FLEET COLLECTION ~艦CORE~   作:ARK-39

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後半です。
注意、筆者の趣味が深夜モードで全開です。
それでは本編を再開します。



#18後半

「ではこれらを全部組み合わせt」

<<司令官!遂に完成したわよ!>>

 叢雲が今から戦艦をタテに真っ二つにしそうな姿にしようとしたその時、通信が入った。

 聞いたことがある、キサラギ社のキサラギだ。

<<ん、早く来ないと、ソンするわよ♪>>

「そいつは不味い!

 すまない叢雲、それは実戦で試してくれ!」

 当然叢雲は状況を理解できない。レイヴンも状況が理解しきれない。

<<ちょっと!いきなり何の話!>>

「もたもたしている暇はありませんよ提督!

 ついに”アレ”が完成しました。」

 そのまま研究員はレイヴンを引き連れてテストルームに隣接する部屋から出て行ってしまった。

<<や、やだ・・・ありえない・・・。>>

 

 そしてテストルームに残された叢雲は誰も居なくなった部屋に向かって叫ぶ。

「屈辱・・・帰ったらアンタに酸素魚雷を食らわせるんだから!!!!!」

____________________________________________

 

「さ、こちらです。」

 そして研究員によってレイヴンはさっきとよく似たテストルームに連れてこられた。

<<あはっ、ますます強く、美しく。ねっ?>>

 そしてレイヴンは先の叢雲よりよほど衝撃的な光景に出くわすこととなった。

 テストルームにいたキサラギは、明らかに不釣り合いなほどの装備を背負っていた。

 ・・・待て、左肩の後ろに見えるモノ、まさか拠点艦用のジェネレータか?

「なんと・・・完成しましたか・・・!」

 研究員は悦に浸ってしまっている。・・・もう手遅れだ。

<<じゃあ、イくわよっ・・・あっ♪>>

 すると、警告音が鳴り始める。

 

<<不明なユニットが接続されました。

  システムに深刻な障害が発生しています。

  直ちに使用を停止してください。>>

 

<<んぅっ、ぁ、はっ、ふわぁぁぁぁ!そこは~。>>

 凄くアブナイ声を上げるキサラギに、背中の装備が”うねうね”と変形しながら装着されてゆく。

<<あぁんっ、この、あっ、はぁぁぁぁぁんっ!>>

「いかん。

 このままではR-18まっしぐらになってしまう!」

 確かに、このままではイロイロと危ない・・・!

<<んふっ、なぁ~んちゃって♪>>

 へ?

<<ンもう司令官ったらせっかちなんだからぁ。

  冗談に決まっているじゃない、ね♪>>

「お、おぅ。そうか・・・。」

 気が抜けて膝をつく研究員だった。

<<そ・れ・よ・り!

  見てみてぇ、この輝く右腕、スゴいでしょう?>>

 研究員をヨソにキサラギはレイヴンに自身が装着している装備を説明し始めた。

 背中に背負っていたものの殆どが右腕に集中し、パッと見でもそれが「殴り付けるモノ」であることが理解できる。艦娘が殴り付ける武器と言えば、そう、「とっつき」だ。

<<「KWB-SBR44/R-9DP3"KENROKUEN"」ですわ。>>

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「我社の方で研究・開発を行っていた「大規模決戦用”規格外”兵装」です。

 いや、苦節4年ですか、遂に形になりました!」

 一瞬で復活した研究員が説明を始めた。

「基本は子会社の<アルゼブラ・イクバール>が開発している高威力兵装、「射突型ブレード」を踏襲。分かり易いイメージは「とっつき」を限界まで強力にしたモノ、これに尽きます。」

「まず、攻撃を行う「ブレードユニット」から。

 メインの「杭」に純度100%の「単一珪素鋼」を採用しています。

 提督であれば知っているとは思いますが、単一珪素鋼はかつてF.R.O.Mと共に宇宙より飛来した金属製鉱物です。単分子単結晶構成金属でありながら、我々でいう「シリコン合金」と似た性質を持ち、未だ全貌が解明されないまま錬成・生産加工技術が確立されました。」

 単一珪素鋼は艦娘の艤装にも全面的に使用されている金属であり、艦娘自身が放つ「パーティクル・アーマー」と、艤装に使用されているそれが艦娘の圧倒的防御力の大部分を占めている。

 ただしこの単一珪素鋼は希少金属であり、一般にはあまり出回っていない。

 企業のACでさえ装甲の一部にしか採用されていないのが良い例だ。

「そしてその単一珪素鋼を3分の1に”凝縮”させたものがメインの「杭」となっています。

 打ち付けた直後に反応を起こして元の長さに戻すことで威力を高めています。」

 ・・・どういうことだ!!!???

 レイヴンは話について行くことも出来ないと確信した。

「反応、及び打ち出しに使うのは通常時に左肩に設置される「発電ユニット」です。

 勿論使用時には「ブレードユニット」に直結されます。」

「このユニットは「拠点艦用のジェネレータ」と「トーラス製F.R.O.Mブースター」によって構成されています。

 まずF.R.O.Mという物質ですが、長年の研究の結果”破壊エネルギーに反応する”物質である事が判りました。そして我々はその現象を最大限に利用させてもらう事にしました。」

 やはり拠点艦用のジェネレータだったか。

 話は分からなくてもそのくらいは理解出来た。

「攻撃シークエンスは変形してから

 1,ジェネレータを臨界させる。

 2,対象に近づく。

 3,対処に対して「アンカーパイル」を打ち込む。

 4,ジェネレータを爆発させ、そのエネルギーが全てF.R.O.Mブースタで加速した状態になる。

 5,メインの「杭」をその加速エネルギーで打ち込む。

 6,「杭」が対象に打ち込まれ、「杭」の”凝縮”が解放される。

 7,相手は死ぬ。

というのが一連の流れとなっています。」

 テストルームではキサラギが重そうにしている。当然だ、重くない筈がない。

「ちなみに肝心の威力の方ですが、「アンカーパイル」でも<アルゼブラ>のとっつきで最も威力の高い「仁王菊」並みにあり、それが六本。

 そして「杭」は加速エネルギーが丁度”秒速一光年”位あり、更に虎の子の凝縮解放までありますからはっきりとした数値にはなっていません。恐らく攻撃点では次元震か小型のブラックホール位発生するのではないでしょうか。まぁ、”やってみなくては分かりませんよ”。」

<<で、やってみる機会が来たみたいね。>>

 いきなりの通信は叢雲によるものだった。

 すると拠点艦の明石からも通信が入る。

<<凄い敵の数です!この間の要塞に匹敵するのまでバッチリいますよ!>>

 明石の通信の直後、建物内に警報が鳴り響く。

 どうやら鎮守府全体に警報が鳴っている様だ。

<<敵深海棲艦の接近を確認しました。

  速やかに避難してください。繰り返します・・・。>>

____________________________________________

 

どうやら派手なことになりそうだ。

レイヴンは急いで社内の「AMSルーム」に向かった。




読んでくださって有難うございました。

次回は敵の要塞艦隊を相手に叢雲とキサラギとアイツが暴れます。

-補足、というより蛇足-

「KWB-SBR44/R-9DP3"KENROKUEN"」
ハイ、筆者のロマン全盛りの一品となっております。
なんスか「秒速一光年」の加速エネルギーて・・・。
モチロン名前は某漢のロマンから。当然開発にも関わっています。

単一珪素鋼ですが、筆者は金属は素人ですのであまり難しく考えない方がいいです。
因みに加工自体はしやすいらしいです。

蛇足にまで付き合っていただき、有難うございました。
私の作品を読み続けてくださるのであれば、応援、アドバイス等いただけますと有難い限りです。

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