FLEET COLLECTION ~艦CORE~ 作:ARK-39
それでは本編を再開します。
「では、どうぞコチラに。」
レイヴンはキサラギの研究員によっていかにもなテストルームに隣接する部屋に案内された。
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2日前。
「ワ、ワタシハナニカ、サレルヨウダ・・・。」
「安心して下さい、命に関わる様な事はしませんよ。
此方も貴重なサンプルを潰す訳にはいきませんから。」
「ソ、ソンナコトイッテワタシニヘンナコトヲスルノダロウ・・・!?」
「変なことをしなくては研究というものは進みませんよ。
それに、変なことと言ってもそれは一般人の認識に過ぎないのであって、そういう”変なこと”が人類を進化させていったことは事実です。我々は貴女を研究する事にいたって大真面目ですよ。」
「ヲ、ヲゥ・・・。」
「では行きましょう。期待していますよ。」
「オ・・・オテヤワラカニ・・・。」
そうして、ヲ級はキサラギの研究員(正確には専属の艦娘調律師)によって、連れて行かれたのだった。一部始終を見ていたレイヴンに別の研究員が寄ってくる。
「今回は貴重なサンプルの提供に感謝します。
いやぁ、あれ程我々の要求に適した逸材もありませんよ。」
研究員はヲ級の”状態”を絶賛するが、レイヴンにとってはいまいちよく解らない。
素人考えではあるが、せめて腕の一本ぐらい残っていれば・・・
「素人は腕の一本でも残っていればより研究が進みそうだと考えがちです。
が、それは実際は違います。むしろ生首ぐらいが丁度好いのです。」
見事に考えを見抜かれてしまった。研究員の話は続く。
「まず、現代の科学力をあまり軽く見ないでいただきたい。
現代の科学技術の結晶たる艦娘は「オカルトを科学化」したようなものです。
現に深海棲艦を相手に今まで”敵の詳細が解明されていない”にもかかわらずここまで人類が生存し続けているのは艦娘の力、つまり人類の科学の進歩を認めなくてはなりません。」
「提督」としてレイヴンはそれに頷く。
「次に、生命力が分かり易い、という事。
生首の状態で生存していることは驚きですが、同時に”その状態でも生存が可能”という事を端的に証明してくれています。・・・誤って殺すなんてブザマなことにならずに済みますね。」
その一言にレイヴンは思わず一歩引き攣ってしまった。
「後は分かり易いことですよ。
反抗の余地をなくす。これに尽きます。
下手に五体満足ですと”わざとつかまって研究所を破壊”なんてものを心配しなくてはなりません。しかし、あの状態でしたら、そうもいかないでしょう。」
レイヴンは納得した。
ヲ級は、便宜上”鹵獲”ではあるがヒトという見た目では”捕虜”という状態でもある。
捕虜に戦力を持たせないことはその道では常識的なことだ。
「しかし、本当にいいサンプルだ。
他の深海棲艦に確認されていない”義手”を持ったヲ級を生存状態で研究できるとは・・・!
更に義手の方は無傷というオマケ付きは想定外でしたよ。感謝しきれませんねぇ・・・。」
レイヴンを置いてけぼりに、研究員は一人愉悦に浸っていた。
研究員を放って、レイヴンは別に行動していた明石の方へ行こうとした。
「っと失礼、実は艦隊<レイヴン>の旗艦である叢雲にプレゼントを預かっていまして、現在組立て中です。
完成次第それの最終確認に来てもらいたく思っていまして。」
しかしそれは正気に戻った研究員の言葉に阻まれた。叢雲にプレゼント?聞いていないな。
「差出人は<オーメルサイエンス>他数社より。勿論、我々も一枚噛んでいます。
プレゼントは「L計画」の試作品です。」
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「叢雲、調子はどうだい。」
<<良好ね。>>
そしてレイヴンは現在、その「L計画」の産物という叢雲へのプレゼントを目の当たりにする。
研究員が叢雲に指示を仰ぐ。
「じゃあ、ハッチを開けるよ。」
ハッチが開き、叢雲がテストルームに入って来た。
<<フフフ・・・♪>>
その叢雲は、間違いなく今までに見た事が無い姿だった。
全身に紅と白の装甲を纏い、背中に青色の羽の様なユニットを背負った姿。
「<オーメルサイエンス>が提唱した「L計画」の成果、その一つがこの装備。
今回は更に叢雲用に仕立て直して、彼女に合った武装に変更させてもらいました。」
両腕に光る実体剣、どうやら背中のモノもブレードになるとみた。
成程、確かに叢雲向けにチューンされているらしい。
普通の艦娘にとってはブレードが多すぎる。
研究員が愉悦に浸りつつレイヴンに振り向いて説明を始める。
どうやらこの研究員、”酔い易い”ようだ。
「その名も「”ヴァリアブルユニット・ブルーフレーム”クラウドブレイカーセカンドL」。
Lとは「L計画」の頭文字でもあり、その意味は「Leviathan(レビヤタン)」。
「L計画」、別名「レビヤタン・プロジェクト」は企業の”意地”の賜物です。
簡単に説明してしまえば「企業の技術だけで艦娘はどれだけ強化できるのか」。
この意見の下、艦娘の基本性能や戦闘経験値に左右されない装備が研究されてきました。」
<<ちょっと、当人を放っておいて勝手に盛り上がらないで頂戴。>>
研究員が止まらなくなりそうだったところを叢雲が巧く遮ってくれた。
レイヴンとしては彼女に感謝したい。
「失礼、では各装備の確認と行こうか。」
<<分かったわ。>>
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「アルゼブラ・イクバール製実体ブレード”天叢雲剣”。」
<<私の名前入りなんて素敵な装備じゃない。>>
「オーメル&ローゼンタール製汎用可変兵装”タクティカルアームズ”。」
<<これで私の魅力が増すのね。当然よ。>>
「アスピナ機関製各種ブースタ。
更に我がキサラギのブースタユニットと組み合わせた”ヴァリアブルスラスター”。」
<<これでもっと戦えるわ。
今なら島風にだって負ける気がしないわ・・・!>>
「”ヴァリアブルユニット”ファーストLはアスピナの「島風」に渡ったそうです。」
<<・・・次ッ!>>
「トーラス製追加F.R.O.Mジェネレーター”アルギュロス・スマート”。」
<<助かるわ。正直に言うとエネルギー効率が心配だったの。>>
「そしてこれらの装備をアシストするフロム・ソフトウェア製FCS”NABESHIMA”。」
<<なくてもいいけれど、あったほうがかっこいいわね・・・。>>
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後半に続く。
読んでくださって有難うございました。
後半はキサラギの「決戦兵装」が登場します。
-補足、というより蛇足-
「”ヴァリアブルユニット・ブルーフレーム”クラウドブレイカーセカンドL」
フフフ、一度やってみたかった・・・。
コチラの世界を知っている提督ならば一度ぐらい想像するであろう
「「叢」装着「MURAKUMO」装備の叢雲」に、更に某邪道達の「叢雲」が使う武器「タクティカルアームズ」を組み合わせた「叢雲フルセット」です。コレデヨイ・・・。
蛇足にまで付き合っていただき、有難うございました。
私の作品を読み続けてくださるのであれば、応援、アドバイス等いただけますと有難い限りです。