咲-Saki-消えゆく京-   作:神狼K

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今回は色々捏造があるかもしれませんが、できればスルーしてくださるとありがたいです。今回も選択肢があります。

あとお気に入りが百を越えたので何か本編に絡む特別選択肢も考えてますので、決まり次第活動報告で発表するので期待しないで待っててください。


機械神の降臨

 

翌朝

 

私の目覚めた後の気分は最悪だった。

 

思い出してしまった、私が受けた雀士最大の屈辱の時の事を……。

 

「……今の時間は9時…か」

 

私はとりあえず時計を見る、…もう授業が始まってる時間だった。

 

今日は学校に行ける気分でもなかったので仕方なく私は私服に着替える。

 

 

 

「……」

 

私の服装は赤色のフード付きのパーカーに薄い青色のホットパンツ、それから黒いニーソックスに黒いブーツだ。

 

それから気休め程度にサングラスもかける、何故ならこの時間帯は警察に補導されかねないからだ。

 

「……いってきます」

 

私の声は誰もいない広い個室に虚しく響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外に出てみたのは良いけど、私には行く宛なんて無かった。

 

けれどただ寮に引きこもっているよりはましだと思ったから、こうして出てみたわけなんだけど…。

 

「……何で…?」

 

普段はあり得ない(?)迷子に私は今陥っていた。

 

まさか…?咲じゃあるまいし、姉である私が迷子になるなんてあり得ない…。

 

「………グスン」

 

私は自分自身が情けなくて涙が出てしまった…。

 

何で部長の事を思い出しただけで、こんなに動揺しているのだろうか…?、いやそれは私自身がよく知っている事ではないのか…?。

そんな自問自答を繰り返していると……。

 

ドンッ

 

「……っ、すみません」

 

「………っ!?」

 

私は思考に没頭し過ぎていつの間にか人にぶつかってしまった、そしてぶつかった人に謝るためにその人の方を向いた、そして私は驚愕した。

 

「……あれ、照ちゃん?」

……私を照ちゃんなんて呼ぶ人は限られている、その人は紫色の髪の毛をサイドテールにしていて、メガネをかけてる、そして白い肌に私の紅の瞳とは真逆の蒼い光を放つ瞳、最後に無機質なボカロ声………、間違いない、この人‐‐‐。

 

「雪那…部長?」

 

「…久しぶり、宮根さん」

「………え?」

 

「………冗談、久しぶり照ちゃん」

 

部長……だった、この人の真顔のジョークも久しぶりだなぁ…、この人のジョークはいつも笑えない。

 

「……久しぶりです、あの時以来ですね」

 

「……そうだね、再会した記念に喫茶店で何か奢るよ」

 

「……ありがとうございます」

 

私は部長のお言葉に甘えて喫茶店に移動する事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

とある喫茶店

 

「…それで照ちゃんは悪い子になっちゃったのかな?、こんな時間帯に街を歩いてるなんて、…驚いちゃった」

 

雪那部長はコーヒーを飲みながら私に問いかけてきた。

 

…部長の反応は当たり前ではある、何せ私は高校生だ、どんな理由があっても学校があるのにサボって街を歩いている姿を見たら心配になるだろう。

 

「…………貴女のせいですよ」

 

私は雪那部長には聞こえないほどの小さな声をボヤく。

 

「…照ちゃん、三連覇したんだってね、おめでとう」

「……っ!!」

 

雪那部長は黙っている私に気をつかって話題を変えたつもりなのだろう、表情を変えずに私にお祝いの言葉を贈ってくれた………。

 

……けど、その大会三連覇こそが、私にとって触れてほしくない古傷だった。

 

「……貴女なんかに祝われても何も嬉しくない!」

 

バンッ!

 

私は雪那部長に対しての不満を爆発させて、焼けるように熱くなった思考に身を任せながら部長の前で机を叩く。

 

「………」

 

「私は……っ!、手加減されて優勝しててにいれた偽りの連覇なんていらない!」

 

「……何の事?」

 

「とぼけないでください!」

 

そう、私はこの人に手加減されてIHを優勝したんだ、この人が本気を出せば、悔しいけど私じゃ勝てなかった、昔も……そして今も……。

 

「……手加減した覚えはないよ」

 

「嘘です!、だってあの時……っ!」

 

私は昔の事を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が家庭の関係で東京に引っ越して白糸台に入学した。

 

そして成り行きで麻雀に入った。

 

そこ《麻雀部》は一年生なのに強い私にも先輩方は妬まずに優しく接してくれた。

 

そんな麻雀部に入部してから一週間ぐらい経った日に私は雪那部長に出会った。

「ロン、8000の満貫です」

「うぐ、また負けたぁ………、照は強いね、これなら今年のIHで部長を優勝させてあげられるかも」

 

「部長…?」

 

私はこの時はまだ雪那部長にまだ会ってなかったため部長という単語に首を傾げた。

 

「そう、白河雪那部長、去年は私達が足引っ張ったせいで臨海が優勝して、私達は準優勝になったの…」

 

当時の先輩は悲しそうに悔しそうに、そして今にも泣き出してしまいそうな顔をしながら語っていた。

 

そんな話をしていると、部室のドアが開いた。

 

ガチャ

 

「……おはよう」

 

「部長ー、今はこんにちはの時間ですよー?」

 

「……こんばんは」

 

「何でですか!?」

 

「………冗談よ」

 

「それで、そこにいる子が期待の新人ちゃん?」

 

「そうです。ほら照、自己紹介して」

 

「宮永照です…」

 

私は軽い挨拶で済ませた。

「…よろしくね」

 

これが私と部長の初めて出会った瞬間だった。

 

 

 

部長は私が思ってたよりずっと凄い人だった。

 

ここの部員は彼女を凄く慕っていた、一つ下の私達一年生も一つ上の三年生も彼女に対して敬語であり、彼女に不満を抱く人なんて誰一人としていなかった。

 

 

そして大会前日にチーム虎姫のメンバーが発表された。

 

「もう知ってると思いますが、改めて自己紹介を致します、私は監督兼コーチの冥波澪です。」

 

澪監督は真っ白な肌に白い髪の毛をポニーテールにしている。瞳の色は黒い。そしてプロポーションも良くて部員の憧れのまとでもある。

 

そんな監督が改めて自己紹介をしたあと部室が静まり返っている理由である例の本題について話始めた。

 

「分かっているとは思いますが、今日は大会に出る五人のレギュラーを発表致します」

 

監督の一言一言が彼女達の緊張を高ぶらせていく。

 

「まず先鋒、白河雪那」

 

最初に部長の名前が上げられて、周りが部長に対して拍手をする。

 

「…次に行きます」

 

監督の言葉によって、また緊張の空気が渦巻きだす。

「次鋒、弘世菫」

 

次にあがった名前は私の親友でもある菫だった、しかしとうの本人は緊張から顔がカチコチに固まっていて面白い顔になっていた。

 

「……おめでとう菫」

 

「……あ、ああ」

 

私は小声で菫を称賛した。けど菫は素っ気なく返す。いや……正確には私の言葉を返す余裕がないのかもしれない。

 

「最後に大将です」

 

私が考えてる合間にも名前はあげられていって、とうとう大将まできてしまった。

 

「大将は宮永照です」

 

私の名前があげられた。

 

「やったな!照!」

 

「うん、ありがとう」

 

菫が自分の時以上の喜びの表情で私に話しかけてくる、私は本当に良い親友を持ったなぁ、っと思った。

 

「レギュラーに選ばれなかった人は悔しさをバネに更に精進してください。そしてレギュラーに選ばれた五人はレギュラーとして自覚をもって大会に望んでください」

 

『はい!!』

 

監督の言葉でその場は締めくくられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして…インターハイ団体戦は優勝で幕を閉じた。

 

そして、ここからが本題である個人戦だ。

 

私と部長は別ブロックだったけど、お互い圧倒的な実力で勝ち上がっていって、とうとう決勝戦だ。

 

『では、決勝戦スタートです!』

 

アナウンスと同時に私達の戦いに火蓋が落ちた。

 

戦いは圧倒的に雪那部長が私を含めた三人を勝っていた。その差は南局に入っても縮む事は無かった。

 

「……くっ」

 

そして、私が親のオーラス。部長が一位で私が二位で差は丁度部長に役満直撃で逆転できるぐらいの点差だった。

 

難しい条件ではあるが、1%でも可能性がある限り、私は諦めない。

 

 

 

しかし、私はなんとか国士無双の聴牌の白待ちにもっていけたは良いものの、国士を狙っている事は周りからはバレバレで二人はベタオリ、部長にも絶対にバレているはず…………それなのに…。

「………」っ白

 

部長は何の迷いもなく、河に白《和了牌》を捨てた。

「ろ、ロン!…国士無双」

『な、なんと!最後の最後にルーキーである宮永選手が前年度優勝者であり先輩でもある白河先輩から役満直撃の大・逆・転・勝利だぁぁぁぁぁ!!!!』

 

そう興奮気味のアナウンサーの声は私の耳には入らない。

 

「(な、何でですか…?、私を苔にしてるんですか?)」

 

明らかに危険牌だと分かっていて部長は河に捨てた。

「…おめでとう、照ちゃん」

 

笑顔で私に背を向けて去っていく部長……。

 

「……ふざけるな…」

 

あのときの私は冷静じゃなかった、……けど誰でも言いたくなるのは間違いない。

 

「ふざけるなぁぁぁぁ!!!!、白河雪那!!」

 

しかし、私の声を無視して雪那部長は会場から姿を消した………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「部長…、何であのときわざと放銃したんですか?」

そして現在、再会した部長に私は問いつけめる。あのとき部長がした行為は私の雀士としてのプライド、誇り、力をめちゃくちゃに傷つけられた。

 

「……答えは自分で見つけるものだよ」

 

「……教えてくれないんですか?」

 

「……ねぇ、せっかくだから私も久々に白糸台に行きたいんだけど良いかな?」

部長はあからさまに話を反らした。でも麻雀部に行けば、また部長と麻雀ができると思った私は……

 

「分かりました、行きましょうか」

部長の話に乗った。

 

 

 

 

 

 

 

麻雀部の部室に来たけど、予想通りというか皆に心配された、菫は私の事情を知っているからか三十分の説教ぬ止まった。(それでも十分長いけど……)

 

そしてその後に淡と京君に部長を紹介した。

 

「へぇー、それじゃあセツナって強いんだ?」

 

「…高校生に負ける気は毛頭ない」

 

「それじゃあ勝負しようよ」

 

そんな感じで麻雀をする事になった。でも私は参加しないで見ていた。

 

メンバーは部長、淡、菫、尭深になった。なかなか面白い組み合わせだと思った。

 

『よろしくお願いします』

東一局

 

親は菫だ。

 

「……」っ

 

菫はじっくり考えながら牌を切っていく。

 

「ふふん♪」

 

淡はいつも通りリラックスした状態で打っていた。

 

一方、雪那部長は目が虚ろになっていた、あれは集中している証。そして部長は三人が気付かないぐらいの圧倒的な速度で三人を観察して相手の癖、呼吸、心拍数、視線、思考、弱点、長所などを全て脳内に保存して分析していく。その観察力はもはや三人が裸になって身体中に数字を書かれているようなイメージが呼び起こされる。

 

これこそが雪那部長の真骨頂である『デジタル麻雀』。

 

他にも『デジタルの神』、『麻雀界一のデジタル打ち』、『デジタルオブギア』の称号がある。

 

 

 

「リーチ」

 

そして4巡後に部長の先制リーチ。

 

「……」っ

 

「ロン」

 

「……くっ」

 

放銃したのは菫だった。

 

「リーチ一発ツモ平和断公九ドラ2の跳満」

 

東ニ局

 

親は南家の淡になる。そして淡は得意なアレを使う。

「」っ

 

そうダブルリーチだ。別にこればかりが淡の魅力ではないんだけど淡の強さの芯となっているのがダブルリーチ。

 

正確には相手を4向聴以下にする『絶対安全圏』が一番強いんだけど、淡にはやっぱりあの火力と速攻の備わったダブルリーチが一番の淡の伝家の宝刀だと私は思う。

 

でもその『程度』では部長を止める事は出来ないと私は思ってしまう。

 

「……」っ

 

次巡

 

「リーチ」っ

 

「なっ!?」

 

雪那部長のリーチ宣言に驚く淡。それはそうだ。何せ部長は淡の『絶対安全圏』を無視してでのリーチだ。

「(でも部長に限って空リーチはあり得ない)」

 

 

私がそう思っている合間にも淡はノンストップで牌を切っている。淡はもう逃げられないのだ、最初にリーチをしてしまったため怪しくても突っ込んでいくしかない。

「ロン」

 

「……え?」

 

淡の驚きの表情をしているが雪那部長はそのまま牌をパタリと倒した。

 

「リーチ一発ニ盃口断公九ドラ1の跳満」

 

 

 

 

 

 

 

その後も部長の勢いは止まらず、淡達は徹底的に封殺されて一回も和了る事が出来ずに雪那部長のパーフェクト勝利になった。

 

「ありがとうございました」

 

「…やはり部長は強いですね。私は結構強くなったつもりだったのですが、やはりまだまだみたいです」

 

「というより部長が強すぎるだけです…」

 

尭深がそう苦々しそうに小さな声で、しかしハッキリとした声音で部長に言葉を漏らした。

 

「……精進してね」

 

「…はい」

 

ぴしゃりと正論を言われてへこむ尭深は可愛いと思う。

 

「圧巻でしたね!、照さん」

 

京君は目を輝かせながら私の方を見てくる。どうやら今の対局が凄くて壊れてしまったのかもしれない。

 

「京君……壊れた?」

 

「……はい?」

 

京君は首を傾げながらつぶらな眼差しで私を見てくる。………どうやら私の方が汚れていたらしい。

 

「何でもないよ京君…」

 

「……?。熱でもあるんですか…?」

 

そして逆に私の方が心配される始末……。

 

「どれどれ」

 

ピト

 

「……え?」

 

私は今京君に額と額を合わせられて熱を測られています……。京君は天使です。

「……っっっ!!////」

 

ボンッ!!!っという音を鳴らして私は倒れそうになった。

 

「照さん!?」

 

そして私は意識を失った………。


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