FLEET COLLECTION ~艦CORE~   作:ARK-39

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久々の投稿です。
大体更新間隔はこれ位になって行くかも知れません。
それでは本編を再開します。
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「さぁッ、たった今ホームストレートに帰ってまいりましたァ!
 FACGPX(フォーミュラー・アーマード・コア・グランプリ)。
 今シーズン開幕戦、アナトリアGPを制したのはやはりこの男ォ!」
 音速に近いスピードで、背の極端に低い赤黒ツートンの専用ACがゴールラインを抜ける!
「フジサワ・イッキ!!!」

「「「イッキ!」」」  「「「イッキ!」」」

「「「イッキ!」」」  「「「イッキ!」」」



SCENE-05
#20


「いやぁ~、やはり彼がかっさらっていきましたねぇ。

 どぉーですか解説のカンザキさん。」

「彼はこの4年間で既にチャンピオンを2度獲得しています。

 一時期不安定になっていた時もありましたが、今となってはその影も見当たりません。

 正直、ワタシもここまで完璧なdriverは見た事がありませんヨ。

 まぁ私個人的には、2年目のシーズンを迎えた<BLR>のチームメイト。

 今戦は5位でフィニッシュしたアカサキ・ショウにも注目したいところです。」

「・・・はい!

 カンザキさん、解説有り難う御座いました。

 今シーズンのFACGPX開幕戦、アナトリアGPを制したのは我らが<BLR>のフジサワ・イッキ!

 やはり彼こそが本物!そんな走りを見せつけられました。

 さて!

 今シーズンは第二戦の前にエキシビション・マッチ。

 いよいよ完成を迎える鎮守府、<舞鶴>の完成記念セレモニーにて激走です。

 しかもバック・グラウンド・ミュージックには艦娘・那珂ちゃん率いる「艦隊のアイドル」。

 そしてアウトロー系バンドグループ「リリアナ」という現代ミュージック2Topが揃い踏み!

 どのdriverにとっても特別な一戦になる事は間違いないでしょう!

 本日は此処、その街並みが、荒れた大地に映えるアナトリア・コロニーでのFACGPX開幕戦。

 実況はワタクシ、セトウチ・ゴウトク。解説にはカンザキ・ユウヨウ氏でお送り致しました。

 次戦は1週間後、エキシビション・マッチ<舞鶴>セレモニーGPにてまた会いましょう!」

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「いやぁ~、迫力ありましたねぇ!FACGPX!」

 そう言いながら明石はさりげなくレイヴンの腕をとった。

「えへへ・・・、一度、観てみたかったんですっ。」

 ・・・やれやれ。

 休暇を貰った。

 正確には、受諾した”ある任務”との間にかなりの空白期間があり、近場のアナトリア・コロニーに停泊していたのだ。

 今は皆、少し出来た休息の時間でその羽を休めている。

 エルールは拠点艦の電子系がまだ気になるらしく、調整を続けている。

 何故か叢雲もそれに興味があるらしく、彼女の手伝いをしているらしい。

 千歳と響は呑みに行ってしまった。アナトリアにはいい店があるのだと彼女達は言う。

 青葉は「青葉集会」なる青葉達の集会に参加すべく姿を消した。

 この現場を抑えられないと解ると、心の底から安心してしまう自分をレイヴンは否定できない。

 鈴谷、阿武隈、瑞鶴のトリオはここから正反対のモールに繰り出したと明石が言っていた。

 夕張は山城を引っ張っていったのを目撃している。・・・不幸だな、山城。

「私個人的には<HONMOKU.N.R>のツジモト・アキラもよかったんですがねぇ・・・提督?」

 そしてレイヴンは、明石ご希望のFACGPX(フォーミュラー・アーマード・コア・グランプリ)開幕戦・アナトリアGPの観戦に付き合わされていた。

 青葉や鈴谷が見れば”デート”となんの違いも見出せない様な状態である。

 ・・・まぁ、最近そう言われても悪くない気がしてきたのも事実だったりするレイヴンだった。

「提督ー?」

 そして、<レイヴン>艦隊が新たに受諾した”ある任務”とは・・・。

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<<おめでとうございます。

  新生鎮守府<舞鶴>の完成記念セレモニーに招待されました。>>

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<<だ、そうだ。

  空気で構わんが、参列に遅れたらどうなるか、聞かなくても解っているだろう?

  精々老人の長話に退屈しているんだな。>>

 オッツダルヴァ・・・お前が持ってきた任務だろ・・・。

 当然、階級的上司であるオッツダルヴァにそんな口調では話せない。

 あくまで心の声、だ。

<<当然だが、俺も参列する。

  他にも各鎮守府から結構な数の艦隊が参加するはずだ。

  心しておけ。>>

 <呉>での戦闘からそう日が経たない時に、この通信は繰り広げられた。

 オッツダルヴァがどういう訳か、<レイヴン>艦隊が鎮守府<舞鶴>の完成記念セレモニーに招待されたことを伝えてきたのだった。

<<それと、<舞鶴>の総合市長になるメルツェル=スティンガー・ジーナスが、貴様に興味を持っている。奴とは古い付き合いでな、まぁ、奴に興味をもたれるのはありじゃないか。>>

 よくは分からないが、好意的にとって損はない、のか?

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「提督っ、何難しい顔しているんですか?」

 むにっ。

 明石に頬をつつかれる。

「それにしても、この街並みはすごいですね!

 まるでタイムスリップした感覚ですよ。」

 旧世代のヨーロッパ然としたアナトリアの景観は、確かにこの世界から一線を画している。

 そもそも立地が旧アナトリア半島そのままであり、唯一地上に存在する居住区画でもあるのだ。

 鎮守府でもわざと似た様な景観にしている区画もあるが、自然に完成された此処は空気が違う。

「で、そんな世界に似合うクルマも残っているものなんですね・・・。」

 信号を跨いだ十字路の先、これまた世界から時間を置き去りにされた”自動車”が佇んでいた。

 現代のオートモービル(自動運転車両)とはまるで違う、旧世代の遺産・・・。

「たしか”ベーエムベー”の3.0、csですね。

 こんなクルマ博物館でも見られませんよ、・・・どんな人が乗っているんでしょうか?」

 信号待ちがてら、主も待ってみる。

 停まっているところの奥に店がある。恐らくそこに居ると見た。

 1分もせず、どうやらクルマの持ち主が姿を現したよう・・・う!?

 

「あら。」

「レイヴン、久しぶりだな。

 ・・・そちらは、<レイヴン>艦隊のオペレーターかな?」

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「い、いやぁ、ま、まさかまさかウチの提督が、ですよ?

 あ、あのリンクス戦争の英雄、”白き閃光”ジョシュア・オブライエンと知り合いだったなんて、ど、どうして私に言ってくれなかったんですか!?」

「・・・私はあまり、そう言われたくないのだ。

 今の私は、唯の旅人だ。・・・彼と知り合いのな。」

 ”運転席”に座り、自動車を”運転する”ジョシュアはそう言った。

「だが、君は純粋に”白き閃光”に憧れがあるようだな。

 ・・・そういう人が居るというのは、悪くないかもしれん。」

 すると助手席に座っていた天津風がワザとらしくそっぽを向く。

「もぅ、あなたったら可愛い女の子が相手だとコロっと意見変えちゃうんだから・・・。」

「そうかな?」

「ふんっ。」

「あ、あのっ!」

 車内のいまいちな空気を明石が変えようとする。

「そういえば、ドコに向かっているんですか?

 乗せて貰っていて何ですが、港とは正反対の方向に、何かあるんですか?」

 確かに、目的地を聞いていなかった。

 それを聞いたジョシュアは、少し間をおいてから目的地を話した。

「・・・病院だ。」

 そして、レイヴンに告げる。

「レイヴン、お前に逢わせたい男がそこにいる。

 そいつは私の古くからの友人でお前と同じ、提督をしている。」

 

 

「名前は、ユーリック・ノーマン・オーエン。

 ・・・ここアナトリア・コロニーを救った、英雄と呼ばれる男だ。」

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アナトリア総合病院まで、3km。




読んでくださって有難うございました。

実質車回でした。
ぽつぽつと、ワザとらしくネタと伏線を入れているつもりです。
(・・・FACGPXに配分を割き過ぎたなんて口が裂けたら言ってしまう・・・。)

次回は、レイヴンは病院で一人の男に会います。
・・・言わなくても誰に会うか判りますよね・・・ぇ・・・?

-補足、というより蛇足-
(めっちゃ妙な文章ですが気になったアナタは「レーシングラグーン」で検索!)

FACGPX・・・参戦しているdriverはまさかのYOKOHAMA`Swarrior・・・。
・・・冗談じゃねえ・・・レーラグネタなんて通じるのかよ・・・。
しかも実況と解説は全くのoriginalcharacter・・・深読みは禁物さ・・・。
このカーレースとアーマードコアが融合した、FACGPX(フォーミュラ・アーマード・コア・グランプリ)の歴史は古いって山田が言ってた・・・。
何でも「リンクス戦争」時に、1.4km先が戦場になっている時もraceを続行していたっていう眉唾まである・・・熱狂の前に常識は通用しないのさ・・・。
使用されるmachine・・・FAC(フォーミュラ・アーマード・コア)のイメージは某新世紀GPXを想像してくれると助かる・・・。
ACだが武器はno thank you・・・ゴマ塩程度に覚えておいてほしい・・・。

蛇足にまで付き合っていただき、有難うございました。
私の作品を読み続けてくださるのであれば、応援、アドバイス等いただけますと有難い限りです。

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