理想郷の皇帝とその仲間たち   作:海豹のごま

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長かった二日目が終わる


七十三話 世界樹の下で

 アルスは下水道の底に存在するロボット工場を発見した。それを他の魔法先生などに報告したのである。しかし、ロボット工場などと言う突拍子な話に、あまり信用されなかったのだ。確かにアルスは実力者で信頼出来るほどの実績が存在する。

 

 だが、流石に巨大ロボット工場など、この麻帆良の地下にあるはずがないと思われてしまったのだ。ただ、タカミチや明石教授あたりはその話を信用してくれたようだが、それでも三~四人程度でその場所まで足を運び、破壊するのは至難と判断したのである。それゆえロボット工場の存在は放置せざるを得なくなったのだ。

 

 また、直一もその報告を超へと話した。超はこの事実を重く受け止めたが、ハッキリ言えば戦力不足。そのロボット工場を破壊するほどの戦力が無いのだ。あのエヴァンジェリンを向かわせたとしても、坂越上人と交戦すれば、それどころでは無くなる。それに全戦力を工場に向けてしまうのは、かなりリスクが高すぎるのだ。だからとりあえず超は、それに対する危険性を考えながら、対策を練るしかないと言う判断をしたようである。

 

 

…… …… ……

 

 

 麻帆良祭二日目の夜、ネギは超に呼び出されていた。それは暗黒の未来を元に正すための作戦を言い渡すと言うものだった。だからネギはその話を聞くために、世界樹前広場の最も高い場所へとやってきたのである。

 

 

「来たネ」

 

 

 そこにはすでに超が来ており、巨大な世界樹を眺め、ネギに背を向けていた。そしてネギが来たことに気がつき、その方向へゆっくりと体を向けていた。ネギも振り向いた超の下へと、歩きながら近づいていったのである。

 

 

「超さん、一体僕は何をすればいいんですか?」

 

「フム、これから言うことは重要なことネ。心して聞くがヨロシ」

 

 

 ネギは超に何をすればよいか尋ねていた。自分の未来が変わってしまうと聞かされ、多少焦りがあるようだ。それに超がどんな指示を出すのかも、気になっていたからだ。また超は、重要な話をしようと思い、聞き逃さぬようにとネギへ話していた。

 

 

「タブンだが、明日には大規模な戦いが起こる可能性があるネ……」

 

「だ、大規模な戦い……!?」

 

 

 超はネギへ、明日のことを話し始めた。それは直一の残したデータから割り出した未来予測であり、この麻帆良で大きな戦いが発生すると言うものだった。だが、それは可能性の話であり、ビフォアが実際それを行うとは限らない。

 

 とは言うものの、あのビフォアは用意周到にロボット工場を建造していたのだ。そう考えた方が妥当だと、超は考えたのである。そのことをネギへと言うと、ネギは驚いて冷や汗をかいていた。超の言葉が事実だとすれば、この麻帆良が戦場になるからである。

 

 

「そうヨ、ある男が未来の技術を使って、ロボット軍団を操るというものネ」

 

「ろ、ロボット軍団……!?」

 

「そのとおりヨ。そして、その男は最終的に、全世界に魔法を教えるつもりネ」

 

 

 そこで超が話したのは、なんとも信じがたいことだった。未来の技術により、ロボット軍団が襲ってくると言うものだったからだ。普通に考えれば、何を言っているんだと思われても不思議ではないものだ。

 

 しかし、ネギはそれを真に受け、戦慄していたのである。実際ネギのクラスにはロボの茶々丸が居るので、ある程度信用できる話だと思ったようである。さらにそこで、超はビフォアという男の最終目的をネギへと伝えたのだ。

 

 

「全世界に、魔法を……!? 一体どうしてですか!?」

 

「それはわからないネ。仮説としてはその責任を受け、がら空きとなったこの麻帆良を、乗っ取るつもりダロウ……」

 

 

 ネギは魔法を世界にバラすことは良くないと考えた。加えて魔法をバラす理由が、まったくもってわからなかった。確かに一日目の超からの説明で、この麻帆良が滅びると聞かされていた。だが、それが魔法をバラすのと、どうつながるかがわからなかったのである。だから超へと、理由はなんなのかを聞いたのである。

 

 超はその質問に、仮説と言う前提でネギに説明を始めた。魔法を全世界にバラせば、その責任が麻帆良の魔法先生にかぶり、オコジョにされる。その隙をついて、この麻帆良を支配するつもりなのだと考えていた。それをネギへと、ゆっくり話したのである。

 

 

「そ、そんなことが……!?」

 

「だからこそ、明日はよく注意して行動してほしいのヨ。ネギ坊主も我々の重要な戦力だからネ!」

 

 

 その説明を受けたネギは、その行為に対して多少の怒りを感じ、握っていた手に力を入れいてた。この平穏な麻帆良を、悪夢に変えるために、魔法をバラして世界をも混乱させようとする、その行動が許せなかったのだ。そして超は、そういう訳なので明日の行動は気をつけるよう、ネギへと忠告していた。何せネギは超の戦力の一つであり、重要な存在だからだ。何かあったら大変なのである。

 

 

「……そうならないために戦うのであれば、僕もやらずにはいられません……」

 

「助かるヨ……。そうだ、後これを渡しておくヨ」

 

「これは……?」

 

 

 ネギは静かな怒りに燃え、そうならば戦わなければならないと、決意を固めていた。この麻帆良を守るため、麻帆良の人々を守るため、自分が出来うる限りのことをしようと強い意志を持ったのである。そんなネギへ、超は一つの手紙を渡していた。それは内部に説明や地図がホログラムで映る手紙だった。

 

 

「それはネギ坊主が何かあた時の避難場所が記されているネ。予期せぬ出来事があた時、そこへ行くといいヨ」

 

「……わかりました。何かあればそこへ逃げ込みます」

 

「ウム、そうしてくれると助かるヨ」

 

 

 それを超が渡した意味は、ネギに何かあった時のためのものだった。もしものことだがトラブルが起きた場合、そこへ行けば安全が保障されると言うものだった。ネギはそれを聞くと、静かに頷き理解を示したようだ。

 

 そう言うネギを見た超も、同じく頷きそうするように頼んだのである。そして二人は握手を交わし、明日は頑張ろうと決意を新たにしていたのだ。だが、そんな二人の間に一人の少年が現れた。

 

 

「超! テメーの野望は俺が砕く!」

 

「兄さん!!?」

 

「むっ、カギ坊主……!?」

 

 

 その広場の石造りの小屋の天辺に、黄金の鎧を身にまとったカギが現れたのだ。あの神威をぶちのめした後、急いでこの場所へとやってきたのである。なぜここに来たかと言うと、カギは超が明日魔法をバラすものだと勘違いし、超を倒そうとやってきたのである。銀髪の神威を倒して株を上げたというのに、ここで株を下げるとは、流石カギとしか言いようが無かった。

 

 

「テメーの企みもこれまでだ! 教師として、テメーを教育してやる!」

 

「兄さん、何を言っているの!?」

 

「何を勘違いしているかはわからないが、私は敵ではないヨ!?」

 

 

 敵対する意思を見せるカギに、ネギは驚き戸惑っていた。というのも、何でカギが超と戦おうとしているのか、理由がまったくわからないからである。何せこのカギ、”原作知識”で行動しているのだから当然だ。カギは流石にこの麻帆良祭の大ボスは、超以外ありえないと考えていたのである。なんとはた迷惑なことか。そんなカギへ、超も味方アピールし、両手を上にあげていたのだ。

 

 

「なんだ? 戦う気がねぇのか? あのかみなりパンチを使って来いよ! 時間を操る程度の能力使って来いよ!!」

 

「私は戦いに来たわけではないヨ。確かに装備はしているが、使う気はないネ!」

 

 

 しかし超は戦う気がまったく無かった。ネギと会話したのも、明日に備えてのことだったからだ。そんな戦意がない超へ、カギは挑発していたのだ。電気でしびれさせるパンチや、カシオペアを利用した攻撃をして来いと、偉そうに叫んでいたのだ。だがやはり超は、戦う気がないことをアピールし、両手を後頭部へと移したのだ。

 

 

「あぁ? 騙そうとしたってそうはいかねぇ! 食らいやがれー!!」

 

「兄さん! ちょっと待ってよ!!」

 

 

 そこでカギは痺れを切らしたのか、魔法の射手を一発だけ超へと放った。ネギはそれを見てとっさにカギへと近寄り、説得を試みたのだ。また超はその魔法の射手を避け、再び両手を後頭部に置き、戦う気が無いことを見せていたのである。

 

 

「兄さん、超さんは敵なんかじゃないよ! 何か勘違いしてるのでは?!」

 

「ネギ、お前まさか超のヤツに……。許せん! こんな純粋なネギを騙すなど!!」

 

「に、兄さん!? 僕は騙されてないよ!?」

 

 

 必死にネギはカギを説得するために、両手を広げて勘違いだと話していたのだ。だがカギはなんと、ネギが超に騙されてしまったと考え、さらに敵対心を燃やしたのである。そんなカギに、騙されていないと必死に形相でネギは叫んでいたのである。

 

 

「クソー! なんて卑劣な! ハンサム・イケメン・イロオトコ!」

 

「待つネ!? ネギ坊主の言うことは本当ヨ!?」

 

「兄さん! 話を聞いて!」

 

 

 そしてカギは詠唱を始めていた。ネギを騙す超は許さない、ぶっ倒すと考えて居るのだ。そのカギに超も慌てて、ネギの言葉は本当だと叫んでいた。と言うか、敵対する意思を見せてないのだから信用してくれても良いだろうと、心の中では愚痴っているのだが。さらにネギも、まったく話を聞かず、突っ走るカギへ話を聞くよう叫んでいた。こんな戦いは無意味だと、ネギは思っているからである。

 

 

「掌握! 合体! ”雷神斧槍”!!」

 

「に、兄さん……。それは……!?」

 

「俺の必殺だぜ! これでテメーをぶった切る!!」

 

 

 カギはそこで右手に持つ杖に唱えた雷の斧を合体させ、雷神斧槍を作り出した。またネギは、カギが使った術式を見て、目を見開き驚いていた。まさかカギが、このような魔法を使えるなんて、思ってなかったからだ。そこでカギはその魔法を握り締め、超を睨みつけていたのだ。

 

 

「そ、それはマサカ!?」

 

「超! テメーの企みもこれまでだアァァァッ!」

 

 

 超はその術式が何なのか、多少理解していた。あのエヴァンジェリンが操る術具融合という魔法だとわかったのである。だから超は、カギがエヴァンジェリンの弟子となったことを察したのである。しかし、その術で狙うのは自分なのだと思い、流石にヤバイと感じていた。そしてカギは、叫びながら超へとすっ飛んで来たのである。だが、そのカギの魔法を受け止め、消滅させたものがいた。それは橙色の髪をツインテールにした少女だったのだ。

 

 

「何やってんの?! カギ先生!」

 

「なっ!? アスナ!? 何で邪魔しやがった!!?」

 

 

 アスナはハリセン型のハマノツルギで、その雷神斧槍を受け止めたのだ。すると雷神斧槍は魔法無効化を受け、消失してしまったのである。さらにアスナは、超を攻撃しようとしたカギへ、怒気を含んで叱りつけていた。またカギは、自分の邪魔をしたアスナに驚き、怒りの叫びを上げていたのだ。

 

 

「アスナさん!?」

 

「おお、明日菜サン!」

 

 

 ネギもアスナが突然現れ、カギの攻撃を防いだことに驚いていた。しかも一瞬で超の前に立ちふさがり、カギの攻撃を受け止めたのだ。驚かない方がおかしいだろう。超もアスナが助けてくれたことに、驚きつつも感謝していた。あのままでは、避けることが出来ないと思っていたからである。これが世界樹の発光後ならば、カシオペアを動かして避けれたのだ。だが、世界樹はまだ発光しておらず、シーンと静まりかえっていた。

 

 

「何で邪魔しやがった! つーか何でテメーがここにいんだよ!?」

 

「居ちゃ悪い?」

 

 

 アスナは普段の動きやすそうな姿で、カギの杖を受け止めていた。さらにカギの今のバカな行動に、少し機嫌悪そうな表情をしていたのである。アスナはメトゥーナトとわかれた後、ネギと同じように超にこの場へと呼び出されたのだ。そういう訳でここにやって来て見れば、カギが超を攻撃しているではないか。それを見たアスナは、すかさず超とカギの間に割り込み、カギの攻撃を受け止めたということだった。そしてカギも、アスナに自分の邪魔をされ、再び怒りの叫びを上げていたのだ。

 

 

「まあそれはいいとしてだ! アスナは超が何をしようとしてるのか知らねぇんだったな! だから教えてやるぜ!」

 

「超さんは改悪される未来を正すって、言ってたけど?」

 

「何!? アスナまでも超に騙されてんのか!? そんなもん、ウソに決まってんだろ!」

 

 

 そこでカギは、アスナが超の仕出かそうとしている企みを知らないと思ったのか、それを教えようと声を張り上げていた。しかしそれは歪んだ情報です。カギは”原作知識”で物事を考えて居るので、そんな企みなどないのである。アスナは何も知らないと言われたので、超から聞いたことをカギへと話したのだ。するとカギは、それが嘘で騙されていると考え、バカ言うなと怒り出していた。

 

 

「だからウソではないヨ! 信じてほしいネ! このとおりヨ!!」

 

「むっ!? うーん、何か俺の知ってる超とちげぇ……」

 

 

 それを見ていた超は、カギに信じてもらうために必死に語りかけていた。まるで祈りを捧げるかのような態度で、カギへと接したのである。そう卑屈に祈願する超を見て、カギも”原作知識”にある自信と信念に満ちた超とはどこか違うと、察し始めていたのだ。

 

 

「兄貴ぃ、一応彼女も生徒だろ? 少しぐらい話を聞いてやってもいいと思うぜ?」

 

「ぬうう……、カモがそういうなら仕方が無い……」

 

「助かるヨ」

 

 

 さらにそこでカモミールも、超もカギの生徒なら話を聞いてもよいのではと、カギへと進言していた。なんというナイスフォロー。ここでカモミールは株を上げたのだ。ここでその言葉に悩むカギとは大違いである。そしてカモミールの言葉でカギは、数秒悩んだ後、話を聞いてやろうと思ったようだ。

 

 超はカギが話を聞いてくれることに感謝の言葉を述べていた。そこでカギへと、今までの経緯とビフォアという男のことを説明したのだ。その説明を聞き終えたカギはその話がウソか本当か迷いながら、驚きの声を上げていたのである。

 

 

「おい、それ本当かぁ? 本当なのかぁ?」

 

「ウソじゃないヨ。火星人ウソつかないネ」

 

「火星人はインディアンじゃないでしょ……」

 

 

 カギは本当なのかと何度も超に聞きながら、食らいついていた。そう両肩をつかまれ揺らされる超は、火星人はウソをつかないと、多少ギャグっぽいことを言ったのだ。だが、それを聞いたアスナは、火星人をインディアンみたいに言うなと、あきれた顔でツッコんでいた。そりゃ当然、アスナは自分も火星人なので、勝手なことを言うなと思っての行動だったのだ。

 

 

「……つまり全部その男が悪いってことか……?」

 

「そのとおりヨ! わかてくれて嬉しいヨ!」

 

「ぶっちゃけ半信半疑だけどな」

 

 

 とりあえずカギは超の話を聞き、ある程度納得した様子を見せていた。超は何とか納得してくれたカギを見て、笑みを浮かべ喜んだ。ネギの兄であるカギも仲間に出来れば、あのビフォアに対抗出来るかもしれないと思ったからだ。しかし、カギはいまだ超を疑っているようで、目を細めて超を見ていたのだ。

 

 

「まっ、それなら俺も協力してやらんこともない」

 

「兄さんも?」

 

「あったりめーだろーが! 生徒の悩みを何とかするのも、教師の仕事だ!」

 

 

 だが、それでもカギは超に協力する姿勢を見せていた。超の話が事実だとすれば、転生者らしきその男に、この麻帆良を好き勝手されることなのだ。それに超を完全に信じた訳ではないが、あの超がこのようなばかばかしいウソを言うはずもないと、カギは考えた。だからこそカギは、とりあえず協力してみて、ウソだったならそこで戦えばよいと思ったのである。

 

 

「オオ、それは本当に助かるネ。ならこれを渡しておくヨ」

 

「おん?」

 

 

 そこで協力する姿勢を見せたカギに、超はネギに渡した手紙と同じようなものをカギへと渡した。カギはそれを渡されて、一体何なのかと考えたようだった。

 

 

「それには我々が掴んだ情報が入ているネ。それを見て状況を把握してほしいネ」

 

「あ、それ私も見たい」

 

「僕も見ていいですか?」

 

 

 その手紙を握って疑問を感じている顔をするカギへ、超はその手紙状のものの説明を話した。なんとそれには超が今までに知った、ビフォアサイドの情報が入って居るというものだった。そこでアスナもネギも、情報を見たいと思い、それを見る許可を願い出ていた。

 

 

「当然二人にも見てほしいヨ! 情報は戦いにおいて重要だからネ!」

 

「うむ、その通りだぜ!」

 

 

 超はネギとアスナにも情報を提供すると、微笑んで言葉にした。そして情報は戦いには重要だと、その二人に話していた。敵の情報を知ることは、敵の動きをある程度予測が出来ると言うことだ。敵の動きがわかれば、その対策を行い有利に動けるはずだからである。カギもそこで、超の言葉に賛同して頷いていた。

 

 

「後でしっかり見ておくさ。まぁ、何か気が抜けてきたぜ……」

 

「シカリするネ。戦いは明日ヨ?」

 

「マジか……。確かにそうか……」

 

 

 しかしカギはそれを今ではなく後で見ると言い出した。さらに超が敵ではなかったらしいので、気が抜けたようである。そんなだらしないカギを見た超は、明日こそ決戦ゆえしゃきっとしろとカギを窘めていたのだ。それを聞いたカギは、”原作知識”にて確かに明日が決戦かと、妙な納得の仕方をしていた。とりあえず一通り超が話し終えた後、なんと世界樹が突如大発光を始めたのである。

 

 

「うおっ、まぶし!」

 

「世界樹が光ってる……」

 

「キレーね」

 

 

 その世界樹の大発光が夜の闇を白く照らし、その四人を明るく映していた。だが、そんな感動的な場面でも、カギはその眩しさに驚き、腕で眼を隠していたのだ。なんというムードのない少年だろうか。いや、流石カギと呼ぶべきだろうか。また、ネギとアスナはその輝きを見て、少し感激していたのである。

 

 

「麻帆良の一般人は特殊なヒカリゴケが発光してると思っているネ」

 

「そんなんでバレないのか……。シュールすぎる……」

 

 

 また、超は一般人的なこの現象の見解を、しれっとした態度で説明していた。それにカギは反応し、どうしてそんな噂で騙せるのかと、頭を抱えていたのである。いや、確かにヒカリゴケは少し無理がありすぎるだろう。

 

 

「まあ、今日は明日に備えましょうか」

 

「そうですね……」

 

「今日はゆっくりしてほしいネ。明日はきと大変な騒ぎになるヨ……!」

 

 

 そこでアスナは、明日が決戦ならば体を休めた方がよいと、ネギとカギに提案していた。超も同じ意見だったようで、ゆっくりしてほしいと話したのだ。明日どうなるかわからないが、大きな戦いになる可能性が十分あるからだ。だがそこで、アスナは自分たち以外の気配を察知し、その方向に指を向けたのである。

 

 

「そういえば、あそこにもう二人ほど居るんだけど……」

 

「む、せつなサンにかえでサン……?」

 

「どうしたんですか? 二人とも」

 

 

 するとそこには刹那と楓がこそこそと隠れていたのである。それを見た超とネギは、何をして居るのだろうかと不思議そうな表情をしていた。そして見つかった二人はとりあえず立ち上がり、しっかりと姿を現したのである。

 

 

「バレてしまったでござるな」

 

「うまく隠れていたつもりだったのですが……」

 

 

 二人は一応うまく隠れていたと思っていたようだ。いや、確かにこの二人なら、大抵の相手に気が付かれずに隠れることが出来るだろう。しかし、アスナにそれがバレてしまったのだ。というのも、アスナは二人が隠れて居ることを、あえてスルーしていたようであった。自分のクラスの二人が、他人の話を隠れながら聞いている状況を、どうするかと考えていたからである。

 

 

「二人もどうしたんだよ?」

 

「魔法先生たちが、超さんのことを話していたので、何かあるのではないかと思いまして……」

 

「拙者は刹那の付き添いでござるよ」

 

 

 カギも二人がどうして隠れていたのか、気になったようである。すると刹那は、そのことについて話し始めたのだ。それは魔法先生たちが、超について話したと言うのだ。超は特に偵察以外したことはないが、魔法を知る一般人として、魔法先生からブラックリスト入りしてしまっていた。

 

 だからあのビフォアの動向と、この超の動向が気になっていたのである。また、この二人がつるんでいる可能性すらも考慮に入れ始めていたのだ。そんな刹那の横の楓は、やはりただの付き添いでやってきたらしい。

 

 

「この際だから、二人にも話を聞いてもらうネ」

 

「超さん、一体何を?」

 

 

 そこで超は、今の話をしっかりと刹那と楓に聞かせようと思ったようだ。というのも、超は特に疚しいことなどしていない。ゆえに二人にも協力してもらおうと考えたのである。そして突然話を振られた刹那は、一体何を話すのか、少し難しい顔をしていた。その横の楓は、いつも通りの糸目であったが。

 

 

「確かに二人が仲間になれば、心強いのは間違えないわね」

 

「そうですね」

 

「俺が居ることをわすれんじゃねーぞ!」

 

 

 そして超から説明を受ける二人を見て、アスナも刹那と楓が居れば頼りになると思っていた。神鳴流の剣士に甲賀中忍という中学生とは思えぬ実力者なのだ、当然そう思うだろう。また、ネギもアスナの言葉に同意し、これで何とかなるかもしれないと思い始めていた。

 

 しかしカギは、自分が最も強いことを忘れるなと言うことと、自分も仲間になったことを忘れるなと言う二重の意味の言葉を叫んでいたのだ。こうして世界樹が輝く中、この場に居る6人による対ビフォア同盟が結成されたのである。

 

 




カギはやはりバカだった

超は退学届けは出してません
まだ終わってないからです

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