FLEET COLLECTION ~艦CORE~   作:ARK-39

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久しぶりの更新です。
いろいろ言いたいことはあるのですが
「言葉を飾る事に、意味はない」
らしいので。

それでは本編を再開します。



#22ノ1

 レイヴン艦隊一行は、新造鎮守府<舞鶴>の沖合20kmの地点にて演習を行っていた。

 <舞鶴>完成記念セレモニーまで、あと3日。

 今日は<舞鶴>への入植日となり、これから此処の住民となる人々でしっちゃかめっちゃか。

「と、言う訳でもないんですね、最近は。」

 事前に予め準備を終えていた<舞鶴>への新規住民は、大きな混乱の無いまま入植を完了した。

 一応護衛の任務を請け負ったレイヴン一行はとんだ肩透かしを食らい、入植後も近海で演習を行っていたのだった。

 報酬は出るわけだし、提督業に大きな苦労をせずに任務報酬を得る事は滅多に無いので有難い。

「ちょッと!遅れているわよ!!」

 現場監督としてメガホンを握った叢雲の声にも力が入る。

 え?艦娘は他艦娘と無音通信が出来るのになぜメガホンを使うかって?

「次!もう少しでお昼だからシャキッとしなさい!!」

「「「「「「「「了解!!!」」」」」」」」

 その方が馴染みがあるから、とは確か・・・。

「よく見えますねぇ~っ!」

「痛い!・・・やっぱり不幸だわ・・・、だけどねぇ!」

「ぐっ!?・・・火力がちょこっと足りなかったのかしら?」

 山城が言っていたな。

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 そして、セレモニー当日の朝。

 

「てっ・いっ・とっ・くぅ~?

 起きて下さぁ~い?

 もうあさですよ~?」

 ・・・うぉう!?!?

「あわっ、ちょ、揺らさないで下さいぃ。」

 レイヴン、明石に押しつぶされる。

 そんな事をされてはどんな奴でもひとたまりもないだろう。

「あぅっ、もぉ~っ。」

 ・・・いろいろな意味で。

「・・・おはようございます。」

 おはよう。

 まずは一旦冷静に。

 さて、明石は何をレイヴンに言いに来たのだろうか。

「時間には余裕ありますがっ、ここは新人提督として”らしい”行動を取るのが宜しいかっと。

 まぁでっ・・・でも、提督は結構真面目なんで、一応ですよ、一応。」

 明石はレイヴンの腹の上から降りながら、そんな事を言っていた。

 新人というものはこの時代になっても、色々な事で気を付けなくてはならない者だった。

 特に提督は、その体系こそ実力主義を第一としている(だからこそアリーナが成り立つ)。

 だが、先輩後輩という上下の繋がりは、その根をカラードの深いところに張り巡らせていた。

 ところで明石はというと。

「朝食までもう少し時間があるので、先に着替えてブリッジに上がってください。

 ・・・それではっ。」

 言うだけ言ってから足早に、提督が寝床にしている職務室を出ていってしまった。

 ・・・その頬を、少し赤らめながら。

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「あれ、どう見ます?

 解説の鈴谷さん」

「・・・デキてるね、間違いないよ。」

「では・・・!」

「だからもう少し様子を見た方が良いね。

 青葉は先走りが過ぎるから。」

「・・・解っていますよ。

 この間みたいなのは御免です。」

 

「・・・そこで何やってんのよ、アンタ達・・・。」

 職務室の奥の廊下の角に隠れ、部屋から出てゆく明石を目撃中の青葉と鈴谷に出くわした。

 やはり私は不幸だと思う山城だった。

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「よし・・・。」

 その部屋には複数人の存在が確認できた。

 窓には厚いカーテンが掛けられ、折角の高級シャンデリアも灯りを灯されていない、暗い部屋。

 それでも入って来る極々僅かな外の明かりが、その部屋にいる全員のシルエットを浮かばせる。

「外は?」

「真改とブッパ、付きにラスターもいる。」

「抜かりなし、と。」

 各々が状況を確認している。

 これだけで、間違っても”表舞台”の話ではないことが伺える。

「一つ、よろしいかな?」

 この部屋を統括している男に、質問する女性が一人。

「ミス・アンジェか。

 ・・・何かな?」

「・・・こういうのは趣味か?

 ミスター・スティンガー?」

 質問を受け、スティンガーと呼ばれた男は周りを一瞥、納得し、答えた。

「此処は、我々の現在の状況を表している。

 シチュエーションが、人に与える影響は大きいからな。」

「ふ・・・成程、いい趣味だ。」

 半ば呆れながらも、一応納得のできる回答は貰った。

 そう出ている表情(カオ)を他に見られることなく、アンジェと呼ばれた女性は席に戻った。

「我々はまだ、”顔を合わす事も出来ない集まり”にすぎん。

 せめて、この形での会合を御容赦頂きたい。」

 一人、男が立ち上がった。

「まぁ、声だけでも大方は分かっているがな。

 そういうことにしておきたいのだろう、しty・・・メルツェル?」

「あぁ、そういうことだ。」

 これで、場は整った。

「さて、こうして集まってもらったのは他でもない。

 カラードがまた一人、”選別”にかけるかもしれんという事だ。」

 ・・・!

 この場の空気が変わる。

「久しぶりだな。

 ・・・4年か、あの”復讐者”以来だ。」

「フリッツ・バーンか、懐かしい名だ。」

「それで、これを見てもらいたい。

 その彼の戦闘記録だ。」

 メルツェルが手元のスイッチで部屋にスクリーンが現れる。

 そこに、古風にも投影機で映し出された映像は、先の鎮守府<呉>での戦闘だった。

 スクリーンの光が此処にいた者達を僅かに照らすが、そんな事は気にも留めない。

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「・・・。」

「・・・。」

 部屋の前で警戒を怠らない2人、真改とブッパ・ズ・ガンは静かだった。

「・・・もう少しぐらいなんというか賑やかさというかな・・・なかったのか・・・。」

 2人の”目付け役”として同じ場にいるラスターから見れば、不気味と言える程度に・・・。

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 スクリーンに映し出されたその戦闘は見事だった。

「成程、これは・・・。」

「要塞級を落とすか。

 どうしてなかなか、いるものだな・・・。」

 声を漏らす者も、少なからず居る程には。

「ああ。

 モノによっては、”首輪”を外そうと思っている。」

 この一言が引っ掛かった女性がいた。

「ハリのように、か?

 それもいいがな、メルツェル。」

 かつて「ジョシュア・オブライエンの再来」とまで言われた女性に、メルツェルは返す。

「案ずるなよ、ジュリアス。」

「だといいが。

 既にカラードに登録済みなら、こうもなる。」

 その二人の会話を見ていた老獪な男は、親子程年の離れた隣の女性に話しかける。

「あの赤坊主はどうしている?」

「4月には戦力に出来るわ、それと・・・。」

 そこに一人加わる。

「見覚えがあるんだな、スメラギ教官?」

「当然。

 でもその呼び方は止めて頂戴。」

 自然と他の面子もスメラギの周りに集まる

「・・・。」

「お、コイツだろ。」

 一人が指したスメラギのタブレット画面に映っていたのはレイヴンの顔。

 正解だ。

「判る?

 去年の後半期の卒業生よ。」

 その言葉に室内は戦慄する。

「それって・・・4ヶ月で、これだけの・・・!?」

「そうよ、優秀だったわ~。」

 どうやらスメラギは教官として、養成所時代のレイヴンに教鞭を揮ったらしい。

「ん・・・個人情報は一切ゼロ、名前も不明ね。」

 しかし、養成所でのデータベースに、彼の記録は無かった。

「?

 ”ネモ=ノーン”てあるンじゃないの?」

「あのなPQ。

 名前が”誰でもない”、苗字が”何もない”など、偽名に決まっていよう。」

「んぅ・・・そうねぇ。」

「それぐらいでいいだろう、席に戻ってくれ。」

 メルツェルが皆を席に戻るよう促す。

 全員が所定の席に戻るのを確認し、場を締めた。

 

 

「間も無く、マクシミリアン・テルミドールは我々に戻る。

 それで準備は終わりだ・・・。」

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数分後、巡回の警備兵はなにもみなかった。

 




読んでくださって有難うございました。

なんかぞろぞろとキャラクター増えていませんか?
筆者的にはすごく増えているような気がする・・・増やしています。

次回はセレモニー開催ですかね?

-補足、というより蛇足-

明石がヒロインしていて嬉し・・・ナンデモナイデス

暗い部屋に男女オカマ(!?)がひしめき合っていました。
察しのいい方はもう想像がついていますでしょうが、物語の進行上紹介は出来ません。
(でも意外とニューフェイスも多いんだよな・・・。)


蛇足にまで付き合っていただき、有難うございました。
私の作品を読み続けてくださるのであれば、応援、アドバイス等いただけますと有難い限りです。

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