異世界より”超高校級”が参戦するようですよ! 作:ヤッサイモッサイ
前回の投稿より約四日間ほど日間ランキングに乗り続けているのを見てずっとニヤニヤしていました。
最高が23位ということですごく快調な滑り出し…………というには少し遅い感じもしますが景気よくここまでこれたと思っています。
活動報告にも載せたのですが小説の書き方について少し思う所、意見がありまして。
「人称視点が三人称になったり一人称になったりするのは見づらい」
との意見をいただきました。試しに今回は並べく視点の移動をしないように書いてみたのですがどうもくどい文になっているような気もします。良ければ感想をおきかせください。
あと自分で見直して思ったのですが「セリフと
セリフの間の改行」が目立っているような感じがします。
普段活動している某携帯小説サイトではあまり目立たないのでそのつもりで書いていたのですがこの間見直して気になったので今回はそこも直してみました。
これもできれば意見が聞きたいです。
ではまえがきを長々とすいませんでした、失礼します。
ケモノさん、赤ずきんさんはこちらではありません
ケモノさん、赤ずきんさんはこちらではありません。
水樹を植えたあと、俺たち一行は現在コミュニティメンバーが寝泊まりしているという館にやってきていた。
「案外でかいな。」
「たしかに貧乏という割には…………かなり豪邸だよな。」
久遠はそうでもなさそうだがどうにも予想よりも大き過ぎる建築物に驚かされる。
別館まで付いているというのだから想像し難い規模だ。
「遠目からでもかなり大きいけど……近づくと一層大きいね。何処に泊まればいい?」
「コミュニティの伝統では、ギフトゲームに参加できる者には序列を与え、上位から最上階に住む事になっております…………ですが、今はお好きな所を使っていただいて構いませんよ。移動するのも面倒でしょうから」
「そう。そこにある別館は使っても構わないの?」
「あちらは子供達の館ですよ。警備上の問題から皆で此方に住んでます。あぁ、あちらを使っていただいても構いませんよ…………もっとも飛鳥さんが一二十人の子供と一緒に住みたいのならですが。」
「ぜひ遠慮するわ」
何故かいい笑顔で言い切った黒ウサギに一瞬でゲンナリとした表情になった久遠が即断する。
確かに一二十人の子供と生活するのは…………よほどの子供好きでなければ一日と持たないだろう。
「というかもう夜も深いけど…………浴場の掃除はできてるのか?」
少し疑問だったのが水門を洗わなければならないほどの期間使って無かったと言う事は同期間風呂も使われてなかったということだ。
黒ウサギが一切話題に触れなかった為に気になってはいたのだが………………冷や汗を流す様子から見ると洗ってなかったようだ。
「すぐに掃除してまいりますので少しの間お待ちください」と力強く言って駆け出していった黒ウサギに俺の「手伝おうか?」と言う言葉は届かず俺たち四人は少しの間立ち尽くした。
子供達を別館へと案内して戻ってきたジンにそれぞれ部屋に案内された後は俺はベッドへと倒れ込んだ。
不思議と疲労感はそうでもないがそれにしたって今日は色んなことがありすぎた。
風呂に入るにしても先に女性陣が入るらしいのでだいぶ後になるだろうしなんなら少し寝てしまおうか…………そんな風に少し微睡んで来た所でその鈍い幸せが突如乱入してきた十六夜に壊される。
「おら集合だぞ日向!」
………………。
「扉を蹴っ飛ばすことはないだろうに、壊れたらどうすんだよ。」
「こないお前が悪い、寝てないで早く来い。」
なんて横暴な…………。
しかし一度覚めた睡魔はそう都合良く襲ってきてくれるわけでも無く十六夜を追い払ったところでもう一度先程の多幸感に身を包む事は出来そうも無い。
…………しょうが無いか。
「わかった。女子の部屋はそんな乱暴にするなよ?」
「あいつらは自主的に来たぞ?」
…………あれ?俺がおかしいのか?
少し自分を疑いながら十六夜に連れられて入った貴賓室では既にほかの二人がくつろいでいた。
「あんまりにも遅いもんだから連れてきた。」
「なんか盛り上がってた見たいだけど何を話してたんだ?」
女子二人で話すことといえば男には入りづらいイメージがあるが…………あの修学旅行の経験もあるし何より二人の住んでいた時代の違いや一般的な女子から離れた二人のことを考えると意外とすんなりとそう聞くことができた。
「あら、ようやく来たのね日向くん。春日部さんに友達がいなかったと言う話をしていたのよ。」
「なんだ、俺が部屋を出た時から話が変わってねぇじゃねぇか。ちったぁ女子らしい会話を出来ねぇのかお嬢様。」
「女子がしていたらそれは内容に関わらず女子らしい会話でしょうよ。」
「…………そういう意味じゃないと思うぞ。」
「あら、日向くんも私たちの女子トークになにかご不満が?」
どこか底冷えする笑みを向ける久遠に警鐘を鳴らす本能のままに話を変える。
「ところで本当に友達がいなかったのか?小さい頃とか遊ばなくても話すやつとかは?」
流石にデリケートな話だとは思ったが自分から話し出したらしい様子を見て少し踏み込んでみることにした。
結果は頬を膨らませて視線をそらすというどこか小動物じみた反応だったので別の意味でタジタジにさせられたが……。
「別に友達がいなかったわけじゃない。人間じゃないだけ。」
「…………あぁ、なるほどな。そういえば春日部のギフトは動物とも会話ができるんだったな。何だいいじゃないか!俺の仲間にも春日部と似たような奴がいたぞ。」
「…………似たような人?」
「あぁ、田中っていう奴でな。いつも破壊神暗黒四天王っていうハムスターを4匹連れ歩いてたんだ。本当に動物と心を交わしてるみたいだったよ、あいつ自身動物としゃべれるとか言ってたから本当に話せていたのかもな。」
「そう…………すこし、会ってみたいかも。」
「………………そうだな、きっと二人は話が合うと思う。」
…………田中の話を理解できるかは別として。
「それにしても破壊神暗黒四天王なんてスゲェ強そうな名前じゃねえか。実は戦えたりするのかそのハムスター?」
「…………いやぁ、それはどうだろうな?」
弐大の時は確か一緒に正面から戦ったらしいけど…………どうしても芸達者で表情豊かなハムスターとしか思えない。
「それにまぁ気にすんなよ。俺も友達少なかったしな。」
「………………え?」
「あら意外、日向くんは別に忌避されるような事はないでしょう?」
「そのまるで俺たちは忌避されてるみたいな言い方やめねぇか?別にグサッと来るわけでもねぇがなんかスゲエ虚しいぞ」
「別に私は十六夜くんを指していたわけではないのだけれど…………ひょっとしてここにいるのって全員友達いない寂しい人達?」
「…………ぼっち。」
「いやぼっちっていうほどでもないけど…………まぁ疎まれたりはしてたな。」
蘇るのは中学時代の記憶…………必死に勉強して希望ヶ峰への進学が決まった頃の周りからの声。
「…………この話やめないか?ぼっち自慢なんかしてもつまらないだろう。」
「それもそうね。それに今は春日部さんという友達もいる事だし」
「…………飛鳥、友達。」
「待て待て俺たちは違うのか。」
「十六夜は…………うん。一匹狼…………みたいな?」
「…………動物は友達だよな?」
「おい待て十六夜!いくら悲しいからって狼はどうなんだ!?」
「うるせぇ!さりげなく俺のメンタルを削りに来たのはお前らだろうが!」
「あらごめんなさい。取扱説明書をもらっていなかったから少しぞんざいに扱い過ぎたみたい。」
「…………以下同文。」
どことなく既視感を覚える光景だが被害を受けてるのは黒ウサギではなく十六夜だ。というか十六夜がいじられてるのはすごく新鮮だ。
「この扱いは黒ウサギの役目だろうが!」
「いやそれもおかしいでございますよ!?」
浴場の準備ができたことを知らせに来た黒ウサギが自身の扱いに素早く異議を申し立てる。
「チッ…………。」
「なんで舌打ちするんですか十六夜さん!…………もう!湯殿の準備ができましたので女性様方からどうぞ。」
「それじゃ行きましょうか春日部さん。それじゃあお先にいただくわね十六夜君たち。」
「…………それじゃ。」
「俺は二番風呂が好きな男だから特に問題はねぇよ。」
「俺も別にこだわりはないから構わないぞ。」
早速浴場へと向かった三人を見送って再び柔らかな椅子へと身を沈ませる。
微睡みを対価として払っただけあってコミュニティ内の壁は少しとっぱらえた気もするな。
特に久遠のことは気になってたんだけど…………普通に話す分には問題なさそうだったし…………。
「さて…………そんじゃ今の内にお客様にご要件を伺わねぇとな。」
「お客様?なんの話だよ。」
「おいおいわかんねぇのか?外だよ外。」
…………外?
別に窓に影が映っているわけでも───待てよ?そう言えば久遠はガルドの手口について何か言ってたな…………。
たしか対戦相手のコミュニティから女子供を攫って人質にしているとか…………。
「なるほどな。まぁ子供だらけのうちのコミュニティはさぞ狙いやすいだろうな。警備上の問題から一緒に居るらしい黒ウサギは今は風呂だし。」
「そこまで考えての行動かはわからねぇけどな。」
まぁそこまでわかっていてここで座っているわけにもいかないだろ。
椅子から離れたがらない体を無理やり気持ちで立たせて十六夜と共に外へと出る。
夜の暗さもあって俺にはイマイチ居場所がわからないが十六夜の視線は脇の茂みに固定されている。
ということはそこに隠れているのだろう。
片手で拾った小石を弄びながら十六夜は暇そうに立っている。
仕掛けてくるのを待っているのか。理由はわからないが俺は沈黙に耐えられなかったので空を仰ぎながら話しかけてみた。
「箱庭の星空は綺麗だな。星も月も…………。」
「相変わらずのロマンチストだな。空なんか見てなかったぜ。」
嘘をつけ嘘を。
「十六夜は星座なんかわかったりするのか?」
「まぁそこそこにはな。だけど箱庭のはどうもバラバラだ。星座があるにはあるがとなりあってないはずの星座までとなりあってやがる。」
「…………わからん。」
「まぁ今度時間があるときにでも教えてやるよ………………それより来るのか来ないのか早く決めてくれねーか?じゃないと風呂には入れねぇーんだわ。」
突如十六夜が俺以外の何者かに問をかけた。
だが返事は返ってこない。
「来ねぇなら───こっちから行くぞゴラァッ!!」
痺れを切らしたのか手に持つ石を振りかぶって茂みへと投擲する。
いや投擲というよりはもはや射出に近いそれはとんでもない威力で茂みを抉って着弾した。
「…………死んでないよな?」
「当てちゃいねぇよ」
「いやあててなくても人が死ぬレベルだぞ!?」
心臓に悪いわ!
「な、何事ですか!?」
先程の轟音の正体を確かめようとしたのか館から出てきたジンが眼前の光景にしばし言葉を失った
抉れ隠れる場所のなくなったそこに黒い装束に身を包んだ男が数人姿を現すように立っている。
「招かざる客…………ってやつか?」
「分かってて放置したってのは招いてるのとさして変わらない気がするぞ。」
「何を───貴方達はフォレスガロのッ!?何故ここに?」
だがそれにしても…………本当に来るとは………………なんて”つまらない”
人質が取られたからまた新しく人質を取る…………そんな負の連鎖を怯えゆえに抜け出せず愚鈍故に現実が見えていない。
つまらないというよりは…………
「愚かな連中だよ。」
誠に面白くないがそれ以上にこれ程までに悲しみを誘う劇はない。
もっとも劇の分類としては大変チープな
「落ち着けよ日向。怖い目してるぜ?」
…………いつの間に。
少しほの暗い感情を抱いただけでこれとは…………クソッ、情けない。
「大丈夫だ、それよりも」
「───あぁ、こいつらの話を聞くとしようか。」
視線をくれただけでびくりと震える男たち。
黒い装束の隙間から覗く特徴的な耳と尻尾から殆どが獣族という存在であることが伺える。
中には爬虫類のような特徴を持つ者までいるのだから箱庭のバリエーションには感服の一言だ。
「お前ら人間じゃねぇんだな」
「あ、あぁ。いかにも我々は人をベースにケモノのギフトを持つもの……格が低くこのように半端な変幻しかできないが。」
「なるほど、格が高けりゃよりその特性を濃く引き継げるのか…………いや特性を濃く引き継いでいるからこそ格が高いっていうんだな。」
「興味深い話だな。…………で、話したいことがあるんだろ?さっさと話せ」
十六夜の催促に侵入者たちは顔を見合わせてから跪いて俺達の予想と寸分たがわぬ事を言ってみせた。
「恥を忍んで頼む。我々の…………いえ、魔王の傘下であるコミュニティ、『フォレスガロ』を叩き潰していただきたい。」
「嫌だね。」
「そもそも俺たちは参加しない…………というかさせてもらえないから知らない。」
俺と十六夜の辛辣な答えに侵入者もジンも驚いて言葉がなかなか出てこない。
「別に俺は他人でも助けられるなら助けたいとは思ってるさ。…………だけど別に見捨てられないわけじゃない。悪いとは思うけど俺はアンタらを助けたいとは思えなかった。今だって俺らに助けを求めに来たわけじゃないんだろ?」
「人質を取りに来て失敗して勝手に希望を持って自分勝手に頼み込んで来た…………違うか?」
俺の対応が厳しいのは気のせいじゃないだろう。
だが自分のために他人を犠牲にできる人間を俺はよく知っている。
その人達を切り捨てる事だってたくさん経験してきた。
仲間でさえ切り捨てられる人間がどうして赤の他人を…………しかも仲間を狙った奴らを切り捨てないと言う結論に至るのか。
俺に救うことはできない。俺には彼らの希望になることができない。
あまりにも鋭い言い方に言葉をつまらせる侵入者と意図が掴めずその場で立ち尽くすしかないジン。
「人質を…………取られているのです。」
「自分勝手だな。ついでにいうならその人質既にこの世に存在しねぇから。はい、この話題しゅーりょー。」
「い、十六夜さんいくらなんで───」
「そこで口を挟むのは違うぞ、ジン。」
十六夜の余りにもはばからぬ物言いに流石にと止めに入ろうとしたジンを嗜める。
確かにジンの行動は人としては美徳だろう。
敵にも気を使い、仲間の過ぎた行動を止める…………だが敵は敵だ。そして彼はリーダーなのだ。
彼が気を使った相手は…………自分達に害をなす敵にほかなら無い。
覚悟を示すというのならば…………十六夜にリーダーであると認められたいのならば…………選ぶ道はそうじゃない。
温いだけのリーダーなんて誰にでもできる。
逃げ道を示すことなんて誰にでもできる。
リーダーが示すべきは逃げ道ではない。少なくとも俺が知っているリーダーは…………最後までそうであろうとしていた。
言葉にせずに伝わるとは思わないが…………気付かなければ意味が無い。十六夜の意図はあらゆる意味で毒だ、叶うことならば自分の意志で歩いて欲しいと思う。
「そ、それでは本当に人質は…………ッ!!?」
「…………はい、ガルドは人質をさらったその日に殺していたそうです。」
「そんな…………」
ジンの態度にそれがタチの悪い冗談ではないことを悟ると力を失ったようにその場に項垂れる。
自身の中での「仲間のために」という免罪符が消えただけでなく自身と同じ存在を増やし犠牲を積み重ねた先に何もないことを知った彼らの絶望は余程の物だろう。
だが俺に彼らにかける言葉はない。絶望に付け入る隙を与えたのは自分たちだ。
俺は原因を許すことはできないし彼らに同情もする…………だが彼ら自身を恨まないでいられるかと言われれば話は別だ。
…………だが十六夜はそんな俺のさらに上を行く。
俺も自分でも残酷なことをしていると思っているが十六夜は…………この後に及んでもなおその顔に笑みを浮かべ何かを言い出すタイミングを待っていた。
「お前ら……『フォレスガロ』が…………ガルドが憎いか?叩き潰されて欲しいか?」
口から出るのは途轍も無く甘美な毒。
希望を奪うのが絶望ならばまたその絶望を払うのも希望にほかならない。
「───あたりっ…………まえだ!俺たちが!あいつのせいで!!どんな目に遭ってきたか!!」
そして絶望に囚われた人間は絶望に堕落しながらも無意識に希望を求める。それはもはや明かりに誘われる虫の如く逆らい難い事象とも言える。
誰にも止めることはできない。
「そうか…………だがお前達にその力は無い。」
…………残酷な話。十六夜の差し出した希望は作り物だ。
悲しみに暮れる彼らだからこそ希望に見えるだけで彼らの罪が消えるわけでも死んだものが戻ってくるわけでもない。
失ったものたちは変わらず怨嗟の声を向けるだろうし死んだ者へいくら話しかけても声は返ってこない。
「そうだ…………アイツは腐っても魔王の配下。ギフトの格も実力も俺達とは違うし万が一勝てたとしても魔王に目をつけられれば…………。」
…………でもそれは希望を信じてはいけない理由にはならない。
いくら十六夜や俺が作り出した仮染の希望だとしても、俺たちが彼らを利用するために作った状況だったとしても…………彼らの気持ちは本物だ。
力を持たないことに苦悩し後悔することを罪だとは…………言わせない。
俺たちはこのコミュニティを───力を持たないもの達の為のコミュニティとして再び立ち上がらせる。
その為にも───
「「───仮にその魔王を倒すためのコミュニティがあるとしたら?」」
「な、何を言っているんですか二人とも!」
その先に待ち受けるのが目的の魔王以外だったとしても俺たちはそれらをまとめて打倒する。
理解不能の現象?世界の創造??それがどうした。今も俺の目的は死者の蘇生だ。脳まで改造されて消滅はずの俺がこうしてここに立っている奇跡がどうしてまた起きないといえる?
「魔王を倒す為のコミュニティ……?一体それ
は」
「言葉の通りさ。俺達は魔王のコミュニティ、その傘下のコミュニティも含め、全てのコミュニティを魔王の脅威から守る」
「対価なんて大それたもんは請求しないさ。俺たちが求めるのは失った『名前』に代わるもの。」
「“押し売り、勧誘、魔王関係お断り。まずはジン=ラッセルまでお問い合わせを”ってな。」
「ちょ、なにを───「さて!あんたたちは何をしてくれる?ちょうどお望みを叶えてくれる存在が目の前にいる。それも俺たちと違いガルド挑まんとする存在だ。」」
突然のことに異議を申し立てようとしたジンの言葉を遮るようにして侵入者たちに問いかける。
「人質のことは残念だった!だけど安心していいぜ。明日ジン=ラッセル率いるメンバーがお前達の仇を取る!その後の心配もしなくていいぞ!なぜなら俺達のジン=ラッセルが“魔王”を倒すために立ち上がったのだから!」
「おお…!」
…………俺もそうだけど随分と芝居がうまいことだ。頼むから次回からはもっと言葉にして意図を伝えて欲しい。
考えていることが同じだったから良かったものの違えばこのチャンスを無駄にするところだった。
これ程までに打算に塗れた希望を掲げるチャンスは早々ない。悪役と被害者とヒーローが揃ったのならば…………せめて舞台ぐらいは整えるさ。
「やることはわかるな?わかったならさっさと帰れ。そうすれば後は万事上手くいくさ」
「わ、わかった!明日は頼むぜジン=ラッセル!」
「ま、待ってくだ────」
もはや彼らの耳にジンの言葉は届かず仲間を失った悲しみとその悲しみを晴らす希望に浮かされた表情で素早く去っていく。
自身の預かり知る所で手も出せずに事が進む様を見せつけられたリーダーは力無く膝を折り、どこか自失呆然としながら黒装束の去っていった方角を見ている。
そんな可哀想な犠牲者を見ながらも俺は…………自身の掲げてきた希望が毒になる様を見て………………最後の裁判所での誓いを汚したかのような────そんな罪悪感に苛まれていた。
最後の方キャラ崩壊してる気もして怖い。
不自然じゃないでしょうか?