異世界より”超高校級”が参戦するようですよ! 作:ヤッサイモッサイ
ダンロンのチャプタータイトルが特徴的過ぎて真似したくなる……でもあのセンスは出せませんわ。
今回は賛否両論別れそうなんでまたあとがきにでも補足入れときます。
序盤は日向君の考察なんで見たい方は後半まで飛ばすのもあり。ただそうすると全然文字数が無いので下手したら一分かかりません。
そんで受験生な作者は……GOD EATERの二次創作の設定を書き始めました☆
希望もするし絶望もする、それが人間だ
無事ペルセウスとのギフトゲームも終わ……無事かどうかはさておきギフトゲームが終わったところでレティシアも開放された。
被害はペルセウス拠点、ルイオスの精神、ペルセウスの信用と言ったところか。まぁ一部に自分が関与しているというのが少し納得できないがやったものは仕方が無い。ルイオスの精神に関しては十六夜の遊び心という笑えない冗談が原因だ。
なにせあいつアルゴールを圧倒してゲーム終了間際というところで「このゲームに勝ったらレティシアとかよりもまず旗と名前貰うから!んでそれ賭けてまたゲームしようぜ!」なんていうもんだから完全にルイオスもやけになっていた……そりゃまぁニュアンスこそ違うが内容は同じだ。そこまでゲスイ考え方ができるのがすごいと素直に思う。
だがコミュニティの話は別としてまた今回のことではっきりしたことがある。
まず一つは俺の体のこと……今でこそギフトゲームの時から多少は劣化したもののそれにしたって人外な身体能力を誇るこの体のことだ。
自分なりに推測を立ててみたがキーは恐らくカムクラと
数学では無いが本当の真逆というのは結局は同一存在に落ち着く……説明するとしたらそれしかない。だがここで問題なのはその同一存在たる俺たちが両者ともに希望であり、絶望であるということ。もちろんながら希望と絶望は相容れない……だがどちらも簡単にその立場を変えてしまう、それ故のアンバランスさなのだと思う。
誠に遺憾ながら今までの俺は思考がカムクラよりになっていて、それこそこないだの辺古山のことで初めて自分の中の希望を意識したと言う形になるんだろう。これは正直カムクラのことしか想定してなかった今までよりも数段複雑な話だ。下手をすればカムクラを呼び込みかねないしそうでなくとも希望の俺がまた絶望を呼び込みかねない。
これがちょうど二つ目の話だが何よりも気になるのは一回目の花村の時と違い二回目の辺古山はペルセウスのゲーム中に割り込んできたことだ。そしてそのことに誰も気がついていない……これはおかしい。二回とも俺の合意なく始まったギフトゲームであり普段とは様子の違ったスクロールからあれが魔王のゲームであることは想像に難くないが……だとすればあの絶望たちはこの世界において魔王として君臨しているということだ。
……まさに最悪の想像だな。これが想像であるのならばいいんだが……証拠が揃いすぎてるのだから質が悪い。
ついでに今までの傾向からすれば絶望が襲ってくるのは俺が一人の時のみ、島で殺人を犯したものが順番通りに来ている。最もまだ二人目でしかないしこれが役に立つかもわからないもしこの通りに次が起こるとすれば次に来るのは……”超高校級の保健委員”にして島の中で唯一絶望に染まって二人もの人間を殺したあの第三の島での犯人、罪木蜜柑……アイツしかいない。
今までの二人はそれでもどこか自分を持ってはいたが正直あの罪木があの二人と同様に希望を持ってくれるとは思えない。最悪……今度こそ仲間を巻き込まなければならないかもしれない。それだけは絶対に避けるべきだ。
あの絶望は……希望を堕落させる存在だから……。
「暗い思考はやめよう。これ以上はあまり意味がない。」
レティシアも無事に取り戻すことができた、素晴らしい事じゃないか。
……黒ウサギたちとの確執は……ある意味このままの方がいいかもしれない。平時ならばもちろん仲良くした方がいいに決まっているが今は少し特殊すぎる。
……そんな風に思考に耽っていても鋭敏すぎる感覚は接近する存在を捉えていた。歩幅、匂い、重さ、布切れの音、吐息の間隔……こんなことを言っていれば変態だと言われそうだがわかってしまうものは仕方が無い。
「あら、こんなところで一人何しているのかしら?」
……だがあえて言わせてもらおうかな?もっとも 一人の場合は噂と言っていいのかも怪しいが……
”噂をすれば”ってやつか。
「……意地悪だな。こんな時に一人でできることなんて限られてるだろ。」
「何を言っているかわからないけどできることなら沢山あるわ。それに今は二人よ?」
「違うな、一人と一人だ。」
「変わらないわよ。それよりもレティシアが探していたわ、礼を言いたいってね。」
一度も振り返らずにわざわざひたすらそっぽを向いていたのに久遠とくればいちいち隣に来るのだから本当に意地が悪い。
「もう起きられるのか?」
「無理をしてまで起きてきているの。こういうのは迎えに行ってあげるのが紳士の役目なのではなくて?」
「……いや、いい。」
確かに助けた……助けることはできたが……そこまでして必死に礼を言われることじゃない、機会があった時に少し言葉に出すくらいで良いのだ。
「呆れた。少しは私たちに心を開いたのかと思えばまだ変わってないのね。」
……心を開く?何を言ってるんだ。
「俺は別に閉じこもってなんか──」
「閉じこもってるわよ。良いかしら日向くん。あなたは私に同じ言葉を言ったことがあるわよね?忘れたとは言わさないわ。私は一度受けた屈辱は忘れないようにしてるもの、間違いない。」
「……いやあれを屈辱の記憶にカウントされてる方が俺としては驚きで」
「はぐらかさないでもらえるかしら?これでも私貴方達には心を許したいと思っているのよ?」
……だったらそうすればいい。許したいと思えるのならそれはできることだ。
「……でも貴方だけなのよ、私を受け入れてくれないのは。」
「……ハァ?なんでそうなる?俺は別に久遠にどうこう言いたいことがあるわけじゃ無いぞ?」
「でも……”仲間であるならば話すべきこと”が話せないんでしょう?それって何が違うのかしら?私はあまり知らないけれど物語の中の仲間っていうのは……ただ受け入れているだけじゃないと思うのよ。」
……確かに違う。だけどそれにだって例外はある。
信用するしないの問題じゃない白夜叉が言った通りこれは文明がひとつ滅ぶ滅ばないの規模の話なんだ……そんなのどう仕様もないじゃないか……。
「……そうやって黙り込むのも同じ事よ。私はね、日向くん。十六夜くんのあの不敵さが好きよ?春日部さんの優しさも好き。黒ウサギの温かさもジンくんの必死さも好き。もちろん日向くんだって勘違いしていたことがわかったもの……でも私は……私達は誰一人として日向くんのどこが好きなのか答えられないと思う。だって誰も知らないもの。……知っている人が教えてくれないのだもの。」
「……それでも俺はみんなが好きだ。だから……話せない。」
話すわけにはいかない……意見は変わらない。
プライドの高い久遠がここまで自分を見せたのは少なからず自分にも責任があると感じるからだろう……それでも俺にはどうしようもできない。
そんな嫌な沈黙を話の終わりと受け取ったのか久遠はついに立ち上がった。
少し離れた先ではまだ夜の星空を見ながらそれこそコミュニティの全員で笑いながら騒いでいる風景がある。
「……わかったわ。さよなら──日向くん。」
久遠は歩いてそこへと戻っていく。
一人その喧騒から離れている俺はあの頃の俺と何が違うのだろう。
いくら身体が希望化していようがいまの俺は間違いなく希望らしくない存在に違いない。
「……寂しい空だな。」
ペルセウス座が消えた空は……やはりいつも見ていた星空とは何かが違った。
冴えた感覚は久遠の少し赤くなった目元も暗がりの中で容易に捉えるし、何時もよりも少し低い春日部の声の違いも明確に理解する。黒ウサギの浮かべる笑顔の僅かなぎこちなさや十六夜の本来ならば気付くほうがおかしいさりげない視線も、レティシアが行く人行く人に俺の行方を尋ねる声も、そんなみんなの代わりに子供をまとめるジンのため息も全て見えてしまうし聞こえてしまう。
こんなにもみんなが近くにいるのに遠い……
「人間関係ってのは才能とは関係ないのか……中学時代の俺は何をやってたんだかなぁ。」
俺はそうしてノーネームの祝勝パーティーが終わるまで一人で座り込んでいた。
無駄に鋭いはずの感覚ですら捉えられない絶望の足音が俺たちへ迫るのも知らずに……俺は久遠たちの言葉の本当の意味もわからず、ただイタズラに仲間の命を危険に晒す羽目となったのだった。
今回補足するのは飛鳥ちゃんの壮絶なキャラ崩壊ですね。
作中で日向くんが言っている通り今回の不和の原因が自分にもあるという申し訳なさからあの態度になっています。今までの日向くんの行動や性格から軟弱ものなわけではないということに気がついてでもその時には既にこの冷戦状態。自分の態度がこの状況を作ったのかも……いやいや日向君の態度が悪いよね?でも人のせいにするのはプライドが許さないと言った感じです。
春日部さんはあまり気にしてこそいませんがかと言って簡単に許していいことではないとわかっているのであの感じ。十六夜くんは何かあったと理解していながらも個人的興味から傍観のスタイル。黒ウサギは大人気なかったと恥じながらもやはり納得はいっていない感じですね。
ちなみに勘違いのないように言っておきます……別に恋愛フラグは建ってない笑