咲-Saki-消えゆく京- 作:神狼K
今回は少し短いです。
今回は重要な選択肢があるので、活動報告にてじゃんじゃんご投票ください。
ではどうぞ!
私が着ていく服に悩んでいる時にふとこの前淡が見ていたファッション雑誌の事を思い出した。
「(…確かレモンイエローのカーディガンとホットパンツの爽やかコーデがデートに最適だって言ってたような…)」
私はクローゼットを開けてその服を探した。服の量は女子高生にしては少ないしほとんど菫達が選んでくれた物が大半だけど……。
「……あった」
奇跡が起こったのか、クローゼットの中からちょうどその服が見つかった。
「……ついでに日差しが眩しいから帽子も被ろう」
十分後。私は着替え終えた。今思えばこんなにおめかしをしたのは初めてではないだろうかと思えてしまう。
「……次からはファッション雑誌とかチェックしてみようかな…」
やっぱり私も女の子なんだな、って実感した。
「…行こう」
私は自室から出ていった。そして京君の待っている場所まで歩いた。
「あ、おはようございます照さん」
寮の玄関前には既に京君が来ていた。私は携帯の時計を確認しながら早足になる。
「京君、待った?」
「いえいえ俺も今来たところですから」
京君は笑顔でそう私に答える。どうやらそんなには待たせてないようだ。
「(よく考えたら同じ寮に住んでるんだから待ってるもなにもないよね)」
「では行きましょうかお姫様?」
「ふぇ?……うん///」
京君が私に手を差し出してきた。その姿はまるで本物の王子様のようだった。
私はそんな京君の姿に赤面しながら手をとって歩き出した。
今私と京君は駅のすぐ側を歩いていた。
「今日は何処に行くの?」
私が京君に質問すると京君は微笑んだ。
「今日は遊園地です」
「遊園地……ふふ、楽しみ」
「そう言ってもらえると昨晩悩んだ甲斐があります………それじゃあこのバスに乗っていきましょう」
京君の言葉と同時にバスが目の前に停車した。
「うん分かった」
私と京君はバスに乗ってお金を機械の中に入れて乗車した。
そして奥の方に二人用の席が丁度一つ空いていたのでそこに私達は座った。
『出発します』
機械音と同時にバスは走り出した。
「今回行く遊園地はですね、主にゆったりとしたアトラクションが多くてのんびりと堪能出来るんですよ。他にも馬の乗馬体験とか」
「馬……ふふふ」
私は京君の言葉ににやけてしまう。何せ私は昔から動物が大好きなのだ。
「京君着いたら早速馬乗りに行こう!」
「動物が好きなんですか?」
「うん!大好きだよ」
「そうだったんですか!気が合いますね。俺も動物とか好きで家にカピパラを飼ってるんですよ!」
「えっ?本当に!?。今度長野に行った時に京君の家に行っても良い?」
「はい大丈夫ですよ…………………生きて帰ってこられたら……」ボソッ
「〜〜♪」
京君の最後の言葉は私の耳には届かなかった…。
二十分後
いよいよ遊園地に到着した私と京君は素早く1日券を貰って早速園内を捜索していた。
「確かこの先に動物のふれあい体験がある筈です」
「楽しみ♪」
私は楽しみな気持ちでいっぱいだった。
「(…そういえばこうやって楽しい気分になるのは久々かもしれない)」
私は白糸台に入学してから菫みたいな心を許せる友人もいたし、今では尭深や誠子、そして淡もいる。
でもやっぱり心の底ではまだ無意識の内に壁をつくっていたのかもしれない。
でも……京君は違った。久しぶりに会ったのに京君だけには気を許せた。…………それに心もキュンキュンする…。これは一体何なんだろう?。
「照さん!見つけましたよ」
私が思考している間にいつの間にか目的地に着いたようだ。……それにしても考え事してたのによく転ばなかったな…って我ながら驚く。
「……照さん?」
私が黙っていて心配になったみたいで不安そうに私の顔を覗いてきた。
「あ、ごめんねぼーっとしてただけだから」
「そうですか。それじゃあ行きましょう」
「うん!」
ふれあい体験があるエリアには多くの人達で賑わっていた。
「さて、最初はどうします?」
「…あそこに犬のふれあいコーナーがあるから、まずはそこから」
「分かりました」
私と京君は犬のふれあいコーナーへと歩いた。周りは子供連れの夫婦やラブラブしてるカップルもいた。
「やっぱり休みの日ですから人が多いですね」
「カップルも多いよね」
「俺達も周りからしたらカップルに見えるんですかね?」
微笑しながら京君はそう言った。京君の言葉を私は意識して少し顔の頬が熱くなった。
「……っ///」
「照さんもう少しで着きま………照さん?顔が赤いですよ。大丈夫ですか?」
「え、あ、大丈夫でふ!………グスン」
京君に突然声をかけられたからか、私は誤って舌を噛んでしまった。…痛い。口の中から鉄の味がする。
「舌、噛んじゃったんですか?……見せてください」
「……アッ」
私は舌を出した。空気に傷口が触れてズキズキする。
「あー舌から血が出てますね。えっと…確か舌用の傷薬が……」
「な、なんへもっへるほ?訳(な、なんでそんなの持ってるの?)」
私は不思議に思ったので聞いた。何故なら薬なんて普段から持ち歩く物ではないから。
「…清澄にいた頃、よく咲が日頃から舌を噛んだりしてたからですね。あいつ、ポンコツですからね、あはは…」
京君は苦笑いをうかべながらそう理由を述べた。
「……」
私は『咲』という言葉に不機嫌になる。私にとって『咲』は敵なのだ、京君を追い詰めた…京君の一番近くに居ながら京君の苦悩を知らない奴……。
「…っ、もう大丈夫だから行こう」
ギュッ
「え、…はい!分かりましたよ」
私のわがままに一切嫌な顔をせずに付いてきてくれる京君。
私はまだ微かな口の中の痛みを感じながら犬のふれあいコーナーへと京君と一緒に歩いていった。
私と京君は夕方になって今は帰り道を歩いていた。
オレンジ色の日差しがビルとビルの隙間から通り抜けて私と京君を写し出す。
「今日は楽しかったですね!」
「……うん」
京君の言葉に私は少し素っ気なく返事をしてしまった。
京君は少し心配そうな顔をしていたので私は安心させるように小さく微笑みながら京君と目を合わせた。
「…今度は菫達と一緒に行こうね」
「……はい!」
京君は大きく頷きながら笑っていた。その笑顔はスゴく綺麗だった……。
「ふぅー」
私はパジャマ姿でベッドに寝転がっていた。
今日は楽しかった、と心から思った……思ったけど……。
「……咲」
咲……宮永咲。私の妹の名前を呟きながら私は顔を歪める。
私は咲を許せないでいる。何故なら京君を傷つけたのだから。
…だけど咲を恨むのはダメなのは分かってる。京君がいくら優しさとはいえ周りに話さなかったのもまた非があると言えなくもない。
「(……そういえば明後日………高大交流戦の高校代表の選考会でまた全国から選抜メンバー候補が集まるんだっけ)」
私はカレンダーに書いてある『選考会』と書いてある部分を見つめながら思考する。
確か京君は選ばれてないから知らないと思うけど、プロからの審査で選ばれるチャンスがあるだろうから明日伝えないと……。
「…お休み京君……zzz」
ーーーーーーーーーーーー[途中経過]
・照の好感度が上がりました。
・照シナリオ『姉妹の絆』が解放されました。