不屈の悪魔   作:車道

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宿敵?もうひとりの魔法少女なの! その①

 レイジングハートを手にしてからと言うもの、なのはの生活は激変までとはいかないが、確実に変化していた。

 毎朝の恒例のランニングの時間を魔法の練習に割り振り、夕食後も寝るまでの数時間はジュエルシード探しに当てるようになった。

 

 発動すれば場所を嗅ぎつけることができるのだが、そのような気配は一切なかった。

 偶然にも康一がジュエルシードを拾った小学生を見つけて、どうにか手に入れた一個を合わせた四個のジュエルシードがなのはの手元にあるが、思ったよりも集まりは良くない。

 

 アンジェロと遭遇してから、なのはは人気の少ない場所にユーノから教わった魔力を遮断する結界を張り、魔法の練習を重ねていた。

 魔法には人それぞれ適性というものがある。ユーノの場合は、捕縛、治癒、結界といった補助魔法を得意としている。

 その代わり攻撃系の魔法を不得手としており、射撃魔法は使えないこともないがあまり威力は出せない。

 

 なのはの適性は集束と放射、そしてなぜか変身魔法にも高い適性があった。

 ユーノは首を傾げていたが、なのはにはその原因に思い当たるフシがあり、苦笑いすることしかできなかった。

 なのはは前世では解離性同一性障害、いわゆる多重人格者だった。

 今のなのはを形作っている人格はディアボロだがレクイエムに囚われる前は、もう一つの人格が彼の中には宿っていた。

 その人格の名はヴィネガー・ドッピオ。気弱だが優しい性格の少年で、心からディアボロが信じられるのは彼だけだった。

 ディアボロとドッピオは同じ体を共有していたが、人格が入れ替わると顔や体つきまで変化するという特異体質で、正体を隠すのに一役買っていた。

 三十代の男が十代後半の少年に変化するその様は、まさしく変身といっても過言ではないだろう。

 

 ここ数日でひと通りの魔法を試し終えたなのはは、レイジングハートと戦闘方法の模索を始めていた。

 

「レイジングハートに近接戦闘の機能は備わってる?」

《フレームの強度に若干の問題はありますが、魔力刃(まりょくじん)で斬り合うことなら可能です》

 

 なのはのスタンド、キング・クリムゾンは本体から二メートルほどしか離れることができない。

 戦術にスタンドを取り入れるのならば、必然的に接近戦を強いられることとなる。

 レイジングハートのようなインテリジェントデバイスは接近戦には向かないが、全くできないわけでもない。

 アームドデバイス(武器の形のデバイス)や専用にチューンナップされたデバイスには劣るものの、無理に使わなければ戦闘自体は可能だ。

 

「射撃や砲撃はともかく、斬撃はあまり効果がないんじゃないかな」

「アンジェロ相手には役に立たないだろうけど、手札は多いに越したことはないからね」

 

 ユーノの指摘はもっともで、面で攻撃する射撃や砲撃と違い、線で攻撃する斬撃はアクア・ネックレスには効果はない。

 だがなのはは先のことを見越して、魔法のバリエーションをできるかぎり増やすことにした。

 魔法の才能やスタンドを使った実戦経験があるとはいえ、なのはは魔法の初心者だ。

 ユーノやレイジングハートの教えを着実に吸収しているが、慢心していては足元をすくわれる。

 無敵と称していたキング・クリムゾンにも勝てない相手はいるのだ。

 己のスタンドを過信しすぎて敗れてしまった苦い記憶は、なのはの中で教訓として根付いていた。

 

「なのはの訓練を見ていて感じたが、魔法というものは凄まじいな。だが、寄って切れば対抗することも……」

「恭ちゃん、なにかとてつもなく凶悪なこと考えてない?」

「いや、そもそもお兄ちゃんの太刀筋は、承太郎(じょうたろう)のスタープラチナぐらいでしか見切れないからね」

 

 空条承太郎、四年ほど前に数ヶ月だけこの町に滞在していたスタンド使いだ。

 彼は海洋学者として有名だが、裏社会のスタンド使いたちにもその名は知れ渡っている。

 

 時を止める最強のスタンド使い。

 スタンドに強い弱いの概念はないが、承太郎と組んだスタンド使いが敗れたという話がないことからもその強さがうかがえる。

 彼の強さは単純なスタンドの性能だけではない。

 冷静沈着に敵のスタンド能力を推理する判断力こそ、彼が最強と言われる理由だ。

 

(承太郎にはとりあえず話を通しておいたが、スピードワゴン財団の助力は借りられそうにない。精々、最悪の事態が起こったときの保険といったところか)

 

 相変わらず剣術馬鹿な兄に呆れながら、なのははアンジェロと遭遇した日の夜に交わした承太郎との通話の内容を思い返していた。

 

 

 

 

 

 つい先日、杜王町で起きた原因不明の事件。

 ネットにはいくつかの目撃情報が流れていた。

 嘘か真か判断の付かない情報ばかりに嫌気の差し始めていた承太郎のもとにかかって来た電話の相手の話は、ネットの噂なんて目じゃないほどにぶっ飛んだ内容だった。

 

「……本当なのか?」

 

 こんな下らない嘘を吐くやつでは無いことは知っているが、あまりにも現実味のない話に承太郎は口に咥えていた煙草を落としそうになった。

 

『信じられないなら、あとで仗助に電話しろ。あいつならおまえに嘘をついたりはしないだろう』

 

 電話越しに聞こえてくる可愛らしい声とは不釣り合いな喋り方をしている少女の真剣な声色に、承太郎は数秒黙りこくった後に口を開いた。

 

「わかった、おまえの話を信じよう。ポルナレフについての話は本当だったんだ。今回の件もきっと本当なんだろう」

『要件はただ一つ、SPW財団の力を借りられないかどうかだ』

「……難しいだろうな。SPW財団はあくまでスタンドや吸血鬼、超常現象に対してしか動けない。魔法を超常現象という括りで扱うことは可能だが、話が外部に漏れる恐れもある」

 

 スビードワゴン財団とは石油王ロバート・E・O・スピードワゴンが設立した財団だ。

 医療などを中心に力を入れている財団で、その中に超常現象を扱う部門が存在する。

 

 ジュエルシードによって引き起こされる現象も超常現象にあたるが、今ここで手を出してしまったら、いつか来訪するであろう時空管理局との話に折り合いをつけるのは難航するだろう。

 それに魔法の文化のない世界に魔法を広めてしまったら、ユーノになんらかの罪が課せられてしまう可能性もある。

 それゆえに承太郎は対応は難しいと答えた。

 

『やはりか。なら承太郎からSPW財団に、杜王町の件は問題ないと伝えておいてくれないか。余計なことをされてはたまらないからな』

「いいだろう。今は仕事が立て込んでてそっちに行けそうにはないが、なにかあったらおれのほうからも手を回してみよう」

 

 学会に提出する論文を書きながら、SPW財団の依頼で世界各国を飛び回っている承太郎は非常に多忙な身だ。

 なにせ家を開けすぎて妻に愛想を尽かされかけてしまうほどだ。

 これは必要以上に仕事を引き受けている承太郎に問題があるがここでは割愛しよう。

 

「ありがとう、承太郎」

 

 承太郎とのやり取りを終え普段通りの喋り方に戻ったなのはは、一言だけ礼を述べた。

 

「余計な気遣いはいらねえ。ガキはガキらしくしてればいい。今のお前はただの小学生だ。こっちは昼間だがそっちはもう真夜中だろう。ガキはとっとと寝ろ」

 

 子供扱いに若干の苛立ちを覚えながらも、眠気に耐えられなくなってきているのは事実のため、なのははなにも言えなかった。精神的には成長していても睡魔に耐えることは厳しいのだ。

 

「その気遣いを、もっと家族にも見せればいいのに」

「なにか言ったか?」

「べつになにも言ってないよ。それじゃあ、おやすみ」

「ああ」

 

 通話が切れた受話器を戻した承太郎は、虚ろな目でスタープラチナに取らせていた会話のメモに目を通し始めた。

 実は聞こえていたなのはの小言によって受けた心の傷は深かった。

 

 

 

 

 

 ユーノとなのはが出会った夜から二週間近くが経過した。

 その間に学校で発動したジュエルシードを一個封印したが、ほかに暴走したジュエルシードもなく仗助たちの捜索も順調ではなかった。

 学校やバイトのない暇な時間を見つけては町を歩きまわっているが、康一が見つけた一個以降はすっかり足取りが途絶えてしまったのだ。

 もとより被害を抑えるために探しまわっているため、人目につきそうな場所にないのならそれでいいのだが、ユーノは焦る気持ちを抑えきれずにいた。

 

『ここまで探して見つからないってことは、人目につかない場所にあるんじゃないかな。アンジェロの襲撃もないみたいだし、管理局が来るまでの辛抱だよ』

『そう、ですよね』

 

 週末、なのはは休憩を兼ねてユーノを連れて月村家に遊びに来ていた。

 本当は断ろうとしたのだが、夜遅くまでジュエルシードを探しまわっていて疲れの溜まっていたなのはを心配した家族たちには逆らえなかった。

 

『ユーノも朝から晩まで探しまわってて疲れてるでしょ? 今日ぐらいは休んでもいいんじゃあないかな』

 

 地球の魔力素に体が馴染んできて魔力に余裕が生まれたユーノは、家の中では人の姿に戻って生活している。

 最初こそフェレットの姿で過ごそうとしていたユーノだが、桃子に撫で回されないように生活するのに疲れたのか、変身魔法は外出するときだけ使うようになった。

 

 元々、ユーノが人間だということは聞かされていたが、思っていたよりも幼いユーノの姿になのはたちは驚いた。

 年齢までは聞かされていなかったが、成人しているということから少なくとも16歳ぐらいだろうと思っていたからだ。

 子供が働いていること自体には、なのはも特に気にしてはいない。

 裏社会ではユーノぐらいの年齢の子供が働いていることも珍しくない。

 なのはは地球とは常識が異なるのだろうと思うことにした。

 

 休憩がてら、ユーノの無事な姿を見せに来たなのはだったが、彼はむしろ危機に陥っていた。

 月村家は大量の猫を飼っている。

 そして今のユーノの姿はフェレットだ。

 フェレットとはイタチ科の動物で、猫の親戚に当たる。

 好奇心旺盛な猫がユーノに興味を示すのは当然のことだった。

 

『ちょ、なのは! 助けて、助けてえええ!』

 

 可愛らしい鳴き声を出しながら猫に追い掛け回されるユーノ。

 部屋の入り口まで追い詰められている彼を不憫に思ったなのはは、席を立ち近寄った。

 そのとき、すずか専属のメイド、ファリン・K・エーアリヒカイトが紅茶と菓子を銀製のトレーに乗せて部屋に入ってきてしまった。

 

 足元を走り回るユーノと猫に気を取られたファリンが、バランスを崩し転びそうになる。

 ファリンの身の安全──というよりは、運んできた紅茶と菓子の心配をしたなのはは、無言でキング・クリムゾンの手をファリンの後ろに回した。

 

「え、あれ……?」

 

 ちょうど入り口に向かおうとしていたため、キング・クリムゾンの射程距離内に入っていたことが功を制した。

 支えられたことでバランスを取り戻したファリンは、転ばずにすんだが目を白黒させていた。

 

「なのはちゃん、ありがとう。スタンドでファリンを支えてくれたんだね」

 

 すずかの目にスタンドは見えないが、なのはとファリンの位置関係からスタンドを使ったことを察した。

 

「勘違いしないでね。わたしが手を出したのは、ファリンのためじゃなくて、おやつのためなんだから」

「ふふふ、そういうセリフはアリサちゃんが言う方が似合うと思うよ」

「ちょっと、それどういう意味よ」

 

 冗談めかしたなのはの言い回しに、すずかは思わず笑ってしまった。アリサも口ぶりこそ不満そうだったが顔は笑っていた。

 そんな一悶着を終えたなのはたちはバルコニーから庭に出て、猫を見ながらお茶をすることにした。

 

「なのはちゃんって紅茶のこと詳しいよね」

 

 なのはは紅茶を淹れるのが上手い。ディアボロとして過ごしていた頃は、ドッピオの人格でしか町を出歩けなかったため自然と身についた技術だったが、前々からアリサとすずかはどこで学んだのか気になっていた。

 

「飲食店の娘だからね」

「まったくもう、いつか本当のこと教えなさいよね」

 

 なのはが昔からなにかを隠していることに二人は感づいているが、無理に聞き出そうとは思っていない。

 スタンドについて教えてくれたなのはが話そうとはしないこと。それはきっと彼女の根幹に関わることなのだろう。

 

 なのはは自分のことを嘘つきだと言っていた。

 だが彼女が人を傷つけるための嘘はつかないことを知っている。

 だから二人は、なのはが自分から話してくれるまで待つことにしたのだ。

 

 子猫を抱きしめて微笑んでいる二人を眺めていると、なのはの脳裏に金切り音のような違和感が過った。

 それはなのはが、プールのジュエルシードが発動した時に感じた感覚と同じものだった。

 

『なのは!』

『この反応はすぐ近く!?』

『どうする? 二人に黙って向かったら怪しまれるよ』

『えーと……そうだ! ユーノ、先にジュエルシードのもとに向かって。わたしもすぐに追いかけるから』

 

 念話でなのはの意図を理解したユーノは、机の上から飛び降りて森へと走り去っていった。

 

「ユーノ、どうかしたの?」

「なんだか興奮して森に入っていっちゃったみたい。ちょっと探してくるね」

「一緒に探しに行こうか?」

「大丈夫、すぐ戻ってくるから待ってて」

 

 ユーノのことを心配してくれている二人がついてこないように誤魔化しながら、なのはは森へと駆け出していった。

 

 

 

 

 

 ユーノと合流して走っている途中で、ジュエルシードが発動するときの魔力が溢れだした。

 

「早く封時結界を」

「うん、わかった!」

 

 青白い光とともに木々の隙間から現れたのは、一戸建ての家ほどの大きさになった子猫だった。

 文字通り、子猫の姿のまま大きくなった猫が、なのはたちの方に振り向き、鳴き声を上げた。

 ひとまず結界の範囲内にいるはずの恭也に連絡しようと、携帯を耳に当てていたなのはは、口をあんぐりと開けながら目の前の光景に固まってしまった。

 ユーノも同じく呆然としている。

 

「あ、あれは……?」

「た、たぶん、あの猫の大きくなりたいって思いが正しく叶えられたんじゃないかな……?」

「そ、そっか」

 

 高まっていた警戒心を飛散させながら、なのははとりあえずジュエルシードを封印するために胸元に吊るしていたレイジングハートを取り出した。

 

「レイジング──ッ!?」

 

 突如(とつじょ)として飛来した金色の光の筋が子猫を体を射抜く。

 痛々しげな表情で悲痛な声を上げる子猫を意識の外に追いやり、なのはは光が飛んできた方向に目をやった。

 視界の先の電柱の上に攻撃を放った人物は立っていた。

 斧槍のような漆黒の杖を手に持った、レオタードのような服装をした金髪の少女。

 その姿に見覚えはなかったが、直感でなのはは彼女の正体を理解した。

 

(あの子供は魔導師に間違いない。そしておそらく、味方ではないだろうな)

 

「バルディッシュ。フォトンランサー、連撃」

《Photon lancer Full auto fire.》

 

 金髪の少女──フェイト・テスタロッサが無表情で、次なる魔法を撃つための命令を右手に持ったデバイス──バルディッシュに告げる。

 レイジングハートのものとは異なる男性の合成音声で、バルディッシュは言葉を返した。

 バルディッシュの切っ先が金色に輝き、先ほどの閃光が連続で発射される。

 痛みで動けない子猫は、避ける間もなくフォトンランサーの的になってしまった。

 

「この辺りには魔導師はいないはずなのに、どこから彼女は……」

 

 前触れもなく現れた謎の魔導師の姿にうろたえながらも、ユーノは少女が何者か考えていた。

 すぐに落ち着きを取り戻したユーノの姿を見届けたなのはは、握りしめていたレイジングハートを掲げて起動の言葉を声に出す。

 

「レイジングハート、セットアップ!」

《Stand by ready. set up.》

 

 バリアジャケットを身に纏いキング・クリムゾンを出したまま、なのはは少女がどんな目的でいきなり攻撃し始めたのか問いただすために、猫のそばまで飛び立った。

 

《Wide area Protection.》

 

 広範囲を守ることのできるプロテクションを展開し、フェイトの放つフォトンランサーを受け止める。

 威力自体は至近距離で受けたアンジェロのウォーターカッターよりは低かったため、難なく防ぐことに成功した。

 

 乱入者に反応を示したフェイトが、子猫の足元をフォトンランサーで撃ち抜き転倒を狙う。

 子猫の上に立っていたなのはは、倒れる寸前で地面へと降り立ちフェイトの様子を観察していた。

 様子見に徹しているなのはのもとに近寄ってきたフェイトが、感情を感じさせない凍てついた声色でなのはに声をかけた。

 

「同系の魔導師、ロストロギアの探索者か」

「そういうあなたは、ジュエルシードをどうするつもりなの?」

 

 会話が止まり二人の間に不穏な空気が流れる。両者とも殺気こそ出していないが、一歩も引く気がないのは傍目からでも明らかだった。

 

「ロストロギア、ジュエルシード……申し訳ないけど頂いていきます」

《Scythe form Setup.》

 

 バルディッシュの矛先から魔力刃が伸び、鎌のような形状に変化した。

 そしてバルディッシュを斜め後ろに構えた体勢で、飛行魔法を用いて高速でなのはのもとへと接近した。

 

 しかしなのはは動こうとしない。レイジングハートが警告を発するも、焦る様子もなくなのははじっとフェイトを見据えている。

 この光景にユーノは既視感を覚えていた。

 

(たしか前にもこんなことがあったような……僕となのはが初めてあったとき……)

 

 本当ならあのときのように飛び出して守らなければならない状況なのだが、ユーノはなぜかそうしようとは思えなかった。

 そうしているうちにフェイトの凶刃は、なのはの目の前まで迫っていた。

 怪訝に思いながらもフェイトはバルディッシュを振りかぶる。

 避ける間もなく吸い込まれるように、金色の刃がなのはの胴体に向かって流れてゆく。

 

「キング・クリムゾン」

 

 直前にポツリとなのはが呟いた言葉にフェイトは首を傾げた。

 魔法の詠唱にしては魔力もなにも感じられない。

 その証拠になのはが手にしているデバイスはなんの反応も示さない。

 心の中で謝罪の言葉を唱えながら、バルディッシュを握る手に力を込める。

 せめて痛みを感じる間もなく意識を刈り取ろうと決めて、バルディッシュを振り抜こうとした。

 

「……え?」

 

 フェイトは驚きのあまり、鉄仮面のような無表情を崩してしまった。

 たしかにバルディッシュを振りかぶった。そのはずなのに、フェイトの心はあまりの衝撃で揺れ動いていた。

 

(あの子の姿が消えた……いったいどこに……?)

 

 前触れもなくなのはが姿を消したことに混乱しているフェイトの背後で、なのはは獰猛な笑みを浮かべながら次なる一手を放とうとレイジングハートを構えていた。


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