FLEET COLLECTION ~艦CORE~   作:ARK-39

14 / 42
前回多くないといったな、あれは一応本当だ。
確かに"前回"よりは短いです。
それでは本編を再開します。



SCENE-02
#5


 ダン・モロとメイ・グリンフィールドを欺き、邪悪王(じゃあくおう)の「ゲイボルグ計画」さえ利用した真の黒幕たる「アクアビットマン」は、遂に「真ゲイボルグ計画」を発動しようとしていた。

 ダンとメイはなんとしてもこれを阻止すべく、幾多の刺客を振り切り遂に「アクアビットマン」を追い詰めんとしていた。

 しかし、「アクアビットマン」にはまだ「奥の手」が残されていた・・・。

____________________________________________

 

「さぁ、ようやく追い詰めたぞッ、「アクアビットマン」!!」

 俺は遂に此処まで辿り着いたんだ。

 奴の、奴のせいで、どれだけの人が犠牲になったことか・・・!

「追い詰めただと?ファファファ、貴様ではこのコジマの化身たる小生に敵う筈がないのだ。

 自分でもよぉく分かっている筈だぞ、ダン・モロよ。」

 ああ、残念だがよく分かってるよ。

 少しの間だったが、お前は間違いなく俺達の仲間だったんだからな。

 だがよ・・・っ!

「ダン!駄目よ!そいつにはまだっ」

「なっ、「メリーゲート」!来るな!!」

 この隙を奴は見逃さない。

「ファーッ!コジマキャノォォオォォンッ!!!!」

「「!!!」」

 奴の緑色の閃光がメイの付近を爆発させる!

「「メリーゲート」!メイ!メェェェエエエエイ!!」

「ッ・・・!」

 間一髪、メイは直撃を避けていた。

「このッ・・・って何だ!?」

「ファファファ、少し遊んでやろう。

 「邪悪王」の「あの計画」によって産み出されたチカラでな、ファファファ・・・!」

 奴に緑色の光が集まって行く・・・!

「なにアレ・・・、ふざけてるの・・・。」

「あれが、「邪悪王」の計画のチカラだってのか!?」

「ファファファ、ファーッファッファッファーーーーーーーッ!!!!!」

 突如奴の回りが爆発する!

 俺はメイを庇いながらなんとか退避した。

「あーぶなっ、って!?どうなってんだオィ!!??」

「あれが、「ゲイ♂ボルグ計画」の・・・!」

 爆発の中心にいた奴は、異様な姿になっていた。

「ファファファ、新生した小生は総てを手に入れ、そして総てを越えた・・・。

 「アルティメットファイナルコジマビットマン」となった小生の前では貴様等など無力よ。」

「なに・・・!?」

「小生の新生セレモニーだ。ファファファ・・・!」

 いきなり奴から凄まじい緑色の閃光が放出される!

「この・・・ッ!」

 俺は躊躇いなくもう一度「セレブリティ・アッシュ」に変身し、この閃光を弾き飛ばす!

「ファファファ!そうでなくてはなァ!」

「野郎・・・!」

「ダン!無理よ!」

 そして奴と俺が空中に飛び上がり、

「ウォーーーーーーーーッ!!!!!」

「ファーーーーーーーーッ!!!!!」

 激突する!

 

「ダァァアアアーーーーーーーン!!!!!」

____________________________________________

 

「痛ッ!」

 <レイヴン>の拠点艦のブリッジで軽快な音と小さく悲鳴が響く。

 悲鳴の主は、拠点艦の艦長席でのうのうと漫画を「読んで」いた明石である。

「もゥ!なにするんですかっ!」

 なにするじゃないぞ!

 貴重な冒頭1200字も使いやがって!

 変にあらすじまであるから読者が何読んでたか解らなくなるだろう!?

「私が読んでいたのは夕張から借りた「セレブリティ・アッシュAkvaVit」の初版ですよ!?

 作者が勢い余って「♂」を入れてしまった伝説の・・・!」

 もう一度<レイヴン>の拠点艦のブリッジで軽快な音と小さな悲鳴が響く。

「痛ッ!」

この作品は「FLEET COLLECTION ~艦CORE~」だ!!!!!

「二度も叩きましたねっ!叩く親も居なかったというのに!」

 ・・・なんかちょっと悲しいぞ、それは・・・。

 それに、4枚位の紙の束を丸めたもので叩いても痛くないだろう。

「って、それっ、航行海域におけるスクランブル(緊急戦闘)の報告書じゃないですか?」

 提督の拠点艦は、航行の際にわざと安全が確証されていない海域を航行しなくてはならず、航行中の敵深海棲艦との遭遇や緊急の戦闘は結構な比率で存在する。

 そして戦闘が行われた際には、戦果や弾薬の消費等を報告する必要があり、不正防止の為にとわざわざ紙媒体による報告が行われている。今回は<横須賀>に届ける予定だ。

 <レイヴン>の艦隊が<佐世保>から出航して2週間、既に緊急戦闘は4回程行われていた。

 慌ててレイヴンが自分の持っていた即席チャンバラブレードを開き、そして、

 アーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!

 青ざめる結果となった。

 

 幸い、損傷軽微のためこのまま提出しても問題はないだろう。

____________________________________________

 

 レイヴンは足早に艦内を歩いていた。向かっているのは夕張の個室。

 先程明石は「夕張から借りた」と言っていたので向かうことにした。

 決して処罰するためではない。

 レイヴンの方針は緊急時さえキチンと対応できれば良いというかなりの放任主義である。

 <夕張の部屋>

 拠点艦には全船員分の個室が設計されており、各々がプライベートを演出している。

 艦娘にも例外はなく、船員と同程度の個室が用意されることとなっている。

 只し提督には個室は存在せず、専ら執務室が自室の提督の個人用スペースである。

 3回ノックする。これが提督が来た合図である。

「良いですよ、入ってください。」

 夕張からの許可がおりたので、提督は夕張の個室へ入る。

「どうです、整っているでしょう?」

 確かに、整理整頓はきちんとされてはある。

 だが、天井まで届いた収納スペースにパズルの如く詰められた漫画や映像メモリーの数々。向かい方のは模型やフィギュアがズラリと鎮座している。

 そんなセットが合計4つもある部屋は、狭い。

 肝心の夕張は、セットの奥にある畳風の敷物が敷いてあるところにいた。

 そこには、モニターと各種ゲームハードが設置されている。

「提督もなんか借りていきます?提督なら少しは割引しますよ。」

 成程自慢のコレクションをレンタルすることで収入源を得ているわけか。

 艦娘は居・食・住が保障されているため、本来外貨は必要としない。

 だが、こんな例外もいる。

 ・・・もしかしてオッツダルヴァが彼女を寄越した真意はまさか、

「提督なら「艦隊のアイドル」の出演作も知っておきたいですよね。」

 レイヴンの考えをよそに、夕張は話を進める。

 「艦隊のアイドル」は、軽巡洋艦の艦娘・那珂をリーダーとする艦娘のアイドルグループである。

 主なメンバーは那珂の姉妹艦である川内、神通の他にその時々でゲストが加わる方式である。

「ラインナップは以下の通りです!」

 だから夕張、話を勝手に進めるな。

____________________________________________

 

「セレブリティ・アッシュ」原作漫画全16巻 TVアニメ全39話

あらすじ:火星でヒーローを目指す青年ダン・モロ。

    ある日彼の目の前に謎の美女メイ・グリンフィールドが現れこう告げた。

    「ヒーローになってみない?」

夕張「幅広いファンを持つ現代ヒーロー物の一つの完成形であるシリーズの一作目です。」

 

「セレブリティ・アッシュAnotherAGE」原作漫画全20巻 TVアニメ全39話

あらすじ:火星での動乱から2年。

    活動の場所を地球に移したダンとメイに一つの奇妙な依頼が入る。

夕張「二作目。オムニバス形式を匂わせといての伏線の数々はファンに飽きを与えません。」

 

「セレブリティ・アッシュAkvaVit」原作漫画全10巻(現在貸し出し中)

あらすじ:依頼の最中、謎の敵襲に苦戦するダンとメイの目の前に現れるもう一人のヒーロー。

    「アクアビットマン」。奴は何者なのか。

    そして、彼等に訪れる最大の危機とは!?

夕張「シリーズ三作目にして最高傑作と呼ぶ人も多く、アニメ化が期待されています。」

 

「華ノニスイセン」TV創作時代劇全26話

あらすじ:時は平成普段は花屋の娘である華は、実は裏社会伝説の始末屋集団「ニスイセン」筆頭である。―これはそんな表と裏に生きた少女の伝説―

夕張「艦隊のアイドル神通さん主演作。まさかの任侠物は想像以上の好評で続編が制作中です。」

 

「仮面クルーザー夜戦」TVヒーロードラマ全62話

あらすじ:交通事故で死亡したはずだった川内夜千代は、悪と戦う「仮面クルーザー」として生き返った。ここに彼女のもう一つの人生が幕を開ける。

夕張「艦隊のアイドル川内演じる主人公が夜しか活躍しないので小さい子の夜更かしが社会問題に。しかし放送が朝6:30からだったので逆に早起き出来るようになった子も増えたそうです。」

____________________________________________

 

「借りる気がないならそう言ってくださいよ。」

 お前が勝手に話を進めたんだろう!?

 その時勢いに流されていたレイヴンに一つ疑問が浮かぶ。

 どうやってそれだけの物を持ち込んだ?

 やって来た時には無かった筈だぞ?

「・・・じゃこれ一緒に観ましょうよ!それならタダですよ。」

 やはりレイヴンの考えをよそに、夕張は話を進める。

 さすがのレイヴンも心が折れたらしく、渋々了承する。

 差し出した物はどうやら創作時代劇の映画のようだ。

 舞台はかつて実在した国家で、「合衆国」と言うらしい。

 残念ながらその国は深海棲艦の最初期の襲撃で大陸ごと消し飛んでしまっている。

 で、これの主人公・・・合衆国大統領?

 製作「FROM SOFTWARE」!?

 艦娘の電子制御系プログラミングにおけるリーディングカンパニーの社名だ。

 たしか他にはゲームソフトも作っていたか。

 肝心のタイトルは・・・

 

 「メタルウルフカオス」

 

「後で感想聞かせてね!」

 レイヴンは戦場で味わう以上の身震いを隠せなくなっていた。

____________________________________________

 

 2時間35分の視聴を終えて、レイヴンはようやく夕張の部屋から解放された。

 映画の感想はというと、あれはかなり危険だ。

 合衆国の大統領がクーデター軍に対して単騎で無双する様は戦慄さえ生温い。

「全世界40週映画ランキング一位にて殿堂入り」の伝説、伊達ではなかったか。

 ただ、面白いというより中毒的な症状が出るかもしれない、そんな映画だった。

 気分直しとして艦内を彷徨いていると、

「ども、恐縮です、一言お願いされます?」

 青葉よ、それではジャーナリストとしてこの先生きのこれないぞ。

 青葉が居た。というより待ち伏せされていた。

「「青葉新報」の記事にしたいもので・・・、」

 レイヴンは取材を承諾した。

「きょーしゅくです!」

____________________________________________

 

 「青葉新報」各提督が配属させている青葉達が青葉達による提督と青葉達のための情報共有サービスである。体系は新聞と同じくし、一般市民にも数が出回っている。

 もっとも、現代において紙媒体の新聞は既に存在せず、各鎮守府間を繋ぐ現代のネットワーク機構「ナーヴス・コンコード」を介して世間に情報を発信している。

 噂では、提督がこれに載るような活躍をすると昇進が早くなるらしい。

「さてと、こんなところですかね!」

 青葉が最新号を発行する。トピックはレイヴンの先の作戦での島風の救出である。

「あの作戦は青葉以外には<カスケード・レインジ>にしか青葉が居なかったので司令官の活躍が書きたい放題ですぅ!」

 ・・・それでいいのか?

 それに、今回は青葉は出撃していなかった筈だ。

 しかし、新聞にはかなり臨場感のある映像が"貼って"ある。

 間違いなくあの作戦のである。今叢雲が中枢へ突入して行った。

「青葉、その辺は抜かりありません!コチラを出撃する艦娘に付けて貰っています。」

 青葉が取り出したのはバッヂ型の超小型カメラだった。

 かなりしっかり服に噛み込む様になっており、レイヴンも思わず感心する。

 だけど、次からはちゃんと提督に承諾を得るように。許可するから。

「きょーしゅくです♪」

____________________________________________

 

 「大破壊」によって通信衛星の殆どは破壊され、新しく打ち上げようにも大破壊による影響で上空1km以上で電磁障害が発生し、実質的に空を失った人類にとっては「ナーヴス・コンコード」というネットワークシステムは画期的であった。

 そしてこれを開発した研究機関「Septem peccata mortalia」(別称「Seven deadly sins」で略称は「s.d.s」)は瞬く間に世界の企業バランスに名を連ねる事となった。

 「s.d.s」は一般市民の認識では「ナーヴス・コンコード」を管理・運営している、だけで良いのだが、提督達にとってこの機関にはもっと重要なもう一つの顔がある。

 「艦娘」の"建造"及び提供。これこそがこの機関の真の姿である。

 元々様々な研究を行っていた機関はその研究のある過程において「偶然」艦娘を誕生させてしまったのである。以後「リンクス戦争」を経て対深海棲艦の切り札として人類に無くてはならない存在となった艦娘の建造法を確立した業績は余りに大きい物であり、「カラード」においても筆頭としてその名を轟かせている。

 実質的に「s.d.s」はこの世界の中心であり今や1つの頂点ですらある。

____________________________________________

<レイヴン>の拠点艦が<横須賀>へ入港する。<佐世保>から約2週間の航海だった。




今回も長文を読んでくださって有難うございました。

冒頭は力を込めすぎて訳がわからなくなってしまいました。
メタ系のネタが苦手な人には申し訳ありません。

そしてさらっと混ざって忘れられかける合衆国大統領・・・。

次回は皆さんお待ちかね(?)の「優勢的な」あの人が登場します!他にもその時代辺りのACキャラが登場するでしょう。

-補足、というより蛇足-

企業の名前(1つは研究機関ですが)が2つ程登場しました。

「FROM SOFTWARE」
しぶといですねー書いている作者が言うのもアレですが。
まあ実はなぜ残っていたかの理由はありますが、それは追々。

「s.d.s」
絶対に何かありそうな怪しさ満点の「研究機関」が登場しました。
何てったって「艦娘」を建造出来ると言うだけでもう、ね。
名前は調べてみれば解ります。この機関が何者なのか・・・。

蛇足にまで付き合っていただき、有難うございました。
私の作品を読み続けてくださるのであれば、応援、アドバイス等いただけますと有難い限りです。
実はこうは書いていたのですが、感想等のシステムを発見したのがつい先日だったために感想返しに時間がかかってしまいました。そこについても申し訳ありませんでした。
一応感想はなるべく返していく心持ちですが、返すのは少し遅れるかもしれません。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。