FLEET COLLECTION ~艦CORE~   作:ARK-39

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 任務を終えたレイヴンは各種書類を揃えると早々に暇を持て余すこととなった。
 資料室とある部屋に入ると、早速レイヴンの目を引くメモリーがあったらしく、レイヴンは個室を借りて視聴することにした様だ。
 視聴といっても、この場合は少し形が違う。提督帽の後ろ、丁度先程まで「AMS」システムコードが繋がっていたところへメモリーを接続する。
 すると、先の「AMS」と同じように脳内に直接映像が投影される。
 随分とこの提督帽は便利なものである。

<<RECORD:1 playback>>


RECORD:1
bygone days


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 この世界のおさらいを、唐突だがさせてほしい。

 

 この世界が選んだのは、激動だった。

 

 末期的症状を見せる人類、国家は小競り合いに固着し、戦火は地球を包んだ。

 

 ”技術”はそれに比例して暴走の一途をたどった。

 

 そんな中、地球に飛来する一陣の流星群が確認された。

 

 しかし国家はそれを隠し、人々に知らされる事はなかった。

 

 そうして流星は地球各地に降り、甚大な被害をもたらした。

 

 だが、流星は被害だけではなく、”変化”を与えたのだった。

 

 有用な新素材と、全く新しいエネルギー源。

 

 流星と、その落下地点域から確認された”変化”は、人類の激動には十二分だった。

 

 各地の落下地点域から持ち出されたサンプル、研究は迅速を極めた。

 

 どちらも今までの常識とはかけ離れた物質だった。

 

 素材は当然だが、特にエネルギー源が与えた”変化”は顕著だった。

 

 核を超える発電能力を持ち、「力を生成するのに積極的な物質」と呼ばれるようになった。

 

 「Force Reactor Offensive Material」、その略称は「F.R.O.M」。

 

 しかし、流星によって人類は空を失うこととなった。

 

 そして航空機と巡航ミサイル、衛星兵器の時代は唐突に終焉を迎えた。

 

 戦いの舞台は、再び陸と、海となった。

 

 装甲と火力の当ては”空”から降ってきた。

 

 戦車と、艦船と、歩兵による戦いの時代が帰ってきた。

 

 当然のように、瞬く間にその”変化”に順応した戦乱は始まろうとしていた。

 

 そう、”していた”。それは”していた”だけとなった。

 

 国家の怠慢を見限った企業が手を組んだのだ。

 

 国の命令で作らされた新兵器、使い方は自分達にしか解らない。

 

 企業による国家へのクーデター、戦況はまさに一方的だった。

 

 その間に人々は、企業によって新天地を目指すことになった。

 

 「レイヤード・ボルト」かつての遺産、国家の矜持。

 

 そこが人々の、新たな大地となった。

 

 そして企業が人々の先導者となっていった。

 

 ここまでがこの世界の過去。

 

 隕石群飛来までが「世界全土紛争」、隕石飛来を「大破壊」。

 

 企業の台頭が「国家解体戦争」と呼ばれている。

 

 そして、企業の新兵器。企業台頭の原動力。

 

 それは、その圧倒的汎用性による制圧力の高さを持ち、瞬く間に戦場の主役となった。

 

 人々はいつしか、その機動兵器を「アーマード・コア」と呼ぶようになっていた。

 

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 視聴を終えたレイヴンはどうやらこれはシリーズとなっていることに気付く。

 すると、提督用のタブレットがメールを受信したと告げた。次の任務だろう。

 ・・・暇があればまた観てみるか。・・・そうレイヴンは思うのだった。

 




読んでくださって有難うございました。

所謂「アーカイヴ」の様なものでした。
この世界の「過去」が少しでも分かってもらえれば幸いです。
それにしても、これだけでは「アーマード・コア」とほぼ変わらないストーリー背景ですね。
艦これのかの字もありません。
「艦娘」及び「深海棲艦」の登場は続編「recently days」で著します。

-補足、というより蛇足-

「Force Reactor Offensive Material」~力を生成するのに積極的な物質~略称は頭文字で「F.R.O.M」エネルギーとなります。
 個人的にはかなり気に入っているアイディアです。

 この世界には「AC」があります。人類の一般的な機動兵器で、少ない陸上資源区域などを「深海棲艦」の地上部隊から守っています。
 といっても全高は4M弱しかなく、どちらかというと某最低野郎共の相棒に近いです。
 本来の名前は「汎用搭乗型兵装類」でありあの呼称の由来には秘密があります。
 立場は4系ノーマルとほぼ同じです。

蛇足にまで付き合っていただき、有難うございました。
私の作品を読み続けてくださるのであれば、応援、アドバイス等いただけますと有難い限りです。

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