ハイスクールD×B~サイヤと悪魔の体現者~   作:生まれ変わった人

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最近はゴッドイーター2と卒論で更新が遅れてしまい申し訳ございません!

ですが、何とか書き上げました。

そして、若干、ネタバレですが残りのオリヒロイン(他作品からの登場)を決めました! この世界観に充分馴染めるキャラだと思っています。

詳細が知りたいという人だけは活動報告をご覧になってください!

それでは今回もどうぞ!


悪夢の始まり

時は数分前に遡る。

 

駒王学園から使い魔の森へと転送されたカリフは転移の光が消えると周りの不気味な森の風景を見回す。

 

「ここが使い魔の森……なるほど、色んな気が渦巻いている。人外魔境ってやつか」

 

従来から自然が好きなカリフにとってここが獰猛な猛獣や魔獣、幻獣の住処であろうとこの場所を気に入った様子で散策しようとした時だった。

 

「ゲットだぜ!」

「?」

 

突如として頭上を見上げると、そこには中年男性が枝の上に立っていた。格好としてはいい年してタンクトップに短パン、そしてキャップを反対側にして被るなど少年心を忘れないスタイルと言えた。

 

「なんだ貴様?」

「ここは使い魔の森! 使い魔にするにはうってつけな魔物がウジャウジャだぜぃ!」

「おい、無視してんじゃ……」

「今日のお客さんはワルそうな兄ちゃん一人かい? しかも丸腰! そんなんじゃあ一撃で殺されちまうぜ! サバイバルを舐めてるんじゃねえ!」

「……」

「そこで今ならこの魔物を収納して服従させるボールを販売中だぜ! こいつの使い方は簡単、この野球ボ-ルみたいな球を魔物に当てて……!」

 

急に現れてはマシンガントークを繰り出すオヤジに青筋を浮かばせる。

 

人の話聞かない、人をけなす、遂には怪しげなグッズの押し売りときたものだ。カリフを凶行に至らせるには充分過ぎた。

 

「はぁっ」

「ポピィィィ!」

 

気功波を放ってオヤジに当てると奇声を上げながら木の枝から落ちてきた。

 

全身が焼け焦げて煙を上げているオヤジに近付いて肩を掴み、無理矢理身体を起こす。

 

「おめえよぉ……人の話聞く気あんのか?」

「ほがががががが!」

 

常人よりも掴む力が強いカリフに鼻をつままれたオヤジは悲鳴を上げる。カリフの手をタップしてはいるが、その意思が届くことは無い。

 

「こっちは魔王共の使いっ走りみてえに来たっていうのによぉ! これが人を出迎える態度かああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」

いひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ(いたたたたたたたたたたたたた)! ひゃなはにゃめてぇぇぇぇ(鼻は止めてぇぇぇぇ)!」

 

ぶん回すように掴んだ鼻を振り回すとオヤジもそれに合わせて振り子のように動き回る。

 

「初対面の人には礼儀正しくしろってお母さんから学ばなかったのかぁ!? このド低能がああぁぁぁぁぁ!!」

「あ、ちょ! まっ! やめっ! いやあああああああぁぁぁぁぁ!」

 

この後、オヤジは鼻を解放された代わりに地べたに顔を押し付けられて頭から地面に埋もれた。

 

 

 

 

「いや、あの、手持ちはこれしかないんで……すいません……」

「……ジャンプしてみ」

「勘弁してください! 最近は本当に稼ぎが少なくて……っ!」

 

土下座して財布を差し出すボロボロのオヤジにカリフは悠々と眼光を光らせて見下す。まさに家畜を見るような目だった。

 

「そんで? それで人の話も聞かずに勝手にペチャクチャペチャクチャ……えっと名は?」

「ザトゥージです……」

「よし、ザトゥージ。本来ならここで躾の一つでも施す所だが、今回は緊急事態とのことで不問にする。それでいいな?」

「あ、ありがとうございます……」

「腹の底から復唱ぅ!!」

「ありがとうございますっ!!」

「よし! いいだろう!!」

 

弱々しかった声に喝を入れたカリフはザトゥージを土下座から解放して立たせる。勿論、財布からは何も盗っていない。それでも最初の頃のテンションはどこか影を潜めてしまっている。

 

「んで? この森で一体何が起こっている? そのために魔王に稟議書を提出したはずだ」

「はい。実は、最近のこの森で色んなことがあって……」

「普通に話せ」

 

どこかぎこちない口調に業を煮やしたカリフが本来の口調に戻すよう勧めるとザトゥージもそれに習う。

 

「う、ごほん! そうだな、まず最初に目立った変化ってのはだな……」

「怪しい奴らが出歩いているってとこか?」

 

自分が言おうとしたことを最初に言い当てられたことにザトゥージは目に見えて驚愕する。

 

「なんでおめえ知ってんだ!?」

「最初は動物の気かと思って放っておいたんだけどよぉ……こりゃあ人間の気配だぜ」

「え?」

 

カリフは使い魔の森に転移されたその時から何かの気配を察知していた。対するザトゥージはカリフの言うことに?を浮かべている。

 

そんな彼にカリフは短く言った。

 

「付いて来い」

「え? あ、おーい! どこ行くんだよぉ!」

 

後ろへ遠ざかっていくザトゥージには眼もくれることも無く走り去る。疾風の如き速さに森の中に強風を起こしながら集まっている気配の元へと走り去っていく。

 

この数分後、二体のドラゴンと大量の構成員に出会った場面に続く。

 

 

 

 

「でかいな……」

 

そして現在、カリフは二体のドラゴンの真正面に立って見上げている。対するドラゴンはもはや虫の息に近く呼吸も深く、そして活力が感じられなかった。

 

「グルル……」

「……」

 

二体のドラゴンは息絶え絶えになりながらも眼下に広がる血に濡れた大勢の構成員を見渡す。

 

さしずめ、カリフの意図を測りかねていることと体力の限界が近付いていることが原因だと思われる。

 

「……」

 

無言で手刀を構えるカリフに一瞬の警戒を表す二匹だが、そんな警戒はすぐに瓦解されることとなる。

 

「ペティナイフ」

 

手刀がぶれるほど高速で小さく動かしたその瞬間、二匹を雁字搦めに縛り付けていたワイヤーが切れた。

 

「!?」

「キュルッ!?」

 

突然の開放に二匹は見た目からして驚いていることが分かる。

 

そんな二匹に対してカリフは何を言うでもなく背を向けた時、茂みの向こう側からザトゥージが現れる。

 

「ひぃ……ひぃ……この歳で、全力疾走は、きついんだから、急に走るなって……」

 

全力でカリフを追いかけたのが分かるくらいにザトゥージはタンクトップを汗で濡らし、呼吸も荒くなっていた。膝に手を置いて半身を支えながらカリフの元へと首を上げる。

 

その時、背後の巨大なドラゴンの姿が目に入った。

 

「な、な、な、なんだこいつはあぁぁぁ!?」

「ドラゴンだろ?」

「分かってるよ! そういうことじゃねえ!」

 

オーバーに驚愕するのに鬱陶しく思いながら何気なく答えるが、当のザトゥージは疲労も忘れて全力のつっこみをいれる。

 

それどころかまるでコレクターが宝を見つけた時のように目を輝かせていた。

 

「青い目に白い身体、紅の目に黒い身体! 間違いねえ、青眼の白龍(ブルーアイズホワイトドラゴン)真紅眼の黒龍(レッドアイズ・ブラックドラゴン)だぜぃ!」

「すごいのか? 珍しいのか?」

「どっちもだ! この二体はフェンリルに並ぶ最上級ドラゴンにして五大龍王にも引けをとらねえ実力、更には個体数も限られた美しく、強いドラゴンだ!」

「お、おう……」

「はぁー、すっげえ……」

 

マニア心全開に語ってくるザトゥージに若干引くカリフだが、話を聞いて一つ疑問が浮かんだ。

 

「ちょっと待て、こいつ等が強いならなんでこんな雑魚共にやられてる?」

「雑魚? うおぉ!? こいつ等、最近現れる奴等じゃねーか!?」

「まずそっちに気付かないのか?」

 

ここまで魔物に興奮するザトゥージに呆れ、再びドラゴンと向き合う。

 

すると、ザトゥージが気付く。

 

「この二匹は他のドラゴンと違って卵じゃなくてそのまま子供を産み落とすんだぜ。そのため体力が落ちるという情報があるんだぜ」

「産卵じゃない……そういえばこの匂い……」

「あぁ、二匹のドラゴンから溢れてる水は羊水だぜ」

 

よく見れば二体の足元には血以外にかすかに透明な液体が溜まっていた。

 

「間違いねえ。この二体は子供を産んだ瞬間に狙われたんだ」

「子供は? 奴らに捕われたのか?」

「いや、このドラゴンは一日で親離れするんだ。多分、子供は逃がした結果が……」

「そうか……」

 

自分の子を逃がすために身体と命を張った二体のドラゴン

 

「でも、なんで急にこんな希少種が……詳しい生態さえ解明できていないっていうのに。何かこの森にこいつらの習性を解読できるものが……いや、まさかあの木が?……あ!」

「今度は何だ?」

 

そこまで自分の世界に入っていると、途中で思い出したかのように表情をまた変えて慌て始めた。

 

「そうだ! お前さん、相当に強いんだろ!? その腕を見込んで頼みがあるんだぜ!」

「?」

 

急に頭を下げたザトゥージに首を傾げるカリフに話しを進める。

 

「実は、最近になって変な大樹が生えて困ってるんだぜ!」

「? 別に不思議ではないはずだが? こんな森だからな」

 

使い魔の森という特殊な環境の中で別に特殊変異で生まれてくる生命体など不思議ではないのでは?、と思うのだがザトゥージが憤慨する。

 

「確かにそうかもしれねえけど、明らかにおかしいんだぜ! 俺でも見たことも無いうえに手当たり次第にここらの生態を狂わしちまって……」

「駆除しようとは思わなかったのか?」

「何人かの悪魔に依頼したけど誰一人帰っては来なかった……どうしようもないんだぜ」

「(成程……確かにこれはくせえ……)その木ってのはどこだ?」

「あっちだぜ」

 

ザトゥージが指をさす方向に視線を向けると、一際大きくそびえ立つ大樹が目に入る。

 

「あれか……普通にここの大樹だとばかり……」

「あの木を中心に最近じゃあ自然が荒らされてるんだぜい。俺が行って調べてえんだけどよ、こいつ等が現れたのも」

「同時期って訳か……」

 

ここに来る前に浮かんでいた疑念がいよいよ真実味を帯びてきた瞬間だった。

 

今回は今回で大きな収穫があるとカリフは経験則と当事者の証言、そして何となくだが希少種のドラゴンの突然の来襲……どれもこれも『あり得ない』ことが起こり過ぎている。それに加えて怪しげな集団とくれば疑う余地はもはやない。

 

「案内できるか?」

「引き受けてくれるのか!?」

「念のためだ……あの木をへし折りでもすれば何か状況が動くかもしれん」

 

しばらく考えるだけでは仕方ないと判断したカリフはザトゥージに案内を求める。

 

その提案にはザトゥージも喜びを隠さずに手を握って喜ぶ。

 

「ありがたいぜ! あの木のせいでこの森にくる上位の魔物がめっきり減っちまって使い魔求めてくる悪魔のニーズも低下してたんだよ! おかげで自作のグッズを売らないと俺っちが生活できなくて!」

「あぁ、だから冒頭で押し売りみたいなことしてたのか」

 

完全にザトゥージの事情などどうでもいいと言わんばかりに流して聞いていた。これ以上聞くつもりはないので一人で怒りに燃えるザトゥージに声をかける。

 

「じゃあ案内……つーか、悪いけどオレと同行してもらいたい。この森に詳しいのはお前だからな」

「任せろ! この森は俺の庭みてえなもんだ!」

「そいつは良かった」

 

互いの利害が一致したと分かればすぐに高くそびえる大樹の元へと向かおうとする二人。

 

そんな中、カリフはドラゴンを軽く一瞥する。

 

「行くなら行っちまいな。今逃げても追わねえよ」

 

戦いにおいて他者を巻き込むことを嫌う。それは何も人間だけではない。

 

自分が好きなことは全て自分の物。

 

戦いも、苦楽も、死でさえも……自分が独占したい

 

それは快楽のため、そして強くなるため、後悔しないための戦いでもあるから。

 

考え方としては普通より歪で危険な思考が目の前のドラゴンを、目に映る全ての生命を自分の戦いで危険にさらしたくないと思わせる。

 

故に、彼はドラゴンを逃がす。

 

「じゃあ着いて来いよ! あそこに行くための近道は俺にしか分からねえからな!」

「上等だ」

 

ザトゥージの呼びかけにカリフは二匹のドラゴンに背を向けて大樹へと向かう。

 

「……」

「グルル……」

 

そして、カリフの後ろ姿が見えなくなるまで二体のドラゴンが目を離すことはなかったのだった。

 

 

 

大樹の元へと向かうザトゥージとカリフ

 

彼の先導のおかげで危険な猛獣とは数十分の間だけど遭遇はしていない。これもレンジャーである彼の手腕なのだろう。

 

(ほう、中々の腕だな)

 

獣道を状況で判断して避けている。仕事人としては一級品なものだとカリフは少しだけ彼への評価を改める。

 

「はぁ……はぁ……もうちょいだ……」

(これさえ無ければよかったんだがな……)

 

ただ、体力が無い所為か先導しているザトゥージが少し走っただけでグロッキー寸前にまで追い詰められている。この深刻な体力不足が祟って数十分と時間を浪費してしまったことへの怒りはこの時だけは抑えてやる。

 

そのまま遅いザトゥージの横にまで並んで走る。

 

「担いでやる」

「ひぃ、ひぃ……な、なんのこれしき……」

「このままだと日が暮れるんだが?」

「はひぃ……はぁ……」

「おい」

 

割と本気でドスを利かせるが、ザトゥージは走るのを止めない。

 

この様子に少し気になっていると、走りながらザトゥージが息絶え絶えになって話し始める。

 

「絶対、絶対に捕まえてやる……この森を勝手に荒らしやがった、奴を、自然を壊しやがって……」

「……」

「この森にはなぁ、はぁ、生き物がたくさん、げほっ、住んで、いるんだよっ! 命の営みだ!」

「……」

「それを、どこの誰かも分からねえ、けほっ、奴らが、勝手な都合で、壊しちゃならねえんだ……この森は、俺が、護って……」

 

まるで自分に言い聞かせているように独り言を呟いて走る。顔は真っ青になり、呼吸も荒い。

 

もはや人目から見ても限界だと分かる彼にカリフは何も言わない。

 

「……どうぞお先に」

 

ザトゥージには彼なりのポリシーを持っている。

 

今の彼は疲労でぶっ倒れそうな状態に間違いはないが、眼は死んではいない。それどころか困難に立ち向かう目をしていると確信できた。

 

覚悟を決めた者を無理矢理引き留めるなどカリフにできようか?

 

無論、できる訳が無かった。

 

何故なら、彼もまた『護るため』に立ち上がった一人の戦士に変わりないのだから。

 

この後はずっと、カリフは彼には何を言うことも無く歩幅を縮めて後ろに着いて行くことにした。

 

今、必死になって『戦っている』のは彼なのだから

 

 

 

それから更に数十分の時が過ぎた時、二人は既に走るのを止めていた。

 

「はぁ、はぁっ!」

「……」

 

一際大きく盛り上がった丘の上で寝転がって息を整えるザトゥージと丘の上に立って一転方向を見据えるカリフ

 

「あれが……」

「そうだ、この森を蝕んでいる大樹さ」

 

寝転がるザトゥージの案内は既に完了していた。

 

カリフの眼前には天をも突く大樹が悠々とそびえ立っていた。

 

遠くからじゃ分からなかったが、近付いてみると重い雰囲気がのしかかってくるような感じがする。

 

しかも露出している根本付近の木々は枯れ果て、ここに住んでいただろう魔物たちが骸骨となって転がっている。

 

「マジかよ……ここまで薄気味わりいとは……」

 

生態を崩す……明らかにそんなレベルを超えているであろう被害をもたらしつつある。

 

あまりに危険な状態の大樹からは瘴気すら感じるようだ。僅かながら寒気を覚える。

 

「……おい」

「はぁ、何だ?」

「お前はすぐに帰れ」

「え!? なんだよ急に!?」

 

冷や汗を流して目の前の大樹の不気味さに戦慄するカリフの一言にザトゥージが抗議しようとする。

 

だが、その前にカリフの只ならぬ雰囲気を感じ取ってか静かになる。

 

「お前はすぐに魔方陣の元に向かってアザゼルたちに報告して来い。こいつはクロだってなぁ」

「本当か!? まさか本当に……」

「早くしろ……オレはこの樹を調べてみる」

「だ、大丈夫かよ。兄ちゃん?」

「分からねえ……だから早くしろ。もしかしたらこいつは……!?」

 

 

 

 

この瞬間、カリフの身体は無意識的に動いた。

 

「げはぁっ!」

 

ザトゥージを森の茂みの中へと押し戻すように気合砲で吹っ飛ばす。

 

吹っ飛ばされたザトゥージはすぐに森の中へと消えていった。

 

だがもう一度言うようだが、この一連の動きは無意識的な物だった。

 

(こ、この気は……ば、馬鹿なっ!?)

 

突如として現れた気

 

恐らく転移魔法の類なのだろう……それだけなら問題にすらならない。

 

問題は『気の種類』だった。

 

「お前……この樹を見たな?」

 

上空から聞こえてくる声

 

突然現れた気の主はまさしくその声本人のものだ。

 

上を恐る恐る見上げるカリフに対して人影はゆっくりと空から降りてくる。

 

「ここまで来たってことは部下の監視から逃れてきたのか?」

「はぁっ……はぁっ……!!」

 

目の前に降りてきた男……間違いなく察知したのはこの男だ。

 

その男の気は自分より高い物じゃない……普通なら勝てる相手だろう。

 

だが、普段の彼からは考えられないほど狼狽え、過呼吸寸前にまで陥っている。

 

目の前の男の風貌が理性を狂わせる。

 

「戦闘力……5か。ゴミめ」

 

男の側頭部に付けている機械、肩パッドの戦闘服、そして巻き付かれている茶色の長い尻尾

 

その一つ一つが彼から『冷静さ』を奪っていく。

 

「見られたからには仕方ない」

「!?」

 

混乱している彼にとって目の前の男が自分に掌を向けている挙動さえ一瞬の出来事だった。

 

その挙動に嫌な予感を感じ、彼も反射的にエネルギー弾を集めた瞬間だった。

 

「死ねぇ!!」

「しまっ!」

 

一瞬の出来事と過度の緊張、衝撃の光景によるショック

 

原因を上げてしまえばキリはないが、目の前の光が自分の全身を包み、焼かれるような痛みを感じながら思った。

 

“最悪だ”

 

一瞬の油断が生んだ参事に見舞われ、薄れていく意識の中で確かに見た。

 

 

 

かつて自分に戦いを教えてくれた師に瓜二つの風貌の男が自分に向かって邪悪な笑みを浮かべていたことに……

 

(カカロット……じゃ……な……い……?)

 

カリフの意識はここで途絶えた。

 

 

 

黒い褐色の男が手をかざしてエネルギー弾を放った先を強張った表情で見つめる。

 

「まさか、こんな辺境にまで探りに来るやつがいたとはな……」

 

茶色の尻尾を腰に巻きつけながら憎々しげに呟く。

 

「まさか魔王共にバレたか? くそっ!」

 

その男の視線の先……全身から煙を上げて倒れるカリフを一瞥した後視線を外す。

 

そして側頭部に付けている機械が爆発した。

 

「あのガキ……俺の攻撃を喰らいながら反撃してきやがった。おかげでスカウターも使えねえ」

 

カリフが攻撃を喰らった瞬間に放たれた気功砲に壊されたスカウターを外すと地面に叩きつけて踏み潰す。乱暴な言動からは明確化された『怒り』を感じる。

 

だが、そんな男もカリフの姿をもう一度見た所でまた落ち着きを取り戻す。

 

「まあいい。バレたらバレたで殺せばいい……この神精樹さえあれば俺は無敵だからな」

 

笑いながらとんでもない凶行を言ってのける。

 

だが、この男にはそれができる。

 

「さて、今夜でフィナーレだ」

 

かつて、あらゆる星々を“苗床”にして滅ぼしてきた悪の首領

 

一族の中では使い捨ての“下級戦士”ではあるが、それは彼らの一族のみでの話だ。

 

 

 

あらゆる手を使っても欲しい物を手に入れる

 

 

 

略奪を生業としてきた恐怖の一族の生き残り

 

 

 

同時に存在し得ないとされていたカリフの同族

 

 

 

 

 

復讐の戦闘民族・ターレス

 

 

星を喰らって成長する神以外に食すことを許されない禁断の果実・神精樹の実

 

 

 

 

今まさに、地球が最大の危機に直面しようとしていた。

 

~後書き~

 

はい、やっとある程度カリフという主人公にも強敵が出すことができました!

 

今後の戦闘もより一層激しく、そして展開も真っ黒にしていく予定ですのでよろしくお願いします!

 

そして前書きに書いた通り、最後の『ヒロイン枠』が自分の中で決まりました! 自分が思っていたよりも大所帯になってしまったので批判の声が上がることは覚悟の上です。

 

それに関しましての愚痴というか自分の意見を吐露する形で活動報告に載せたいと思っています!

 

要するに、『海に向かってバカヤローッ』理論、要は自分なりの不安解消です。これについては見ても見なくても構いません。持論を並べたばかりですから見る人によっては感想はチマチマになるかもしれないので。

 

内容は『最後のオリヒロイン枠、『ハーレム』というジャンルの魔力』です!

 

そんなこんなでも物語を当初の設定で書いていきたいと思っています。

 

それではまたお会いしましょう!


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