FLEET COLLECTION ~艦CORE~ 作:ARK-39
その為、修正が多くなるかもしれません。
それでは本編を再開します。
#1
<<<ステイシス>に同伴し、鎮守府<佐世保>へ向かってもらいたい。>>
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先の戦闘から20時間、新しい任務が届く。
「お、早速次の任務ですか、幸い叢雲が無傷なんですぐに準備できますね。」
後ろから、女性が声をかける。・・・聞いたことがある声だ。振り向くと、そこにはピンク色の髪の毛をロングにしている女性がいた。大淀さんとほぼ同じ制服を着ている。
「あれ、もしかして聞いていませんでしたか?」
すると彼女は、妙に改まった敬礼と口上を告げる。
「この度、コールネーム<レイヴン>の艦隊へ配属が決まりました。
「艦娘調律師(チューナー)」兼オペレータの<明石テムヤ>です。」
明石。そうだ、初陣でレイヴンのオペレータをした人物。そうかこういう見た目なのか。
それにしても「艦娘調律師(チューナー)」とは。そんな疑問があるが、明石はさらに続ける。
「後、拠点艦の副艦長も務めます。ついて来てください。他にも仲間がいますよ。」
そうして、レイヴンは明石に連れて行かれる。
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拠点艦とは、提督が任務等を遂行する際の海域に出る時に使用する事になる軍用艦である。提督はほぼ必ず一隻は所有することになっている。
提督にも階級はあり、階級によって拠点艦の規模も変わってくる。
階級差では艦娘の所有および戦闘時の運用数制限もあり、レイヴンは尉官提督である為、戦闘時は3隻の同時運用が出来る。
「さ、て、とっ。提督、こちらがあなたの拠点艦です。」
尉官用は小型の分類だが、流石に大きい。
それも当然、拠点艦は「提督の個人用鎮守府」であり、提督が提督の仕事をするためのすべてが揃っている。執務室まで存在するのがそのいい証拠だろう。
艦橋へ上がると見知らぬ少女が一人、通信席で各種機器の準備をしている。気持ちクリーム色で襟が若葉色のセーラー服を着る彼女の作業スピードは常人のそれではない。
彼女がこちらに気付き、作業を一旦終わらせて挨拶をする。
「<レイヴン>艦隊拠点艦総合通信及び伝令官兼オペレータ見習い、
<エルール・ハングドキャット>。よろしくだよ。」
淡々と挨拶を済ませると、彼女は作業に戻った。
「あの子はこの拠点艦の「耳」ってところね。」
明石がそう説明する。エルールの机を見るとそこには猫の置物があった。
逆さに吊られている趣味の好くない物が。
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艦橋を離れ、次は艦娘用のブロックへ行く途中、奇妙なものを見た。・・・妖精のような・・・
「あれは妖精さんです。主に艦娘の整備などを行う艦娘が使役する子機です。」
明石が言う。名前には何の捻りもないのか。
「艦娘自身は妖精さんにしか整備が出来なかったのですが、艦娘自身を整備、調整が出来る人間がいる事が分かりました。それが「艦娘調律師(チューナー)」なんです。」
成程、明石が艦娘の装備にやけに詳しい事が分かった気がする。
この拠点艦では艦娘用のブロックに入ると真っ先に食堂がある。もっとも食堂は供用だ。
叢雲がいた。「間宮」とラベルのあるものを飲んでいる。
「Revolution Energy 間宮。通称「RE間宮」の食品は艦娘にも人気ですよ。」
「Revolution Energy 間宮」は「鎮守府」に生きる生物なら必ず世話になる総合食品会社だ。
国家解体戦争時に複数の食品会社が統合して出来たという。
「ぷは。悪くないわ。」
叢雲からの評価も上々のようだ。
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その時、
<<出港するよ。>>
艦内放送が入る。今の声はエルールか。
「まだ寄っていない所はありますが、一旦艦橋へ戻りましょ」
<<明石、提督は戻さなくていいよ。もう少し案内を進めて。>>
「う・・・・・・。」
流石に艦内放送で思考を先回りされては明石も絶句である。
「そ・・・それではもう少し先へ行きましょう、提督。」
レイヴンとしては全く構わないという感じである。
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艦娘用のドックへ着くと、先程の妖精さんを含めた大勢の妖精さんがいた。
その奥には人間サイズの試験管ともいうべき装置が2基あった。
中は青色の透明な液体で満たされている。すかさず明石が説明する。
「あれが艦娘用の<入渠>装置です。中の液体は液状化したF.R.O.Mですよ。」
謎のエネルギー「F.R.O.M」は状態変化が激しく、霧状、液状、固形状とまるで水のような性質を見せ、現在の地球の海にはF.R.O.Mが混入している。
解明はされていないがF.R.O.Mを唯一自ら生成出来る艦娘は体内に血ではなく赤色化した液状のF.R.O.Mが流れる。本来は青白い色をしており、艦娘が体外に放出するときもその色となる。
艦娘は自らのF.R.O.Mを操る事で海面に立ち、推進力とし、ちょっと応用するとバリアすら張る事が出来るという余りにも圧倒的な戦闘力を得る。それが人間との決定的な違いである。
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レイヴンが艦内を明石と廻ってから2日が経つ。現在のところ敵と遭遇することもなく航海も順調である。
現在は艦橋で提督らしくしている。ふんぞり返っているわけではない。
「司令官。」
なぜか通信席のエルールの隣にいた叢雲がレイヴンを呼ぶ。
「高速暗号通信よ、内容を読みなさい。」
暗号通信だと。
「それは私の仕事だ、が、暗号は解いておいた。」
エルールはそう呟く。
レイヴンは早速内容を読む。・・・!
「この距離で暗号を組むのか・・・。」
差出人、オッツダルヴァ。
内容
<<少しこちらに来てもらいたい。話したいことがある。>>
たったこれだけの文章をすぐ隣で航行するオッツダルヴァはわざわざ暗号にした。
何かある、そうレイヴンは感じた。
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オッツダルヴァから呼び出されるレイヴン。はたして・・・。
読んでくださって有難うございました。
次回はレイヴンがオッツダルヴァから更に色々貰います。
こんなに厚かましい(?)( ´乙`)が読めるのは私の作品だけでしょう。
理由は有りますがそれは追々・・・。
-補足、というより蛇足-
始めに、私は車好きです。それもどちらかというとアンダーグラウンドな方のです。
「APEX」「BLITZ」「チューナー」「RE間宮」と、勘が良くてそちらに明るい人では気付いていたかも知れません。「RE間宮」はほぼ確信犯です。
レイヴンの部下になった人たちについて、
明石さんは勿論「明石」です。
テムヤは、「アイテム屋」から取りました。
エルール・ハングドキャット、勘の良い人なら解ったかも知れません。
妖怪猫吊るし、エラー娘と悪名高いあの人(?)です。あの姿のままではありませんが。
エルールとは、フランス語で「エラー」です。
蛇足にまで付き合っていただき、有難うございました。
私の作品を読み続けてくださるのであれば、応援、アドバイス等いただけますと有難い限りです。