やはり魔法科高校の魔王の青春は間違っているストラトス 作:おーり
存在自体が間違ってる? それも知ってる
有り難い評価を戴いて目から鱗がこぼれまくりんぐ
なんつーか初心に帰れた気がする
――俺は元々、そういうものを書く予定だったじゃないか!(ちょ
なんで設定とか細かいところとかを重箱の隅を自ら突かなくてはならぬのか
面白いという評価を多量に貰ったが為により面白くしようと考え出して書き出していた過去の己は実に滑稽だったのだぜ…
そんなわけで10話目
一章目、これで締めってことで
その光景に、シャルロットは目を見開いた。
つい数瞬前まで唐突に現れていた大量のIS実機反応に過敏になり、その数秒前からラウラより提案されていた魔王2人の戦いに口を挟まないように、という旨に従って1対2の対立の矛を収めたものの、その結末がこんな形で収束するとは思ってもみなかったためだ。
フランス政府より、負けた搭乗者の人権は侯爵へと一任されてしまっている。
全ては敗北した己が悪いのだ、と命令を下した者たちは彼女らを切って捨てたわけだが、そうなると自分たちの身の安全を図るには預けられた侯爵へ忠誠を示す以外に道は無い。
幸い?にも、普通の男性としての生殖欲求は保持していなかった侯爵なので、応えるのに自らの身体を差し出す、等というウス=異本を彷彿とさせる行為には至らずに済んだ。
だが、そうなればそうなったで、忠誠を示すには“自分以外の犠牲者を差し出すような行為”にも手を染めなくてはならないことになっていたのである。
今回の強引な来日の本目的は、とある少女であった。
神との戦いこそが本懐であると、憚ることをしない侯爵が要求したその少女は、神を顕現させるための生け贄なのか道具なのか、といった立場の巫女であると耳にした。
数年前の『ISショック』と呼ばれる日本の“暴走行為”の折に買い取ることに成功した少女であり、その際の儀式は他の魔王らに寄って集って邪魔をされ、非人道的などと言う低俗な理由で折角集めた少女たちを解放せざるを得なくなった。というのが侯爵の弁である。
思い返してみても実に暴君らしい理屈であることに、改めてドン引きであった。
そんな少女を“買い直し”に来た魔王様であったが、そのショッピング感覚の人身売買を成立させるには必ず立ち塞がるであろう新たな魔王との対立が不可欠である。
そう想定していた筈、なのだ。
その新魔王が日本人である以上、同じ日本人に危害を加えられることとなっては、必ず自分と戦うこととなるのであろう、と。
実に楽しそうに、ヴォバン侯爵は期待すらも抱いて、日本に向かう旨を自分たちに告げたはずなのだ。
それが、――どうして、そうなった?
2者の超越者の対峙する場へと、少女らが赴いたところで、彼女らが目にしたのは、
――人型の“塩の塊”となって首の辺りを掴まれている侯爵が、無残に崩れ散って逝く姿なのであったから。
「――………………えっ?」
妙に長い沈黙の後、隣のセシリアから間の抜けた声が漏れた。
“そうなった”事態が、何もおかしなことは無いとでも言うように、ラウラは『ISを纏った少年』の現状を遠目に確認し嘆息している。目立った傷が見当たらないことに内心で安堵もしているが、それはこの場の少女たちには認識できない心情だ。
海風に晒されて、“塩”は太平洋へと散りばめられて消えてゆく。
それと同時に、自分らの首に取り憑いている『黒い紐状の呪縛』が風化するように崩壊した。
“それ”は侯爵の掛けた枷であり、拘束であり、所有物であるという証も同然のモノだ。
それを侯爵が自ら消化するとは、到底想定しにくい。だと、すれば――、
「……ああ、あんたらか。片は着いたから、もう帰っていいぞ」
少年が、八幡がISを展開し身に纏いながら、自分たちよりも僅かに上空に滞空している。
話には聞いていたが本当にISを扱える男性操縦者だったのか、と金髪の少女らはぶっきらぼうな声を掛けられたにもかかわらず、現状をフィクションの出来事に遭遇したかのような気持ちで呆然としていた。
ISが世に出て10年弱、男性が扱えるなどと、あまりにもリアリティが無さすぎる事態が既に起こっていることに脳が理解を拒否しているのかもしれない。
が、そこでセシリアは彼の傍に居る、自分と同じくらいの少女の姿に目を見開いた。
「っ! ちぇ、チェルシー……ッ!?」
かつての戦いで、自らの目の前で侯爵に首を捻じ切られた自分の友人の姿が、其処に在ったのだ。
「ん、そのひとアンタの知り合いか」
「何故っ! いえ、確かに侯爵の手によって隷属化されていたのは知っていましたけど、それにしたって……!」
「死霊術(ネクロマンシー)なら俺も使えるんでな。爺さんの呪縛なら解いたから、好きにしろよ」
「呪縛を解いた……ッ!?」
驚愕のままに反応を示すセシリアとは対照的に、ラウラは冷静に現状を見据えて思考する。
「……ひょっとして、さっきIS反応が一気に大量噴出したのは……」
「ああ、爺さんが召喚したんだ。それを俺が片っ端から成仏させた。まあ、死霊術の応酬なんて被伏者が“支配されたい”なんて思っていなければ対立した瞬間に逃げられるのは道理だしな。解放しただけだよ、俺は」
「それで一瞬で反応が消滅したのか……」
そもそも機体に乗ったままで召喚される、というのが可笑しい気がするけどな。と八幡が付け加えるが、それに対する正解はこの場の誰もが持っていないので、何とも言えない。
変な空気になったが、事態の収束は終了しているので、日本の方角へと八幡は身体を向け直す。
「もうこれで充分だろ。“ラウラ”、とっとと帰ろうぜ」
「! ……ああ、そうだなっ」
「――っ!?」
名前で呼ばれ、それだけで喜色満面の銀髪少女に、シャルロットはようやく驚きの目を向けたのであった。
× × × × ×
なんで名前で呼んだのかと言えば、窘められたからである。
元の予定を語ってしまえば、俺の権能を十全に扱う為に、そして侯爵の権能を万全に使わせないように、夜中に海上で日本上陸前に討伐せよ、というのが甘粕さんから提示された戦場であった。
実際、サタナキアの権能は夜にしか使えないのだが、甘粕さんは若しくはあのおっさんに情報を与えたお偉いさんらはどうやって俺の事情を把握したのだろうか。それが少しだけ怖い。
IS乗りを新たな“足場”として召喚したヴォバンの爺さんの行動を読めば、海上かつ空中では碌に身動きが取れないのは明確だった。
かと言って、竜化のままで戦うとなると機動力が実は心許無かったり。空を飛べる“だけ”のドラゴンシフトでは本気出せるISのスピードには到底追いつかず、空中戦の本領を発揮できるのはそのISを『大量所持』している爺さんがそのまま優位だった。
戦闘開始の時点で切り離した“実体搭乗者”の金髪2人を補って余りある4人ほどのIS乗りで応戦されてしまい、攻撃力自体は痛くはないが蚊蜻蛉みたいで正直ウザったかった。
でもその情報は既に知っていた。
死者を支配する権能があるって情報は予め教えてもらっていたし、対応はすぐに出来た。
問題は、その時点で“切り札”を切るべきじゃなかったから、他の権能で対応して“配下”の全出しを促さなくっちゃ駄目だったってことで……。
お蔭様で、帰りの飛行用にとボーデヴィッヒから預けられていた前にも使ったことのある機体『ヴィントシュトース・クローウェ』を早々に起動する羽目となってしまった。
なんかカッコよさげに「エンタングル!」って叫びつつ。
その際に前にもあったことのあるISの“中の人”に「ぱんぱかぱーん」と出てこられてしまい、女の子に優しくするように、と窘められてしまったのであったまる
……いや、俺、提督と違いますし。
チュートリアルの最中とか時間が静止したんじゃないかって具合だったのだけど、あれって他の機体にも備わっている機能なのかなぁ。
怖くなって聞いてみたら「性能処理を施すのに能って脳の処理速度を80倍に加速しているだけですからー」などと、より怖くなる発言で解答される。
なに? 俺いつのまにオメガウイルスに感染してたの?
加速≪クロックアップ≫した世界の中で割とマジに切羽詰った様子で金髪美少女に詰め寄る腐った眼の男が居た。ていうか俺だった。
80倍の時間の中で己の形に合うようにとカスタムしてくれる某愛宕さん、もとい中の人。
対カンピオーネならば紙装甲扱いな絶対防御はスロットから外させて破棄。ていうか、対IS戦でも不要な気がする。ほら、俺って充分防御力あるし。
攻撃を見切って自動回避する程度のオートマティックを備えさせて、機動力へとステを極振り。
元々はドイツ軍のやつだけど、くれるというから俺専用へと改良するぜー。
これも魔改造なのか?
竜化したままならば空を飛べる。
その代りサンドバッグにされる。
別の権能を使えば対処が出来る。
但し、海中へと墜落する。
別の権能を使いながら空を飛ぶには、ISは最初から必要不可欠なわけであった。
例えばフルーレティの凍結系権能を扱いつつ、宙を自在に飛び回る。
あたいってばさいきょーね!
そして焦れた爺さんがIS搭乗者(死者)を全開放したのを見計らって、ネビロスの権能で死霊術の解除を促してみた。
配下の者たちが揃って成仏した様を目の当たりにした爺さんは、実に滑稽だったぜ……!
止めは爺さんの基本権能とでも呼ぶほどに有名な『塩柱化』の視線。
力の流れを支配できるサタナキアの権能ならば隙は無かった。
向けられた視線を『流動』し、爺さんへと返して『凝固』させ、見事返り討ちにしたのである。
いやぁ、掻い摘んだ説明のはずなのにやたら長かった。
これだけで週刊漫画で二・三話分は書けるんじゃねーかなってくらいに長かった。
BLEACHなら間違いなく3か月は持たせていただろうね。
で、愛宕さんもとい中の人に優しく窘められてしまったから、ラウラにも比較的柔らかい対応をして見せた俺。
いや、機械の人なら基本的になんか企んでるってことも無いでしょ。
そもそもISを作った篠ノ乃博士って、俺全く繋がりも無いし、そんな人がこんな手の込んだ真似までして俺を嵌める意味もわからないし、中の人はある程度なら信用してもいいんじゃないかなーって。
所詮AIだろうしー、身構えもせずに対処するよー、これからも。
「と、そういえばラウラ、お前どうやって街中で俺の居場所見つけられたんだ?」
ぐっだぐだな思考しながら飛んでいたけど、流石に無言のまま日本まで遊覧するのも憚られるわけで。
会話の切欠として適当な話題を探ってみる。
口調が投げ遣り? 年上とか今更過ぎて、もうどうでもいいかなーって。
「知ってるんじゃなかったのか……? 私の瞳はヴォーダンオージェといって、呪力を視覚で捉えることが出来る。カンピオーネの持つ呪力量なら、残留だけで追跡も容易いのだが」
以前に俺の思考が流れた時に、一緒に自分のことも把握されていたのだと思い込んでいた模様。
ふ、甘いな。
女子のプライベートをそう易々と覗き見する男だとでも思っていたのか?
……ガチで思われていたのなら普通に辛いのだわ……っ。
「それよりも、いい加減に学校に行ったらどうだ? アテナを引き連れてゆくのは流石に許容してもらえないかもしれないが、自主休学ばかりしていては学友にも心配されるだろう」
「は。俺に友人なんていねーよ。ボッチ魔王だからな」
やだな、泣いてないっすよ?
「そうなのか……? それなら、先日来たあの娘は……」
「ん? 誰か来て行ったのか?」
新しいハニトラ要員かな?(白目)
「学校にも来ない八幡を心配してお見舞いに来た、とやって来た娘が居たな。見た感じ、本当に心から心配していたと言った感じだったぞ。私が言うのもなんだが純朴そうな娘だった」
「心当たりねーなー」
「気が無いにも程があるだろう……。確か、名前は『戸塚』とか言ったk「それを早く言えよ」」
心配されちゃ仕方がねー。
明日からきちんと登校するか!
「やっぱり知り合いなんじゃないか……。おのれ、デレデレしおって……」
あーあー、聴こえないー。
~そしてキンクリ
長々とやる予定だったけどあんまり長いとだれるし
ヴォバン爺様の戦闘シーンは大幅カット
シャルロット&セシリアが戦うシーンもなかった。いいね?
~チェルシー
原作ではセシリアのメイド
仲のいい友達が思いつかずにこうなった。反省はしている
~サタナキアの権能
『流動せよ、そして凝固せよ』。力の流れを支配できる、祝福の権能
前にも書いた時はスルーされたみたいだが、実はこれだけで一方通行(アクセラレータ)を再現できる
呪力という“とある世界”的に言うと魔術サイドの力の流れも支配できるので、充分に本家の上位互換
爺さん自体の攻勢呪力を一点集中して暴走自爆させた感じ?まあ爺さんは復活する権能を持ってるらしいから、平気平気
~ネビロス
アメリカを支配するアスタロト配下の魔神。幻滅、虚言を担当
魔界の元帥で少将、魔神たちの総監督官。望む相手にいかなる苦痛をも与える力を持ち、金属、鉱物、動植物の特性を知り、それを伝授する
ギリシャ神話のケルベロスからの転化したものであるという説もある
言霊は『我は死の声、彷徨うモノへの門扉とならん』
変化した姿は完全にケルベロスをイメージしているのか、犬耳が生え、両腕が犬の毛でもっさりと変わったかと思ったら握り拳が犬の頭みたいに見えた。なんか神撃のバハ●ートっぽい!
~エンタングル!
からの→kissしてグッバイは神コンボ
~ぱんぱかぱーん
多分メインヒロイン
~オメガウイルス
感染すると超人類になる
元ネタ漫画は恐らく某ライダーより前にクロックアップという特技を出していた筈
「おらあああ!」
掛け声に似合わず可愛らしい少女の声が、扉を蹴破ると同時に室内へと響く。
しかし中は既にもぬけの殻。無駄に見せた男気は誰にも見られることが無かったのが幸いか。
「むぅー、既に逃げた後ですか! この私を微塵も出さない予定だなんて! これは断固抗議ものですよ!」
私怒ってます!と言わんばかりにぷんぷんな少女。
大体高校生か中学生くらいか、作者が詳しくない所為か判別が難しい。
名前は一色いろはと言うらしい。
「これは色々物色するべきですかね……、この先の展開予測みたいな意味合いも兼ねて……、いや、こうなったらメモの中に私登場のシナリオを捻じ込んで……」
空恐ろしいことを模索する少女。
ごそごそと机の上とかを物色し、メモだらけの中から数枚の紙切れを拾っては読んでゆく。
「……む、先輩の友人キャラを思案中……? ガイル勢全滅、……ですよね。こっちにはIS学園編、ですか……。中学の同級生? そして幼馴染登場、イッタイダレナンダー……? なんでメモで隠してるんですかこの人」
ほぼネタバレに近いことを呟く。
そんな中、一枚の紙切れが目を引いた。
唯一文章的に形になっていた所為なのかもしれない。
「ん? えーと……、『ぶっちゃけ原作四つとも好きでも嫌いでもないどちらかというとどうでもいい分類に入るけど若干苦手側に傾くので、己が楽しめる様に何かしら面白おかしくごちゃまぜにしてやろうと思った。』――オイ」
思わずドスの利いた低い声でツッコミを入れてしまった、そんな彼女は決して悪くない。