FLEET COLLECTION ~艦CORE~   作:ARK-39

39 / 42
 作戦が一段落し、少々の暇を感じたレイヴンは資料室へ足を運んだ。
 ・・・やはりあった、この間のシリーズの一つだ。
 個室を借りて、視聴開始。

<<RECORD:2-1 playback>>


RECORD:2
recently days


_______________________________________

 

人が、企業の先導の元に、海上の楽園「レイヤード・ボルト」に暮らすようになって半世紀。

 

 "それら"は、人類にとって突然に現れた。

 

 最初の標的は「国家解体戦争」を生き延びた、かつて「世界の警察」と呼ばれた国だった。

 

 "それら"は、圧倒的だった。

 

 その国はたちまち"それら"によって滅ぼされ、その歴史に幕を下ろさなくてはならなくなった。

 

 そして"それら"はそこを根城に、人類にとっての”敵”となった。

 

 何時であったかの記録は残っていないが、人類は"それら"を「深海棲艦」と呼ぶ事にした。

 

 企業は、終わらせる気の無かった「つまらない争い」を止めて、深海棲艦と戦うことにした。

 

 しかし既存の人類最強の機動兵器「アーマード・コア」では深海棲艦には敵わなかった。

 

 たとえ倒すことが出来たとしても、此方の消耗が大きくては話にならない。

 

 ジリ貧。

 

 人類は早々に「大陸」を二つ、深海棲艦に奪取された。

 

 「地球全土紛争」と「大破壊」、そして「国家解体戦争」によって破壊された地球。

 

 かつての姿を比較的残していた、「大陸」と呼べる大地は二つだけとなっていた。

 

 その二つは、深海棲艦の手に渡ってしまった。

 

 ・・・人類には確かに「レイヤード・ボルト」がある。

 

 だが、それでも「地上」というものは、人類にとって無くては成らない物だった。

 

 誰もが微かに思うようになった。

 

 「このままでは人類は絶滅する。」

 

 そういう空気が、人々の根底に漂い始めていた頃であった。

 

 ”彼女達”は人類の前に現れた。

 

 深海棲艦と同じ様に海上を滑走し、深海棲艦の攻撃をものともしない。

 

 圧倒的な戦闘力をもって、深海棲艦に対抗する事の出来る、少女の姿をした「軍艦」。

 

 「艦娘」。

 

 企業が、深海棲艦の残骸から得た研究の成果。

 

 人類が持つことを許された叡智の集大成。

 

 彼女達「艦娘」を操る事が出来るのは、先天的”特性”を持つ「リンクス」と呼ばれる人間。

 

 特性・・・「AMS」アドミラル・マン・シンクロと名付けられた人の特殊技能。

 

 人類は、深海棲艦への大規模反攻作戦を開始した。

 

 26隻の「艦娘」と、彼女達を操る26人の「リンクス」。

 

 「オリジナル」、そう後に命名される者達によって。

 

 最初期の戦闘は、正しく奇襲そのものであった。

 

 各地に点在する深海棲艦の”巣”に単騎突撃を敢行し、それを撃破する。

 

 極めて直接的で、リスクの高い戦術。

 

 この一連の奇襲によって、戦局をコチラに引き寄せることには成功した。

 

 しかし、それは同時に「オリジナル」を地獄へと突き落す。

 

 馬車馬の如き連続出撃と、艦娘の被弾時におけるリンクスへの感覚フィードバック率370%。

 

 この二つの事実が「オリジナル」を確実に消耗させてゆく。

 

 ゆっくりと、しかし、的確に。

 

 作戦を開始して一月の内に、半数の「オリジナル」が戦闘継続不能に陥った。

 

 企業は当然の策として新たな「リンクス」と「艦娘」を補充する。

 

 だが、その数は少なく、そして「オリジナル」に劣る者が多かった。

 

 更に、深海棲艦にも強力な個体が確認されるようになり、戦況は膠着し始める。

 

 ここからが、俗にいう「リンクス戦争」。

 

 あっけなく壊滅する巨大基地施設、無秩序に拡大する戦場。

 

 人々は、一先ずの理念のもと、この戦乱に突入していった。

 

_______________________________________

 

 ・・・ぅぉぃ。

 どうやらこの先は別になっているようで、そして借用中だった。

 提督用のタブレットがメールを受信したと告げる。

 まぁいい、暇つぶしにはなった。

 レイヴンは資料室を出て、拠点艦へ戻っていった。

 ・・・少々の違和感をもって・・・

 




読んでくださって有難うございました。

「アーカイヴ」第二弾です。
この世界における「一般認識の」深海棲艦と艦娘についてでした。

現在の提督のシステムになる前、AMS適正者は「リンクス」と呼ばれていました。
しかしこの段階では不確定要素が多く、現在の提督の様に一人で複数の艦娘を操舵する事も出来ませんでした。

馬車馬の如き・・・「ラストレイヴン」の「24時間」位です。

被弾時の感覚フィードバック率は技術によって格段に減少し、現在では約20%という素晴らしい数値に収まりました。
(艦娘の被弾の感覚から20%なので、蚊に刺されたぐらいと思ってください。)

「リンクス戦争」・・・については後々書く機会があれば・・・。

蛇足にまで付き合っていただき、有難うございました。
私の作品を読み続けてくださるのであれば、応援、アドバイス等いただけますと有難い限りです。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。