FLEET COLLECTION ~艦CORE~   作:ARK-39

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まだ半分だけの更新です。
それでは本編を再開します。


#14前半

任務:「大規模地上戦線決着作戦」を成功させよ

 

任務領域:地上、エリア88区画

 

時間:唐突に任務開始

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<<提督、敵空母艦隊を確認。確実に落とそう。>>

 エルールからの通信にレイヴンは叢雲と夕張を向かわせる。

<<ヲ級とヌ級が総数50強。

 その内エリートがヲ11のヌ15。

 フラッグシップがヲ7のヌ18か、多いな。>>

((わらわらといますね・・・。))

 夕張の感想を聞くまでもない。

 航空戦力含め表示される敵影は250を軽く超える。前回以上だ。

 だが今回は違う。

((踊らせます。感想聞かせてくださいよっ!))

 夕張が一旦離れるのを横目に、叢雲が敵艦隊に突入する。

 空母なら、高速で近づけば対応できない・・・!

「さぁ!色々試してみても、いいかしら!」

 そして夕張は敵艦載機の攻撃を避けつつ、”新兵装”を展開させる。

「ミサイルカーニバルですっ!!」

 背部武装1、2に搭載されたMSAC製多弾頭ミサイルコンテナ全24×8発。

 それに脚部武装1、2に装備したMSAC製多弾頭連動ミサイル32×4発。

 更に拡張武装(エクステンション)にKISARAGI製連動ミサイル15×2発。

 計350発、多種多様のミサイルが敵艦隊に降り注ぐ!

「私の前を遮る愚か者はァ!」

 そして叢雲は、飽和量のミサイルを回避か迎撃する敵艦隊を”内側から”切り崩す!

「沈めェッ!!」

 一隻、また一隻と敵を確実に落としてゆく。密集していたのが悪い。

 敵空母の七割をこの一連の攻撃で撃破したところでエルールから通信が入った。

<<提督、一隻だけでこっちに突っ込んでくる敵影を確認した。かなり速い。>>

 どういうことだ?

 叢雲が敵に攻撃を加えつつレイヴンは考える。

<<艦種、ヲ級。・・・こいつは・・・ッ!>>

 エルールの反応が変わる。

 そして叢雲とレイヴンがそのヲ級を視認してその反応に納得した。

 突貫してきたヲ級には、右腕が無かった。

 その代わりに妙に機械的な義手を取り付けていた。

 間違い、ない。

<<あの時のヲ級だッ!>>

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「なんなのよ・・・。」

 敵一個艦隊が爆風で吹き飛ぶ。

「なんなのよっ。」

 敵水雷戦隊部隊が直撃で沈黙する。

「なんなの・・・よっ!」

 敵護衛艦隊を薙ぎ払い、戦艦ル級3隻がいとも容易く沈んで逝く。

「なんなのよぉッ!!」

 「たこ焼き」と渾名される外見の浮遊型簡易要塞の群れを焼き払う。

 既に3桁をゆうに超える敵深海棲艦が山城たった一隻によって撃破されていた。

 しかも山城は提督と”繋がっていない”、戦闘力の減少しているはずである状態である。

「こんなのっ、最ッ高じゃない・・・!」

 それは偏に山城にこれでもかと装備された有澤製グレネードランチャーによるものだった。

 そのおかげでギガベースとAC部隊は遊撃部隊として戦場を自由に動く事が出来る様になり、敵深海棲艦要塞の周辺から戦力を引き付けていた。

<<ダンケダンケです山城さん!

  これでビスマルク姉さま達も快調に進撃出来ます!>>

 山城に通信が入る。

 ビスマルクに代わってギガベースを指揮している彼女は、確か・・・。

「当然よ。戦艦山城を侮らないで頂戴"パラスちゃん"。」

<<侮ってなんていません!

  それにプリンツ・オイゲンと呼んでください!>>

「・・・本名は?」

<<"プリンツェスィン"パラス・チヨ・オイゲン・フォン・キルシュバウム=カリニョンでs>>

「パラスちゃんでいいじゃない。

 ッ!そんなことより敵艦載機が来ているわよ。対空砲火用意!」

<<ッーえぇい!ふぉいやっふぉいやぁー!>>

 半ば強引な対空砲火の指示だったが、その効力は申し分ない。山城は地上の敵影に集中出来る!

<<ビスマルク姉さまの方は大丈夫でしょうか・・・?>>

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「戦闘開始からもう3時間は過ぎているけど、間に合ったようね・・・。」

 グレートウォール戦闘用車両の1両のハッチを開けたイムヤが、外を見回してそう呟く。

「あんなものを相手にするんなら、この位いかないとね・・・!」

 そして敵の要塞を一瞥した後、振り向きながらイムヤはニヤリと笑う。

「このぶっといのをアイツに当てる・・・。

 ふふー。スナイパー魂が滾るのね!」

 イムヤが振り向いた先にはAC程はあろう巨大な投射機を抱えたイクが居た。

「本来は海上要塞用の試作品だけど、試し撃ちには丁度いいわ。」

 するとハッチの後方から雷と電が「GINZAN」でやって来た。

「こっちも準備完了よ・・・って!?」

「す、凄いのです!」

 イクの抱える投射機に驚く電と雷にしたり顔でイムヤが答える。

「これは私たちが試験を続けていた対海上要塞試製グレネード魚雷投射砲その名も「MAMUROGAWA(真室川)」よ。コイツでイクがあのヘンなのをブッ飛ばすわ!」

 しかしMAMUROGAWAを眺めていた雷は表情を渋る。

「ねぇイムヤ、私達は確かあなた達を載せて敵の海中に送り込むんだったわよね?」

「そうよ、”とっておき”と共に、ね。」

「たぶん、私達のこれ(GINZAN)じゃ二基あっても運べないわ。

 改良型だったら行けたかもしれないけど・・・。」

 そうだった。彼女たちのGINZANは旧型だったのをイムヤは忘れてしまっていた。

 しかしイムヤには瞬時に別のアイディアが閃く。

「・・・なら雷と電はAC部隊を探して!

 そうね・・・<サイレントアバランチ>なら近いところにいると思うわ!」

「見つけたらどうするのです!?」

「見つけたらねぇ・・・。」

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「27・・・、28・・・、29・・・、30。」

 狭いACのコックピットに聞こえる淡々とした声。

 それは<サイレントアバランチ>の隊長であるリヒテンヴァルトによるものだった。

「6番機、出過ぎだ下がれ。」

 すると陣形を崩した僚機から意外な返答が入る。

<<こちら6番機。

  リーダー、艦娘が2隻此方に近づいてきます。雷と電です。>>

 リヒテンヴァルトは頭を抱える代わりにまたひとつ敵を狙撃した。

「艦娘なら味方だ。しかもその2隻を沈めたら社長に焼き尽くされる。

 敵を距離4万で確実に落とせ。」

 リヒテンヴァルトに艦娘・雷から通信が入る。

<<あなたが<サイレントアバランチ>の隊長ね。

  協力して貰いたいことがあるわ!>>

 リヒテンヴァルトは思う。

((これは、面倒なことに、なった・・・。))

 それを押さえて尋ねると今度は電が答えた。

「協力?何をだ?」

<<「えぇしぃ」を1機貸して欲しいのです。>>

((本当に面倒なことを・・・!))

 現在<サイレントアバランチ>は僚機を2機失っており、これ以上の戦力低下を防ぎつつの戦闘を行っていた。ここは断りたいが、あの社長のとなると難しい。

 内容は聞いておこう。

「AC1機で何をするつもりだ。」

 答えたのは雷だった。

<<そんなの決まっているじゃない!

  お父様の"お手伝い"をするのよ!>>

 普通ならこの内容では断るだろう。

 しかしリヒテンヴァルトはその中に感じるものがあった。

「・・・好きにしろ。」

 すると僚機達から通信が大量に入ってきた。・・・こいつら聞いてやがったな。

<<流石隊長!俺達のリーダー!>>

<<よっ、なんだかんだで優しい男!>>

 副隊長からも通信が入る。

<<隊長の貴方が行ってください。

  貴方が死んだら次の隊長は俺ですが、まだやるつもりはありませんし。

  なに、此処は守って見せますよ。>>

 ここまで言われて、引くことは出来ない。

「・・・良いだろう、俺が行く。」

____________________________________________

 

後半へ続く。




読んでくださって有難うございました。

後半はいよいよ敵要塞が本領発揮します。

-補足、というより蛇足-

グレネード魚雷投射砲「MAMUROGAWA(真室川)」
名前は山形県の真室川温泉からです。山形には温泉が沢山あるので温泉ウェポンの名前にしやすいです。

またまた長い名前で登場しました。プリンツ・オイゲンちゃんです。
名前のネタは探してみてください。

蛇足にまで付き合っていただき、有難うございました。
私の作品を読み続けてくださるのであれば、応援、アドバイス等いただけますと有難い限りです。

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