遊戯王 Black seeker   作:トキノ アユム

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雪乃の父との対談

 闇の支配者ゾーク。 

 遊戯王をやっていてこのモンスターを知らない者は初代遊戯王を見ていないと、自動的に判断されてしまうほど有名なモンスター。

 敵として登場し、その圧倒的な力で何度も遊戯たちを絶望させた。

 その強さと、ドラ●エの魔王さんと並んでも違和感ないボスの風貌で、実は地味に人気があるこの方。

 遊戯王OCGでカードとなった彼を見た決闘者はこんな反応をする……

 

 Qところで、ゾークのカード化があるのだが、これを見てどう思う?

 

 

  闇の支配者 ゾーク

 儀式・効果モンスター

 星8/闇属性/悪魔族/攻2700/守1500

 「闇の支配者との契約」により降臨。

 フィールドか手札から、レベルが8以上になるよう

 カードを生け贄に捧げなければならない。

 1ターンに1度だけサイコロを振る事ができる。

 サイコロの目が1・2の場合、相手フィールド上のモンスターを全て破壊する。

 3・4・5の場合、相手フィールド上のモンスター1体を破壊する。

 6の場合、自分フィールド上のモンスターを全て破壊する。

 

 

 Aすごく……ゾークさんです。

 

 

 

 ……冗談に聞こえるかもしれないが、ぶっちゃけこれが真実だった。

 原作で敵としては登場するが、ゾークはカードとして登場することはなかった。

 その為、もしカード化されるのなら、弱体化されるだろうと遊戯王プレイヤー達は覚悟していたのだが、蓋を開ければ、素晴らしいほどに原作のゾークを再現したカードだった……どっかのヲーとは違って。

 しかも効果もギャンブル性はあるが、かなり優秀で、過去に出た儀式モンスターの中では今でも俺がいた世界でも工夫して使えば、現役で闘える程に高性能……どっかのライフちゅっちゅギガントとは違って。

 

 

 さて、そんなゾークさん。俺も好きなカードの1枚なのだが、それはあくまでカードでの話。

 実際に目の前で会ったらそりゃあ、怖いわ。ぶっちゃけ逃げれるならすぐに逃げたい。

 だがそれが出来ない以上、もうまともに会話するしか俺が生きる術はない。そしてビビってることをゾークに知られてはいけない。冷静で何が来ても動じない男を演じなければいけない……

 でなければ殺られる。

「闇の支配者さんが俺に何の用だ? まさか一緒に世界征服でもしようってか?」

「ふふ……この我を前に、恐怖もせずにそのような口が聞けるとはな。やはりわが娘の目に狂いはなかったようだ」

 すいませんゾークさん。本当はめっちゃ恐怖してます。なんとか隠してますが、気を抜くと膝がガクガクしそうです。

「さて、本題を話す前に貴様にはこれを見てもらおう……」

 言うと、ゾークはどこからかカードを取り出すと、それをいきなり俺にカード手裏剣として投げつけてきた!

「っ!?」

 なんとかカードをキャッチする。おい。今完全に俺の喉元にカード来てたぞ!? 

 この世界の意味不明なカード強度を考えたら、取りそこねてたら完全に死んでた……

「黒崎……貴様はそのカードをどう思う?」

 言われ、投げられたカードを見る。

 

 

  デブリドラゴン

 チューナー(効果モンスター)

 星4/風属性/ドラゴン族/攻1000/守2000

 このカードが召喚に成功した時、

 自分の墓地の攻撃力500以下のモンスター1体を選択して

 表側攻撃表示で特殊召喚できる。

 この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。

 このカードをシンクロ素材とする場合、

 ドラゴン族モンスターのシンクロ召喚にしか使用できず、

 他のシンクロ素材モンスターはレベル4以外のモンスターでなければならない。 

 

 

 すごく……チートカードです。

「どう……と言われてもな」

 いや、なんて答えればいいんだよ? デブリダンディのキーカードとか、かなり長い期間制限カードだった強力カードとかそんなことか?

(いや、可能ならば俺がこの世界の人間ではないことを思わせる発言はしない方がいいな……)

 相手はゾークだ。隙を見せればおそらく一瞬でやられる……

 となれば、当たり障りのない返答がここではベストな選択!!

「ただのチューナーモンスターだ」

「ほう。貴様、そのモンスターのチューナーというテキストが読めるのか?」

「え?」

 なんかゾークさんが興味深そうにこっち見てるんですが? あれ? 俺もしかして選択ミスった?

「何故か理由はわからんが、人間達にはそのカードのチューナーというテキストが読めない。精霊でさえも、上位のものしか読むことが出来ない」

「……」

 ええぇぇ!? なんだよそれ!? やばい!! 当たり障りのない選択のはずが一番相手の気を惹く返答だった!?

「貴様は精霊ではないことは分かる。貴様何か特別な人間なのか?」

「さあな」

 すいません。ただここではない別の世界から来ただけです。

「まさかとは思うが、そのモンスターのテキストにあるシンクロという言葉の意味も分かるのではないか?」

「さあな? なんのことだシンクロって?」

 すっとぼけて見せるが、当然知ってる。チューナーとチューナー以外のモンスターのレベルを足しあい、そのレベルのモンスターをエクストラデッキから特殊召喚する方法だ。ちなみにこれの進化版はやると、消えたり、全身が黄金になって宇宙に行ったりする。

「それは我も分からん。いつからか、この世界にあったものだ」

「この世界にあった?」

 ちょっと待て。それはおかしくないか? ここはGXの世界だ。チューナーモンスターなどこの世界に存在しているはずなどない。

「我は嘘は言っておらん。ある日を境に、我らも知らないモンスターや、魔法、トラップのカードがこの世界には現れた。我らの気づかない内に一瞬で」

「……」

 存在しないカードが何故か存在する……確かにこの二日間。この世界に存在するはずのないカードをいくつか確認していた。

「わが娘も、その一つだ」

 そう。その筆頭が雪乃……竜姫神サフィラだ。遊戯王GXの世界には絶対に存在しないはずの儀式モンスター。

「我らが世界に存在するはずのないカード……そして元から存在していた我らのような存在。この二つの存在は平穏に過ごしていた……これまではな」

 ゾークは俺の左手に装着されている決闘盤……シュヴァルツ・ディスクを指さした。

「だが、それが現れたことにより、この世界のバランスは崩れ去った。その決闘盤がどうやって作られ、いつからあるのか……今はそんなことはどうでもいい。問題なのは……」

「この決闘盤が、精霊を封印する力を持っていたことか?」

 「その通り」と、ゾークは頷いた。

「存在していたモンスターも、存在しないはずのモンスターが溢れたこの世界。なんとか保っていたバランスは崩れ、今や一触即発の状況だ」

「……おいおい」

 なんかとんでもない話になって来たぞ。本来なら他人事なのだが、すでに逃げられないところまで巻き込まれてる気がするのだが、気のせいだよな? 気のせいに決まってる!!

「精霊たちは皆、その決闘盤を求めている。ある者はその決闘版に封印された仲間を助けるために、またある者は自分も封印されるかもしれないという恐怖から逃れるために、その決闘盤を手に入れようとしている。手段を選ばずにな」

「なに?」

 おいおいおいおい! ちょっと待て!! この決闘盤、最悪レベルの呪われた装備しゃねえか!!

 え、ちょ、今すぐ外すぞこんなもん!!  

「雪乃からこれを付ければ死ぬまで外せないと聞いたが、それは事実か?」

 それとなく聞いてみる。多分大丈夫だよな? あのエロ娘の悪趣味な冗談だよな? 呪われてるって言っても、どっかの教会行ったら外せるよな?

「事実だ」

 嘘だと言ってよバーニィ!!!

「そのシュヴァルツ・ディスクを手にした者は精霊たちの頂点に立つことの出来る力を持つことが出来ると言っても過言ではない。それを誰もが求めている。お前たち人間の歴史で例えるなら戦国時代と言えばいいか? 今我ら精霊はまさにその状態だ」

 精霊戦国時代ってなんですか? ここはGXの世界だ。もっとこう、軽く行こうよ! 楽しく決闘するだけでいいだろ!?

「このままでは、我ら精霊達はいずれ自分たちで滅ぼし合う。それを回避するための手段がお前なのだ黒崎よ」

「なに?」

 顔には出さない。だが背中とかは冷や汗ダラダラだ。

 

 

 

 

「お前はシュヴァルツを操る初の人間として、我ら精霊を導く存在になってもらいたい」

 

 

 

 

「なるほどな……」

 ……と口では言うが、俺の内心は完全に

 エ━━(;;゜д゜)━━

 状態だ。

 なに言ってんだ。この闇の支配者様は。

「選定は公平にするために精霊の中で唯一ハーフである雪乃にさせた。さて、黒崎よ。ここまで言えば分かるな?」

 ゾークは俺を真正面から見て、はっきりと言った。

 

 

 

 

「お前は我ら精霊たちの希望なのだ」

 

 

 

 

 


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