遊戯王 Black seeker   作:トキノ アユム

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遊戯王 決闘者の栄光 箱買いしました!

遊戯は2箱。
王様は1箱。

開ける瞬間に自分ルールを決めた。
それは「今回の箱買いで一番最初に目に入ったキラカードを黒乃のデッキに入れる」というもの。
自分でも子供のようなルールだと思うが、最近の小説書くために自分のモチベーションあげるための楽しみ。買ってきたパックを全部箱から出し、目を閉じて2パックを手に取る。
当然「どっちにするか迷うZE」は忘れません。


そして選んだのは王様のパックの方。


あれ?これいいのかな? もしお師匠さま出たら作品的にまずいんじゃ……あ、でも終盤に入れればいいのか!
 

などと自分に言い訳をしつつ、パックを開ける。


出来たらブラックバーニングマジックが来ればいいなー。あれ超かっこいいから、小説でもいつか出したいんだよな……


そして開けた結果は――


ヲー「僕だ!!」




作者「……」
テッテレレー♫
という例のBGMが頭の中で響き渡る中、作者はしばらく硬直していた。


……というわけで、どこかでヲーさんが黒乃の仲間になることを予告しておきます。






クライマックスの始まり

そのライブは終わりを迎えようとしていた。観客席は人で溢れ、盛り上がりは頂点に達している。

 

 

「雪乃!!」

「雪乃様!!」

「ユキノーン!!」

 

 

「うふふ。さあ、もっと高ぶりなさい」

「「「おお――――!!!」」」

熱狂の渦に巻き込んでいるのは、アイドルの藤原 雪乃。彼女がステージで歌う度に観客を魅了し、そして興奮させる。

 だが始まりがあれば、終わりがある。

 このライブも例外なく、既にクライマックスに差し掛かっていた。

 

  

 そして、雪乃が最後の歌を歌え終えた……

 

 

 その時だった。

 

 

 

 突如としてライブ会場の天井が消えたのは。

 

 

 なにが起こったのかを理解そることなど出来なかった。

 まずその場にいた者達が気がついたのは上から降り注ぐ太陽の光だった。

 電灯からのものではなく、自然の――それゆえにどこか温もりのある光。

 それがその場に降り注いでいることに気が付く。

 

 

 そして誰もが上を見上げる。

 

 

 そして気が付く。天井がなくなってると。

 

 

 そして見つける。

 

 

 ドラゴンに跨る騎士の少女と、その後ろにいる青年の姿に。

 

 

 

 

 竜騎士ブラック・マジシャン・ガールがアンロックされました。

 

 

 

 

 頭に響くシュヴァルツディスクの声を俺はどこか遠くに感じていた。

 建物の天井に激突するか否かのあの瞬間、間一髪ティマイオスの眼の発動に成功した。

 その効果によりバニラはブラック・マジシャン・ガールから竜騎士に進化を果たし、俺たちは危機を脱した。

 問題なのはその危機の脱し方なのだが……

「すごいですマスター! 今の私ならどんなものでも斬れちゃう気がします!!」

 バニラが興奮した面持ちで振り返り、俺にそう言う。俺は笑顔でバニラを見た。

「なあ、バニラよ」

「はい! なんですかマスター!」

 褒めてくれるのかな? ……わくわく!! とでも考えているのがまるわかりな顔をしているな。

「お前がぶった斬った天井だが……精霊の力とかで修理可能なんだよな?」

「え、いや、無理ですけど?」

 にこにこと首を横に振ったバニラに、俺はまだなんとか笑顔だった。

「このままだとな。天井をぶった斬ったお前のせいで、多分俺に修理代とか請求されると思うんだが……」

「あ……」

 おい。なんだその「あ」って。まさかマジで何も考えずに天井をぶった斬ったのか?

 ……ぶった斬ったんだろうな。バカ娘だから。

「知っての通り、俺は金なんてない。バカ娘お前も当然ないよな?」

「あ、あはははは……」

 冷や汗をだらだら流しながら、バニラが笑う。

 俺は最後に笑顔だった。

 

 

「さっき斬れないものはないとか言ってたよな? よし。お前今すぐその手に持つ剣で自分の首をぶった斬ってくれないか?」

 

 

「普通に死んじゃいますよマスター!?」

「死ぬしかないじゃない!!」

「なんかどこかで聞いたような台詞です!?」

 俺を助けるにしろ、他に何かやりようがあっただろう!? なんで天井ぶった斬ってんだよ!? 幸いぶった斬った奴はどこかに消えたから怪我人ゼロなのが唯一の救いだが、それでもこれ確実に俺借金もつれの生活に直行になるよな!?

 

 

「大体お前はやることが極端――」

 

 

 瞬間。俺は確かに殺気を感じた。得体の知れない圧力感と冷たさ。それを同時に感じた俺は言葉を区切り、下を見る。

 そこにいたのは――

「マスター?」

「バニラ下ろせ」

「あ、はい」

 指示に従い、バニラは俺をこの建物の中央部分。おそらく何かの舞台の上に降りる。

「着きましたマスター」

「ああ」

 決闘版に置かれている竜騎士のカードを外すと、俺たちがまたがっていたティマイオスは消滅し、バニラの鎧も消え、元の魔法使いの格好になった。

「つっ!」

 床に着地するが、少し足がしびれた。流石にどこかの蟹さんのように高いところから落下してもノーダメージは出来ないか。

 だが今は痛がっている暇はない。俺は殺気を向けた張本人に、笑いかけてやった。

 

 

 

 

「よう雪乃。期待通り、お前をイカせに来てやったぞ?」

 

 

 

 

「うふふ……」

 殺気を向けた張本人――雪乃は俺に妖艶に、だがどこか邪悪に微笑んだ。

 

 

 

 

「待っていたわ先生」

 

 

 

 

『マ、マスター』

(分かっている)

 実体化を解いたバニラが俺に警告する。

 勿論言われなくても分かっている。『アレ』はただの雪乃じゃない。

「うふふ。どうしたのかしら先生? そんなに緊張しちゃって。もう少しリラックスしたら?」

「生憎緊張しやすい質でね。こんなに大勢に注目された中では緊張もするさ」

 言いながら、雪乃を観察する。ステージ衣装というやつだろう。青と紫を貴重にしたドレスに身を包んだ雪乃はアイドルと言われても納得出来る人を惹きつける魅力がある。

 だがそれとは別に、今の彼女には何か別の気配を感じる。

 

 

 1つは雪乃自身。目の錯覚かもしれないが、俺の目には何故か彼女が『ダブって見える』のだ。まるで壊れた映像のように、2つの雪乃が交互に見える。

 

 

 そしてもう1つは雪乃がつけている決闘盤からだ。あれから何か途方もない力を感じる。

 

 

 

 

「俺の怪我が治ったことに何か一言言ってくると思ったが、読み違えたか?」

「うふふ。大丈夫よ先生。これが終わったら、もう絶対に怪我なんかしないから」

 どこまでも微笑を絶やさず、こちらに内の感情を晒さない雪乃はそこで初めて一瞬だけ、感情を晒した。

 

 

 

 

「だって、これが終わったら先生は私と1つになるんですもの」

 

 

 

 

 浮かんでいたのは真っ黒な独占欲と愛情。そして狂気だった。

 明らかに正気じゃない雪乃に、俺は苦笑した。

「どうやら、本気でやらなきゃこっちがすぐにいかされそうだ」

 シュヴァルツディスクをデュエルモード用に展開する。

「ええ。安心していいわ。すぐにあなたを敗北の絶頂に立たせてあげる」

 観客席から歓声が上がる。見ると、俺が入ってきたここまでのことを凝った演出だと思っているのか、決闘の始まりを今か今かと待ち望んでいる。

「さあ、行くわよ先生。これが私達のクライマックスよ」

 俺の口調を真似て言う雪乃に俺は苦笑した。

「いいだろう。お前に最高の絶頂《クライマックス》を与えてやる」

 

 

 

 

 

「「決闘!!」」

 

 

 

 

 こうして、俺たちの決闘は始まった。


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