やはり魔法科高校の魔王の青春は間違っているストラトス 作:おーり
途中の空きまくった行間で場面も転換されますのでご注意を
各話の地の文前半は読み飛ばしても問題ないかと思われますが、あれだよ、これまでのおさらいみたいな奴なんだよきっと
【さよな●トリガー】
「……いないと思ったら、こんなところにいたんですね……」
「ああ、凰さん……。キミも来たんだね……」
「あ、これからは苗字替わります」
「え、何があったの……?」
「ていうか名前もちょっと変わります」
「本当に何があったの」
『
果たしたその人物に己の現状を改めれば呆然とした貌で問い返す、イツノマニヤラIS学園より消失していたかつての元機動教科担当教諭・シャルロット=デュノアに向かって、改めてえへへとまんざらでもないような照れた笑みを浮かべた。可愛い。
「いやぁ、ちょっと中国から亡命してきて戸籍を新しく用意して貰ったんですけどね。強行軍だったせいでこれからは国家代表候補生兼高校生としてじゃ当然無くて、国籍も親の庇護も高卒資格すらもない、自己紹介欄にフリーターと書くしか選択肢が無い只の美少女に成っちゃいました。てへっ」
「何処から突っ込めばいいのかわからない……!」
これからは国家代表候補生兼高校生としてでは無く、国籍も親の庇護も高卒資格すらもない自己紹介欄にフリーターと書くしか選択肢が無い美少女となったことを自覚し『ふへっ』と自嘲めいた笑みを浮かべながらあっけらかんと言い放つその様に、シャルロットは慄きつつ一歩引く。
但しお互いに、彼女が自分で自分の事を美少女と
実質その通りだという話なのでは無く、国家代表候補性に選ばれた彼女らの認識には、見た目の美醜を今更語るほどの意識を一々抱く必要がないからだという話でしかないのだ。
尚、『それ同じ意味だよね』等と言う才能の無いツッコミは請け付けないモノとする。
当初は日本の神殺しと幼馴染である、という関係性を主軸に本国より取沙汰され、『上手いこと籠絡してウチの派閥に取り入れてよ』等とハニトラを要請された凰鈴音。
胸糞の悪くなる命令を下してきた上層部が自分たちの上座に居座る存在と同等の存在が隣国に突然出現したことに危機感を覚えるのは理解できるが、かと言って火中の栗を無理矢理拾わせようというのは話の筋が通っていないんじゃないか、とも思える。
しかし実際のところ、諸々の経緯の果てに国の実権を握ることとなった羅濠教主からしてみれば、出来る限りリスクの少ない賭けを彼女にやらせよう、という意図などほとんどない。
精々が八幡に繋がる
何せ、神殺しとなった一年の内にイギリス・ドイツ・フランス・イタリア・ロシアと、その足跡をきっちり刻み付けて行った少年だ。
しかも、彼女の国には直接関係ないが、世界的にも影響を滲ませる女尊男卑社会の筆頭である彼の母国である日本でも、彼自身が国の政局に口出しできる立場にまで上り詰めている。
隣国としては無視も出来ない。盗聴器または発信機代わりに小娘1人備え付けようと画策するのも無理はないのだ。
鈴音としても、国からの命令なのは納得しきれないがそこは元来の儒教社会、命令を無視すれば家族諸共国家ぐるみでハブにされる恐れも在るし、そもそも話をホイホイ聞くだけで懸想としている八幡の傍に居座れるのだから文句などは無かった。
――移動した先に八幡が居らず、其処の代表に心をぽっきりと圧し折られていなければ。
しかし、そんな昨今の女性が表立って受けるとは思えないヴァイオレンスな経験が、巡り巡って八幡の何某かの琴線に触れ、結果として国籍破棄の上に国外亡命という立場を授与されるとは思いもしなんだ。
「そんなわけで、今後ともよろしくお願いしますね先輩っ。あ、先生の方がいいですかね……?」
「教員資格なんてあって無いようなモノだし、先輩でいいよ。それにしても、鳳さんはそんな立場になったって言うのに妙に元気だね。私だったら、自分の力が無くなっちゃったら、流石に落ち込むけど……?」
これが見ず知らずの誰かにやられたというならば憤慨憤死の必定であったのだろうが、その果てに彼に近い場所へと導かれたのだから結果オーライが過ぎる。
何気に自らの初恋の結末が未だに訪れていない凰鈴音改め鳳鈴。相手には既に奥さんがいるとかいう話であるが、直接フラれたわけでもなく亡命後のアフターケアまで施されている以上は嫌われたわけでは無いというポジティブなシンキングで心機一転。
新しい人生を歩むことに何の不満も持たない、彼の好みらしきチミッ娘であることにも最近誇りを抱き始めてきたスーパー酢豚系美少女鈴ちゃんが、八王子の某喫茶店へとログインして来たのであった。
「あ、いえ。別に国家代表候補生なんてのは元々力でも何でもない、結局肩書きだけですし。逆に目立っちゃって振る舞いばかり注目されるのって、普通に嫌じゃありません?」
「そう……。鳳さんは強いんだね。これもあの魔王様と幼馴染だから得られた考え方なのかもね」
「あと代表候補生じゃなくてもデータ取りの為に専用機はもちっぱですし」
「私はラファール取られたのに!?」
ちなみに、懸念が多少滲んでいた彼女の家族は縦横無尽な娘とその幼馴染の行動に関係性を切り捨ててきたわけだが、彼女に当初より保護者目線で接してきていたIS開発&整備班などは芋づる式に亡命に加担して来たのは此処だけの話。
そんな彼ら彼女らも纏めて八幡は、元亡国機業と言う立場の現在領土は八王子の一角だけ、な将来の新国家へと招聘を済ませていた。
大盤振る舞いであるが、此れで技術分野も廃れる恐れも無くなっているわけだから、世の中何がどう転ぶのかわからないモノである。
「え、持ってないんですか、IS?」
「持ってないよ! コアの数は充分すぎる程各国へ行き渡っている筈なのに私だけ所持禁止を言い渡されるってなにこれイジメ!?」
IS搭乗者はそれぞれ国家に所属するのだが、それぞれのコアの制御自体はIS委員会が最低限度の制約を担っている。
委員会からの通達が下されれば、大国に所属する搭乗者であればあるほどその制限から逃れることなど出来はしない。
そしてその結末を引き起こしたトリガーは、間違いなくIS学園襲撃時のアレだったのだろうなぁ、と鈴は思う。
すぐに辞めさせられたわけではなく、襲撃後しばらく経ってから辞任を全校集会で発表されたことを知る彼女の境遇については、しかし妥当じゃないのか、とも。
実際、襲撃の際には国家代表であったはずの彼女だったのだが、その実力にしてはあっさりとISを奪い取られ無力化されており、鉄火場でこそ評価が下されるべきIS乗りとしては致命的なマイナス査定が下されたのが実に手痛いと言える。
ちなみに、ドラゴンの発現を集束しきれなかったドイツのIS部隊ならばともかく、ヴォバン公爵と接敵したEU連合の生き残り(一部除く)や八幡の家族を襲撃した日本の女性人権団体に所属するIS搭乗者らは軒並み所持禁止を言い渡されている。
その通達は至極当然の如くだが、それでも一概に処分が下りないのは、それぞれに汚名返上の期間が設けられているからに外ならない。
それでも間に合わなかったというならば、やはり実力として未熟であるとしか言いようがないのである。
「文句があったら帰ればいいんじゃねーの?」
「帰ったらお見合い後に即輿入れを推奨されている家に帰れるわけないでしょ!? 自由が無いどころか送り付けられてきた相手の写真が50過ぎの太ったおっさんとか完全に凌辱系同人誌の未来――」
ウス=異本化する己の未来をメタメタに隠そうともしないまま、挟まれた口に勢いのままに返事をしたシャルロットが気付いた其処にいたのは、喫茶店の先輩店員であった。
蔓の赤い縁無し眼鏡を掛けたツインテールの彼女が、呆れたように溜め息を吐いた。
「IS学園辞めて行き場が無い、ってんで受け入れたが、そんな理由だったのか……」
「あ、鳳さん、こちら先輩の神無月 秋緒さん。接客並びにコーヒーの淹れ方は大体この人に教われば問題は無いから」
「おい、話を変えるな」
神無月と紹介された髪色のやや赤い秋緒さんは、打って変わって笑顔になり話を切り上げようと踵を返したシャルロットの襟首を掴んで離さない。
その正体は元亡国機業のエージェント、コードネーム・オータムだったりするのだが、まあ今はどうでもいい。
「ホールスタッフの神無月だ。ハチの旦那に頼まれちまったからにはお前を預かることに異論はねーが、あんまり甘えたこと口にするようなら蛸壺部屋送りにすっからそのつもりで」
「何この先輩怖い」
「なぁに気にすんな。ハチの旦那みてぇに“そういう体”にも興奮するって言う需要はあんだから、うちらの別口の商売に転嫁されてもやってやれないことはねぇ。特に女子なら選り取り見取りだろ、仕事なんて」
「「喫茶店を頑張ります!」」
『そういうお仕事』には極力就きたくない2人が揃って敬礼し声を合わせたところで、奥の扉ががちゃりと開く。
顔を出したのは、長い黒髪をシュシュでポニーテールにしたスコールたんだった。
「秋緒……、貴女また脅していたの?」
「あんだよサメ、新人に舐められるようじゃ仕事にならねぇだろうが」
「別に此れは遊びの延長だから、業績がどうなろうと気にしないのだけれど……」
え、問題ないの?
と、言いたげな顔で彼女を見遣る鈴に、スコールたんは微笑みを向ける。
「店長の
「あの、それ以前に気になる単語が聴こえたんですけど……」
「ああ、彼女の蛸壺部屋っていうのは口癖みたいなものだから」
「そっちじゃなくて」
いや、そっちも気にはなっているけれど。
しかし、納得を許されないままにそれじゃあコーヒーの淹れ方から教えてあげましょうね、と思いっきり偽名を名乗ったスコールたんは美少女の加盟にすげぇ笑顔でカウンター向こうへと鈴を連れてゆく。
そんな優しい対応をされている鈴を眺めながら、シャルロットはかつてこの喫茶店へと採用された経緯を思う。
『ホールスタッフの神無月だ! アタシは教えることが苦手だが、喫茶店初心者だというお前の為に特別に用意してやったガイドブックがある! コレを読めば7秒ですべて理解できるから読んでからなら質問に答える以上!』
『七秒!?』
しかし、読んでみても理解は追い付かず、疑問符がシャルロットの脳内へと埋め尽くされている間――、
『……5、……6、……7』
秋緒のカウントが終わる。
しかし、それでも未だに理解できていない反応のシャルロットに告げられたのは、彼女の優しい言葉などでは無かった。
『――……どクズが』
『先輩!?』
道路にへばり付く噛み捨てられたガムを見下すような、苛み虐げられ吐き捨てられるようなあの視線に晒されたその屈辱を忘れることなど出来やしない。
そんな解せない想いを、カウンター向こうへと無表情のまま思い起こすシャルロットは、涙を堪えているようにも見えたという。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽
【●ブライブ!】
「さて、あなた達を呼んだのは他でもないわ。ちょっとお願い事を聞いて欲しいのよ」
「帰るわね」
「帰ります」
「せめて聞いてあげようよ……」
此処は小笠原諸島の一角。
移転したIS学園本校がある離島の一つ、その中のやたら豪奢に建設された校舎の一角の生徒会室に集められたのは3人の学生であった。
呼び出したのは、IS学園生徒会長・更識盾無。
呼び出されたのは、司波マドカという合法ロリ、篠ノ之箒というポニテ巨乳、そして会長の妹の更識
水色ヘア(+メガネ)は帰ろうとした合法ロリとポニテ巨乳の襟首を引っ掴む。
それは奇しくも何処かの元亡国なんちゃらの構成員と似たような行動となってしまったが、会長の開口一番に踵を返して部屋の外へと足を向けた2人を阻止するにはこれくらいの強硬力が無いと阻むことも憚られるのだ。
その手際の良さに妹の成長をほろりと想う生徒会長はさて置いて、思わぬ力強さを垣間見せられた2人は制服が伸びるのも良しとしないので渋々従う。
配置を初期化し、さて本題。
「来年度のIS学園、廃校が懸念されているのよね」
「帰るわね」
「帰りますね」
「だから話を最後まで聞いてあげようよ……」
奇しくも同じ構図に以下略。
「それもこれも去年の諸々が痕を引いているのだけれど。そもそもマドカちゃん、1年が何人いるか把握しているわよね?」
「16人ね。1クラスにも満たなくって1年生用の校舎の過疎化が懸念されてるわ」
配置を戻して説明されるが、そんなことになっているとは露程も思っていなかったのか、話を振られたマドカ以外の2年生は揃って驚愕の表情を浮かべていた。
それと同時に、自分たちが呼ばれた意味を冒頭の副題から察した、とは余りにもメタいので言わないが。薄々感じる嫌な予感をじんわりと滲む様に受信して、背筋を首筋を冷たい汗が滝のようにバシャバシャ流れる。
「まあめんどくさい話はさて置いて、この廃校問題を改善するためにはIS学園の知名度と人気を復帰させる必要が在るからあなた達にはアイドルデビューしてもらうわね!」
「「「決定事項!?」」」
ワンブレスで言い切った盾無の通告する怒涛の展開に、口調も体格もテンポすらも合っていない筈の3人の声がスバァ!と揃う。
神業の片鱗を垣間見た。と、会長の手開く扇子には、妙に達筆な文字が躍っていた。
「なんでですか! 知名度と言う点なら、この社会になってからIS学園を目指すのはエリート扱いとなっている筈でしょう!?」
「まあね。でもそれって日本人からの観点であって、外国からの評価とは違うのよ。特にここ1年で色々あったからねぇ」
箒の激昂するようなツッコミに、マイルドに返しながら、しみじみと盾無は思う。
確かに、女尊男卑社会となったお蔭で、搭乗者を目指さなくともIS関連に携えるならば職業レベルが低いことも無く、所謂勝ち組と言う立場に落ち着ける将来を得られると言っても過言では無かった。
が、その意識をカンピオーネが覆した。
根本的に勝てないだけならばまだ開発の分野で余禄はあったのだろうが、加えて『乗れる』魔王が存在するという情報は社会上見過ごせるものでは無い。
ヴォバンと言う暴虐を尽くした侯爵はさることながらも、搭乗者そのものを従えられるという魔王が日本に居る以上、自分たちの虎の子をむざむざと『日本の学園』へ送る魅力が低迷しているのである。
実際、受験の結果如何では落ちる筈であったレベルの生徒が残り、総受験者数が16名、という碌でもない結果を叩き出している以上、廃校も懸念だけで済ませられる話では無くなってきているのは明白であった。
「でも、いきなりアイドルとか……」
「大丈夫よ。基本的にIS学園は美少女を呼び込むように出来ているから、そっちの偏差値を気にする必要性は無いわ。それに簪ちゃんは元々可愛いし!」
姉の贔屓目全開発言をする生徒会長はさて置き、美少女を取り入れるというのはまあ間違ってはいなかった。
そもそもが学園を『受ける』のは前段階で、ISに『乗れる』ことが前提となる。
願書を出すのに試験がある、みたいに、学園を受験しようという少女らには最低限度の所謂『IS学』と呼んで然るべき学習を修めることを義務付けられているのである。
そうでなければ、1年生の最初の授業でタウ●ページみたいなテキストを必要とするはずも無いし、かてて加えてその授業を受講する生徒ら全員にテキスト内の理解が追い付いている道理も無い。
そしてその『選抜』に審査がある以上、審議する立場の人間からすれば最低限度の容姿レベルをクリアする少女らを優先的に贔屓しようとするのも無理のない感情ではあった。
尤も、ISには神化を促す信仰集積回路が搭載されているので、搭乗していればその内段々美少女へと傾いてゆくという実態もあったりするのだが。そのシステムはニキビが消えたり、肌の張りが良くなったり、バイオリズムを整えたりと多岐に渡る。羨ましい。
「そもそも、そうやって人気を獲得しても立地条件が今のままじゃ好き好んで進学したがる子なんて居ないんじゃないかしら? 都内なのは間違いないけれど、都心に向かうのにフェリーが必要な時点で『年頃の女子』からすれば憤慨物よね」
「なぁなぁの内に追い遣られちゃったからねぇ。だからこそ今回のこの発案に至っちゃったんだけども」
以前の袖ヶ浦付近、メタに言う処のウミボ●ルの位置に用意された人工島を追い遣られ、小笠原の無人島へと行き着いたのには相応の訳がある。
ぶっちゃけ土地が無いのだ。
以前にも説明した気がするが、改めてISとは現状地上最強の兵器である。
住宅地なんかに隣接した場所なんかで演習を行う、などの行為に至られるのは誰にとっても見過ごせるものでは無く、かと言って目ぼしい土地を開発するのにも余裕は無い。
地図で空いて居そうなところを指して「此処とかいいんじゃないの?」等と突然告げられても、其処は其処で別の目的に使っていたりする、ということだって結構ある。
加えて、学園へ通うのは年頃の女子と言うこともあり、そういう年代に不満を溜め込ませないように最低限度娯楽施設なんかが傍にある位置、要するに都内を希望する旨がIS委員会より下されれば、日本政府側でも困惑が表立つのは言うまでも無い。
これが1年前の女性主義の政権ならば話はすんなり通る可能性もあったのだろうが、現状『そういう方々』は政治の隅っこへと1年かけて追い遣られている真っ最中であったりして地力が消耗され切っている。
結果として発言力を削り取られた学園が、島流しのような目に遭ったのが事の顛末なのであった。
「ま、年頃の女の子がこうやって僻地へ追い遣られている状態を好ましく思う様な男子はいない筈だし、そういう意見を引っ張って来れれば起死回生のチャンスはあるはず。だから、あなた達に拒否権は無いのよ?」
パタパタと閉じて開かれた扇子には、他に良い案があるなら聞くけど?(´・ω・`) とムカつく顔文字付きで達筆な文字が。
二重の意味で煽られて、コイツ……っ! と3人の怒りが有頂天。
しかし、原作上暴力系ヒロイン筆頭みたいな扱いのポニテ娘、モッピーこと篠ノ之箒は、滾る怒りを鎮ませて口を開いた。
此処で怒っても仕方ない、と2年生になった貫禄を女子力代わりに見せつける所存なのである。
「しかし、私たちがやる必要性は無いでしょう。そもそも、そちらの2人はよくわかりませんが、私は剣道部に所属していますから、アイドル活動などやる暇は有りませんよ」
ロッククライミングなんてやる気は無いですし、と間違ったアイドル活動情報を最後に附け加える。
それに感化されたわけでは無いが、言を同じくするのは司波マドカだ。
更識に新しく用意された戸籍で何故か新入生として学園へと縛りつけられることとなってしまったが、だからこそ無益に時間を浪費する気など微塵も無い。
「そうね。そもそも面識のない子達といきなり何かしろ、だなんて趣味でもないこと出来るはずが無いわ。盾無の冗談に付き合わされるのは此れっきりにして欲しいわね」
「う、ん。私も、言いたくは無いけど、これだけは無理だよ……。そもそもキャラじゃないもん……」
と、更識簪までもが異論を唱えた。
――ところで、
「でもあなた達以上の人材がいないのも間違ってないのよ……。美少女だし、スタイルも悪くないし、何よりボッチだし」
「「「ボ、ボッチちゃうわ!」」」
とんでもなく失礼な台詞に動揺した3人がツッコミを入れた。
どうしたお三方、口調が変だぞ。
「周囲との摩擦で人間関係が上手くいっていない美少女らが、見返すためにアイドルを目指すサクセスストーリーは王道だと思うの。簪ちゃんがメガネを取っ払ってメインヒロインで、マドカちゃんがロリ要員、あ篠ノ之さんはデbじゃなくておっぱい要員で。学園の未来はまあ最初はオマケ程度に考えてくれてもいいから、次第に仲間たちを追加してゆく感じで」
「よりによってセンター……!? メガネは、メガネだけは……!」
「誰がロリよ! いや間違ってないけど!」
「……会長、最初に何を言いかけました? いえおっぱ何とかと言うのも不満の塊ですけど」
手元の資料をパラパラ捲り乍ら、盾無は矢継ぎ早に組み立てた設定を語ってゆく。
メガネを取り上げられることに焦燥を覚えて後ずさる簪に己の身体的特徴を早くも受諾するマドカはしかし納得がいかずゆらりと牡丹灯籠の幽鬼のように乙女の禁句にいち早く憤りを自覚したモッピーがにじり寄る。
イカン、ツッコミが追い付かない。
「今の所の追加メンバーはライバルキャラである私ね。生徒会ポジってことで、最初はアイドル活動に反対していたけど次第に打ち解けてゆく関係、ってことで簪ちゃんと百合百合するからよろしく!」
「なんていうマッチポンプ……!」
「貴女、絶対それが目当てでこの企画思いついたわよね……?」
「それより会長、さっきなんて言いかけました?」
己の身すらも献身的に捧げると見せかけた煩悩の解放宣言を堂々と宣う盾無に、驚愕の目を向けざるを得ない簪が更に一歩身を引いた。
姉妹の溝は一層深まったように思えるが、代わりにデブ要員改め巨乳要員のモッピーが竹刀片手に近寄ってゆくのだから御相子であるはずだ。
そんなことを想い乍ら、逃げられない包囲網にマドカは深く溜息を吐くのであった。
~神無月秋緒(かんなづき あきを)
みなさんご存じオータムたん
いい年しながらツインテールなのは何が意図されているわけでもない。男子高校生がツインテールにされるアニメを見たからとかそんな意図は一切無い
そしてナチュラルに八幡をペド野郎と認識している姐さんだが、其処は別に彼女的にはどうでもいいことらしい
~仁輪加雨(にわ かさめ)
俄雨の当て字で適当に命名されたスコールたん。愛称はサメちゃん
喫茶店を経営する傍らで魔王に弄ってもらった金運を駆使し株式でぼろ儲けしているお姉さん。現在資金貯蓄の真っ最中
女の子を可愛がるのが大好き。性的な意味に非ず。だって恋人がいるからね! 浮気はNG!
~【この扱いに】果たして本当に作者はシャルロッ党なのだろうか【疑問】
そうですよ?(メソラシ
ええ間違いなく(白目
~ロッククライミング
風の噂では壁を登りながら叫ぶアイドルが居るらしい(震え声
~(胸)デブ要員
「モッピー知ってるよ、需要があるからこそ次回にもっと出番があるって。モッピー知ってるよ」
…そんなわけはない
流れをぶった切って番外編
え?番外に見えない?
番外ですよー、主人公が一切出て来ていないじゃないですかー
…今迄にも似たようなのを見た覚えがある?そんな馬鹿な
あ、モッピーの出番は本当に此れでお終いです