遊戯王 Black seeker   作:トキノ アユム

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絶望の就職試験決闘2

さて、とりあえず落ち着くとしよう。この怒りは後でバカ娘で発散するとして、今はとりあえずクールに作戦を立てることとする。

(と言っても、とれる選択肢はほとんどないがな)

現状俺が出来る選択肢は二つしかない。

一つはメタモルポットをセットし、その効果で手札をリセットすること。

そしてもう一つは熟練の黒魔術師を召喚し、1900の打点でごり押しをすること。

まあ、普通に考えるならメタモルポットで手札リセットだが、今俺が使っているデッキはまともなデッキではない。五枚引き直しても、ろくなカードがこない可能性の方が高い。

なら、まだ熟練を出して次のターンメタモルポットを伏せるという方がまだ無難だ。

ーーーだが。

 

 

「俺はモンスターをセットし、カードを3枚伏せてターンエンド」

 

 

俺はあえてこの選択に賭ける。

 

 

「私のターンですーノ。ドロー」

カードを1枚ドローしたクロノスは俺と俺の伏せカードを見ると、にやりと笑った。

「特別講義してあげるーノです。いくらトラップがあるとはいえ、全て伏せるのはダメなノーネ」

特別講義ーーーか。そしてあの言い方ならすると、おそらくクロノスの手札にはーーー

「私はカードを1枚伏せ、マジックカード発動! 大嵐なノーネ! 全てのマジックとトラップを破壊するノーネ!!」

やはりな。大嵐が発動され、俺の3枚の伏せカードと、クロノスの1枚の伏せカードが破壊される。

本来なら大打撃だが伏せてるカードが死に札だから痛くも痒くもない。

むしろ礼を言いたいくらいだ。

「伏せていたのは、黄金の邪神像! これにより邪神トークンを特殊召喚するノーネ!」

さて、ここまではほぼGXの第一話のデュエルと同じだ。違うのは押収と邪神トークンが1体いないくらいか?

「更に手札よりフィールド魔法歯車街(ギアタウン)を発動!」

歯車街破壊された時、アンティークギアモンスターを1体手札デッキ墓地から特殊召喚出来るカード。この効果が有名すぎて忘れがちだが、もう1つ歯車街には効果がある。

「歯車街がある時、私は手札のアンティークギアを生け贄召喚する際、生け贄を1体減らすことが出来るノーネ」

「あなたの場には生け贄が1体いる。となると、出すのは当然ーーー」

「その通りなノーネ! 現れるノーネ!!アンティークギアゴーレム!!」

クロノスの象徴とも言える鋼の巨人。

攻撃力3000でありながら、攻撃時にマジックとトラップの発動を封じる効果と、守備モンスターに攻撃した際、相手に貫通ダメージを与える効果を持つ超パワーモンスター。

(エースモンスターに相応しいカードだ。どっかのバカ娘とはえらい違いだな)

『あうう。ごめんなさい~!!』

「バトルなノーネ! アンティークギアゴーレムで守備モンスターに攻撃! アルティメット・パウンド!!」

「セットモンスターはメタモルポット。リバース効果でお互いに手札を全て捨て、カードを5枚ドローだ」

「甘いノーネ! ゴーレムの効果で、貫通ダメージを受けるノーネ」

「安い物です」

クロLP4000→2400

メタモルポットはゴーレムの拳により粉砕。

俺とクロノスはメタモルポットの効果によりカードを5枚引き直す。

さて、手札はーーー

『マ、マスター。手札のカードが全部真っ赤なんですけど……』

まさかのオールトラップ。壁に出来るモンスターが1体もいないとはな。

(だがこの手札はーーー)

「ダンマリしてどうしたノーネ?」

突然黙った俺をいぶかしげに見るクロノス。

「いや、少し面白い手札でしてね」

「ふん。どんな手を使っても私のアンティークギアゴーレムには敵いまセーン!ターンエンドなノーネ!」

伏せは無しか。

「俺のターン。ドロー」

さて、俺の引いたカードは

 

 

 

 

黒魔術のカーテン

 

 

 

 

(俺の引いたカードはーーー黒魔術のカーテン! これでいつでもブラック・マジシャンを呼ぶことができ……っておいいいいいいい!!!)

 何となく予想はしていたが、やっぱり入っていたか。ハイリスクハイリターンなブラック・マジシャンの専用サポートマジック。

 だけど、このデッキにはまったくもって意味がない。ノーリスクノーリターンだ。

『マ、マスターこれってひょっとしてかなりイケてないんじゃないんじゃないでしょうか!!』

 やかましい。言われなくても分かっている。

 現状俺の手札には壁とすることができるモンスターはいない。

 正直元の世界なら即刻サレンダーレベルの手札ではある。

 

 

 だがこれでいい。

 

 

 この手札こそ、俺の逆転の切り札(ジョーカー)達だ。

 

 

「俺はカードを5枚伏せてターンエンド!」

 さて、勝負といこうか。

「なら、私のターン! ドロー!」

 手札を確認したクロノスは俺のフィールドを見て鼻で笑った。

「いくら罠を張っても、私のアンティークギアゴーレムの前では意味ないーノデス! しかも壁モンスターも召喚出来ないーとは……あなたはこのデュエルを既に諦めたのデスカ?」

 小馬鹿にしたように俺を笑うクロノスに、俺も笑みを返してやる。

「まさか。ここからが本番です」

 

 

 それを証明してやる。

 

 

「リバースカードオープン!」

「! このタイミングですか?」

 アンティークギアゴーレム。そのマジックトラップ封じは強力だが、それはあくまで自身の攻撃宣言時のみ、メインフェイズでのトラップまでは封じられない。

「リビングデットの呼び声! このカードは墓地からモンスターを1体特殊召喚する」

「……でも、あなたの墓地にアンティークギアゴーレムを突破可能なモンスターが存在する訳ありませんーノ!」

「その通り」

 だが、うるさいバカ娘ならいる。

 

 

(行くぞ。初陣だ)

『わ、分かりました! 頑張ります!!』

 

 

「墓地から蘇生召喚! 現れろブラック・マジシャン・ガール!!」

「ブラック・マジシャン・ガールですって!?」

 クロノスが、会場の人間が驚いた様子を見せる。

 全ての注目を受ける中、バカ娘……ブラック・マジシャン・ガールはフィールドに舞い降りた。

「さあ、クライマックスを始めようか!」

『はい、マスター!!』




次回で決着ですーノ

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