異世界より”超高校級”が参戦するようですよ!   作:ヤッサイモッサイ

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≫ロン毛赤目の妖怪つまらなささんが百分の一ほどログインしました。





かかったな、俺がいつあの男が出るなどと言った?


でも結構早めに出たりする予定だけどな←

というかその日に書いてその日に投稿ってのがきつい。
休みよはよ来い


あぁあの白を絶望色に染め上げたい

あぁあの白を絶望色に染め上げたい

 

 

 

 

 

────似ている

 

 

 

目の前で行われている問答や試練も何処か遠く…………日向は魔王のあり方をそう考えた。

 

たくさんの絶望振りまくその姿にあの金髪の少女を重ね…………そしてまた日向自身も────

 

「おい日向。」

 

 

……………………。

 

「なんだよ?」

 

「………………別に。ただちょっと気になっただけだ。試練とやらも無事終わったみたいなのにボーっと突っ立ってたからな。」

 

「ちょっと考え事をな。」

 

 

白夜叉の問いに自身らの矜持を守りながらも”挑戦”と答えた3人は知恵と勇気を試すグリフォンの試練を受けていた。

 

挑んだのは春日部耀。

ルールはグリフォンの背に捕まり湖畔を一回りして戻ってくるまで振り落とされなければ良いというもの。

 

簡単そうに見えてこの寒さの中遠慮のない速度で激しい軌道を描いて空を飛ぶグリフォンについていくのは大変だろう。

 

 

事実最後は落下していたが春日部耀のギフトらしい木彫のネックレスの効果でグリフォンの特性を手に入れたらしく自力で帰還してきた。

 

 

さっきまでは健闘を称えていた筈なのに気がつけばゲームの報奨をどうするかと言う話へと移っている

 

春日部耀のギフトの話から鑑定の話へと移り、黒ウサギが期待していたそれを白夜叉は「専門外よりもひどい無関係」と言いきってどうしたものかと頭を悩ませている。

 

「おんしら三人は素質が高いのはわかるが…………そこの剣豪殿は全く力が感じられん───いや?なにか妙なものが作用している気も…………ううむ、ダメだよくわからん。おんしらは自分のギフトをどの位把握しておるのだ?」

 

「企業秘密」

 

「右に同じ」

 

「以下同文」

 

「知らない」

 

「うおぉぉいッ!?いやまぁ仮にも対戦相手だったものに自身のギフトを明かしたくないのはわかるが……それでは話が進まんだろう。」

 

「別に鑑定なんていらねぇよ。他人に値札を貼られるのは趣味じゃない。」

 

随分とかっこいいことを言うな。ハッキリとしすぎていて逆に困惑する。よくもまぁ二人もそれに追従できるもんだ。…………従ってはないけど。

 

「おんしはどうなのだ。よもや本当にわからないと言うわけではあるまい。」

 

「本当にわからないんだよ。強いていうなら、何も持っていないことは知ってる…………位のもんだ。」

 

「ふむ。何にせよ“主催者”として、星霊の端くれとして、試練をクリアしたおんしらには何らかの“恩恵”を授けねばならん。少しばかり贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いも兼ねて、コレを授けよう」

 

そう言って白夜叉が手を打ち合わせると虚空から四枚のカードが現れてそれぞれ俺たちの元へと降りてくる。

 

 

 

逆巻十六夜にはコバルトブルーのカードが。

 

 

久遠飛鳥にはワインレッドのカードが。

 

 

春日部耀にはパールエメラルドのカードが。

 

 

 

そして俺にはアッシュグレイのカードが…………なんだこれ?

 

 

「───それはギフトカード!?」

 

黒ウサギの驚く声が聞こえる。…………がギフトカード?

 

「お中元?」

 

「お歳暮?」

 

「お年玉?」

 

「クーポン券?」

 

「違います!何で皆さんそんなに息を合わせたギャグをかますのですか!?これはギフトカードと言って、顕現しているギフトを収納出来る超高価なカードです!耀さんの“生命の目録”だって収納可能で、それも好きな時に顕現出来るのですよ!」

 

黒ウサギをいじるということで共通の意志を持ってるからじゃないか?もちろん口には出さない。

 

「つまり素敵アイテムって事か?」

 

「四次元ポケットみたいな物かしら?」

 

「だから何でそんな適当な反応なんですか!?あーもう、そうですよ!とても便利な超素敵アイテムですよ!」

 

何やら興奮冷めぬと言わんばかりの勢いでそうまくし立てる。

 

「我らの双女神の紋のように、本来ならコミュニティの名と旗も記されるのだが、おんしらは“ノーネーム”だからの。少々味気なくなってしまっておるが、文句は黒ウサギに言ってくれ」

 

「なるほどな、おい黒ウサギ。」

 

「そうよ黒ウサギ」

 

「…………黒ウサギ」

 

「なんとも寂しいカードだと思わないか黒ウサギ。」

 

「また私になるんですね!わかってましたともええわかってました!!」

 

体はいつものように肩を落としているのに口調だけはテンションが上がっていく黒ウサギに不思議を見た気がする

 

「それにしても寂しい…………じゃと?日向、ちょっと見せてみろ」

 

催促されたとおりにカードを渡す。

 

「な────なんじゃこれは!?」

 

「え、どうしたのでございますか?」

 

カードをのぞき込んだ白夜叉があげた悲鳴に他の四人も反応してカードをのぞき込む。

 

 

「こ、これは………………。」

 

「何もねぇな。何も書いてない。」

 

そう、俺のカードには…………何も書かれていない。

 

あるのはアッシュグレイの刺繍のみ。それ以外のギフトの類は…………何も無い。

 

「どういう事?」

 

「このカードはラプラスの紙片と呼ばれるもの…………全知の欠片じゃ。つまりこれでもここに表示されないということは…………全知でも拾えぬ未知か、はたまた真に何も持たぬか…………。いやしかしそれはどちらも考えられん。ラプラスの紙片は未知が無いからこその全知じゃ。かと言ってギフトを持たぬということは…………おんし、本当に蛇神の攻撃を弾き、更には湖を両断したのじゃな?」

 

嘘をついたところで意味はない。

大人しく頷いておく。

 

 

しかし何がそこまで疑問なのか。

あらゆる世界が全てをギフトを元に成り立っているとは限らないのに………………。

 

それが無いと思っているのか首を傾げ悩み続ける白夜叉に今度は十六夜が悩みの種を持ち込んだ。

 

 

「んじゃ俺のもレアケース…………ってことだな。」

 

「なに…………そんなバカな。」

 

余裕もなく十六夜からひったくる様に取られたカードには《正体不明(コードアンノウン)》と刻まれている。

 

「正体不明…………バカなラプラスの紙片がエラーを起こすだと?全知で理解出来ぬ事が二つ?」

 

「何にせよ鑑定は出来なかった、そう言う事だろ?俺的にはそっちの方がありがたいさ。」

 

そう言って呆然としている白夜叉の手からギフトカードを抜き取った。

 

「俺のは理解できないじゃなくて何もないんだよ。別にエラーじゃない。」

 

初めからギフトじゃなかったってだけの話。

言っても信じてもらえるとは思ってないけどな。

 

「どこから湧いてくる自信なのか気になるが…………そろそろ出ねば遅くなるな。」

 

十六夜や俺に対する追求もそこそこに俺たちは暖簾をくぐり再び店外へと戻っていた。

 

「今日はありがとう。また遊んでくれると嬉しい」

 

「あら、駄目よ春日部さん。次に挑戦する時は対等の条件で挑むのだもの」

 

「ああ、吐いた唾を飲み込むなんて、格好つかねえからな。次は渾身の大舞台で挑むぜ」

 

「ふふ、よかろう。楽しみにしておけ。……ところで今更だが一つ聞かせて欲しい。」

 

再び真面目な声色になった白夜叉の様子に何度目かの緊張が走る

 

「おんしらは自分たちのコミュニティがどういう状況なのか…………理解しておるのか?」

 

「あぁ、旗とか名前とかの話か?それなら聞いたぜ、別に大したことじゃねぇよ」

 

「ならばそれを取り戻すために”魔王”に挑まねばならんことも?」

 

「聞いたぞ。全く持って絶望的だな。」

 

「…………ではおんしらは全てを承知の上で黒ウサギのコミュニティに所属するのだな?」

 

「そうよ、打倒魔王だなんてカッコイイじゃない。」

 

「“カッコいい”だとかで済む話ではないのだがな……全く、若さゆえのものなのか。無謀というか、勇敢というか…………まぁ、魔王がどういうものかはコミュニティに帰れば分かるだろう。それでも魔王と戦う事を望むというなら止めはせんが………そこの娘二人────おんしらは確実に死ぬぞ」

 

白夜叉の警告の言葉に思わずと言った様子で反応する二人だがそれでも元魔王の言葉を軽視するのは愚かだとわかっているのだろう。結局何かを言うわけでも無くそれぞれが思う事があるといった様子で引き下がった。

 

「魔王の前に様々なギフトゲームに挑んで力を付けろ。小僧はともかく、おんしら二人の力程度では魔王のゲームを生き残ることは出来ん。嵐に巻き込まれた虫が無様に弄ばれて死ぬ様は、いつ見ても哀しいものだ」

 

「そこは小僧共じゃないんだな。」

 

白夜叉の言葉に十六夜が問を投げる。

対して白夜叉は少し顔をしかめた。

 

「…………そっちの小僧に少し聞きたいことがあるのだがの。」

 

示されたのは俺だ。

 

「なんだよ、改まってどうしたんだ?」

 

「いや──

 

 

 

 

 

─────貴様は() () () ?」

 

白夜叉の言葉はそれまでに見せた迫力などという生易しいものではなく確かな敵意をにじませて投げられた。

 

「白夜叉様!?一体何を───」

 

「静まれ黒ウサギ、これは必要な問だ。…………答えろ小僧、貴様はなんだ?」

 

………………。

 

 

 

…………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………………………………………。

 

 

 

 

 

 

 

心や考えまで変える”超高校級の役者”の才能があっても見破られるのか…………これは─────()()()()()

 

 

 

 

 

「日向創だよ。間違いなく、日向創本人だ。」

 

…………演技をしていてもそれは嘘じゃない。

 

俺は日向創…………希望ヶ峰学園二年の日向創に相違ない。

絶望の汚染を受けようが…………まだ大丈夫。

俺はアイツじゃない。

 

 

「…………そうか。そういうのであればまぁ良いだろう。」

 

そう言いながら近づいてきて俺にしか聞こえないような声量で言葉を続ける

 

「………………儂でも勘を頼りにせねば気付けぬほどの邪気…………だが一度気がつけば恐ろしいほど濃密なそれだ。そんなものを身に纏いながら無事でいられるなど………………星という存在でもありえん。ましてや種族としてもそう強固ではない人間が生身で耐えられるはずもない。

せいぜい気をつけることだ小僧…………それは百害あって一利なしだぞ。」

 

「何のことかはわからないけど…………俺はただの高校生だ。」

 

「…………まぁ儂にもよくわからんしそういう事にしておこう。何にせよその邪気に動く気は見られんしの。」

 

そう言って離れた白夜叉に変わり十六夜が話しかけてくる

 

「何やらすげーときめくワードが聞こえたのは気のせいか?邪気って何?光線とか撃てんの?」

 

イヤホンしててよくもまぁ聞こえるもんだ

 

「…………なぁ、俺思うんだがお前は俺をなんだと思ってるんだ?」

 

「人間ビックリ箱不思議アンテナ」

 

…………かつてない罵倒のされ方をした。

 

「どういう事ですか白夜叉様。」

 

いたって気楽な俺たち二人とは違い言葉に多少の怒りを匂わせながら黒ウサギが白夜叉へと問いかける。

 

加入して一日もたっていないのに仲間というだけでこの扱い…………人徳と言えばそれまでだが危険でもあるな。

 

 

「そう怒るでないぞ黒ウサギ。ほれ、小僧だって納得しておる。」

 

まぁ確かに怒りがあるわけじゃない。むしろ自身の内に潜む”コイツ”の存在を認識できただけ感謝したいぐらいだ。

 

それでも話が理解できない黒ウサギには納得が行かないようだ。

 

「それでも日向さんが不当な扱いを受ける理由には────」

 

「小僧のことだが…………まぁ何とかなるじゃろう。一見して不安しか掻き立てないような脆弱さじゃが…………なかなかどうして曲者だよ。」

 

言外に話を打ち切られた黒ウサギは仕方なくといった風に引いていく。

 

「………まぁ、ありがとう。肝に銘じておくわ。そして、今度は貴方の本気のゲームに挑みに行く…………覚悟しておきなさい」

 

「望むところだ。私は三三四五外門に拠を構えておる。いつでも遊びに来い。………ただし、黒ウサギをチップに賭けてもらうがの」

 

「嫌です!」

 

「そうつれないことを言うな。私のコミュニティに来れば生涯を遊んで暮らせると保証するぞ?三食首輪付きの個室も用意するし」

 

「三食首輪付きってそれもう、完全にペット扱いじゃないですか!」

 

本当に苦労人だな黒ウサギは…………とりあえず先ほど俺のために怒ってくれた礼を込めてフォローしてやろう。

 

「ブラッシングがないと嫌だとさ。」

 

「うむ、考慮しよう。」

 

「絶対におかしいです!本当にもうこのおバカ様方は!!」

 

 

 

 

そうして白夜叉とのゲームも終わり店から離れたところで自身の内に蟠っていた絶望の影が薄れていくのを感じる。白夜叉から離れたことが原因かはたまた時間の経過か…………何にせよこれで自分がこの世界に来るまでの記憶がない理由が分かった。

 

 

────絶望はこの世界にも存在する。

 

そうわかっただけで尚更自身がこの世界でやるべきことが見えてくる。

皆の為にも…………やり遂げて見せる。

 

 

 

そんな俺の決意を対称的な二つの視線が見ていたことには気付かず俺は心の底でそう誓った。

 




微絶望モード…………意識はまだ日向ながらも所々にカムクラの影響が見られる状態。才能を活用する事は出来るものの使いこなすほどの技量や応用性に欠ける上、中途半端に絶望に染まっているせいで色々と旨味を消してしまっている状態。
日向の心が絶望に寄ったり、”絶望”を連想させる存在に会うとこの状態になったりする。
姿は変わらないが目元から穏やかさが消えて氷のように冷たい視線になり少し目も赤くなって暗い光を宿すようになる。

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