IS 〈インフィニット・ストラトス〉 ~運命の先へ~   作:GASHI

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投稿が予定から1週間以上遅れちゃいました。申し訳ない・・・。今日はちょっと短めです。


第5話 「放課後」

「全然分からねえ・・・。何でこんなにややこしいんだ?」

「手伝ってやってんだから文句言うな。さっさと進めろ。」

 

放課後、生徒の出払った教室で俺は一夏と二人きりだった。まあ相手が女子だったりしたらもう少し、こう、桃色のムードが漂っていたかもしれないが、この状況にムードもへったくれもない。千冬さんの命令通り、一夏にISの基礎知識を叩き込んでいるのだ。決闘騒ぎの折、それなりに酷いことを言っていた俺を一夏は笑って許してくれた。良い友人を持ったものだ。

 

「こんなもん常識だろう。暗唱できるレベルになれ。」

「一週間でそんなん出来るか!」

 

台詞だけ聞くと俺がただの鬼教師に思われるだろう。だが、実際は一夏が無知すぎるだけだ。知ってるか、一夏?物事ってのはな、簡単すぎるとかえって教えにくいんだよ。俺の気持ちも察しろ、ボケ。

 

(しかし、いくらなんでもこれは異常だぞ・・・。)

 

現存するコアの数、アラスカ条約の意義と概要、IS学園の設立理念・・・、どれもこの世界においては必須事項というか知ってて当たり前のことばかりだ。絶望的なまでの無知。正直やる気も起きない。

 

「お二人ともまだ残ってたんですね。良かった~。」

 

ほのぼのした声と共に、山田先生と千冬さんが教室に入ってきた。誰のせいで残ってると思ってるんですか?決闘騒ぎの興奮覚めやらぬ俺はすかさず千冬さんに向かって愚痴を浴びせる。

 

「この出来の悪い弟に今までどんな教育を施してたんですか、織斑先生?」

「私はやれと言った。文句は受け付けん。」

 

俺の愚痴を見事に一蹴した千冬さん。俺と一夏、両方に対する言葉だろう。教育者としてのこの人は暴君だし、何言っても無駄そうだな・・・。

 

「・・・まあ、良いです。で、何かご用ですか、山田先生?」

 

目の前の分厚い参考書を前に、思考と唸ること以外の能力を封印された一夏の代わりに俺が尋ねる。まったく、教育者の気苦労が骨身に沁みるなぁ。

 

「あ、はい。えっと、お二人の寮のお部屋が決まりました。」

 

・・・なるほど、国のお偉いさんたちもこういうことに関しては手が早いようだ。もうちょっと使いどころを考えるべきだと思うが。

 

「俺の部屋、決まってなかったんじゃないですか?確か、1週間は自宅通いだって聞きましたけど。零は?」

「その辺は何も聞いてない。束さん、そういうこと気にしないし。」

 

あの人何も言ってなかったし、面倒なことは千冬さんにお任せって感じだったからてっきり千冬さんがホテルでも手配してくれたのかと思っていたが。まあ、どちらにしろ住処が決まったことに変わりはない。

 

「事情が事情なので一時的な処置として部屋割りを無理矢理変更したんです。」

 

まあ、俺はまだしも一夏は自宅が割れてるだろうし、どんな奴が押しかけてくるか分からないからな。賢明な判断だろう。

 

「じゃあ、一旦家に帰ってもいいですか?荷物準備しないといけないですし。」

「あ、いえ、荷物でしたら・・・。」

「私が手配しておいた。ありがたく思え。」

 

千冬さん、ありがたく思えって弟に言う台詞じゃないと思うんですけど。

 

「あ、ありがとうございます・・・。」

「まあ生活必需品だけだがな。着替えと携帯の充電器があれば充分だろう。」

 

・・・この人、普段どんな生活を送ってるのだろうか。他人の俺でさえ心配になる。弟の一夏は言わずもがな、ちょっと苦笑いを浮かべている。

 

「神裂の方は束から預かっている。こちらも着替えとPC程度だが問題ないか?」

「ありません。他の物は現地調達で済ませるつもりなので。」

 

着替えは俺監修の下で選別しクロエに管理を任せたから、束さん趣味のロリータ衣装は入っていない・・・はず。ヤバい、意識したら心配になってきた。

 

「一夏、後で買い物に付き合ってくれ。周辺の地理を頭に入れたい。」

「良いぜ。俺も家の片付けしなきゃだし、ついでに案内するよ。」

 

ありがたい。お詫びに片付けの手伝いでもしてやるとするかな。

 

「これが部屋の鍵です。こちらが織斑くんでこちらが神裂くん。無くさないようにしてくださいね。」

 

一夏の鍵には1025、俺の鍵には1026と刻まれている。山田先生の言い方からして予備はないのだろう。

 

「俺と零って別室なんですか?」

 

一夏が山田先生に問う。確かに、男子が2人しかいないのに基本2人部屋の寮で別室というのは違和感がある。わざわざ女子と一緒の部屋にする必要はない。とはいえ、俺にはそれより重要な事情がある。

 

「急な話だったので個室が1つしか用意できなかったんです。それに彼の場合、篠ノ之博士との関係もありますから。」

 

分かりやすく言うなら、束さんと連絡を取り合う際にルームメイトがいるのは危険だ。だからといって部屋の外でも誰かに偶然聞かれたり、最悪の場合盗聴される可能性もある。それに対する配慮だ。きっと千冬さんが手回ししてくれたのだろう。感謝、感謝。

 

「夕食は6時から7時、寮の1年生用食堂を使ってください。ちなみに各部屋にはシャワーがありますが、寮には大浴場もあります。学年ごとに使用時間が異なりますが・・・えっと、お2人はまだ使えません。」

「え、何でですか?」

 

山田先生の言葉に間髪入れずに質問を口にする一夏。お前はもう少し考える癖をつけた方がいい。いや、思考が必要なほど難しい局面ではないが。とりあえず、気づかせてやろう。コイツにも倫理観くらいはあるはずだ。

 

「一夏、お前は風呂が好きなんだな。」

「ああ、気持ちいいしな。零は嫌いなのか?」

「いや、俺も好きだが。女子と混浴して性犯罪者扱いされるほど好きではないな。」

「あ・・・。」

 

うん、やはり純粋に馬鹿なだけだった。良かったような、悪かったような。少なくとも、これからの成長に期待しよう。現段階では不安しかないが。

 

「おっ、織斑くんっ、女子とお風呂入りたいんですか!?だ、ダメですよっ!」

「いえ、入りたくないです・・・。」

「え、女の子に興味がないんですか!?そ、それはそれで問題なような・・・。」

「「・・・山田先生?」」

「ご、ごめんなさいっ!黙りますから、そんなに睨まないでください~!」

 

山田先生の悪意のない割に最悪な曲解を俺と千冬さんが一睨みで止める。だが、時既に遅し。廊下の群衆が一斉に騒ぎ出した。

 

「織斑くん、男にしか興味ないのかしら・・・?」

「もしかして神裂くんも・・・?」

「それはそれで、良いわね・・・。」

「2人の交友関係洗って!明後日までに裏付けとって!」

 

何か俺まで巻き込まれちゃってるんですけど・・・。まあ、良いや。俺の情報なんて絶対掴めないし、仮に見つけても確実に嘘っぱちだし。一夏はよく分かってないし。ってか新聞部いるじゃん。もっと真面目で品行方正な記事作れっての。

 

「神裂は帰って構わん。織斑、お前はこれから説教だ。私と一緒に職員室に来い。その後、私の部屋にお前の荷物を取りに来い。」

 

その言葉に一夏の顔は真っ青になる。入学早々死刑判決とは、御愁傷様。骨を拾うの面倒だから、頑張って生き残れよ、一夏。




うーん、もうちょっとまとめた方が良いかなぁ?私の文章力に不安が・・・。

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