FLEET COLLECTION ~艦CORE~ 作:ARK-39
そして、出撃と書いていながらケージへ向かうだけでありと、内容が足りないと感じてしまいました。
その為前話を一部修正しました。
前回予告も修正しました。今回にも直接の戦闘シーンはまだありません。
それでは本編を再開します。
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叢雲 装備変更
握用武器(HAND)/L:(A-CORE)/対深海棲艦ライフル
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<レイヴン>と<エスぺランザ>・・・”アップルボーイ”が出撃準備をしていた頃、
「どうした、少し遅れているぞ。」
先に出撃していた提督の一人がもう一人に通信をかける。<横須賀>のランカー提督だ。
「ん、ちょっとな。」
通信をかけられた”<佐世保>ランク1”の提督はそっけなく返す。
「考え事か?・・・例の後援か、新米の。」
<横須賀>の提督は、ためしに自分も思っていたことを聞いてみる。
「あぁ、・・・どの位割いてやろうか、とな。」
割く・・・「手柄」をいくらか譲るということ。
それを聞いて<横須賀>の提督は驚く。
「そういう奴だったか、お前は?」
少なくとも違うはずだ。であるとすれば、
「できるのか、彼らは。」
そう、なのであろう。そうでなくてはそうは言わないはずだ。
「初陣だ。まぁ、せいぜい気張ばるだろうさ。」
<横須賀>の提督は察した。そういうことか、と。
「・・・そうか、ならば私も調整が完璧ではなかったのでな。」
乗ってみるか。今のも決して嘘ではない。
「ふん、そうか。」
やがて、互いの艦娘より通信が入る。
<<行けっ!>>
<<砲雷撃戦、始めます!>>
そして彼らも敵を目視する。もっとも直接ではないのだが。
「あぁ、だが今この瞬間は・・・、」
「・・・貴様らには、」
「力こそが全てだッ・・・!」 <横須賀>ランク2 ジノーヴィー佐官提督
<<菊月、出る・・・!>> コールネーム/デュアルフェイス 旗艦/菊月
「水底が似合いだ。」 <佐世保>ランク1 オッツダルヴァ佐官提督
<<軽巡矢矧、出撃します!>> コールネーム/ステイシス 旗艦/矢矧
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指令室に着いたレイヴンは早速割り当てられた個室へ向かう。
個室の中は専用の機器で埋め尽くされ、中心にSFロボットのコックピットの如きスペースがある。レイヴンはそこに座り、各種機器を装着する。それらには各々「AMS」なる単語が記されている。
最後に提督帽にコードを装着する。これでレイヴンが”提督”としての仕事の準備が完了する。
目を瞑ると頭の中に直接此処ではない映像が映し出される。どうやらヒトの目線のようだ。そのヒトが自分の右手で控えめにサムズアップを送る。グローブをはめた、小柄な女性の手である。叢雲だ。
そのうち映像に「ヘッドアップディスプレイ」の様な計器が灯り、機械音声が伝える。
<<AMS接続:完了>>
<<F.R.O.M循環度:良好>>
<<システム起動>>
<<アドミラルコード「XA-26483」認証>>
<<レイヤード・ボルト、シリアル「*********」>>
<<コールネーム<レイヴン>を確認>>
<<メインシステム、通常モードへ移行>>
<<システム戦闘モードを起動中>>
<<あー、あー。提督、聞こえていますか。>>
突如通信が入る。声から女性と分かった。
当然だが、普通ではありえない事態である。
<<あちゃ、しまった。まだ起動中だったか。これは失礼。>>
当の本人も予定外だったようだが、その時、
<<メインシステム戦闘モードへの移行準備:完了>>
これで本来の準備完了ではある。
<<先ほどは申し訳ありませんでした。>>
再び先ほどの女性から通信として詫びが入る。
<<改めまして臨時に提督のオペレータを任されました、明石です。>>
提督には必ずオペレータが就くことにはなっているが・・・成程。
そうしているうちに叢雲が出撃用のカタパルトへと送られる。
((ふふっ。いよいよ戦場ね。))
「AMS」によってレイヴンは叢雲と「繋がっている」為、叢雲の心の声も頭の中に流れてくる。
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「AMS」:アドミラル・マン・シンクロ
かつて仮説として提唱された人間の特殊技能であり、20数年程前に最初の適正者が現れた。
船を操る者に高い適性の可能性があるとされ、特に一度に複数の艦隊を統括する「提督」にはその能力があったとされていた。
故に、一度にたくさんの「艦娘」を操ることのできる者が階級に関係なく「提督」と呼ばれるのである。
「提督」の適正者は先天的とされている為に貴重であり、適性の確認も難しい。その為現在では機械的にある程度の補助ができるようになったが、全体数は伸び悩んでいる。
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<<それでは提督の任務を確認します。>>
”臨時”のオペレータ、明石が通信をかける。
<<今回の任務は敵残存部隊の掃討。
任務領域は鎮守府<横須賀>正面海域。
任務の開始時間は一一三五より。
味方戦力は<エスぺランザ>の吹雪です。>>
叢雲が出撃用カタパルトに乗ると各種装備が装着されていく。
無論、先ほどスロットに入れたライフルもしっかり装備する。
「へぇ、「FORMULA APEX CONGLOMERATE」製の通称「対深海棲艦ライフル」ですか。」
今の声、オペレータの明石か。
「個人的には「BLITZ LEAGUE ENTERPRISE」製も良いですが、今回の任務を考えるとこっちの方がベターですかね・・・。」
明石が叢雲の装備についてあれこれ言っている。
「FORMULA APEX CONGLOMERATE」と「BLITZ LEAGUE ENTERPRISE」は現在の世界を支える2つの複合企業連合体制であり、これに「研究機関」として世界的に影響力のある「Septem peccata mortalia」他複数の企業が「人類共通の敵である深海棲艦」と対抗すべく「カラード」を設立、「提督」他軍事的組織を統括している。
「・・・!失礼しましたっ。つい・・・。」
我に返った明石が2度目の詫びを入れる。彼女、オペレータにはあまり向いていないのでは?
そんなこともいいが、いよいよ出撃である。
<<それでは出撃です。提督、戦果、期待していますよ。頑張ってくださいね。>>
この一言で、叢雲がカタパルトから打ち出される。
<<!…出撃するわ!>>
そう、一言叢雲が通信を残して。
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はたして、レイヴンは初陣でどのような戦果を挙げるのか・・・。
読んでくださって有難うございました。
提督の名前が二人ほど、何気に珍しい組み合わせではないでしょうか。
さらに企業の名前や本編でさらりと出た「F.R.O.M」や「レイヤード・ボルト」等、怪しい用語が段々出てきています。
次回はようやっとプロローグミッション~戦闘~です。
プロローグだけで4話も掛かっています。なんという・・・。
今回は-補足、というより蛇足-はありません。
私の作品を読み続けてくださるのであれば、応援、アドバイス等いただけますと有難い限りです。