IS 〈インフィニット・ストラトス〉 ~運命の先へ~   作:GASHI

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相変わらずダラダラと続けていきますよ~。あと、ちょっとした自己解釈が入ってますが、気にしないでくださいね。


第7話 「専用機」

「・・・ISは宇宙での作業を想定して作られているので、操縦者の全身を特殊なエネルギーバリアーで包んでいます。また・・・」

 

相変わらず平和な日々が続いている。相変わらず退屈な授業、相変わらず笑顔で教鞭を振るう山田先生、相変わらずグロッキー状態の一夏。見ているだけで眠気を催すほど代わり映えのしない光景を俺はただ頬杖を突いて眺めている。実際に寝たら出席簿が襲ってくるので決して目を閉じることはしないが。

 

「・・・ISにも意識に似たようなものがあり、お互いの対話・・・つ、つまり一緒に過ごした時間を分かり合うとか、ええと、操縦時間に比例してIS側も操縦者の特性を理解しようとします。」

 

付け加えるなら、これは特に専用機に顕著に見られる特徴だ。癖の強い機体ほど操縦者を選び、長い時間をかけて操縦者にベストな状態に成長する。《打鉄》や《ラファール・リヴァイヴ》など、量産機に汎用性の高いものが多いのはなるべく短時間で使いこなせるようにするため。性能を出来るだけオーソドックスにすることで、短時間でも多くの人に受け入れられるようにしているのだ。

 

「それによって相互的に理解し、より性能を引き出せることになるわけです。ISは道具ではなく、あくまでパートナーとして認識してください。」

「先生ー、それって彼氏彼女みたいな感じですかー?」

「そ、それは、その・・・どうでしょう。私には経験がないので分かりませんが・・・。」

 

ああ、甘ったるいなぁ、もう。これがあれか?俗に言う女子校のノリってやつか?ってか、山田先生は一夏を見つめるの止めなさい。アンタ教師でしょうが。生徒に熱っぽい視線を向けるんじゃありません。

キーンコーンカーンコーン。

これまた相変わらず絶妙なタイミングでチャイムが鳴る。ありがたい。これ以上この空気の中にいたら胸焼けで死にそうだ。

だが、安心も束の間。休み時間になった教室は一夏と俺を中心に喧騒に包まれた。容赦のない質問攻めが俺たちを襲う。

 

「はいはーい!質問しつもーん!」

「今日のお昼ヒマ?放課後は?夜は?」

「千冬お姉様って自宅ではどんな感じなの!?」

「え?案外だらしな・・・」

 

スパァンッ!!

 

「騒がしい。散れ。」

 

また突然のご登場ですね、千冬さん。出席簿にいつにも増して力が入ってますし。そんなに自堕落な日常生活をバラされたくないのかねぇ。・・・そんなに睨まないでくださいよ、冗談ですって。

 

「ところで織斑、お前のISだが準備まで時間がかかる。」

「はい?」

 

言葉の意味がいまいち飲み込めない一夏はキョトンとしている。千冬さんは俺を一瞥してから口を開く。

 

「予備機がない。学園で専用機を用意する。少し待て。」

「は、はあ・・・。」

 

うーむ、いまいち分かっていないようだな。だったら今日はその辺の知識を叩き込むとしようか。

 

「安心しましたわ。まさか訓練機で対戦しようとは思っていなかったでしょうけど。」

 

教える順番やら何やらを考えていると、傍らから今一番聞きたくない声ランキングぶっちぎりトップの声が聞こえてきた。ヤバい、力とやる気が失われていく・・・。

 

「まあ?一応勝負は見えてますけど?流石にフェアではありませんものね。そちらの方に至っては専用機の話すらないようですけど?」

 

何コイツウザい。ニヤニヤが隠しきれてないし、やたら丁寧な口調の割に相変わらず人をナメくさってるし、態度鬱陶しいし。うん、マイナス面しか見当たらねえ。

 

「あー、オルコット。まず黙れ。お前が喋るとロクなことがない。」

「な、何ですって!?」

「あ?」

「ヒッ・・・。な、何でもありませんわ・・・。」

 

この前脅した甲斐があったようでドスを利かせたらすぐに黙ってくれた。よしよし、話しやすくなって助かる。

 

「お前は俺の話を聞いていなかったのか?俺は束さんの関係者だぞ?専用機くらい持ってるに決まってるだろう。」

 

そう言って俺は首に下げたドッグタグを指し示した。俺の専用機《武神》の待機状態である。名前がダサいとか言ってはいけない。束さん命名の素晴らしい名前じゃないか。決して恩人を貶めようとしてる訳じゃないぞ?・・・多分。

 

「まさかそのIS、篠ノ之博士が・・・!?」

「コアとベースはな。武装とかは全部俺が開発したが。」

 

今オルコットがすげえ物欲しそうな目で《武神》を見つめている気がするが無視しよう。見せる義理ないし。・・・あ、そうだ。

 

「それと一夏、お前がISに慣れるまでは俺がお前の専用機の管理を担当することになってるからよろしくなー。」

「お、おう、分かった。」

「じゃあ先に学食行ってるからまた後でな。」

 

クラス中の視線から逃れるため、早々に教室を出ていく俺。少し発言を控えた方が良いかもしれない。身が持たん。

 

 

 

 

「なあ、2人に頼みがあるんだ。」

 

食堂で合流した俺、一夏、箒の3人は一緒に昼食を摂っていた。先程から箒の機嫌が悪いのが気になっていたのだが、一夏曰く、千冬さんが箒の素性をバラしてしまったらしい。教師の癖に、そういうことは気にしないのかよ、あの人・・・。

 

「・・・何だ?」

 

箒が不機嫌を隠そうともせずに返答する。俺は内容について薄々気づいていたので黙って目の前の昼食にありついていた。

 

「ISのこと教えてくれないか?このままじゃ、来週の勝負で何も出来ずに負けちまう。」

 

やはりそうか。まあ、知識面でも実技面でも一夏はずぶの素人だもんな。自覚できてるだけマシだとは思うが。

 

「下らない挑発に乗るからだ、馬鹿者が。」

 

箒は一夏の頼みを一蹴する。こちらとしては護衛対象が強くなってくれるのは実に有り難いことなので助け船を出したいところだが、生憎俺も喧嘩を買った身。箒の正論に返す言葉もない。

 

「ねえキミたち、代表候補生のコと勝負するって噂、本当?」

 

どう助け船を出すかを思案していると突然見知らぬ女子が話しかけてきた。リボンの色を見るに上級生のようだが、流石は女子、情報が回るのが早い。

 

「ええ、まあ。」

 

俺と違い愛想の良い一夏が返答する。様子を見て一夏の方が話しやすいと判断したのだろう、自然な仕草で一夏の隣に座った。呆れたものだ、下心が見え見え過ぎる。一夏は鈍感すぎて気づいていないようだが。

 

「でも君、素人だよね?IS稼働時間どれくらい?」

「さあ?20分位だと思いますけど・・・。」

「それじゃあ無理よ。対戦相手、代表候補生なんでしょ?だったら軽く300時間はやってるわよ。」

 

ほう、今の代表候補生の連続稼働時間は大体300時間なのか・・・。ヌルすぎて話にならないな。千冬さんが聞いたら鼻で笑うだろうよ。

 

「だからさ、私が教えてあげよっか?ISについて。」

 

やはりそう来るか。確かに研究者でもない限りISに詳しい男子なんてそうはいないだろうし、手段としては悪くない。ただし今回に限っては場所と相手が悪すぎる。

 

「はい、ぜ「結構です。私が教えますので。」・・・箒?」

 

流石は箒、一夏が絡めば必ず動いてくれると信じてたぜ。この瞬間に某上級生の敗北が決まったのだが、そうとは知らない彼女は箒に向かって口を開く。

 

「貴女も1年生でしょ?私の方が上手く教えられると思うけどなぁ?」

「・・・私は、篠ノ之 束の妹ですので。」

「ええ!?」

 

箒の言葉に思わず固まる上級生。流石は束さん、ネームバリューが尋常ではない。こうなっては一夏に近づくのはほぼ不可能、予想通り彼女は俺に方向転換した。

 

「じゃ、じゃあ君はどうかな?篠ノ之さん1人で2人を見るのは大変だろうし、私が見てあげるよ!」

「生憎ですが、俺も束さんの関係者ですよ。専用機も持ってますし、貴女なんかより余程ISに関しては詳しいつもりです。」

「そ、そんな・・・。」

 

もう上級生には為す術がない。それを悟った彼女はスゴスゴと退散していった。一方、一夏は箒を不思議そうな表情で見つめている。

 

「何だ?」

「いや、何だって・・・、教えてくれるのか?」

「そう言っている。」

 

流石に自分の言ったことを覆すのは箒の矜持に反するのだろう。だが、箒も多分素人だろうし、どうなることやら。

 

「今日の放課後、剣道場に来い。腕が鈍ってないか見てやる。」

「いや、俺は「見てやる。」・・・分かったよ。零も来るか?」

 

どうやらISではなく剣道の修行になりそうだ。箒は全中覇者らしいし多少興味はあるのだが・・・、

 

「いや、止めておこう。ついでに今日の放課後講習もなし。箒、特訓の日程教えろ。その日の講習は休みにするから。俺も自分の訓練に時間使えるしな。」

「おう。」

「分かった。」

 

正直、箒が2人きりでやりたいって視線で語ってたし、これで良いだろう。さて、俺は何やるかな?束さん、千冬さんに掛け合ってくれたかな・・・?




だんだん文章が淡白に、いや、適当になってる気がする・・・。

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