛人。嫁。私は色々な属性をもっているわ」

「あの、後半にいたっては完全に雪乃様の願望なのですが――」

「だけど、たった一つないモノがあったのよ」

 無視ですね。分かります。

「いいえ雪乃様! 雪乃様に足りないものなどありません!」

「間違っているわデミス。あったのよ。たった一つだけ」

「なんと!? それは一体なんでありますか!?」

 胃薬だけではなく、頭痛薬も処方してもらおう。ルインは主と夫の姿を見守りながら、密かに心に誓った。

 

 

 

「それは――魔法少女属性よ」

 

 

 

 精霊だというのに、確かにルインは眩暈を感じた。

「一応聞きますが、何故に魔法少女?」

「知らないのルイン。男にとって、魔法少女って言うのはね、永遠の憧れなのよ?」

「……」

 話を聞く度に、SAN値がガリガリと削れていく。わりと真面目に吐きそうである。

「そうでしょデミス?」

「はい。まったくもってその通り!」

「そーなんですねー」

 なんかまともにツッコミを入れるのも疲れてきた。本当にバニラは凄いと思う。このハイテンションと目が回るようなボケの嵐を捌ききれるのだから。自分には無理である。

「魔法少女要素。私になくて、バニラにあるのはそれよ。そこに先生はぐっと来るのよ」

「くるんですかー」

「分かりますぞ雪乃様。私もその昔、ルインに魔法少女のコスプレをしてもらった時は、ぐっときましたもの」

「きたんですかー」

 後、帰ったらまじでデミスを殴ろう。

「というわけで、これからは先生の前で、マスケット銃を持ってティロ・フィ●ーレって言いまくるわ!!!」

「流石です雪乃様! 誰から見ても見事なまでの死亡フラグ!! このデミス感服いたしました!」

「……」

 とりあえず、決闘を見よう。ルインは逃げるように主と夫から目を離した。

 

 

 

 人質の洗脳が解けた瞬間、レイン恵の決闘は終了していた。

 この決闘は人質の存在が前提の決闘だったからだ。

 だから、黒崎 黒乃がこの決闘の終了を訴えて来ると少女は考えていた。

 だがそれは杞憂であった。

「カードを一枚伏せてターンを終了する」

 黒崎 黒乃は決闘を終わらせる所か、続行してきたからだ。

「どうした? 意外そうだな。俺が決闘を終わらせるとでも思ったのか?」

「……別に」

 決闘が終わらないのなら、好都合だ。

 このターンで逆転して見せる。

「私のターン。カードをドロー」

 引いたカードは悪くない。直接逆転するカードではないが、これで起死回生の手段をドローして見せ――

 

 

「ドローカードを引き込んだか」

 

 

 !!

「表情を変えないのはいいが、動揺するのがよく分かるなお前」

「……な」

「んのこと?」

「!?」

 言おうとしていた言葉を先読みされた。ありえない。どういう事だ。データはなかったが、まさか黒崎 黒乃も相手の心を読むことが――

「できるわけないだろう? 俺は見ての通り、どこにでもいるただの普通の決闘者だぞ?」

「……嘘」

「嘘じゃない。お前の言おうとしている事、考えている事が分かるのは、『普通』の俺が分かる程にお前が単純だって事だ」

「単純?」

 どこがだ。一体自分のどこがそうだと言うのだ?

「一つ授業をしてやろう」

 困惑する自分を見かねたと言わんばかりに、黒崎 黒乃は肩をすくめた。

「まず最初に言っておくが、お前は他人とコミニケーションを取った経験が絶望的に少ない」

「……」

 否定はしない。いや、出来ない。

「人の心を読めるという事は、それだけ他人とコミニケーションを取る必要がないという事だ。当たり前だよな? 言葉や表情などといった不確実なものを見るより、心を覗き見る方が相手の事を確実に分かる事が出来るのだから」

「それがなに?」

「決闘者にとって必要なのは大きく分けて3つだと俺は思っている」

 何か分かるかと尋ねてくる黒崎黒乃に、少し悩みながら答えた。

「知識と運」

 カードや戦略の知識がなければ決闘は勝てない。また、知識があっても運がなければ、勝てない。これまで観測者として何人もの決闘者を見て来て学んだことだ。

「正解だ。やはり優秀だなお前は」

 だが三つ目は分からない。いくら考えても、これまでの記憶から答えを探しても、どうしても分からなかった。

「3つ目、それはな――」

 黒崎 黒乃は人の悪い笑みを浮かべながら言った。

 

 

 

「コミュニケーション能力だ」

 

 

 

「」

 意外すぎて声も出せなかった。もしや、こちらを困惑させるためにわざと言っているのではないかとさえ思った。

「別にお前を困らせたくて言っているわけではないぞ?」

 また心を読まれた。

「決闘とはいくつかの例外を除けば、相手と顔を突き合わせてやる一種のコミュニケーションだ」

 そんな事は考えた事もなかった。自分にとって決闘とは観測対象であり、誰かを従える為の手段であったからだ。主である『調律者』からもそのように習った。

「だから相手の表情や言葉、仕草等の限られた情報から相手の事を理解し、尚且つ自分の事を伝えなければならない」

「……そんな事は必要ない」

 決闘は手段だ。勝利こそが絶対だ。相手の事を理解する余地などない。

「あなたの言っている事はただの戯言に過ぎない」

 コミュニケーション能力? くだらない。そんなものがなくても決闘に勝つことは出来る。知識と運。後はカードの性能。それこそが決闘の勝利に必要な――

 

 

「まず勝利という前提から離れろ」

 

 

「!」

 まただ。また読まれた。何故だ。どうして分かる?

「決まってるだろう? ここまでのお前との決闘で、お前の事を少なからず理解したからだ」

 理解しただと? あり得ない。そんな事があってたまるか。

「コミュ障のポンコツ娘の今のお前には、永遠に理解する事が出来ないだろうな」

 溜め息交じりに言われた。

「事実、今俺が何を考えているのかが分からないだろう?」

「……」

 否定できない。否定できない。否定できない。

「だから黙る。自分が不利になったら、お前は必ず沈黙する」

 ……

「もしお前がまともなコミュニケーションをとれる奴なら、ここでは決して黙らないぞ? さっき俺がお前の行動を読めたのもそれが原因だ」

 うるさい。

「認めろ。お前は今、致命的なまでにコミュ障なポンコツ――」

 

 

 

「黙って!!!!」 

 

 

 

 気付けば叫んでいた。

 無意識だった。湧き上がってきた感情を抑えきれず、叫んでしまっていた。

 こんなことは、生まれて初めてだった。その事実に、どうしようもなく混乱する。

「あなたは、何がしたいの?」

 だというのに、口が勝手に動く。

「言っただろう? 授業だよ。これでも一応アカデミアの教師なんでな」

 「休日だが」と冗談交じりに付け加える男の事が、まったく理解できない。

「もう少し肩の力を抜いて、周りをよく見てみろ。それだけでお前は随分化ける。まあ、実行するかしないかはお前次第だがな」

「……私に授業をしても、あなたには何の得にもならない」

「得ならあるさ。お前が強くなる」

「それになんの得が……」

「簡単なことだ」

 そこで黒崎 黒乃の顔が変化した。

 少なくとも、レイン恵にはそう見えた。それ程までの盛大な凶悪な顔芸を、自称普通の決闘者は披露した。

 

 

「叩き潰すなら、強い方が面白いだろ?」

 

 

「……」

 もう、何も言えない。言おうとも思わなかった。

 ただ一つだけ分かった事がある。

「黒崎 黒乃」

 コミュ障のポンコツとまで言われた自分にだって、これだけは分かる。

 

 

「あなたは鬼畜」

 

 

 それに対する黒崎 黒乃の返答は実にシンプルであった。

「よく言われる」

 倒す。この男を。この世界に現れたイレギュラーであるからという理由だけではない。

(倒したい)

 使命感などではない。自分の意志でレイン恵はそう思っていた。

 あの不敵に笑う男を、倒したいと。

(倒してみせる)

 

 

『あー。まーた熱血展開ですか?』

 

 

 !?

 今、何かの声が――

『いい加減うんざりなんだよねー。そういうの。どうせ負けてヒロインメンバーの仲間入りだろう? いいんだよそういうのは』

 聞こえる確かに聞こえる。決闘盤の中から。

 

 

『だからさぁ、せっかくだから、僕が盛り上げてあげるよ』

 

 

 決闘盤の中から闇が溢れ出す。ドラゴネクロとはまったく性質の異なる闇。

「まさか――」

 思い当たるカードは一枚しかない。

 イレギュラーとして回収した黒いカード。

 

 

 No.と記された正体不明の――

 

『じゃあ、少し眠ってなよ。大丈夫。起きたら、全部終わってるから』 

 

 

 抗えない。決闘で弱った今の自分では。

『お休み』

 為すすべなく、レイン恵は闇に飲まれていった。

 

 

 

「……?」

『どうしたのますたー?』

「気配が変わった」

『え?』

 自分でも何を言ってるのかが分からないが、今確かにレイン恵の何かが変わったと俺は感じた。

「くひひ……ひはははははは!!!!」

 そしてそれが間違いではないという事を証明するように、レイン恵が突然笑い出した。

「ようやく、ようやく隙を見せてくれたねー。ここまでホントに手間をかけさせられた上に茶番を見せられて、イライラしてたんだけど、許してあげるよレイン」

 レイン恵が――否。別の何かはにたりと笑いながら、俺を見る。

「なにしろ、この世で一番ぶっ殺したい相手をいたぶってやれる機会をくれたんだからね」

「……お前、誰だ?」

「あー。これは失礼。僕とした事が、君たちの退屈な茶番を見せられていたせいで、自己紹介をするのを忘れるところだったよ」

 そう言うと、何かは芝居がかった仕草で頭を下げると名乗りを上げた。

 

 

「はじめまして。僕は白崎 白乃。君の宿敵だよ。以後お見知りおきを」

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。