FLEET COLLECTION ~艦CORE~ 作:ARK-39
初めての方、話の復習がしたい方、面倒が嫌いな方に。
それでは本編を開始します。
プロローグ スマートバージョン
<<コールネーム、「レイヴン」を登録完了。提督としての活動を承認します。>>
この一文とともに、ここにまた一人提督となった男がいた。
男は、この世界で人類共通の敵「深海棲艦」と呼ばれる生命体を相手に、
「艦娘」と呼ばれる者を供に幾多の戦線を駆けることになるだろう。
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「レイヴンとは、また大層な名前ですね。」
そう言って一人の男が近づいてくる。見た目では「レイヴン」より若く見える。
男は「レイヴン」と同時に同じく提督となった、名前を「林檎」という。
もっとも、先輩達からは「”アップルボーイ”」と呼ばれていたが。
彼のコールネームは<エスぺランザ>、かつて実在した提督と同じだという。
「ま、これからもよろしくですね。<レイヴン>」
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「そうか、<レイヴン>か。」
二人の新人提督を建物の中から見送る男がいる。
その姿からどうやら提督のようだ。
しかしその佇まいには幾戦を潜り抜けてきた凄みがあった。
「・・・まあまあだな。」
その鋭い眼差しは<レイヴン>に向けられていた。
「提督」
後ろから彼に声が掛けられる。彼の艦娘だ。提督は各自自分のエンブレムがあり、
艦娘もまた、提督と同じエンブレムをつけている。
「呼び出しです。」
「・・・そうか、わかった。」
「まぁ、せいぜい気張ることだな・・・。」
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レイヴンとアップルボーイが向かっていたのはガレージだった。
もっとも、此処では”工廠”と呼ばれている。
「到着しましたね、二人とも。」
二人を待っていた女性がいた。
「時間に正確ですね。いい傾向です。」
美人、と呼ばれるであろう濡れ羽色の長髪をなびかせる女性はそう続けた。
彼女はその長髪にカチューシャを着け、メガネをかけている。制服を着こなす
その様は、正しく「デキる女性」というところか。
「此処で御二方に艦娘を一隻お渡しします。
所謂”初期艦”ですが、駆逐艦5隻より選んでもらえます。」
「ついに艦娘をもらえるのか・・・!」
そう返したのはアップルボーイだ。
無理もない、育成所での訓練は専用の訓練機によって行われ、艦娘には会うこと
すら無かったのだ。
”提督”たる所以は「艦娘」と呼ばれる者を戦略的に使役する事ができる故である。
だからこそ、”提督”に憧れた”アップルボーイ”にとっては待ちに待った時であろう。
「此方が今回の初期艦として選べる駆逐艦の5隻です。」
「ちなみにですが、私の名前は<大淀ラナ・ニールセン>と申します。
以後お見知りおきを、以上。」
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<<初期艦娘を選択してください。>>
簡素なメッセージが表示され、5隻の艦娘の設計図がモニターに表示された。
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「吹雪」読み:フブキ
艦種:特I型(吹雪型)駆逐艦1番艦
性能特徴:5隻の中では最も平均的な性能。駆逐艦のイロハが解るようになる。
艦娘特徴:正義感が強く、真面目で少々融通が利かないかもしれない頑張り屋。
「叢雲」読み:ムラクモ
艦種:特I型(吹雪型)駆逐艦5番艦
性能特徴:近接戦に秀でる。機動力も高いので積極的に敵の懐へと飛び込める。
艦娘特徴:自らの容姿と実力に自信を持つ。上から目線だが優しい一面も。
「漣」読み:サザナミ
艦種:特II型(綾波型)駆逐艦9番艦
性能特徴:狙撃が出来る。距離を取って敵を倒すのに集中できる。
艦娘特徴:言動に不思議なところがある。根は真面目だが表に出さない。
「電」読み:イナヅマ
艦種:特III型(暁型)駆逐艦4番艦
性能特徴:重装備が可能。その上小柄なので被弾率の減少が期待できる。
艦娘特徴:優しくて穏やかだが慌てんぼう。牛乳を飲んで素敵な女性を目指す。
「五月雨」読み:サミダレ
艦種:白露型駆逐艦6番艦
性能特徴:持続力が高く、敵の数が多いときに真価を発揮する。少々運が悪い。
艦娘特徴:明るく前向きだが少々ズレたところがある。所謂「ドジっ娘」である。
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「あんたが司令官ね。・・・ま、せいぜい頑張りなさい!」
そう言ってやって来たのは叢雲である。
どうやらレイヴンは彼女を選んだようだ。
成程、設計図の説明どうりかと言いたげな表情を見せるレイヴン。すると、
「はじめまして、吹雪です。よろしくお願いいたします!」
アップルボーイは吹雪を選んだらしい。彼女の声が工廠に響く。
「あ、あぁ。これからよろしくな、吹雪。」
呆気にとられるアップルボーイ、素っ頓狂な声を上げつつも提督の威厳を守る?
そんなやり取りをしていると、先程の女性、大淀が声をかける。
「初期艦を選びましたね。それでは早速ですが最初の任務依頼です。」
「なんだって!」
そう返すのはアップルボーイ。
当然だ、艦娘を貰ったばかりの提督にはあまりに急すぎる。
「・・・!、悪くないわ、早速私の実力を見せてやろうじゃない。」
叢雲はやる気のようだ。意外かもしれないが吹雪も、
「わっ、私もやっつけちゃうんだからっ!」
と威勢がいい。
「実は15分前に我が”鎮守府<横須賀>”に侵攻する深海棲艦隊が確認されました。
今回の任務はそれの掃討です。」
レイヴンとアップルボーイは驚きを隠せない。
「しかし任務といっても既に我が<横須賀>のランカー提督と別な任務で停泊していた鎮守府<佐世保>のランク1提督が出撃をしています。」
「!」
<佐世保>ランク1提督、この言葉により驚いたのはアップルボーイだ。
「あの<佐世保>のランク1が出撃している・・・!」
彼は提督に憧れて提督になった、その為提督には詳しい。反応するのも当然だった。
「その為、御二方にはその討ち漏らしの相手をしてもらいます。今回はさしずめ、実戦の空気を味わうがてらの肩慣らしというところでしょうか。」
「出撃は10分後です。すぐに準備を、以上。」
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「で、そのままの装備ってわけにもいかないから此処に来たのね。」
今、レイヴンと叢雲は工廠の一角にある、武器装備系を扱うブロックにいる。提督からの愛称はもっぱら「壽屋」である。
艦娘の武器装備は所謂「艤装」と呼ばれる各々の標準装備と、企業が開発する艦娘専用の武器が各種そろっている。
「別にこのままでもいいんじゃないかしら」
と叢雲は言ってはいたが、装備を確認すると初期装備では数の多い戦闘に向かない。魚雷は雑魚相手には強力すぎる。
早速レイヴンは各種項目から握用武器よりライフルのラインナップを眺める。
「これね。」
叢雲が目当てのライフルを見つける。
「弾数が少し少ないけど攻撃力が高い、悪くないわ。」
気に入ってくれたようだ。彼女の射撃適正は決して悪くはないので使えるだろう。
<<間もなく出撃です。<レイヴン>、<エスぺランザ>両名指令室へ来てください。>>
早速叢雲の装備スロットに先ほどのライフルを装備させる。ちなみに左手にである。
「これで私の魅力が増すのね。」
・・・どうなのだろうか。
考えるレイヴンをよそに颯爽と叢雲は出撃用のケージへと向かった。
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任務:敵残存部隊の掃討
任務領域:鎮守府<横須賀>正面海域
時間:一一三五より任務開始
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叢雲 装備変更
握用武器(HAND)L:対深海棲艦ライフル
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<レイヴン>と<エスぺランザ>・・・”アップルボーイ”が出撃準備をしていた頃、
「どうした、少し遅れているぞ。」
先に出撃していた提督の一人がもう一人に通信をかける。<横須賀>のランカー提督だ。
「ん、ちょっとな。」
通信をかけられた”<佐世保>ランク1”の提督はそっけなく返す。
「考え事か?・・・例の後援か、新米の。」
<横須賀>の提督は、ためしに自分も思っていたことを聞いてみる。
「あぁ、・・・どの位割いてやろうか、とな。」
割く・・・「手柄」をいくらか譲るということ。
それを聞いて<横須賀>の提督は驚く。
「そういう奴だったか、お前は?」
少なくとも違うはずだ。であるとすれば、
「できるのか、彼らは。」
そう、なのであろう。そうでなくてはそうは言わないはずだ。
「初陣だ。まぁ、せいぜい気張ばるだろうさ。」
<横須賀>の提督は察した。そういうことか、と。
「・・・そうか、ならば私も調整が完璧ではなかったのでな。」
乗ってみるか。今の決して嘘ではない。
「ふん、そうか。」
やがて、互いの艦娘より通信が入る。
<<行けっ!>>
<<砲雷撃戦、始めます!>>
そして彼らも敵を目視する。もっとも直接ではないのだが。
「あぁ、だが今この瞬間は・・・、」
「・・・貴様らには、」
「力こそが全てだッ・・・!」 <横須賀>ランク2 ジノーヴィー佐官提督
<<菊月、出る・・・!>> コールネーム/デュアルフェイス 旗艦/菊月
「水底が似合いだ。」 <佐世保>ランク1 オッツダルヴァ佐官提督
<<軽巡矢矧、出撃します!>> コールネーム/ステイシス 旗艦/矢矧
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指令室に着いたレイヴンは早速割り当てられた個室へ向かう。
個室の中は専用の機器で埋め尽くされ、中心にSFロボットのコックピットの如きスペースがある。レイヴンはそこに座り、各種機器を装着する。それらには各々「AMS」なる単語が記されている。
最後に提督帽にコードを装着する。これでレイヴンが”提督”としての仕事の準備が完了する。
目を瞑ると頭の中に直接此処ではない映像が映し出される。どうやらヒトの目線のようだ。そのヒトが自分の右手で控えめにサムズアップを送る。グローブをはめた、小柄な女性の手である。叢雲だ。
そのうち映像に「ヘッドアップディスプレイ」の様な計器が灯り、機械音声が伝える。
<<AMS接続:完了>>
<<F.R.O.M循環度:良好>>
<<システム起動>>
<<アドミラルコード「XA-26483」認証>>
<<レイヤード・ボルト、シリアル「*********」>>
<<コールネーム<レイヴン>を確認>>
<<メインシステム、通常モードへ移行>>
<<システム戦闘モードを起動中>>
「あー、あー。提督、聞こえていますか。」
突如通信が入る。声から女性と分かった。
当然だが、普通ではありえない事態である。
「あちゃ、しまった。まだ起動中だったか。これは失礼。」
当の本人も予定外だったようだが、その時、
<<メインシステム戦闘モードへの移行準備:完了>>
これで本来の準備完了ではある。
「先ほどは申し訳ありませんでした。」
再び先ほどの女性から通信として詫びが入る。
「改めまして臨時に提督のオペレータを任されました、明石です。」
提督には必ずオペレータが就くことにはなっているが・・・成程。
そうしているうちに叢雲が出撃用のカタパルトへと送られる。
((ふふっ。いよいよ戦場ね。))
「AMS」によってレイヴンは叢雲と「繋がっている」為、叢雲の心の声も頭の中に流れてくる。
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「AMS」:アドミラル・マン・シンクロ
かつて仮説として提唱された人間の特殊技能であり、10年ほど前に最初の適正者が現れた。
船を操る者に高い適性の可能性があるとされ、特に一度に複数の艦隊を統括する「提督」にはその能力があったとされていた。
故に、一度にたくさんの「艦娘」を操ることのできる者が階級に関係なく「提督」と呼ばれるのである。
「提督」の適正者は先天的とされている為に貴重であり、適性の確認も難しい。その為現在では機械的にある程度の補助ができるようになったが、全体数は伸び悩んでいる。
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「それでは提督の任務を確認します。」
”臨時”のオペレータ、明石が通信をかける。
「今回の任務は敵残存部隊の掃討。
任務領域は鎮守府<横須賀>正面海域。
任務の開始時間は一一三五より。
味方戦力は<エスぺランザ>の吹雪です。」
叢雲が出撃用カタパルトに乗ると各種装備が装着されていく。
無論、先ほどスロットに入れたライフルもしっかり装備する。
「へぇ、「FORMULA APEX CONGLOMERATE」製の通称「対深海棲艦ライフル」ですか。」
今の声、オペレータの明石か。
「個人的には「BLITZ LEAGUE ENTERPRISE」製も良いですが、今回の任務を考えるとこっちの方がベターですかね・・・。」
明石が叢雲の装備についてあれこれ言っている。
「FORMULA APEX CONGLOMERATE」と「BLITZ LEAGUE ENTERPRISE」は現在の世界を支える2つの複合企業連合体制であり、これに「研究機関」として世界的に影響力のある「Septem peccata mortalia」他複数の企業が「人類共通の敵である深海棲艦」と対抗すべく「カラード」を設立、「提督」他軍事的組織を統括している。
「・・・!失礼しましたっ。つい・・・。」
我に返った明石が2度目の詫びを入れる。彼女、オペレータにはあまり向いていないのでは?
そんなこともいいが、いよいよ出撃である。
「それでは出撃です。提督、戦果、期待していますよ。頑張ってくださいね。」
この一言で、叢雲がカタパルトから打ち出される。
<<!…出撃するわ!>>
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任務:敵残存部隊の掃討
任務領域:鎮守府<横須賀>正面海域
時間:一一三五より任務開始
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叢雲と吹雪が戦闘領域へ侵入する。
<<っ!始まっている・・・!>>
アップルボーイが通信越しで新米らしい良い反応をする。先に提督が出撃しているのだから戦闘は始まっているはずなのにである。
<<両艦隊領域へ到達、戦闘準備用意。>>
大淀さんの通信が入る。さしずめ統括オペレータというところか、続いて明石からも、
<<戦闘準備、<レイヴン>、モードを切り替えてください。>>
と通信が入る。
現在叢雲との「AMS」ではメインの制御システムを<通常モード>にしている。
他にも幾つかあるが、戦闘時には<戦闘モード>にするのが鉄則となっている。
思考を整え、モードを変える。
<<メインシステム、戦闘モードへ移行します。>>
直後、通信が入る。先に出撃していたランカーの提督の艦隊がすれ違う。
<<こちらは一度後退だ、後を頼むぞ。>>
同時に、敵が侵攻してくる。駆逐級が各種数隻づつといったところか。
大淀さんから通信が入る。
<<現在の両艦隊がいる地点を最終ラインとします。そこを越えさせない様にして下さい。>>
不意に、それを聞いていた叢雲が振り返る。吹雪も同様の仕草を取っていたようだ。
振り返った先には、壁の様な人工物が佇んでいた。
それは今回たった二隻で守る事となった人類最後の楽園、「鎮守府」の海上部の姿だった。
尤も、現在25km離れていては外壁も少し小さく感じる。500mあるのだが。
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いよいよ敵である「深海棲艦」と会敵する。距離は2km位といったところか。
「これに生き残ればっ!」
まずアップルボーイが吹雪に砲撃をさせる。しかしこの距離では当たらない。
逆に、この砲撃に気が付いた敵駆逐級が突撃をかける。数は3。イ級2のハ級1。
しかし、
「私の前を遮る愚か者がァっ!」
叢雲にはこれがベスト、自慢の機動力で一気に懐へ入る。
「沈めっ!」
マストでハ級を一突き、通り過ぎ様に両側面のイ級2隻を背部の連装砲で砲撃。振り返ってライフルでとどめを刺す。
別の敵部隊が攻撃を仕掛ける、まずは機銃による牽制。叢雲とて、機銃の速射まで避けられない。
しかし叢雲に降りかかる銃弾は目前で弾き飛ばされる。
「ふふっ、悪くないわ。」
その時の叢雲は球体状の青白く輝く膜の様なものに包まれていた。更に銃弾を浴びるが、ことごとくこれに阻まれる。
「今度はこっちの番よっ。」
叢雲の射撃は的確で、すぐに敵の足が止まる。
「いっけぇ!」
それを順調に撃破するのは吹雪。コンビネーションは良好のようだ。
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「成程・・・。」
その戦闘をモニター越しに見るジノーヴィーは呟く。
「確かに、それなりの力は有る様だな。」
「・・・そうだな。」
隣のオッツダルヴァの反応は薄い。
「パーティクルアーマーを使えるのか、初陣にしては中々・・・。」
”パーティクルアーマー”、先程叢雲が使った青白い光の膜のことだ。
確かに吹雪は使っておらず、被弾している。
「F.R.O.Mエネルギーの消費が多い叢雲で、よくやるものだな・・・。」
「・・・ふん。」
そうしてオッツダルヴァは席を立つ。
「オッツダルヴァ、・・・貴様は・・・。」
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戦闘開始から15分、随分敵も減ってきた。
次はハ級が2隻、ロ級が3隻。ハ級はレーザーを撃ってくる。
「・・・ッ!」
直撃こそ避けたが、今のでアーマーが消滅した。
すかさず連装砲とライフルで距離を取りながら順番に沈めてゆく。
「そんなっ、きゃあっ!」
吹雪が中破する、しかし敵の攻撃は止まらない。
「えぇい邪魔よっ!」
叢雲で加勢しようとするが、こちらも敵がしつこい。
その時、
「あうっ!」
吹雪が被弾し吹っ飛ばされる。だがそれで敵から距離を取る形となった。
<<いまの射線は、反応、味方!?>>
明石が反応する。そして同じところからレーザーとミサイルが飛んで来る。その攻撃で吹雪に攻撃していたロ級4隻とイ級2隻が沈む。
「そんな、この反応は・・・!」
アップルボーイが驚愕する。彼は味方に吹雪を砲撃されたのだ。しかもその味方は、
<<ぼっ、僕はみ、味方ですっ!>>
<<ノーマル程度に後れを取るようではな・・・。>>
オッツダルヴァ、<ステイシス>の旗艦矢矧だった。
<<貴様は空気で構わん。そっちは準備できているな、貴様。>>
「ッ!ここからが、私の本番なのよ!」
叢雲が威勢よく反応する。
<<ふん、そいつはよかった。じゃ、行こうか。>>
「<ステイシス>、矢矧、抜錨する!」
「だとしても、わざわざ敵の砲撃から避けさせる為に味方を撃つとは流石ね・・・。」
そう矢矧は呟いていた。
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<<敵艦隊の全滅を確認、任務完了です。提督、お疲れ様でした。>>
その後の戦闘は嘘のようにあっけなかった。大淀さんの通信がよく聞こえる。
「こちらでも任務の終了を確認<レイヴン>モードを変更してください。」
明石に促され、モードを変更する。
<<メインシステム、通常モードに移行します。>>
「にしても、流石でしたね、佐世保ランク1<ステイシス>のオッツダルヴァは。」
明石に言われるまでもない、叢雲を通して目の前で見ていたのだ。体で解っている。
「ですが、レイヴンもかなりすごいと思います。だって、ノーダメージで戦果も撃墜数トップなんですから。」
「ま、当然の結果よ。」
当然と叢雲は言うが、こんな事は滅多に無いだろう。
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戦果(敵残存部隊の掃討において)
<レイヴン>:イロハ各駆逐級計18隻 叢雲ダメージ無し
オッツダルヴァ:イロハ各駆逐級計12隻 矢矧ダメージ極軽度
”アップルボーイ”:イロハ各駆逐級計9隻 吹雪ダメージ中破
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こうして、レイヴンの着任初日は過ぎて行った。
読んでくださって有難うございました。
筆者自身久しぶりにプロローグを読み直しましたが、忘れかけの設定もあってヒヤヒヤものです。
初めての方へ、ここから四話のプロローグを読み直すと新しい発見があるかもしれません。
私の作品を読み続けてくださるのであれば、応援、アドバイス等いただけますと有難い限りです。
※一通り規約等を読みましたが、違反である場合は此方を削除します。