FLEET COLLECTION ~艦CORE~ 作:ARK-39
そしてまだ完結しません。なんという・・・。
#14が気になる方はもう少し気長に待っていてください。
筆者が言えるのはそれだけです・・・。
それでは本編を再開します。
<<ビスマルク姉様!応答してください!ビスマルク姉様ぁ!>>
「ダメ、のようね・・・。
一応、姿は見えているから、死んではいないわ。」
<<あーん!ビスマルク姉様の声が聞きたいー!>>
「んもぅ言わせておけば!
私だって!扶桑姉さまの声も、姉さまのお姿も、しばらく見ていないんだから!」
<<ぅわぁ!>>
山城の怒声がプリンツ・オイゲンのインカムを叩く。
さすがに山城もしまった、と思った。
「・・・その気持ちはよぉく解るわ。
だからこそ、ここを切り抜けるのよ。
・・・もう一度思い焦がれている人の声を聴くためにね。」
<<・・・!
そうですね!私もそれがいいです!>>
「もっとも、私の方には扶桑姉様が何時来るのかは分かんないのよね・・・不幸だ、わ!」
そう言いながら山城は、敵の大群に向けて左右の背部三連装OGOTOを叩き込む。
「ほら、こんなにも不幸が余っているから、御裾分けしなくちゃ・・・!」
<<左舷、もっとふぉいやっふぉいやぁー!>>
どうやら、このふたりは何だかんだで相性が良い様だ。
ギガベースのブリッジで砲撃を指示しながらプリンツ・オイゲンは思う。
((山城さん、Danke gutです・・・!
もう少しで、ビスマルク姉様に笑われちゃうところでした!))
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当のビスマルクはそんな事つゆ知らず、状況に対して冷静だった。
((無線は使えなくてもACっていうのはね・・・!))
自信満々に、近くにいた味方ACに左腕を接触させる。
<<マックス、接触回線繋がっているわね?>>
<<良好です隊長、指示を。>>
ACには通常の通信以外にも幾つかの通信手段がある。
その中でも接触回線というAC同士が触れるだけで可能となるこの通信は、非常時における最も確実性の高い通信手段である。
<<レーベレヒトにも伝えて頂戴。
フォーメーションを”ノーザンクロス”から”オベリスク”に変更。
トップをZ3のマックス・シュルツとして余ったのをギガベースの援護へ回す。
あたしはギガベースの方を指揮(と)るわ!>>
<<Jawohl(ヤヴォール:了解)。>>
マックスと呼ばれたACが別方向へ軌道を変えた。
その動きだけでフォーメーションの変更を察知した部隊のACはきっちりと二手に分かれるのだった。
ビスマルクのACに1機、レーベレヒトが操るACが接触する。
<<隊長、急いだ方が良いかもしれない。>>
<<当然よレーベ、私達の帰る所は私達で守るわ。
さぁ皆!ついてらっしゃい!>>
ビスマルクは自らのACの右腕を掲げ、それを振る。
それだけで部下のAC群が統率のとれた軌道を行ってギガベースへ向かった。
((プリンツ・・・貴女も<ゲルプ・フィアツェン>なら、もう少しだけ持たせて頂戴!))
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((・・・なんて数、キリが無いわ・・・!))
グレートウォールの右翼側に陣を取っていたAC部隊<プリミティブライト>の隊長、メノ・ルーは一人思うところがあった。
((<フィードバック>に私の<プリミティブライト>、それに<ゲルプ・フィアツェン>とあの<サイレントアバランチ>・・・。))
背部に搭載した大型ミサイルの束が敵群を吹き飛ばす。
((どれもAC部隊の中でも精鋭中の精鋭・・・特に<サイレントアバランチ>までいる。
・・・それなのに・・・!))
<プリミティブライト>のACは重装備が売りの部隊の為、爆風や閃光がその戦闘を派手に演出する。
((しかも<有澤重工>は社長を含めた直々の戦闘部隊。
それに、艦娘を操る提督まで参加している・・・。))
その戦闘自体は一見地味で作業的な動作が目立つ。
((・・・まさか、でしょ・・・?))
しかしその動きは、一つ一つが精密に計算された職人芸そのものだ。
大型ミサイルは本来、範囲的な攻撃を目的とするミサイルなのだが、<プリミティブライト>のAC乗りは直接標的に”当てる”。
((今作戦は<有澤重工>と関係のある部隊が多く参加している。
・・・この作戦の・・・は・・・!))
「そう、嘘。
そういうことなのね、全部・・・ッ。」
メノは、”何か”に気付いたらしい。
「なら私は、負けられない・・・ッ!!」
そしてひとり納得し、”戦場”へ戻ってゆく。
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<<グレートウォールは健在、しかしいよいよ石器時代だな。
接触回線で一応通信できるが・・・困ったものだな・・・。>>
有澤社長の重戦車雷電には<フィードバック>の隊長であるローディーと、艦隊<デュアルフェイス>の旗艦である菊月が引っ付いていた。
<<どうするかい社長さんよ・・・。
このまま引っ付いているわけにはいかんのでな。>>
ローディーが急かすが、それも至極当然。
一ヶ所に固まっていてはいい的であり、ましてや雷電は鈍足だ。
<<ん、<サイレントアバランチ>が?
そうか、分かった。>>
ローディーの部下が<サイレントアバランチ>の接近に気が付いたらしい。
<<あの狙撃部隊がここまで接近するとは、何か考えがあるはずだ。
どの道、現状では足止め程度しか出来ぬ・・・。>>
<<そのようだな。
あの敵要塞も、何時もう一度レーザーを撃ってくるか判らん。
せめて攻撃を与えて、撃たせないようにするのが賢明だろう。>>
ジノーヴィーの意見も尤もだ。
少なくとも、攻撃を吸収してエネルギーにするような深海棲艦は今まで確認されていない。
<<そうと決まれば、やる事は単純か・・・。
往くぞ・・・匹夫共に、鉄槌を食らわせてやろう・・・!>>
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「ッハ、クッ・・・ァァァアアアア!!!」
「ふぅっ、く・・・ァッ、でっぇぇええぃゃぁぁあああ!!!」
レイヴンと叢雲は、未だヲ級との戦闘を続けていた。
これで何時間経った?
夕張が仕留められ、青葉もあれから間もなく、戦闘不能となった。
1対1。
空母対駆逐艦。
そんな常識は、目の前の敵にも、此方の艦娘、叢雲にも通じない。
「そこよッ!」
「!」
入った、叢雲のマストがヲ級の胴体を一突き。
「ゥ・・・アアアッアアアアアアアア!!!!!」
「嘘、きゃぁっ!?」
しかしヲ級はなんと強引にマストを掴み、躊躇いなく「ハンマー投げ」をした。
「ゥッ!」
あまりの衝撃に叢雲は対処の暇なく顔面から海面に”着地”した。
((~~~~~ッッッ!!!))
当然だ、こっちだって痛い。
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((ここは・・・これか、いやこっち・・・いようし!))
レイヴン艦隊の拠点艦では、エルールが敵要塞と”接敵”していた。
((・・・・・・ほぅー・・・!!))
そして、何かに気が付いたらしい。
「明石!」
「何ですっか?」
「自室からBボードを持ってくるからその間ずっと「F5」を連打しといて。
秒一回で良いから。」
「は、はぁ・・・。」
「たのむよ!」
エルールがブリッジから退出した。
「ととと、連打ですか・・・。」
明石がボード上段の「F5」とあるキーを連打する。
すると画面上には
<<くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」>>
<<あqswでfrgthyじゅきぉ;p:@」>>
ととても訳の判らない文字列が表示されては消えてゆく。
((まさか、な・・・。))
そして、自室へ向かうエルールは考えていた。
((いや、いい。
それならそれで、好きにやらせてもらおう。))
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ノ3へ続く
読んでくださって有難うございました。
まさかまだ続きます。
戦闘シーンの多い話は長いと聞くけどこれは想定外の予想外・・・。
ストーリー自体は先に行っているから気長にお願いします。
ACでも受けていないミッションの評価がされている時があるじゃん?
次回は・・・多分決着がつきます・・・多分。
(もうこれ以上長くする気はありません)
-補足、というより蛇足-
ビスマルクのACは軽量二脚で、この世界では極めて珍しい近接戦を主体とするACです。
faでフレームを再現したければ、
頭部:オーギル
コア:ランセル
腕部:ユディト
脚部:ユディト
の構成です(内装はお好みで。)
カラーはグレー基調に赤と黒のライン、要所に薄い黄色と言ったイメージです。
・・・この世界ではACが全高4mしかないので体格はVシリーズ寄りですが・・・。
最後のモニターには本当はもっと専門的なモノが表示されています。
あくまでも分かり易い表現と明石の認識だという事にしてください。
蛇足にまで付き合っていただき、有難うございました。
私の作品を読み続けてくださるのであれば、応援、アドバイス等いただけますと有難い限りです。