異世界より”超高校級”が参戦するようですよ!   作:ヤッサイモッサイ

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はいタイトル詐欺です何も重なりませーん。


未だにこのヌクヌク平和な話から抜け出せません、話を進ませたいのになぜ終わらないのか......そして文字数確認出来なくなったせいでどのあたりで話を切り上げたらいいのか分からなくなった。みなさんはどうやってそういうの決めているのでしょう?マジリスペクトです笑
前回の感想で......いや前々回だったかな?いや忘れたのですが感想でダンロン世界との違いに対しての疑問をいただきました。やはり人間感じ取り方や受け取り方が違うもので当たり前のように書いている事が他人にとって当たり前では無いというのは少し新鮮な感想でしたね笑
そうして話ができるのも二次創作の良いところだと思います。話が長くなりそうですし早めに切り上げて本編行きます、どうぞー


絶海にして第三の戦場、重なる記憶

俺が黙ってから暫くは誰も口を開かなかった。大半はその凄惨さに満ちた内容に、そしてうち二人はそれでも残る……否、増えた疑問点を考えてだろう

まだ若いジンとサンドラ、前だけを向いてこれる程に大きな絶望を味わってこなかったマンドラ、まだ関わりが浅く俺のことをあまり知らないレティシアに対人経験の少なさ故にかける言葉が見つからない春日部を除いた黒ウサギと十六夜だけがこの空間で少し違った表情を見せている

十六夜はおそらく一度追求されたカムクラのこと……黒ウサギの方もペルセウスの時に彼女が意識していた何かがあるのだろう。一番可能性があるのはギフトゲームを感知することのできる黒ウサギであり当事者である俺の認識外のことでもある花村との一件だ。

 

「……罪木はギフトを持ってた、そして十六夜が前に俺を黒日向と称したあれの超強化バージョンの様な性質も持っている」

 

……でもそうか、そう考えれば俺が直接的に絶望を感じなくとも元の状態に戻りそうな条件が一つあるのか。何せ俺は彼女のそれの影響を受けている。彼女そのものが絶望ならば何故それに付属するそれが絶望を帯びてないと思ったのか……。

 

「黒日向に……か?」

「そうだよ、むしろそれこそが世界を滅ぼした一番の原因だ。絶望は伝播する、たったそれだけで人類は実質壊滅状態に陥ったんだ」

 

……だからこそ

 

「罪木の相手は俺がやる。ぶっちゃけ今の俺は大した戦力にもならないしな」

「そ、それだ。創、お前はなんでそこまで弱っている?私も直接お前が戦っているところを見たわけではないが前のお前にはもっと鋭さがあった」

「いえ、それはだいたい予想がつきます」

 

レティシアの問に俺が口を開くよりも早く黒ウサギが答える

 

「……日向さん、貴方の力はきっとその絶望とやらに深く関係があるのではないですか?それはきっとギフトではなくそれこそ超高校級と呼ばれるもの……だから貴方はラプラスの紙片にギフトが出なかったとき驚きもしなかった。自身の力に躊躇いもなかった。なにせ前の世界でそれが明確に示されていたから、それがなければ生き残れなか──────」

「それだけはない」

 

ギフトの力やラプラスの紙片を気にもとめなかったのは確かだ、そして今は変な力があるのも事実……でも

 

「生き残るためにその力が必要だったとか……そんなことはなかった」

 

かつては文字通り自分を殺して手に入れた力だ……でもそれがなければ生き残れなかったか?そんなことはない。俺を生かしたのは仲間の意志と俺自身の覚悟だ

 

「……まぁいい、時間はまだある。緊急を要する事はもう話しただろうし今からは本格的にグリムグリモワールの対策を練るとするわ、つーわけで暫くはジン坊ちゃんと書庫に泊り込むってことで」

「でしたら私はサンドラ様達と施設内の采配を見直してきましょう。怪我人も病人も少なくありませんしこの混乱具合です。少なく見積もっても後一日はかかるでしょう」

「ならば私は春日部を見ていよう。どうにも今回のことには私が口を出せることもありそうにない」

 

唐突な解散ムードに置いていかれた俺は一人やることも見つからず話においていかれる

 

「……え、俺は?」

「正直今回のゲームの知識がない日向が攻略で役立つことはなさそうだ」

「えぇ、こっちも同じですね。身体能力のない日向さんだと少し動きが遅くて……決して迷惑などでは無いのですが」

「春日部の事もあまり人数が多くてもな……特に異性のお前が居ては春日部も気を使うだろう?」

 

……なぜだ?さっきまで話の中心にいた筈なのにどうしてその一瞬でアウェーになるんだ?

確かに伝記や童話、神話に逸話に関して俺が役立てることは少ないだろう。絶望に関してだって先ほど言ったように元からして曖昧なもので実際は体感してもらう他説明などできやしない。無論黒ウサギ達にだって医療の知識や設備の把握ができていない俺がついていっても邪魔なだけだといのもわかるし春日部の事だって上に全く等しいだろう……かと言ってだ

 

「なにか仕事ぐらい無いのか!?」

「別に休んでりゃいいだろ、なんでそんなに仕事中毒してるんだよ」

 

む……それは確かにそうだ……そうなんだが……

 

「人が仕事を求めるってのはたいていが気を紛らわせるためだ。それ以外やることがない、周りがやっているのに自分がやっていないのは居心地が悪い、仕事をしているからほかのことが出来ないのは仕方が無い……あぁ、仕事万歳ってな?いきなり謎の復活を遂げた仲間に力まで失ってお嬢さままで消えて……焦るのはわかる」

「いやマジで別に焦ってはねぇよ!?」

 

……居心地が悪いのは確かにそうだが

 

「わかるがまぁ休んどけ。ほかが納得しても俺にはまだ聞きたいこともある、どうしてもっていうなら無理矢理にでも春日部のところで雑用でも引き受けてろ」

 

……なんでだ

 

「十六夜、春日部は病人だぞ?」

「お前ら三人同じコミュニティなのに驚くほどコミュニュケーション不足だろうが。余ってる時間ぐらい今まで使わなかったことに使え、それが今一番の有効活用ってもんだ」

 

そ れ が 本 音 か ! !

 

「おかしいと思ったんだ!書庫に篭るなら手を貸す存在くらい欲しいだろうに!」

「決まったことだ諦めろ」

「勝手に決めるな!」

「はーい、じゃあひなた君の役割に対する決定に賛成の人ー?」

 

言ってまず一番元気に手を挙げたのは十六夜ではなく……まさかの黒ウサギ

 

「えぇ、なんですか日向さんその疑いのこもった眼は、失礼ですね!この公正公平が保証された私の判断ですよ!?何を疑うのですか?」

「言って地味に陰険な黒ウサギだからなぁ……実はこの前の鬼ごっこの時有耶無耶になったの少し根に持ってるんじゃ……」

 

だ か ら 眼 を そ ら す な ! !

 

「やっぱりそうなのかよ!」

「違いますとも、えぇ違います。この黒ウサギそんな小さな事で怒るはずが」

「おい日向、二百歳オーバーのこの大人過ぎる黒ウサギ様がそんなことで怒るわけが───」

「余計なことをおっしゃるのはどこのどなたですかぁ?」

「よっしゃいくぞオチビ!」

「え、ちょ十六夜さん!?」

 

いつもの様に咄嗟に黒ウサギイジリへと方向転換した十六夜に黒ウサギが髪を逆立ててハリセンを取り出す……がもはや十六夜も手馴れたもので既に有効範囲から脱して電光石火の如く部屋を出ていった。

もはや恒例となったマンドラの偏頭痛やサンドラの苦笑いもどこかいつもより酷い気がする

 

「まったく!とにかく日向さんはそこで大人しくお手伝いをすることです!いいですね?」

 

未だに毛を逆立てたままの黒ウサギの表情は非常に恐ろしくそれこそウサギなどではなく悪鬼や修羅のような────

 

「よろしいですね!?」

「イエス、マム!」

 

いえ、ウサギでした。ただ少し雷を帯びただけの……人を殺せるぐらいのやつ。

 

そんな黒ウサギを含めた三人がまたもこの部屋から消え遂にはなんとも気まずい空気が流れる三人が……正式にはそのペットである三毛猫を含めた+一匹が残された

 

「……別に少ししたら三毛猫でも連れて出ていくさ」

 

俺の言葉に非難を向けているのかベッドにしがみつきながらニャーニャーと鳴くその言葉もついに理解が出来なくなった。

 

「別に私は気にしないよ?」

「そういうわけにも行かないだろ。それに文字通り俺はいま一般人だ、ペストの影響だって受けかねない」

 

ペストというのは主に血液や皮膚の傷、リンパ等に菌が入り込むことによって発症する病であって基本的に大気感染はない……あくまで基本的にの話だ。稀ではあるがペスト感染者の咳より肺に入ったペスト菌が体を蝕むということもある。この世界のペストがどうなっているのかわからない以上レティシア達のような体の強さを持たない俺はここにいるだけでわりと危険がある

 

「創っ!仲間に何と言う口を!?」

「俺の中の仲間は別に仲良しこよしをするだけの関係じゃない。事実俺はいまペストに犯されるわけにはいかない」

「だから気を使えと言っているんだ!そんなことだから飛鳥にだって気を使わせて……いや私だってそんなことがいいたいわけじゃないんだ」

 

……知っているさ。俺はわざとレティシアを避けていた。話したい事かあるというその内容までわかっていて避けていた

 

「お礼とかなら別にいらない。仲間を助けるのは当たり前だからな」

「……お前はその仲間と良い関係を築こうという気はないのか?なぜ拒絶する、なぜ逃げ回る、なぜ視線を逸らすんだ!?」

「……俺はいつだって自分の事で手一杯だ。だからコミュニティのためにできることは多くないし今回みたいに巻き込むことだってある……それはただでさえ崖っぷちのノーネームには致命的だろ?」

 

それだけじゃない。俺の目的はこの世界ではなく元の世界だ。何があっても必ず戻る……だからこそ十六夜たちとは違いこの世界で生きるつもりはない……なのに仲間面をしろだと?仲間だと思うからこそそんなことはできない。俺は仲間を失いたくもないし見捨てたくもない。

罪木だってそうだった!花村も!狛枝も!みんなだ!話を聞けば聞くほど……親しくなれば親しくなるほど!どれだけ相手の事をしろうと本当のことはわからない、仲間だと思っていても相手は思っていない、そうして誰か仲のいい仲間が殺されるんだ。この世界は優しい……この世界のみんなはきっと仲間を見捨てることはしないだろう、俺とは違う。罪悪感など無くても、後悔がなくてもここまで温かい世界に来てどうして元のあの心保てる?それであの絶望に勝てるのか?いくらみんながギフトを持っていても絶望を前に何ができるのか?

 

俺は仲間に死んで欲しくない、そして何よりも───────もう裏切られるのは嫌なんだ

 

 

殺すのも嫌なんだよ

 

 

 

「俺は仲間だとは思ってる。大切だとも思ってる。でもそれは別に一方通行でいい」

「……なぜそんな悲しいことを言うんだ?平気な顔をして、なぜ言える?私達は仲間だと……今そう言ったお前がなぜ?」

 

レティシアに近づかなかったのも何かそれがいけないことのような気がしたからだ。みんなで手に入れた戦果……でも俺が何をしたのか?みんなの心を揺さぶって戸惑わせてゲーム本番でも一人コミュニティとは関係ない事をして……俺が同じようにそのお礼を受け取ったらノーネームの努力が霞むような気がしたから離れた。隠していることが後ろめたくて近づけなかった。

そうして今も戸惑わせて初対面のジャックにすら叱咤された

 

「────それは」

 

だからそれを踏まえてようやく踏ん切りがついた、今までの中途半端さがいけなかったのだ。

だから次はない。今度こそ熱く自身すらも焼くほど苛烈な弾丸へとなろう、静かに全てを両断する鋭利な刃にもなろう。なにせ今の俺には才能があるのだから……大丈夫、今度は罪木にだって負けやしない。何故なら今の俺はあの時の俺だ。

 

「─────そ《・》れ《・》は《・》違《・》う《・》ぞ《・》」

 

言葉の弾丸が仲間の心を貫くのを俺は確かに幻視した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仲間を侮ってそう勝手に決めつけた。ジャックの言葉の本当の意味も未だに理解せずに俺は再び仲間をよく見ずにそう限界を決めた

 

「それこそ違うよ創」

「……何が違うんだよ?」

 

今までベッドの上で俺たちのやり取りをずっと見ていた春日部がここに来て唐突に言葉を挟んできた

 

「創は最初から私たちの横にいたよ?ずっと居た……仲間だよ」

 

……は?

 

「確かに箱庭に来た時は一緒だったけどそれは関係ないだろ」

「ううん、関係あるよ。私は創の過去を全部知ったわけじゃない……でも創だって私のこと知らないでしょ?黒ウサギだって知らないよ、私もまだみんなのこと知らないけど……友達だよ、だから頑張りたいって思った」

「いや過去とかそう言う事じゃなくて」

「じゃあ創は何を気にしてるの?創は過去じゃなくて現在(いま)の何を気にしているの?それとも先のこと?未来の何が不安なの、創の目は何を見てるの?」

 

未来……そう、俺は皆といる未来のために決意した。七海のいう通り決まった運命なんてぶち壊して自分の未来を掴み取るためにあの世界を出てきた

 

「私はジャックに仲間に頼るべきだって言われた……でも肝心の仲間がその時頼られてくれなかったら私はどうしたらいいの?迷いっぱなしで一人困ればいいの?十六夜も飛鳥もここにはいないよ?三毛猫はなにかに立ち向かう力が無いしレティシアも本当はそんなにあっちこっちに意識を回してる余裕は無いんだよ?」

 

いつもはあまり喋らないあの春日部がここまで真っ直ぐにこちらを見て言葉を紡いでいる……その言葉だけでなくその姿勢が俺の決意を揺るがせる

そういえば昔漫画で見たことがあったような気がする。どんな事にもまずはやるかやらないかという選択肢があり、その次に光と闇の道のどちらかを選ぶことになるのだと。

光の道はみんなでワイワイパーティープレイ、どんな困難も冒険も絶望も仲間と共有しともに研鑽し乗り越えていく道。

闇の道はそんな仲間を捨てて一人全てを置き去りにひた走る孤独のソロプレイ、いくら汚れようと構わずただ前にだけ進む修羅の道。

 

……俺は何を考えた?超高校級の力があるから乗り切れる?俺が絶望を超えられたのはみんながいたからだ、そうじゃなかったカムクラは現に絶望に沈んでいたんじゃないか

 

「……創は、友達でしょ?」

 

……あぁ

 

「もちろん友達だ」

 

だけど……

 

「病人は頼れないだろ」

 

仕事は見つからなかったがやれることは見つかった気がした。

ゲーム開始までの期間……罪木への対策を意地でも考えなければならない、でもいくら体が弱くなろうと頭の中身まではまだ変わってない。

 

「今回はまだ俺を頼ってもらうぞ春日部」

「……うん」

 

動けない春日部のかわりだからこそ……俺だけの問題じゃないなこれは

 

「……十六夜達にいつも言ってる割にはお前自身も素直じゃないな」

「ばーか、あいつほどじゃねぇよ」

 

本当にそのとおりだ。この展開を予想していたのかまではわからないがよくもまぁ置いていってくれたもんだ。

 

「まぁなんだ……今度こそ俺もコミュニティのために戦わせてもらうとするよ、自分の戦いじゃなくみんなの戦いとして」

 

そうだとも、今の俺にとっての希望……すなわち未来とは仲間そのものじゃないか。蔑ろにしてその未来が手に入る筈がないんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしその優しい決意は日向がかつて諦めたもの……絶望に飲まれんがために捨てたその甘さを取り戻した彼に絶望を防ぐ壁はもう存在しないのだった

 

 

 




二話連続代わり映えの無いシーンで申し訳ないです。しかもひなた君がちょっと不安定になってきてますねー、絶望のせいということにしておいてください。レティシアが後半空気なのも......いや作品通して空気なのも絶望が悪い。

さりげなくショックだったのが評価ゲージがオレンジになっちゃったことですね、やっぱり前回なにかやらかしたのかな?と思いましたが話を変えるわけにも行かずこの調子で進めます、すいません。でもこれからも頑張りますのでこれからも楽しんで読んでください!

一週間に一度更新は続けるつもりなのですが四月からは少し乱れるかもしれません。いかんせん今の私は浪人生......正直に言えば小説も危ういのですがまた長期凍結というのも頂けません......頑張って書かせていただきます

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