咲-Saki-消えゆく京- 作:神狼K
まず初めに……申し訳ありませんでした!!
リアルで人生を揺るがす大変なことがありまして、遅れることとなりました。コメントでいつまで待たせるんだ、というものもありましたので、この場を持って謝罪させて頂きます。
申し訳ありませんでした!!(二度目)
麻雀描写は相変わらずミスがあるかもしれませんが、見つけ次第教えて頂けると、幸いです。遠慮せず、このド素人に説教してやってください。
もう点数計算が酷いようなら、点数のところは出さずに麻雀描写と最終順位だけにしようか(白目)
久しぶりなので、今回は前後半に分けて、後半は後日投稿致します。
では、駄文ですが……どうぞ!
「……?」
俺の脳内には一人の少女の姿が過った。
彼女は黒くて長い髪の毛で、瞳の色は青色。雰囲気はどこにでもいそうな感じだった。
見覚えこそなかったが、どこか誰かに似ていた……。
『……』
彼女の表情は悲しげだけど、笑顔でもあった。
そんな不思議な表情をしている少女が俺に、小さい手を差し伸べてくる。
――――お前はこんな俺に力を貸してくれるのか?
『…………』
ニコッ、と少女は無言で笑みを浮かべた。
そうか。ありがとな。誰だか分からないけど……。見覚えなんてないが、お前には何処かで会ってる気がするな。
とにかく、使わせてもらうぜ。
「……もうすぐ会えるよ。京………貴方の記憶が導いてくれる。だから──」
『――――京太郎?』
「……ん」
俺は能力の精霊のような存在………妖夢の声により、意識が現実に引き戻された。
『大丈夫? ボーッとしながら、打っていたけど』
「(ああ、もう大丈夫だ)」
「…………」
小蒔:打{白}
俺は小蒔のラスツモを切るのを見送って、牌を伏せた。
「……ノーテン」
「テンパイ」
「ふぅ……。テ、テンパイ……」
「……ノーテン」
上から小蒔さん、照さん、怜さん、そして俺の声だ。
結局、俺はテンパイする事が出来なかった。
だけど、巻き返して見せる。次は……………俺の親番なんだからな。
「………よし」
俺は気合いを入れて、一緒に麻雀をしてくれている三人を見る。
「小蒔さん、照さん、怜さん………。俺、全身全霊を籠めて貴女達にぶつかります。だから、照さん達も本気できてください」
「……京君」
俺が真剣な眼差しを照さん達に向けながらそう言う。すると照さんもよりいっそう、真剣な眼差しで俺を見返す。
「………行きます!」
照:8000→9500
京太郎:28000→26500
小蒔:72000→70500
怜:8000→9500
東四局 親:京太郎 ドラ:{1}
空気が張り裂けそうな程に闘志が充満する。
そんな空気の中、俺は自身の配牌を確認する。
京太郎の配牌
{一一一八九①②③23北白白}ツモ{白}
京太郎:打{北}
俺はノータイムで北を切った。
道は配牌を見た瞬間に決まったからだ。
だから、今の俺には迷いなんてない。
次巡、再び俺のツモ。
京太郎の配牌
{一一一八九①②③23白白白}ツモ{九}
テンパイ……。だが、これじゃあダメだ。
京太郎:打{八}
「ポン」
{八}{横八}{八}
俺が切った牌を、怜さんが鳴いた。
その表情には覚悟を決めた、雀士としての怜さんの顔だった。
瞳の色が淡い緑色になり、怜さんを起点に風が僅かに吹いている。
「怜……っ!」
そんな怜さんを心配そうに見つめる竜華だが、止めることは出来ない。
そんなことをすれば、怜さんの覚悟を踏みにじってしまうからだ。
怜:打{發}
小蒔:打{白}
「……っ!!」
ん、一瞬だけ、怜さんが激しく動揺したような……?
いや、今は気にしている場合じゃない! 来た! 少しでも追い付くチャンスが!
京太郎の配牌
{一一一九九①②③23白白白}
よし、これで全てが整った。
「小蒔さん! その牌カンッ!」
{白}{白白}{横白}
俺は嶺上牌へと手を伸ばした。
そして、嶺上牌を掴んで、手元へ持っていく。
「………ツモ」
{一一一九九①②③23}ツモ{1} {白}{白白}{横白}
静かに、ゆっくりと嶺上牌の{1}を置いた。
さて、後は新ドラは…………………白だ。
「ツモ、役牌、チャンタ、ドラ5。そして………嶺上開花。倍満です」
俺は静かな声で、少し汗をかきながらそう言った。
「……未来が、変わった……」
怜の配牌
{二二二②②②111中} {八}{横八}{八}
「……あっ!」
怜さん、あの時にテンパイしていたんだ……。
しかも三暗刻と対々和の複合……、ってそれに俺の和了牌を三つも抱えてる!?
「あ、危なかったぁ……」
俺は椅子に思いっきりもたれ掛かった。
本当に危なかった。
もしも、怜さんが{發}じゃなくて、{中}を切っていたら、俺は和了れなかったな……。
「………」
とにかく、次だ。
次が正念場だ。
京太郎:26500→50500
小蒔:70500→46500
照:9500
怜:9500
東四局1本場 親:京太郎 ドラ:{6}
「………」
京太郎の配牌
{一九①⑨19東東南西北白發}ツモ{二}
……国士無双。ドラマやプロ戦とかでは見た事あるけど、自分の配牌で見るのは初めてだな。
『国士』にはその国の中で最も優れている人物、『無双』は並ぶ者のない意味を指す。
……ヤベッ。天和も国士無双も1日でそう何回も見れるもんじゃないぜ? これは……今日俺は死ぬのか?
『京太郎、天和はまぁアレだけど……。国士無双は私の能力で出したものだって忘れたの?』
妖夢が俺にそう言う。
―――能力? ……ああ。そうか、親の倍満は24000だから、今回は丁度役満なのか……。
『そうそうー。分かってるねー。じゃあ頑張ろー』
妖夢は俺の隣に出てきて、俺の手に触れる。
俺の手は…………震えていた。
というより、身体中が物凄く重たく感じる。
……当たり前か。何せ短い間で、こんなにもプレッシャーに当てられているのと、能力を二つ使用したからな……。あくまで、俺の使っているやつ(オカルト)は、妖夢が居てこそ成り立つものであり、俺の身体では、オカルトの負担に耐えられる許容なんてたかが知れているからな。
「くっ……」
京太郎:打{二}
俺はプルプルと多少震える手で、牌を切った。
次は照さんのツモだ。
照さんはゆっくりと山牌に手を伸ばす。
ここまで照さんは余り動いていない。
正直、この点差だけど、俺は緊張が止まらない。
照さんの運、技術、能力に関して、俺と照さんでは天と地ほどの差がある。
「……リーチ」
照:打{9}
「なっ……」
ダ、ダブルリーチだ。
照さんは牌を横に倒して、点棒を置いた。
その点棒はジュゥゥゥ……と熱を帯びたように、熱そうな音を発している。
怜:打{西}
小蒔:打{北}
「ロン」
照さんは冷淡な声で宣言しながら、パタリと、牌を倒した。
{五六七⑤⑥⑦567北北北白白}
「ダブルリーチ、一発、役牌、三色同順、裏がのってのドラ2………倍満」
……え? いきなりの倍満!? 照さんの実力なら、気にすることじゃないけど………。
「……次、行くよ」
ギュルルル!!!!!
照さんの両腕から、凄まじいハリケーンにも似た竜巻が発生している。
「………小蒔ちゃん」
「………」
霞さんが呟いたその時、小蒔さんの瞳にはうっすら潤んでいた気がした。
もしかして……あの神を降ろすやつって……自分で解けないのか?
「……小蒔さん」
『敵の心配してる余裕……ないと思うよ』
そうだな妖夢……。妖夢の言葉は正しいけど、どうしても小蒔さんが気になる。
「……京君」
「は、はい!?」
突然照さんが、俺に抱きついてきた。
な、何事!?
「て、テル!? む、むうぅぅっ!!」
淡が騒いでいるが、この際、気にしてられる余裕がない。
照さんの吐息が脳内に直接響いているような感覚がするほどに、照さんと俺の距離は近い。
「……今の神代小蒔は、降ろした神に体が乗っ取られてる。だから神代小蒔に憑いている神を負かさないといけない」
照さんは俺の耳元で小さく呟いた。
ああ―――、そう言うことか。
照さんは俺が小蒔さんのことを心配している心境を読み取って、まず抱きついて緊張を解して、耳元で呟いたのは、そのことを確実に伝えるための行為だったのか。
「……というより、照さん? なんか余裕そうですね?」
「………」
俺は照さんの顔を覗き込みながら、思ったことを口にした。
何故なら、今の照さんは全然焦った様子がないからだ。
俺の疑問に照さんは………
「……これは私から、京君への試練。だから私は一線引いて見守ってる。ガンバ」
ニコッと優しい笑みを浮かべながら、俺にそう言った。
うわぁ……。やっぱり照さんは凄すぎる。俺なんかより、一歩も二歩も上手だな……。
「……はい、頑張ります」
俺は、照さんの強さに改めて驚きながらも、真剣な眼差しで照さんに返事をした。
「あのー、そろそろ夫婦でのイチャラブタイム止めてくれへん? 口から砂糖出そうやわ」
突然、怜さんがニヤニヤと笑った表情でそう言ってきた。
というか怜さん、めちゃくちゃ麻雀卓に体預けてますけど、大丈夫ですか? と俺は心配になった。
「まだ嫁さんじゃない」
「まだ!?」
照さんが真顔でそう言ったため、俺は目を見開いて驚いた。
あ、それに顔真っ赤なんだけど。凄く恥ずかしい!
「……いいから、さっさと始めろ!!」
淡がそう叫びながら、俺の頬を軽く、本当に心底注意を払ったように手加減をしたパンチがとらえる。まぁ、俺は取り敢えず、痛がる振りをしておく。
さて……反撃開始だ。
京太郎:50500
小蒔:46500→30500
照:9500→25500
怜:9500
戦いは次局に続く。
To Be Continued
申し訳ありませんが、今回は選択肢はございません。
前話の誤字や描写ミスを修正しつつ、また亀更新ながら、投稿致します。